センスだけに頼らない、ビジネスを加速させる広告文の5つの作り方とは?

リスティング広告の運用について、広告文について悩みを抱える方は多いのではないでしょうか?

  • 検索連動型広告とリマーケティングはそこそこ上手くいっているけれど、コンテンツターゲットなどサイト未訪問ユーザーを狙ったコンテンツ向け広告で上手くいったことがない
  • 商品名とUSPを並べた月並みな広告文しか思い浮かばない
  • 広告文のA/Bテストで次の広告文を考えるのが苦しい、楽しくない
  • たまに思い切って奇をてらった広告文をやってみても上手くいかない

「私には広告文のセンスが無いんじゃないか…」と思ってしまいたくなりますが、センスのせいではありません。筆者は、事前の調査と考え方がしっかりしていれば、成果を出せる広告文を作れると考えます。仮にあなたがセンスだけで成果を出せていたとすれば、今からご紹介する調査方法や考え方を取り入れられれば、広告文の打率が上がり鬼に金棒だと思います。今回は、センスだけに頼らない広告文の作り方を解説します。


さて、内容に移る前に確認です。広告文以外の部分がボトルネックになっているケースも多々あります。例えば、配信面、ユーザーの属性のターゲティング、そもそもその配信手法が向いていないビジネスだった…などです。こういった場合、広告文を素晴らしい水準まで磨いたのに費用対効果は見合わないこともありえます。心当たりのある場合は、まずは以下の記事をご参照いただければと思います。広告文以外のボトルネックについて分かりやすく解説しています。

参考:Google ディスプレイネットワークで初心者が陥りやすい4つの罠
参考:あなたのディスプレイ広告はなぜうまくいかないのか?
参考:ディスプレイ広告・ソーシャル広告で見込み顧客を集客!新規施策の広げ方・考え方のスベテ

全体像をつかんだうえで、広告文に注力していただければと思います。それでは行きましょう!

①顧客になりうる人と、ミスマッチになってしまう人とを明確にする

呼びかける対象をビジネスとしてWIN・WINの関係になれそうな人に絞ります。本記事では「潜在顧客」と呼ぶことにします。広告表示のターゲットになりうる人のうち、クリックされるとミスマッチになってしまう人を事前に洗い出しておきましょう。

  • 顧客になっても恩恵を受けられない人
  • 顧客になりうるが広告主の利益にはならない人(利益転換までの引き上げが困難など)

十分に考えて作りこまれたターゲティングであっても、ミスマッチになってしまう人にも配信がなされてしまうことがほとんどです。その場合、ミスマッチになってしまう人にはクリックされにくく、潜在顧客だけにクリックしてもらえるのが理想でしょう。つまり広告管理画面上のクリック率ではなく、あくまで潜在顧客に対するクリック率を意識して広告文を作るとうまく行きやすいと思います。広告管理画面上のクリック率にはミスマッチになる人も含まれているのです。

例えば、美容業界に特化した求人サイトで考えます。まだサイトを訪問したことのない人を狙ったディスプレイ広告で、サイトの会員登録をオファーするとしましょう。潜在顧客として設定したのは、現役の美容師です。その場合、広告文タイトルをこうするとどうでしょうか?

「駅から5分で人気の美容室を紹介」

これは良くないですよね。髪を切りたい美容室のお客さまにも向けた広告文になっています。ミスマッチが多く発生してしまい、コンバージョン率は低くなると考えられます。美容業界に特化した求人サイトで言うと、最低限「美容業界」と「求人」との2要素が表現されていないと、パフォーマンスの良い広告文を作るのはなかなか難しいでしょう。広告文はタイトルは15文字を2行、ディスクリプションは40文字(いずれも全角)と文字数に限りがあるので、ミニマルにまとめざるをえません。ただそれだけに、言葉足らずになりがちです。意図とは違う読まれ方をしないか、ミスマッチになる人にも多くクリックされないか、配信前に一度チェックをすることをおすすめします。

②顧客についてもっと知る、深く理解をする

打ち合わせで15分話し合っただけで顧客について分かった気になっていませんか?あなたの頭に思い浮かんでいる顧客像は以下のようなものではないでしょうか?

