テスト内容を振り分ける条件は?
リスティング広告の運用に欠かせないA/Bテスト有意義なものにするためには、それぞれの条件をできるかぎり揃えることが重要な要素のひとつです。
Google 広告には「キャンペーンのテスト」という機能を利用すると、現状のアカウントに変更を加えた場合のパフォーマンスを、変更を適用する前に検証することが可能です。
参考: 変更内容の影響を事前に確かめて元のキャンペーンの掲載結果と比較できる、Google アドワーズ キャンペーンテスト完全ガイド
テストの分割方法を検索ベースとCookieベースから選択可能に
ただし、比較条件を揃えるという点で、必ずしも正確ではありませんでした。これまでキャンペーンのテストでは、ユーザーが検索を行うたびに、ユーザーをテストグループまたはコントロール グループに割り当てていました。これを「検索ベースの分割」とも呼びます。
たとえば、ひとりのユーザーが繰り返し検索を行うキーワードを対象としたテストの場合、ひとりのユーザーにもかかわらず、検索する回数によってコントロールされたものとテストのものとが割り当てられてしまい、テストのノイズとなりえます。また、同じ内容を再度探しにきたユーザーが、その内容を見つけられないというデメリットも発生することも考えられます。
今回ご紹介するアップデートでは、これまでの検索ベースの分割に加え、「Cookie ベースの分割」が行えるようになりました。ユーザーが検索した回数に関わらず、テストキャンペーンと元のキャンペーンのどちらか一方だけを表示します。
キャンペーンのテストを設定する際に、「テストへの分配比率のオプション」という項目から選択が可能です。
参考:Cookie ベースのテストを使用して、ユーザー専用のテストグループおよびコントロール グループを作成する - Google 広告 ヘルプ
ユーザーリスト使用時の注意点
Cookieベースの分割を利用する場合、キャンペーンでユーザーリストをターゲティングに使用している際には注意が必要です。管理画面の表記によれば、リストに 10,000 人以上のユーザーが登録されている必要があるとのことです。
ユーザーリストのボリュームが小さかったり、比較的配信規模の小さいキャンペーンでのテストの場合は、検索ベースの分割を利用したほうが、早期に有意なテスト結果を得られるでしょう。
一方で、たとえばページの読み込み速度お高速にするAMPページを従来のページと比較検証する際には、Cookieベースの分割を利用することでユーザーごとの反応の違いを観察することが可能になります。そのためAMPページのテストはCookieベースで実施することをGoogleも推奨しています。
参考:Google 広告で Accelerated Mobile Pages(AMP)を使用してテストする - Google 広告 ヘルプ
ちなみに広告バリエーションでは、Cookieベースでのテストのみ実施できます。AMPのテストなども同様にテストが可能となっています。
参考:Google アドワーズ、テキスト広告の変更を手軽かつ大規模にテストできる「広告バリエーション」機能を提供開始
ただし、キャンペーンのテストと広告バリエーションでは、それぞれ利点や考慮するべき事項が異なりますので、テストの内容に合わせて選択しましょう。
参考:Test your AMP campaigns - Google 広告 ヘルプ (※英語版)
Cookieベースは必ずしもユーザーごとの分割ではない
Cookieベースの分割が、検索ベースの分割に比べより正確なデータ取得を可能にするのは間違いありませんが、完全にユーザーごとのテストを可能にするかというと、そうではないケースが大半かと思います。ユーザーはさまざまな端末からアクセスしてくることが一般的になっているため、ひとりのユーザーが複数のCookie情報をもつのが当たり前になっているためです。
まずはキャンペーンのテストにおけるそれぞれの分割方法の内容を理解し、状況にあったテスト方法を選ぶことが大切です。
けれど、テスト自体の目的はアカウントのパフォーマンスをより高めるために実施しています。以下の記事にもありますが、過度に精度を追い求める態度は、改善のための行動を遅らせることにも繋がります。(仮説→検証→実行)のサイクルをクイック&ダーティーにすすめるのが成果を出すための近道ではないかと思います!