運用型広告で継続的に成果を出していくためには、A/Bテストは欠かせません。広告のクリエイティブはもちろんのこと広告をクリックしたあとに訪れるランディングページにおいても改善を行っていくことで、さらに成果によい影響を与えられるのは言うまでもありません。しかしながら比較的容易に変更が可能な広告クリエイティブと異なり、ランディングページはテストや変更を行いたくても、さまざまな障壁によりスムーズいかないケースも少なくありません。
- いちいち制作会社に依頼する必要があり費用が発生する
- テストページを用意するのに時間がかかる
- 変更によって成果が一気に落ちることは避けたい
今回ご紹介するGoogle オプティマイズは、Googleが提供しているA/Bテストを行うためのツールです。直感的な操作で本格的なテストをすばやく簡単に行うことができます。また、Googleのその他の製品との連携もできる点もメリットのひとつです。
本記事では、Google オプティマイズの基本的な使い方から、Google アドワーズで活用する際のポイントまでを解説します。
※Google オプティマイズは2023年9月にサービス終了しています。
目次
Google オプティマイズとは
Google オプティマイズとはGoogleが提供している無料のA/Bテストツールです。ブラウザ上でレイアウトやテキストなどを、直感的な操作で編集することができ、編集した要素のA/Bテストを行えます。
Google オプティマイズで行えるテストは以下5つです。
A/Bテスト
ウェブページの一部の要素を変更して、比較したウェブページ内のAとBのどちらがより優れているかテストをすることをA/Bテストといいます。
上記の例では、青い写真を使用したAと赤い写真を使用したBのどちらが優れているパターンなのか掲載データから特定します。
テストパターンの例
- キャッチコピーを異なる軸でテスト
- 製品やサービスの画像を異なるビジュアルでテスト
リダイレクトテスト
異なるウェブページをテストするA/Bテストです。リダイレクトテストでは、URLやパスを指定し、リンク先をテストすることができます。
上記の例では、www.example[.]com、new.example[.]comどちらに配信したほうが優れているかテストします。
テストパターンの例
- 構成やデザインが異なるLPを比較する為のテスト
多変量テスト(MVT)
多変量テストは複数の要素を変更した場合に、どの組み合わせが最良か判断するテストです。
上記の例では、見出しをH1・H2の2パターン、画像をA・B・Cの3パターン、合計6パターンでどの組み合わせパターンが優勢かをテストできます。何回もA/Bテストする必要がなく、より短時間で多くの要素をテストすることが可能です。
ただし、パターンが多くなると、各パターンに対して割り当てられるトラフィックが少なくなるため、結果を得るまでに時間がかかる可能性もありますので注意が必要です。
テストパターンの例
- キャッチコピー、製品やサービスの画像、CTAボタンの各要素から最適な組み合わせを見つける
カスタマイズ
カスタマイズは上記のような短期的なテストとは異なり、特定のユーザーがサイトにアクセスするたびにカスタマイズしたウェブサイトを表示する機能です。
- ユーザーの地域に合わせて商品を訴求する
- 会員ユーザーにクーポンをブラウザ上で配布する
など、特定のユーザーにコンテンツの出し分けが可能となります。
テストとは異なり、比較対象が無く、永続的に表示させることができることが特徴であり、ユーザーのエンゲージメントの促進とコンバージョンの向上を図る機能です。
バナーテンプレート
上記のカスタマイズと同様にテストとは異なり、一時的にウェブサイト上にバナーを表示させる機能です。
世界中で COVID-19 への対応が広がる中、通常の営業時間や配送ポリシーなど、変更に関する最新情報をサイトの上部に表示させることができます。
バナーを表示するページ・色・サイズ・テキストをカスタマイズすることができ、地域やユーザーによってバナーを変えることができます。
オプティマイズを利用することで、バナーの作成やHTMLコードの編集など、ウェブマスターを通さず、ビジネスニーズの変化に合わせて簡単に変更、終了できることが特徴です。
Google オプティマイズを使用する前の事前準備
まずはアカウントの構成要素をGoogleアナリティクスと照らし合わせて把握しておきましょう。アカウントの構成要素が似ている点や連携が必要なので以下の章では図を用いて解説していきます。
Google オプティマイズの構成要素
