ダイナミック広告を配信したいけど、タグ・フィードの設計で迷ってしまったことはないでしょうか。
特にアパレル系ECサイトでは、商品データとして型番とSKUの二つを持っていることが多く、どっちを使ったらいいのかな?と混乱することがあるかもしれません。
この記事では、ダイナミック広告のタグ・フィード設計で、どのように商品IDを指定すればよいかを解説します。
※SKUとはStock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略で、小売りや物流の現場における在庫管理上の「最小の管理単位」を意味します。たとえば、Tシャツで色のバリエーションが2パターン、サイズがS/M/Lの3パターンある場合、2×3で6 SKUとなります。
目次
フィードとタグの設計ってどうすればいいの?
Criteoなど、データフィードを用いたダイナミック広告を配信するとき、重要なのがフィードとタグの設計です。
ダイナミック広告は、媒体の配信エンジンによる自動最適化がうまく働くかどうかが成功のカギになります。
自動最適化のための元データとなるのは、商品データの入ったフィードと、Webサイト上のユーザー行動を計測するタグです。
設計上特に大事なのは、「フィードとタグのIDがマッチしていること」です。
フィードとタグのIDは一致させる必要がある
ダイナミック広告には、Webサイト上でユーザーが閲覧した商品をリターゲティング配信したり、ユーザーが閲覧した商品と似た商品をレコメンドする機能があります。
具体的には、Webサイト上でユーザーが何らかの行動をしたときに、訪問先のページでタグが実行され、媒体にユーザー行動の内容を伝えます。
たとえば、Aという商品の商品詳細ページを閲覧した場合、「商品詳細ページを閲覧した」という「イベント情報」と、「Aという商品を閲覧した」という「商品情報」を伝えます。その際、「商品情報」は、商品IDとして伝えます。
ユーザーに対して広告を配信する際は、この、タグで伝えられた商品IDと一致する商品をフィードから探して表示します。レコメンドの場合も、商品IDをもとに、その商品が属するカテゴリなどで判断して表示する商品が決定されます。
たとえば、タグで取得した商品IDがSKU単位だったのに、フィードのIDが型番単位だとすると、フィード上には当てはまる商品がない、と判定されてしまいます。
このような仕組みのため、タグで取得する商品IDと、フィードに設定する商品IDは、マッチするように同じ体系のものを使う必要があるのです。
カートページ以降でしかSKUが決まらない、じゃあフィードは型番単位で作るしかないの?
アパレル系サイトはほとんどの場合、商品マスタに型番(品番)とSKUを持っていると思います。
一方、Webサイト側の構成としては、検索結果一覧、カテゴリページ、商品詳細までは型番の情報しかなく、カート以降は型番とSKUの情報を持っている、という作りになっていることが多いと思います。商品詳細ページで色やサイズを選んでカートに入れるので、その手前まではSKUが決定されていないということですね。
前項までの説明で、タグとフィードで商品IDの体系をそろえる必要があるとご説明しました。
では、検索結果一覧〜商品詳細までで取れるIDに合わせて、すべてのイベントで型番を商品IDとして取得し、フィードは型番単位で作るべきなのでしょうか?
せっかくSKU単位の商品データがあるのに、広告表示に色別の商品情報などが使用できないのはもったいないですよね。
実は、媒体によっては型番とSKUの両方を使用できる場合があります。
広告媒体によっては、商品ID(SKU)、商品グループID(型番)の両方を併用できるものがある
型番とSKUの併用とはどういうことでしょうか?
これは、フィードのユニークIDとしてはSKUを使用し、別のカラムで型番の情報を持たせるということです。
下記の例をご覧ください。
※フィード項目名は、実際には媒体によって異なります。こちらは一般化したものです。
表1では、SKU単位のフィードに、別カラムで型番の情報が含まれています。同じマスタデータを使っていても、型番単位のフィードを作る場合は、表2のように広告に使用できる商品データは減少してしまいます。
媒体によっては、表1のようなフィードを作れば、タグで取得するのがSKUか型番のどちらかであれば、どちらのIDに相当するのかを判別して、マッチさせてくれるものがあるのです。そのような媒体の場合は、カート手前までのページでは型番を、カートからCVページではSKUをタグで取得して、どちらもフィードとマッチさせることができます。
商品ID(SKU)、商品グループID(型番)の両方を併用するメリット
商品IDと商品グループIDの両方を併用する場合には次のようなメリットがあります。
広告のバリエーションが増える
先述の通り、SKU単位のフィードを作成することで、実際の広告表示もSKU単位の画像、商品情報を使うことができます。サイズや色などよりユーザーのニーズに合った広告表示ができます。
タグとフィードの一致率を高い状態に保つことができる
検索結果一覧など上の階層から、コンバージョンページまでのすべてのイベントで取得した商品IDをフィードと一致させることができるため、タグとフィードの一致率を高い状態に保つことができます。
タグとフィードの一致率が高いと、学習効率の改善につながります。
商品ID(SKU)、商品グループID(型番)の両方を併用できる広告媒体
Criteo、Facebook、Google(Googleショッピング、Googleダイナミックリマーケティング)では、型番とSKUを併用することができます。
一方で、RTB Houseなどは併用できないため、上記の媒体とは設計が変わります。
複数媒体での配信をご検討の場合は、各媒体の仕様を確認の上、それぞれ設計するようにしてください。
各イベントのタグで取得するIDは、FacebookとCriteoで推奨設定が異なる
Facebookは、媒体の公式見解として、カート以降のタグはSKUを取得するように推奨しています。
参考:ダイナミックオーディエンス|Meta for Developers
Criteoは、フィードに型番、SKUを入れる場合、タグで取得するIDはすべてのイベントについて型番でかまいません。カート以降がSKUでも、型番でも、学習やパフォーマンスには影響しません。
設計の具体例
では、具体的な設計はどのようにすればよいでしょうか。
まず、タグのイベントを設置する予定の各ページで、型番が取れるのかSKUが取れるのかを確認しましょう。
例:カート以降のページでSKUが決定される場合
検索結果一覧、カテゴリページ、商品詳細までは型番の情報しかなく、カート以降は型番とSKUの情報を持っている場合は、下記のような設計にするとよいでしょう。
フィード:
ユニークIDはSKUで作成し、商品グループIDに型番を入れる
※例)Facebookの場合(左は実際のマスタ項目名)
id:SKUを設定
item_group_id:型番を設定
タグ:
カート以前は型番、カート以降はSKUを取得する
まとめ
以上、タグとフィードのID設計について解説いたしました。
Criteo、Facebook、Googleでの配信をご検討の際には、型番とSKUの併用で、より最適化学習に使用できるデータ量が多くなるように設計するとよいでしょう。
一方で、媒体によるサポート範囲や推奨設定の違いがあるところがややこしいですよね。タグとフィードでどのようにデータが使われているかをいま一度確認し、適切に設計してパフォーマンスを高めていきましょう。