  • ステレオタイプ
  • 特定の何人かの友人
  • フィクションの世界観

こんな風に引きずられたバイアスだらけの、的外れなものだと思って間違いないです。的外れな世界観から作られた広告文は打率が低くなります。広告文を作ってコストを掛けてしまう前に、現にこの世界で生活している人が何を考えていて、それが何人ぐらいいるのか、あなたの世界観を実態に即したものに仕上げることが望ましいです。「データドリブン!まずは気軽にテスト!」というスタンスではなく、一発勝負だと思って考え抜きましょう。そうではないと学びは少ないですし、次の矢も明後日の方向にしか飛びません。

以下のような方法がおすすめです。商材によっても使える・使えないがありますが、どれかは活用できるものがあるはずです。

1.潜在顧客に近い人たちに実際に会ってみる(工数:多, 効果:大 )

  • 顧客に話を聞いてみる
  • 営業やコールセンターの方に顧客について話を聞いてみる
  • 潜在顧客にあたる友人・知人に話を聞いてみる

などですね。デスクの上で完結しませんが、まずは近い方のもとに足を運んで話を聞いてみることが大事だと思います。営業の方などから、顧客との電話の着信履歴・議事録など見させてもらうのも有効です。

2.主要なキーワードの検索結果画面1ページ目のコンテンツを参考にする(工数:少, 効果:大)
検索ユーザーのニーズに答えるようなまとまった情報が掲載されていることが多く、ユーザーのコンテキストをつかむのにヒントになります。ただし、ユーザーの検索意図以外にも様々な要因が加味されて検索結果の順位は決まるので、一概に参考にできるとは限らない点は注意が必要です。

3.Twitter検索(工数:少, 効果:大 )
色々な広告文案の要素・要素、例えば上記のウォーターサーバーの例で言うと「夜 哺乳瓶」などでTwitter検索をすることは、商材にもよりますが、コンテキストをつかむうえで極めて有効な場合が多いです。

  • どういう人が
  • どういう言葉づかいで
  • どのぐらいの頻度で

tweetがされているのか確認してみましょう。「頻度」が重要で、検索結果画面をマウスで1スクロールしただけで3カ月以上前にさかのぼってしまうようだと、ほとんどの方が気にしていないコンテキストだと言えます。逆に1日に何tweetもたくさんの方がその話がしていれば、多くの人にとってネックになっており、広告の訴求に据えて何かしらの反応が期待できます。TwitterはFacebook等のSNSと比べて匿名性が高く、かしこまらない言葉づかいで本音に近い内容が語られていることがあります。膨大な利用者数も魅力です。鍵付きアカウントを除けば誰でもtweetが見られてしまうので、手軽に多くの良質な調査のサンプルを集めることが可能です。

4.Twitter以外のSNSでも同様に検索してみる(工数:少, 効果:中)
Twitterほどではないものの、参考にはなります。

5.政府や業界団体などが公開している統計調査・報告書(工数:中、効果:大)
政府や各業界団体などは定期的にさまざまな統計調査を行っています。もしあなたのビジネスに近い業界団体が事前にまとまった統計調査の報告書を公開していれば、どのような人たちが実際にどのくらい存在するのかを、事前に把握することが可能です。

参考になりそうな統計調査にアクセスができる場合は一度目を通し、それを基準として顧客像を練ることをオススメします。 いかにそれらしい顧客像を想定しても、現実にそういう人々が一定数以上いないと、机上の空論になってしまう可能性があります。

参考:Webマーケティング・運用型広告のターゲティングやペルソナの参考になる統計資料サイトまとめ

6. 掲示板や知恵袋系の書き込み(工数:少, 効果:中)
Yahoo!知恵袋, 教えてgoo, 2ちゃんねるなどです。こちらも匿名性が高いですし、商材によってはTwitterで取れない情報が取れることがあります。特定の話題のコミュニティごとに情報を得られます。

7.その他口コミレビューを見られるサイトを参考にする(工数:少, 効果:中 )
Amazon, 楽天市場, 価格コム, 食べログ, @コスメ, 転職会議など…商材に合ったものですね。参考にはなりますが、レビューという不自然な語り方をしていること、自発的に書いていないことも多いので、バイアスに注意です。

③競合他社には真似ができないメリットUSP(Unique Selling Proposition)を強調する

多くの人は口コミ・SNS上のコメント、他社のコンテンツなどさまざまな角度から比較検討されたうえで購入に至ります。広告のランディングページだけを見て購入に踏み切るわけではありません。(もちろん商材によります)他社と比較検討されたとしても、最後にはコンバージョンしていただくためには、USPを広告文・ランディングページの中で伝えることが有効です。広告でコストをかけて検討していただいていたのに、結局は競合他社でコンバージョン…ということは避けたいですよね。USPを一つの軸にして広告文・ランディングページを組むと上手くいきやすいと思います。

④潜在顧客のコンテキストを汲んだうえで、提供できる価値を伝える

潜在顧客のコンテキストをできるだけ汲むようにしましょう。コンテキストとは、「脈絡」「前後関係」「背景」のような意味です。コンテキストを汲むとはどういうことか、見ていきましょう。例えば、潜在顧客が20代後半のビジネスマンだとします。

「20代後半のビジネスマンの方へ」

この場合、このような広告文はおすすめできません。「ぼくは、20代後半のビジネスマンだ!」とふだんから意識して生活している人など、マンガの第一話目ぐらいでしかお目にかかったことがありません。つまり潜在顧客とのコンテキストをあまり汲み取れていないのです。例えばですが、広告文を次のようにした場合はどうでしょうか?