Google オプティマイズは「アカウント」「コンテナ」「エクスペリエンス」と3つの要素で構成されています。
Google オプティマイズのアカウント
アカウントはGoogle オプティマイズの最上層で、アカウントの配下にコンテナ・エクスペリエンスを作成していきます。アカウント内で複数のウェブサイトのテストをすることが可能です。
1つのGoogle アカウントで複数のGoogle オプティマイズのアカウントを作成することができますが、1アカウントあたり1商材で使用するようにアカウントを作ることをおすすめします。
コンテナ
Google オプティマイズのコンテナは、Google アナリティクスのプロパティ単位で連携を行います。
ドメインの異なるウェブサイトのテストを実施することはできませんが、サブドメインであればドメインをまたいでテストを実施することが可能です。その場合はGoogle アナリティクスのプロパティで対象となるサブドメインを同じプロパティで計測を行い、コンテナと連携する必要があります。
エクスペリエンス
Googleオプティマイズの最下層で、目標に対して作成した複数のパターンの優劣を計測します。同時に出来るテストの数は5つまで可能です。
テストでは前述のA/Bテスト・リダイレクトテスト・多変量テスト(MVT)のテストが出来ます。
1.Google オプティマイズのアカウント開設
まずは、Googleオプティマイズのページから、「利用を開始」をクリックして初期設定を行います。このとき、希望のGoogleアカウントでログインしておきましょう。
進めていくとアカウントとコンテナが作成された状態となり、次に「最初のエクスペリエンスを作りましょう」画面になります。
「開始」を選択して進めていきます。
2.エクスペリエンスを作成
名前・テストの対象となるページのURL・テストのタイプを設定して作成します。
3.アナリティクスへリンクする
Google オプティマイズを利用するためには、サイトにGoogleアナリティクスが導入されている必要があります。
「アナリティクスへリンクする」を進めていくと下記のように表示されます。
テストを測定するために、対象となるGoogleアナリティクスのビューを選択します。1つのエクスペリエンスにリンクできるビューは1つのみですが、ここで複数のビューを選択しておくと、そのコンテナでの他のテストにおいて別のビューも利用できるようになります。
また、連携には編集権限以上が必要です。
4.Google オプティマイズのタグ設置方法
エクスペリエンスを始めるまえにタグの設定が必要です。オプティマイズの導入方法は、Google アナリティクス・Google タグマネージャーから進めることができ、サイトによって導入方法が異なるため、環境に合わせていきましょう。
ページを非表示にするスニペットタグ
それぞれの設置方法を見ていく前に、「ページを非表示にするスニペットタグ」をご紹介しておきます。
ウェブサイトが読み込まれGoogle オプティマイズのコンテナが読み込まれるまでの間にページフリッカーと呼ばれるページのロード時に一瞬だけオリジナルパターンが表示された後、テストパターンに切り替わる現象が発生することがあります。
ページ フリッカーのリスクを軽減する方法として、オプティマイズのコンテナの読み込み中に一時的にページを非表示にする、「ページを非表示にするスニペットタグ」が提供されています。
設置は必須ではありません。
<HTML>
<HEAD>
<!– Page hiding snippet (recommended) →
<style>.async-hide { opacity: 0 !important} </style>
<script>(function(a,s,y,n,c,h,i,d,e){s.className+=’ ‘+y;h.start=1*new Date;
h.end=i=function(){s.className=s.className.replace(RegExp(‘ ?’+y),”)};
(a[n]=a[n]||[]).hide=h;setTimeout(function(){i();h.end=null},c);h.timeout=c;
})(window,document.documentElement,’async-hide’,’dataLayer’,4000,
{‘GTM-XXXXXX’:true});</script>
※「GTM-XXXXX」には、Google オプティマイズのコンテナIDを入力。(Google タグマネージャーを利用する場合、ページを非表示にするスニペットタグで指定する「GTM-XXXXX」にはGoogle タグマネージャーのコンテナIDを入力)
