「最近、Amazonをみていると動画広告がよく流れるようになったな」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは「Amazonスポンサーブランド動画広告」という、Amazonスポンサーブランド広告の一種かもしれません。
スポンサーブランド広告は、Amazon広告の中でも特に「ブランドの認知度やロイヤリティを高める」という目的に適した広告フォーマットです。
なかでも今回紹介するスポンサーブランド動画広告は、動画と音声を活用することで、商品の魅力をより分かりやすく効果的に伝えることができます。
この記事では、スポンサーブランド動画広告の特徴から設定方法、効果的な動画クリエイティブを作るためのポイントなどについて解説していきます。
目次
スポンサーブランド動画広告とは
スポンサーブランド動画広告は、Amazon広告のセルフサービスソリューションのひとつであるスポンサーブランド広告の一種です。6〜45秒の動画クリエイティブと、1点の商品の詳細情報という構成で表示されます。
また、Amazon広告にはAmazon DSPで配信できる動画広告メニューもありますが、今回ご紹介する「スポンサーブランド動画広告」とは全く別ものなのでご注意ください。
広告の掲載場所とリンク先
スポンサーブランド動画広告は、Amazonの検索結果画面に掲載されます。ユーザーが動画か商品表示をクリックすると、広告グループ作成時に設定したリンク先(Amazonストアまたは商品詳細ページ)に遷移する仕様です。
スポンサーブランド動画広告のメリット
スポンサーブランド動画広告のメリットは大きく2つです。
1.動画と音声を使った訴求ができ、ユーザーの興味を引きやすい
動画と音声を使ったクリエイティブによって、静止画像よりも情報量が多く、ユーザーの目も止まりやすい広告訴求が可能です。
また、クリエイティブ作成が不要なスポンサープロダクト広告やスポンサーディスプレイ広告と違い、広告主自身で作成した動画をクリエイティブとして利用できるため、クリエイティブの内容次第で広告効果の拡大もしやすいと言えます。
動画のストーリーや訴求、映像やテキストなどによって、より具体的に商品の魅力を伝えることができ、ユーザーの興味を引きやすい広告を配信できることは非常に大きなメリットです。
2. ユーザーがすぐに商品を購入しやすい広告フォーマット
スポンサーブランド動画広告は動画コンテンツだけで完結しておらず、広告対象の商品も合わせて表示されます。そのため、動画で見た商品に興味を持ったユーザーがすぐに詳細ページやAmazonストアへ移動でき、購入や欲しいものリストへの追加などの具体的なアクションを起こしやすい広告フォーマットです。
広告に以下の商品詳細情報を表示することができます。
- 商品の写真
- タイトル
- レビューの星数
- 価格
- プライム利用資格
掲載できる動画の要件
掲載できる動画の要件は以下の通りです。
動画再生時間 | 6~45秒(15~30秒が推奨) |
---|---|
動画サイズ | 以下のいずれか・1920×1080ピクセル・1280×720ピクセル・3840×2160ピクセル |
ファイルサイズ | 500MB未満 |
ファイル形式 | .MP4または.MOV |
アスペクト比 | 16:09 |
動画コーデック | H.264またはH.265 |
動画のプロファイル | メインまたはベースライン |
フレーム率 | 以下のいずれか・23.976fps・24fps・25fps・29.97fps・29.98fps・30fps |
動画のビットレート | 最小1Mbps |
動画スキャンの種類 | プログレッシブ |
音声コーデック | 以下のいずれか・PCM・AAC・MP3 |
音声形式 | ステレオまたはモノラル |
音声のビットレート | 最小96kbps |
音声のサンプルレート | 最小44.1khz |
スポンサーブランド動画広告の設定方法
それでは、スポンサーブランド動画広告の設定方法をみていきましょう。
1.ブランド登録
※すでにスポンサーブランド広告を配信している場合は、この設定はスキップ可能です。
スポンサーブランド広告を配信するためには、まず自社のブランドをAmazonに登録しなければいけません。ブランド登録するためには商標登録をしている必要があります。この条件を満たしている事業者は、以下のページからブランド登録の手続きを行うことができます。
2.キャンペーン作成
スポンサー広告のキャンペーン管理画面で「キャンペーンを作成する」をクリックし、次の画面で「スポンサーブランド広告」を選択します。
「キャンペーン名」「開始日」「予算」を入力し、自動入札の利用の有無を設定します。
