
Cookieレス対策としてファーストパーティデータの活用が注目されていますが、Google 広告ではメールアドレスや電話番号などの顧客情報を活用してコンバージョン計測の補完ができる「拡張コンバージョン」という機能があります。
さらに、この拡張コンバージョンの仕組みを活用してターゲティングに役立てられるのをご存知でしょうか?それが「コンバージョンベースの顧客リスト」です。
従来のように手動で顧客リストをアップロードする必要はなく、すでに送信されているデータをもとに、Google 側で自動的にリストが生成され、広告配信に活用できるようになります。
すでに拡張コンバージョンを導入している方にとっては、追加の実装なしですぐ使えるターゲティング機能です。


目次
コンバージョンベースの顧客リストとは
コンバージョンベースの顧客リストを一言で表すと「拡張コンバージョンを用いたカスタマーマッチ」です。
コンバージョンベースの顧客リストでは、拡張コンバージョンの仕組みで送信されているハッシュ化済みの顧客情報をもとに、Googleが自動的にターゲティング用の顧客リストを生成・更新してくれます。
そのため、通常のカスタマーマッチのように、CSVでリストを用意し、管理画面からアップロードする必要はありません。
コンバージョンベースの顧客リストのメリット
ここでは、コンバージョンベースの顧客リストを導入する具体的なメリットを2つご紹介します。
①顧客リストの作成や更新、アップロードが不要
通常カスタマーマッチを利用するには、顧客情報のデータを準備し、広告管理画面からアップロードする必要があり、運用の手間がかかります。
一方、コンバージョンベースの顧客リストは、拡張コンバージョンの仕組みをそのまま活用できるため、広告管理画面で設定を有効にするだけで簡単に実施可能です。
さらに、拡張コンバージョンで顧客データが送られ続ける限りリストの更新も自動で行われます。リストの作成も簡単で、更新も自動でできるとてもありがたい機能ですね。
②自動入札のシグナルに自動で活用できる
カスタマーマッチのリストは、広告配信に直接使用していなくても、スマート自動入札や最適化されたターゲティングのシグナルとして自動的に活用されます。
なぜなら、カスタマーマッチのリストは、もともとGoogleが持っている購買意向の強いセグメントやアフィニティセグメントなどのようなデータとは違い、広告主が設定しないとGoogleには存在しない特別なデータです。そのため、リストを使うことで自動入札の学習データが増え、広告のさらなる効果改善が期待できます。
通常のカスタマーマッチとの違い
コンバージョンベースの顧客リストは、カスタマーマッチの一種ですが、通常のカスタマーマッチとは大きく違う点があります。それは細かな条件のセグメントが作成できないことです。
通常のカスタマーマッチであれば、任意の顧客情報をアップロードできるため、さまざまな条件で顧客リストを作成できます。例えば次のように柔軟なセグメントの作成が可能です。
- 直近半年間購入がないユーザー
- 一定の頻度・金額以上を購入したロイヤルユーザー
- メールマガジンを登録しているがまだ購入したことがないユーザー
- オフラインイベントなどへの参加者
しかし、コンバージョンベースの顧客リストの場合は、その名の通りコンバージョンタグから送られる情報が元となるため、作成されるリストも設定してあるコンバージョン目標に沿って作成されます。複数のコンバージョン目標があれば、それぞれのコンバージョン目標毎のリストが生成されます。
そのため、商品の購入の「コンバージョン目標」の粒度ではなく、資料請求や会員登録など「コンバージョンアクション」ごとのリストが欲しい場合は、対象のコンバージョンアクションに絞ったカスタム目標を作成することで、特定のコンバージョン目標を達成したユーザーのみのリストも作成が可能です。
これを踏まえ、次のように使い分けを行うのがおすすめです。
- シンプルな除外設定やリマーケティング、類似セグメントへの活用であれば、コンバージョンベースの顧客リストで十分
- 属性や行動履歴などより柔軟なセグメントを行いたい場合は、通常のカスタマーマッチを活用
コンバージョンベースの顧客リストの利用手順
コンバージョンベースの顧客リストの具体的な利用手順を紹介していきます。
拡張コンバージョンの実装と個人情報の取扱いへの配慮