オリジナルページのチラつきが気になるようであればせっかくのテストの数字にも影響してきます。
ページを非表示にすることも、ユーザー体験としては影響がないとは言えないため、どちらがよいかの判断は難しいですが、まずはひとりのユーザーとしてアクセスしてみてより違和感のない方を選択するのがよいでしょう。
詳しくはこちらをご参照下さい。
参考:ページを非表示にするスニペットを設定する – Optimize ヘルプ
Google オプティマイズをインストールする
Google オプティマイズの導入は、グローバルサイトタグ(gtag.js)かGoogle タグマネージャーを使った2種類の方法があります。
グローバルサイトタグ(gtag.js)の場合
<!– Global Site Tag (gtag.js) – Google Analytics →
<script async src=”https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=GA_TRACKING_ID”></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments)};
gtag(‘js’, new Date());
gtag(‘config’, ‘GA_TRACKING_ID’);
</script>
上記の8行目を以下のように、オプティマイズのコンテナ情報を追加しカスタマイズします。
gtag(‘config’, ‘GA_TRACKING_ID’, { ‘optimize_id’: ‘OPT_CONTAINER_ID’});
こちらをグローバルサイトタグに組み込み、ページを非表示にするスニペットとともに以下のようなかたちで導入します。
※ページへの直貼の例
※「OPT_CONTAINER_ID」「GTM-XXXXX」にはGoogle オプティマイズのコンテナIDを入力
※「GA_TRACKING_ID」にはGoogle アナリティクスのトラッキングIDを入力
参考:Deploy Optimize using gtag.js – Optimize ヘルプ
Google タグマネージャーの場合
Google タグマネージャーを開きタグの設定を選択するとGoogle オプティマイズを導入するためのタグがおすすめ欄に用意されています。
タグの新規作成から、①タグの種類に「Google Optimize」を選択、②オプティマイズコンテナIDを入力、Google アナリティクス設定で変数を選択、トリガーは設定せずに保存します。
その後、Google アナリティクスのタグを開き、タグの順序付けを設定します。
①タグ呼び出しオプションを「1ページにつき1度」に設定、②「Google アナリティクスのタグ」が発行する前にタグを配信を選択、③設定タグに先ほど設定した「Googleオプティマイズ」のタグを設定して完了です。
なお、タグを読み込ませる順序はGoogleにより以下が推奨されています。
- テストで使用するすべてのJavaScript(例:jQuery)。
- ターゲティングに必要な変数(データレイヤー、JavaScript、Cookieなど)の初期化
- ページを非表示にするスニペットタグ
- オプティマイズプラグインを使用して変更されたGoogleアナリティクスのトラッキングコード
- タグマネージャのコンテナスニペット
- その他のJavaScript、トラッカー、広告タグ
オプティマイズのインストール確認
タグの実装が完了しましたら、Googleオプティマイズの管理画面で正しくインストールされているか確認しましょう。
インストールの確認を進めると、「Chrome 拡張機能のGoogle オプティマイズをダウンロード」が表示されるのでインストールを進めましょう。
その後、エディタページに遷移して結果が表示されます。
もし、問題が検出された場合には、診断メッセージが表示されます。こちらを確認し、オプティマイズの適切な設定を目指しましょう。
参考:Installation diagnostics – Optimize ヘルプ
Google オプティマイズのテストの設定方法
初期設定は完了したので、ここからはいよいよテストの作成です。
開始するまでには4つのステップがあり、下記の順で進めていきます。
- パターンを追加
- ビジュアルエディタを用いたパターンの編集
- ターゲティング設定
- 目標設定
パターンを追加