3.広告グループ作成
広告グループを作成します。「広告グループ名」を入力し、「広告フォーマット」と「ランディングページ」(「Amazon内のストア(サブページを含む)」か「商品詳細ページ」のいずれか)を指定します。
ランディングページに「Amazon内のストア」を選択した場合は、ターゲティングを設定します。
※ランディングページで「商品詳細ページ」を選択した場合は、広告に表示する商品を1点選択し「追加」をクリックしてからターゲティング設定を行います。
4.広告作成
広告を作成します。以下の必要事項をすべて設定し、⑦「審査に申請」をクリックで設定完了です。
※リンク先が商品詳細ページの場合は、広告名と動画を追加するだけで広告の作成が完了します。
スポンサーブランド広告・動画広告のクリエイティブで設定する内容(リンク先がAmazonストアの場合)
- 広告名
- ブランド名
- 30文字以内でブランド名を入力します。
- ロゴ画像
- 以下の条件を満たしたロゴ画像を追加します。
- 画像サイズ: 400×400ピクセル以上
- ファイルサイズ: 1MB以下
- ファイル形式 PNGまたはJPG
- コンテンツ: ロゴは、画像全体を占めているか、白または透明の背景を使用している必要があります
- 以下の条件を満たしたロゴ画像を追加します。
- 見出し
- 35文字以内で広告の見出しを入力します。
- 動画
- 商品
※「動画をアップロード」をクリックすると、動画のアップロード画面が表示されます。ファイルサイズやビットレートなど、動画と音声の仕様が掲載できる動画の要件を満たしていない場合、この段階でエラーが出て審査を申請できませんので注意しましょう。
広告作成後に動画クリエイティブを変更したい場合
動画の変更は、広告画面の「クリエイティブを管理する」から行えます。手順は次のとおりです。
1.広告画面を開き、「クリエイティブを管理する」をクリックします。
2.「クリエイティブを編集」をクリックします。
3.「動画の変更」をクリックします。
4.「新しい動画をアップロード」をクリックして新しい動画をアップロードします。アップロードが完了したら「審査に提出する」をクリックで設定完了です。
審査落ちの理由になりやすいポイント
Amazonスポンサーブランド動画広告は掲載前に審査があり、内容によっては審査落ちで掲載できない場合があります。
審査落ちの理由になりやすいポイントは大きく以下の4つです。
1. 動画の最初や最後に、画面が真っ黒・真っ白になる部分がある
画像やテキストが何もない画面があるとユーザーへ働きかける機会を逃すとして、禁止されています。
2. Amazonの商標、Amazon商品、サービス、カスタマーレビューへの言及が含まれる
「Amazonで1位」「Amazonで星4.2」「Prime会員なら送料無料」などの表現を広告動画内で使用することはできません。
3. ミュート解除ボタンと被る右下の位置にテキストが配置されている
セーフエリアテンプレートをダウンロードすると、テキストを配置してもいい位置を正確に把握できます。無音動画の場合は考慮する必要はありません。
4. 動画のいずれかの端に黒い帯が配置されている
いわゆるレターボックス・ピラーボックスと言われるものです。使用すると映画風のクリエイティブになりますが、禁止されています。
承認ポリシーの詳細は以下のページで確認できます。
スポンサーブランド動画広告の活用ポイント
広告動画をより効果的な内容にするためのポイントと注意点を紹介します。
動画制作のポイント
もっとも重要なのが、どんな動画を広告に利用するかという点です。
無音でも広告として成立する動画にする
動画内ではテキストを活用し、無音でも広告として成立する内容にしましょう。動画広告はデフォルトではミュート状態で、動画の右下にあるミュート解除ボタンをユーザーがタップすると音声が聞こえるようになっているためです。商品の説明はナレーションだけではなく、必ずテキストでも表示しましょう。
最初の数秒でユーザーの興味を引くような内容にする
動画広告はできるだけ短い時間(最初の数秒)でユーザーの興味を引けるかどうかが重要になります。最後まで視聴してもらえるとは限らないからです。ユーザーが広告を見た瞬間に商品に興味を持ってもらえるよう、例えば広告商品の画像からスタートするとよいでしょう。
15-30秒程度で簡潔にまとめる
Amazon広告の公式ヘルプでは、広告動画を15〜30秒以内にすることを強く推奨しています。これも前の項目と同様、できるだけ短い時間でユーザーに興味を持ってもらえるような動画にするためです。
ちなみに45秒以上もしくは6秒以下の動画だと、掲載できる動画の要件を満たしていないためアップロード自体ができません。
