リスティング広告の運用において、血沸き肉躍るオモシロさを秘めたる一方で、現状の広告文よりも更に良い打ち出し方はどんなものだろうか?と、運用型広告運用者の皆様におかれましては日々、昨日の自分との闘っておられるだろう想像される、広告文。
競合と比較をしたり、違う言葉で言い換えてみたり、ガラッと口調を変えてみたり、思い切って逆立ちしてみたり…と、その時、その瞬間に最高の広告文を打ち出すためにありとあらゆる方法を試されているかと思います。“人間の想像力に限界は無い“とはいうものの、どんなに考えてもどうしてもクリティカルなアイデアに行き詰る。そんな瞬間もあることと思います。
今回は、そんな時にこそふと肩の力を抜きながら試してみていただきたい、“オフライン”の環境で取り組んでみて欲しいことをご紹介します。過去にご紹介したこちらの記事と合わせてご覧いただくと、より頭を柔らかくしていただけるかもしれません。
お店に行ってみよう
お店で実際に商品に触れてみることはもちろんですが、それ以上にチェックしたいポイントは、実際にお店に足を運んでいるお客さんについて。ターゲットとすべきなのはどんなお客さんなのか?を直感で感じることができます。百聞は一見に如かず、オンラインとオフラインそれぞれの環境から得ることができる情報を合わせることで、より明確な広告文に落とし込むことができるでしょう。
もし、担当する商品がお店では取り扱っていない、物理的に体験が難しいものである場合は、競合の商品やサービスを一度体験してみること良いかもしれません。
街中を眺めてみよう
By: m01229
広告業界では毎年インターネット広告費の伸びがフォーカスされがちな近年ですが、一方でオフラインの広告市場も未だに健在。新聞・雑誌・屋外広告や店頭POPなどのオフライン広告には、年間広告費全体の約50%にもあたる約3兆円規模の広告費が費やされています。
言い換えると、街中で見かける様々な広告とはいわば、オフライン広告のプロが作り上げた新鮮な広告クリエイティブの宝庫。街中でふと見上げた先に見える広告からは、新たな打ち出しの肝となるようなヒントを見つけることができるかもしれません。
また国内・世界問わず、様々なオフライン広告のクリエイティブ集なども参考にしたいところ(情報がまとまっているのはオンライン上になりますが)。“物理的に印象を与える”というオフラインのメリットを最大限に生かした広告クリエイティブは、オンラインにおいても参考になるものも多いです。
参考:広告・クリエイティブの事例データベース「AdGang」
ディスプレイ広告配信時、配信先プレースメントのサイトイメージに合わせたクリエイティブを制作するなど、オフライン広告から学べる要素は多くありそうですね。
参考:リスティング広告運用者がプレースメントに指定したくなるメディアとその探し方
ニッチな分野のテレビ番組を見てみよう
By: inakihuarte
(※オフライン=インターネットへの接続外と定義しています)
「話題の番組」という軸から一歩離れ、「◯◯業界 テレビ番組」という軸で番組を探してみると、日常の延長では出会うことのない、様々なジャンルのテレビ番組が制作されていることに気づきます。
各専門番組はマス向けの番組ではないからこそ、コアなユーザーに響くような内容で溢れていることも。例えば、一般的には全く知られていないキーワードであっても、エンジニアの間ではごく一般的に使われる言語名やコードであったり、健康状態を気にしている人ならではの栄養成分名であったりと、コアなユーザーだからこそ響く広告文のヒントがあるかもしれません。
また、テレビ放送をリアルタイムで見ることができた際には、実際の視聴者の反応も同時に追ってみたいところ。Twitterのタイムライン検索の併用をしたり、AbemaTVなどのネットテレビに備わっているコメント投稿・閲覧機能を利用して、テレビ視聴をしているユーザーが好む言葉の傾向なども広告文に活かせるかもしれません。
参考:センスだけに頼らない、ビジネスを加速させる広告文の5つの作り方とは?
新聞、雑誌を見てみよう
By: KellyB.
お店の待合室や美容院でのカット中など、“ご自由にどうぞ”の雑誌や新聞を見つけた時は大チャンス。思い切って普段は絶対に買わないようなジャンルのものを手に取ってみましょう。未だ知りえなかった、奥深い世界が広がっているかもしれません。
本編である雑誌のコンテンツにてその分野特有の言葉の並びや表現を吸収しつつ、広告ページに並ぶ広告文から、どんな企業が、どんな商品を、どんなユーザーに、どんな打ち出し方でアプローチをしているのか?などを参考にできますね。
知らない道を通ってみよう
By: Sonny Abesamis
ちょっとした時間に余裕があるとき、試してみたいこと。敢えて知らない道を歩くことで得られるメリットは二つあると思っていまして、一つは今まで知りえなかったお店や風景を知ることができる、つまり知識が増える可能性があること、もう一つは今まで自分が歩いていた道との比較ができるようになる、つまり経験が増えること。
今まではあたりまえと思って打ち出していた広告文でも、新たに他を知ることでまた違った良さ・訴求できるポイントが浮かび上がってくるかもしれません。
目の前の広告を疑ってみよう
By: Colin Kinner
電車での移動中、朝の散歩中、オフライン生活の中でまさに今、何かの広告が目の前に見える!そんな時は大チャンスです。
どんな広告であれその根本に共通する考え方は、「ある人」が「何か」を「誰か」に伝えようとして作られたもの。でも、それって完璧なのだろうか?もし自分が担当だとしたらどんな打ち出し方をするだろうか?同じものでも違った角度からのアプローチはできないだろうか?などなど、一見、完璧に見えるものこそふと視点やレイヤーを変えて眺めてみると、新たな打ち出し方が見えてくることがあります。もしオフラインで目にしたその広告文が一般的に高認知度の訴求であったとしたら、まずは正反対の訴求を考えてみたいものですね。
例えば「未経験でも高時給」という訴求が一般的な業界だとすると、「実際に稼げるのか?」「本当に稼ぐ人の特徴」など、高時給だからこそ何か裏があるのではないか?とユーザーが気になるポイントの訴求が刺さるかもしれません。
知らない業界を見てみよう
By: Tim Green
「自分の常識は、他人の非常識」という言葉があります。
自分にとっては取り上げるまでもない当たり前のことが、実は他人からしてみると「え!何それどういうこと!?」というような衝撃の事実であったりすることも。これは“人”の軸のみならず、“業界”という括りでみても往々にしてありえることだと感じています。「まかない付き」が当然の業界があれば、「ランチが無料」がメリットになる業界もありますし、「業務委託」が当然の業界では、「正社員待遇」がメリットになることも。
「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」by孫子とはまさに、ですね。
まとめ
「難しいことじゃないのに、何で今までこれに気付かなかったのだろう…」運用型広告の運用をしている中でそんなご経験をされるたことのある人は、決して少なくないのではないでしょうか。
僅かな思考のスイッチの切り替えだけであっても、目の前の世界の見え方はガラリと変わるもの。目の前の壁にはもちろんまっすぐに向き合いつつも、常にニュートラルな視点と立ち位置を忘れずにいたいと思う次第です。