拡張コンバージョンの導入完了が事前準備として必要です。
拡張コンバージョンにはリードの拡張コンバージョンやGoogle Ads APIを用いた実装方法もありますが、コンバージョンベースの顧客リストはタグベースでの実装の拡張コンバージョンのみがサポートされています。
タグベースでの実装の拡張コンバージョンの実装は以下ヘルプを参考ください
参考:Google タグ マネージャーを使って拡張コンバージョン(ウェブ向け)を設定する
参考:Google タグを使用して拡張コンバージョン(ウェブ向け)を設定する
Google アナリティクス 4(GA4)のみでユーザー提供データを実装している場合は、Google広告にインポートしているGA4のキーイベントに基づいて顧客リストが作成されます。しかし、タグベースではないGoogle Ads API経由で実装している場合はコンバージョンベースの顧客リストが利用できない点は注意しましょう。
なおカスタマーマッチと同様に顧客情報を活用したターゲティング機能となるため、個人情報の取り扱いには十分に留意してください。利用目的や使用する個人情報、第三者提供、オプトアウト方法のプライバシーポリシーでの案内など、個人情報の収集と利用に関して個人情報保護法や改正電気通信事業などの法令に準拠している必要があります。
拡張コンバージョンについてはこちらをご参考ください。
参考:About enhanced conversions - Google Ads Help
コンバージョンベースの顧客リストの設定方法
事前準備が完了したら、Google広告の管理画面より以下の手順で設定します。
1.管理者>アカウント設定をクリック
2.カスタマーマッチのコンバージョンタグの「コンバージョンベースの顧客リスト」にをチェックをしてして保存する
デフォルトではオンになっていますが、カスタマーマッチをスマート自動入札の最適化シグナルとして活用する場合はキャプチャ内の利用するにチェックしておく必要があります。
「データ使用の設定編集(英語表記「Edit data use settings」)」では生成されたリストをどのGoogleサービスで利用するか変更が可能です。個人情報の取得に際してユーザーと一部のGoogleサービスのみでの利用しか同意していないようなら、該当のサービス以外のチェックは外しておきましょう。
主にEU圏向けの設定のため、個人情報の取り扱いに関して日本の法律に準拠しているようでしたら、推奨の「すべてのGoogleサービス」のままで基本的には問題ありません。
3. 各種ターゲティングとして活用
セグメントタイプが「顧客リスト > コンバージョン ベース」となっているセグメントがコンバージョンベースの顧客リストで生成されたセグメントです。ターゲティングやモニタリング、除外などで活用していきましょう。
なお、カスタマーマッチのリストのターゲティングでの活用には過去540日以内で100人以上のユーザーが必要です。またカスタマーマッチポリシーによってポリシー遵守や利用実績の度合いに応じてターゲティング利用に一定の制限があります。
Cookieレスで顧客データの活用はさらに重要に
カスタマーマッチはかなり以前からある機能ですが、いま再び注目が集まっています。Google 広告のヘルプの中にあるカスタマーマッチに注力すべき理由が書かれている箇所をみてみましょう。
カスタマー マッチに投資する理由
カスタマー マッチを使うと、自社データを使用して、Google が把握できていないお客様独自の分析情報を活用できます。これにより、プライバシーに配慮しながら、Google の全サービスで既存の顧客関係を深めたり、新規顧客を獲得したりできます。プライバシー、ブラウザ、規制の変更を受けて Cookie ベースのリマーケティングが段階的に廃止されるにつれて、このことはますます重要になっています。そこでカスタマー マッチは、Google のサービスに期待される高い成果を得ながら、自社データを最大限に活用するための、拡張性に優れたプロダクト ソリューションとなります。
引用元:カスタマー マッチご利用ガイド
このようにCookieレス時代に向けて機能としてのその価値が見直されてきています。もし既に拡張コンバージョンを導入済みなら、コンバージョンベースの顧客リストという便利な機能を使ってカスタマーマッチを活用してみてはいかがでしょうか。