「パターンを追加」をクリックし、パターンの名前を入力しましょう。ここではテストする内容を分かりやすくするため、「CTAボタンを緑色に変更」で設定を進めます。
また、パターンは3つ以上のパターンを追加することも可能です。
パターンを作成すると上記のように表示されます。
「編集」をクリックしてビジュアルエディタを用いたパターンの編集を進めていきます。
ビジュアルエディタを用いたパターンの編集
ウェブサイトの要素を変更する場合は、「CTAボタンを緑色に変更」の部分をクリックすると、ビジュアルエディタが表示されます。
ビジュアルエディタは3つの構成要素から成り立ち、以下の通りです。
- ①アプリバー
- ②現在の選択
- ③エディタパレット
例えば今回のテストはCTAボタンの色を変更して優劣を測る為、編集したい要素をクリックします。
クリックすると青枠で要素が囲まれた状態になります。
編集したい要素が囲まれたらエディタパレットでCTAボタンの背景を緑色に変更します。
背景の①の要素をクリックすると、設定されているカラーのRGBもしくはHSLが表示されます。
②のエディタパレットでは各カラーのつまみで色を変更することが出来ます。また、「rgb(210,146,2)」をクリックすると配色の割合をテキスト入力で自由に設定することも可能です。
アプリバーやエディタパレットは多くの機能を備えているので、詳しくは下記をご参照ください。
今回の例では、以下のようなパターンを作成しました。
今回のテストの目的は、CTAボタンのカラーを変更しCTRを向上させる目的で作成しています。パターンの設定はこれで以上です。
ターゲット設定
ターゲット設定では、テストの対象となるユーザーや、特定の条件に応じてテストパターンを設定することができます。
ページターゲティング
テスト対象となるページのURLを条件として設定します。
URLの条件では、特定のページやパスを正規表現で指定することで特定のページ郡をテストの対象とすることができます。
オーディエンスターゲティング
特定の地域のユーザーにだけ配信することや、スマートフォンを使用したユーザーに限定してテストの対象と指定することが出来ます。
ルールタイプ | 説明 |
---|---|
Google アナリティクスのユーザー | Googleアナリティクスのユーザーリストをターゲティングできる ※オプティマイズ360のみ利用可能 |
Google 広告 | キャンペーン、広告グループ、キーワードをターゲティングできる |
UTM パラメータ | UTMパラメータに基づいてユーザーをターゲティングできる |
デバイス カテゴリ | モバイル・タブレット・PCを仕様しているユーザーをターゲティングできる |
行動 | 新規訪問ユーザーや指定したウェブサイトから流入ユーザーをターゲティングできる |
地域 | 特定の地域からアクセスするユーザーをターゲティングできる |
テクノロジー | ブラウザ・OS・端末情報をターゲティングできる |
クエリパラメータ | パラメータやサイト内検索のキーワードに基づいてターゲティングできる |
データレイヤー変数 | JavaScript変数から取得したデータを保存し、そこからの情報でターゲティングできる |
JavaScript 変数 | ウェブページで必要な情報がJavaScriptでないと取得できない場合にターゲティングできる |
ファーストパーティのCookie | ユーザーのウェブサイトへのログイン有無でターゲティングできる |
カスタム JavaScript | URLやデータレイヤー、JavaScript変数、他のターゲティングから取得できないウェブページの情報に基づいてターゲティングできる |
例えば、JavaScript変数はECサイトのように、商品によって動的に値が変わる場合に有効なターゲティング方法です。
前提として送料無料になる金額が最低5,000円の場合、カートの金額が3,000~4,000円のユーザーをターゲットに指定し、カートページや決済ページで送料無料の金額を満たすように購入を促すテストができます。
ターゲット設定次第では様々なケースでテストが可能です。
目標のタイプ
Googleオプティマイズでは、Googleアナリティクスの目標・システム・カスタムの3つのタイプの目標があります。
Googleアナリティクスの目標は連携したビューの目標から選択することが可能です。システムでは一般的に使用される目標が利用でき、カスタムではGoogleオプティマイズ内で直接目標を作成することが出来ます。
Google オプティマイズでサポートされているシステム・カスタム目標の概要
目標 | タイプ | 説明 |