広告動画は自動的にループ再生されることを前提に制作する
広告動画は自動的にループ再生されます。そのため、動画の最後は背景とロゴだけの静止画面にするなど、終わりがどこか分かりやすい作りにするとユーザーにより親切です。
テキストは読みやすいサイズと色に
動画中のフォントは、モバイルから見ても読みやすいよう大きめのサイズにしましょう。Amazon広告の公式ヘルプの推奨は以下の通りです。
- フォントサイズ:60ポイント以上(最低は26ポイント。これを下回ると審査落ちの原因になります)
- フォントの色:視認性の高いもの(不透明度80%に設定した黒い長方形の上に白でテキストを表示するなど)
- フォントの種類:HelveticaまたはSan-Serif
いずれも媒体を問わず、動画広告を利用する際には押さえておきたいポイントですね。とくに重要な動画の構成について、基本のフレームワークをまとめた以下の記事もチェックしてみてください。
キャンペーン設定のポイント
リンク先は目的に応じて使い分ける
以前は動画広告のリンク先は広告掲載商品の商品詳細ページのみでしたが、2022年10月からはAmazonストアページもリンク先に指定できるようになりました。
参考:スポンサーブランド動画広告クリエイティブでストアにトラフィックを誘導する | Amazon Ads
動画広告の目的によってリンク先を使い分けられるようになったのは大きな変化です。例えば、動画広告によって特定の商品の売上を伸ばしたい場合はその商品の詳細ページを、ブランド自体の認知度を高めたい場合はAmazonストアをリンク先にするなど、選択肢が増えたことはうれしいですね。
リンク先は、広告画面の「ランディングページ」で選択できます。
Amazonストア内にページが複数ある(サブページがある)場合は、「ページを選択」より選べます。
商品詳細ページとAmazonストア内ページの違い
それぞれの違いや特徴、使い分け方法を解説します。
画像引用元:Amazonの「ネスレ スターバックス オリガミ」のページをキャプチャしてアナグラムで加工
商品詳細ページは、特定の商品に関する説明や画像、「カートに入れる」ボタンなどが記載されたページです。1商品についての詳しい説明が記載されたページのため、特定の商品の露出機会を増やして売上を高めたい場合に適しています。
Amazonストアは、いわゆるAmazon内に作れるホームページです。商品詳細ページよりもカスタマイズ性が高く、様々なレイアウトでブランドや商品を紹介できます。出品者(お店)自体について知ってもらい、ブランドの認知度を高めたいときなどに適しています。
スポンサーブランド動画広告の効果計測方法
広告キャンペーンレポートでは、広告動画のエンゲージメント指標として以下を確認することができます。
- ビューアブルインプレッション数
- 視聴完了率 (VTR)
- 視聴のクリック率 (vCTR)
- ビデオを4分の1視聴
- ビデオを半分視聴
- ビデオを4分の3視聴
- ビデオの視聴完了
- ビデオミュート解除
- 5秒視聴
- 5秒視聴率
このような指標で動画のエンゲージメントを細かく分析できることにより、次のようなメリットがあります。
クリック数やROAS以外でも広告の評価ができる
例えば、認知獲得が目的で動画広告を配信する場合は、視聴完了率や5秒視聴率などの数値を元に広告成果を評価することができます。
どんなクリエイティブがより効果的なのか分析しやすくなる
これらの指標はキャンペーンごと(=動画クリエイティブごと)に確認できるため、どんなクリエイティブだと視聴完了率が高くなるのかなども分析しやすくなります。それを元にクリエイティブの改善を続けていくことで、ユーザーエンゲージメントの向上や広告パフォーマンスの向上にもつながるでしょう。
最後に
Amazonに出品する多くのEC事業者にとって、Amazon広告は今や非常に重要な販促手段です。最近では販促にとどまらず、認知獲得の手段としても重要性を増しています。
スポンサープロダクト広告など、Amazonのセルフサービスソリューションの広告メニューはほとんどが静止画像で構成されているため、動画広告は単純に目を引きやすいというメリットがあります。
それ以上に、動画という情報量の多いクリエイティブを通して、商品の機能や活用方法までユーザーに伝えることができ、購入や認知に繋げることが可能なのがスポンサーブランド動画広告の魅力です。特に買いたいものがなく何となくAmazonを眺めているだけのユーザーや、他の商品を検討しているユーザーにもアプローチしやすい広告メニューだと言えます。
動画クリエイティブを広告主側で作成するという手間はかかるものの、基本的にはスポンサーブランド広告と同じ要領で利用できるのもうれしいポイントですね。