---|---|---|
ページビュー数 | システム | 閲覧されたページの合計数。同じページが繰り返し表示された場合も集計 |
セッション継続時間 | システム | セッションの長さ(秒数)。活動が行われている間はセッションが継続 |
直帰数 | システム | 訪問ユーザーが 1 ページだけ閲覧して、すぐに離脱した回数 |
トランザクション数 | システム | サイトで行われた合計購入数 |
収益 | システム | ウェブ e コマースまたはアプリ内トランザクションによる総収益。設定によっては、税金と配送料も含まれる |
AdSense のインプレッション数 | システム | ウェブサイトで広告が表示されるたびに、その広告の数が AdSense 広告表示回数としてカウント。たとえば、2 つの広告ユニットを含むページが 1 回表示された場合、インプレッション数は「2」となる |
クリックされた AdSense 広告 | システム | AdSense 広告がサイトでクリックされた回数 |
AdSense 収益 | システム | AdSense 広告で得られた合計推定収益額 |
イベント目標 | カスタム | ページ数とは別にイベントアクションやラベル等のトラッキングされたコンテンツでのインタラクション数 |
ページビュー目標 | カスタム | 特定のウェブページのページビュー数 |
※参考:オプティマイズの目標の紹介
カスタム目標の設定について
カスタム目標では、Google アナリティクスの目標やシステム目標では取得出来ない指標を設定するのに適しています。
カスタム目標では「イベント」や「ページビュー数」から目標タイプを選択することができ、「イベント」ではユーザーの操作に合わせて指標をトラッキングすることが可能です。
Google アナリティクスの目標設定スロットはビュー単位で20個までしか設定出来ませんが、カスタム目標を使用することでスロットの空きを気にせずテストすることが出来るようになりました。
詳しくは以下をご覧頂き、ウェブサイトに合った目標を設定しましょう。
参照:オプティマイズの目標紹介
ページを追加(ベータ版) ※2022年4月現在
複数のページに渡って、指定したテストを作成することができます。
例えば、購買に至るまでのフローがLP→フォーム→注文確認ページ→注文完了ページとまたがる場合でも、それぞれのページにテストを設定することができ、ページごとに位置や内容を自由に編集することができます。
こちらは2022年4月現在ベータ版の機能となるため、詳しくはこちらをご覧ください。
マルチページ エクスペリエンスの概要
https://support.google.com/optimize/answer/9191670
アクティベーション イベント
Google オプティマイズでは、ウェブページの読み込み時にコンテンツを変更しますが、動的なウェブサイトやSPA(シングルページアプリケーション)では、読み込み後にも追加でコンテンツが読み込まれます。このようなサイトではアクティベーション イベントを変更することで対応ができます。
アクティベーション イベント | 説明 |
---|---|
ページの読み込み時 | デフォルトで設定されており、静的なウェブサイトで利用する |
継続的 | 対象内容に一致するすべての新しい要素に対し、変更が適用される |
カスタムイベント時 | データレイヤーイベントごとに1回限り実行されるカスタムイベント |
ウェブサイトによって対応が異なるため、詳しくは下記をご覧ください。
Activation events - Optimize Resource Hub
テストをスタートする
以上で、テストが開始できる状態となりました。
右上の「開始」をクリックすることでスタートできます。なお、テストを一旦終了してしまうと、あとから同じテストを再開することはできません。
十分に成果を確認してテストの継続有無を判断しましょう。
テストの結果を確認するレポートの見方や改善方法
Googleオプティマイズでは、実施中のテストや終了したテストの結果を、目標に対する各パターンのパフォーマンスを確認することができます。
レポートは3つの構成に分かれており、上から順にそれぞれの見方を解説していきます。
①概要ヘッダー
概要ヘッダーには、テストに関する状況を示すステータスメッセージが表示されます。表示されるメッセージは以下の通りです。
ステータスメッセージ | 説明 |
---|---|
データを待っています | アナリティクスから提供されたデータの処理がまだ完了していない場合に表示される |
テスト セッションがありません | テスト セッションが受信されていない場合に表示される |
テスト セッションが不十分です | すべてのパターンを分析できるだけの十分なデータが集まっていない場合に表示される |
テストを続けてください | 開始して2 週間以上経過していないか、データ量が不十分な場合に表示される |
リーダーが見つかりませんでした | データが十分に収集され、リーダーは存在しない場合に表示される |
少なくとも 1 つのパターンがオリジナルよりも優れています | オリジナルを上回るパターンが 1 つ以上見つかっているものの、最善のパターンを特定するにはデータが不足している場合に表示される |
オリジナルがリーダーです | オリジナルより優れたパターンが見つからなかった場合に表示される |
1 つ以上のリーダーが見つかりました | データが十分に収集され、1 つ以上のパターンがオリジナルよりも優れているとの結論が導き出されると表示される |
「パターン」がリーダーです | データが十分に収集され、1 つのパターンのみがオリジナルよりも優れているとの結論が導き出されると表示される |
②目標カード
目標カードでは、テスト開始時に指定した目標に対する各パターンの状況が表示されます。目標カードには「実測データ」と「オプティマイズ分析」という2タイプのデータが表示されます。
③実測データ
Google アナリティクスのプロパティから取得したデータを表示します。こちらのデータは画面右上のタイムスタンプの時点でのデータが表示されます。
項目 | 説明 |
---|---|
ウェブテストセッション | テスト用ページの表示回数 |
テストのコンバージョン | コンバージョンに至ったセッションの数 |
コンバージョン率(計算済み) | テストのコンバージョン ÷ ウェブテストセッション を%で表示 |
④オプティマイズ分析
Googleオプティマイズによる分析データが表示されます。オリジナルと比較した各パターンの状況など、ベイズ推定を使用して数値を生成しています。
計算が複雑で高い処理能力が必要なため、Googleオプティマイズ上で自動で計算して表示されるのは非常に便利な機能ですね。
項目 | 説明 |
---|---|
最適である確率 | 総合的に見てそのパターンが最良である確率 |
オリジナルを上回る確率 | あるパターンのコンバージョン率がオリジナル パターンのコンバージョン率を上回る確率 |
コンバージョン率(推定) | (目標(コンバージョン)ページへの訪問数) ÷ (オリジナル ページへの訪問数)で算出 |
改善率(推定) | 選択した目標についての、パターンとベースラインにおけるコンバージョン率(目標を達成した割合)の差 |
⑤コンバージョン率(推定)のグラフ
オプティマイズ分析のコンバージョン率(推定)をパターンごとに時系列のグラフとして表示します。グラフのデータは目標カードのチェックボックスを選択しているパターンが表示され、パターンごとにグラフを表示させることも可能です。
グレーの点線・ブルーの実線は各パターンの中央値を示しており、線の色付きの部分は、95% の確率でそのパターンのコンバージョン率が変動する範囲を示しています。
テストの開始時には、各パターンの成果に対するデータ量が少なく、変動の幅(色付きの部分の高さ)は大きくなり、データが蓄積されるにつれ、変動の幅は小さくなるため、パターン同士を正確に比較できるようになります。
例えば上記の場合は、「price without zero」と「Green sale price」のパターンがオリジナルを上回る結果です。この結果から「price without zero」と「Green sale price」を組み合わせることで、更なる効果を見込めると仮説を立てることで、次のアクションに移すことも出来るでしょう。
A/Bテストを成功させるためのステップ
A/Bテストを成功させるためには実施する前の設計が重要です。
具体的な目的と仮説を立ててから実施する場合と、何も考えず実施する場合では前者の方が意義はありますよね。その後のグロースハックに繋がるのはもちろん、自分の立てた仮説とユーザーの行動のギャップを埋めることが出来るでしょう。
何らかの学びに繋がらないA/Bテストは無意味ですので、しっかりと意義のあるテストにするために以下のステップを参考に設計を進めましょう。
- 目的を明確に決める
- データから問題点を見つける
- 仮説を立てる
- A/Bテストを実施する
1.目的を明確に決める
テストを実施する前には必ず目的を立てると思いますが、漠然とした目的になっているケースはありませんか?
例えば「売上を増加させる」というような、手段が明確になっていないテストは注意が必要です。なぜなら、売上を増加させる方法は「CVRを向上させて売上を上げる」・「1人当たりの平均購入金額を増加させる」などさまざまな方法があるからです。
これらのゴールは「売上を上げる」と同じですが、アクションは変わります。
このように手段を明確にすることで、取るべきアクションの施策やボトルネックとなっている箇所の分析をスムーズに実行することが出来るでしょう。
2.データから問題点を見つける
目的を明確に決めたら、ボトルネックとなっている問題点を見つけましょう。
目的が「CVRを向上させて売上を上げる」であれば、コンバージョンまでの経路にどのような障壁があるのか確認しましょう。
考えられる問題点として「LPから申込フォームへ繋がるCTAボタンが分かりづらい」・「申込フォームで離脱している」などがありますので、Google アナリティクスを活用してコンバージョンまでのデータを可視化しましょう。
良くあるケースとしては、LP→申込フォーム→購入ページという経路で、申込フォーム→購入の離脱率が高いということがあります。このような場合は申込フォームの改善を行うことでCVRの改善が見込めますよね。
何からはじめればよいか検討がつかない場合は、Googleが用意しているテストのサンプルを眺めてみるのもオススメです。
3.仮説を立てる
問題点を見つけたら、仮説を立てましょう。
今回のケースであれば、申込フォームを自身で入力して体験するのも改善のヒントに繋がるでしょう。「決済方法がクレジットカートのみの対応」「入力フォームの項目が多い」「購入のみなのに、自動的に会員登録される」など、どのような課題があり、どのように解決するかの仮説を立てましょう。
4.A/Bテストを実施する
仮説を立てたら、インパクトのありそうな施策からテストを行いましょう。
テストを行う注意点としては、比較条件を合わせるということです。例えば、購入履歴のあるユーザーとサイト未訪問ユーザー、スマートフォンとパソコン、流入元の媒体などCVRに差があると考えられます。
これらのノイズはA/Bテストの悪影響となりますので、対象となるユーザーの条件を公平にすることで、信頼性の高い結果が出ることでしょう。
Googleオプティマイズがオーガニック検索に与える影響
Google オプティマイズのテストでは、適切に利用すれば検索順位に影響することはありません。
ただし、テストを利用してクローキング(検索エンジンからの評価を高めるために細工を行い、検索エンジンとユーザーに異なるコンテンツを出し分けること)などをすると、サイトに対して検索エンジンによる評価が下がる可能性があります。禁止事項については以下をご参照ください。
まとめ
Googleオプティマイズの活用方法を理解し、ABテストを実施しながら成果の改善が行えれば、運用型広告運用者として大きな武器になるのではないでしょうか。
ただし、ABテストはステップを間違えると期待するような成果を得るのは難しく、意味のないものになりかねません。Googleオプティマイズでテストを始める前には、ご紹介した適切なステップを踏んでテストを行うのがオススメです。