「ぼくにも部下ができた」
「会社に入ってもう4年かー」

恐らくですが、20代後半のビジネスマンからのクリック率は上がりやすいと考えます。なぜなら、これらは20代後半のビジネスマンの多くにとって印象深い出来事で、コンテキストがより汲み取れているのではないかと考えられるからです。このようなコピーの良い事例となのが、記事化もされ話題となったビズリーチさんのバナー広告のコピーですね。詳しくは以下の記事をご参考ください!

参考:【問題です】このバナーのうち圧倒的な成果を出したものはどれでしょうか? :MarkeZine(マーケジン)

もう一つ例をあげましょう。商材をウォーターサーバーで考えます。まだサイトを訪問したことのない人に、ウォーターサーバーの検討をお願いするディスプレイ広告の配信をするとしましょう。潜在顧客として設定したのは、赤ちゃんのいるご家庭です。その場合、広告文タイトルを次のようにするのはいかがでしょうか?

「天然水のウォーターサーバー」

これでは、赤ちゃんのいるご家庭のコンテキストを汲み取れていないですよね。イマイチです。

「赤ちゃんも安心ウォーターサーバ」

とするのはいかがでしょうか?歩み寄ろうという姿勢は見えますが、ただ、もっと近くまで行けると思います。例えばですが

「夜中にミルクを作るのが大変…」

このようにした方が、より潜在顧客のコンテキストに寄り添った訴求で、大きく成果を伸ばせる可能性が高いと考えます。なぜなら、ウォーターサーバーによって解決できる問題がこのようなことだからです。

  • お母さんにとって赤ちゃんのミルクを作るのが大変、お湯を沸かして哺乳瓶の煮沸消毒をして…と特に夜中
  • 赤ちゃんがミルクを欲しがってから煮沸していると作るまで時間がかかってしまう

ウォーターサーバーの仕様上の利点を、潜在顧客のコンテキストを汲み取り、いわば翻訳してしまうことが大切です。そうすれば、膨大なインターネット上のコンテンツ・広告の中から、「あっ、自分のことだ!」と鮮烈な印象で選び取って、広告をクリックしていただけるのです。間違っても、企画書からそのままコピー&ペーストしてきたような広告文は避けましょう。言葉の意味が通るだけでは不足で、スッと入ってきて初めてOKなのです。

⑤広告の配信先に合わせた内容にする

検索連動型広告とディスプレイ広告では掲載先の性質が異なります。

検索連動型広告

検索は目的があり、検索語句からそれを読み取れます。そのため、広告文にキーワードを含めることが一つ有効な広告文の作り方です。検索語句ごとにそのコンテキストをくみ取ってあげられる広告文を配置すればクリック率は高まりやすいでしょう。より深堀りするとすれば、自然検索の1ページ目に上がってきているコンテンツを見ることでも雰囲気を感じることができます。

ディスプレイ広告

ターゲティングや配信先のメディアの性質によって、ある程度はどのような人に多く配信されているのか推測することができます。ただし、検索連動型広告と比べると以下のような特徴があります。

  • 配信枠の数が膨大
  • リーチ可能なタイミングの絶対時間は長い
  • 一人ひとりの動向が読み取りづらい(実際はっきりした目的を持たずにネットサーフィンをしていることも多い)

これらの事情から、不特定多数のユーザーにワッと配信する形になりやすいです。ボーっとニュースまとめサイトを見ているときに、ハッとアクションに移っていただかなければならないのです。そのため、潜在顧客が「ふだんよく考えていてかつ印象に残っていること」をコンテキストとして汲み取ることが重要になります。検索連動型広告と違いヒントが少ないので、打率は下がりがちです。そのため、顧客について十分に理解を深めたうえでチャレンジしたいです。何案かあたりを付けてみて、まずはTwitter検索してみることをおすすめします。思わずtweetしてしまった人の多い事柄は、コンテキストとして適切なことが多いのです。行けそうな順に広告文を追加しテストをしていきましょう。

また、ディスプレイ広告の配信形式も加味する価値があります。YDNのテンプレート形式の広告や、Googleレスポンシブ広告のネイティブ形式などでは、記事コンテンツの間にスポンサードコンテンツとして配信されることが多いです。そのため、これらの形式では、コンテンツ見出し風に広告文にすると成果を発揮しやすいと考えます。配信先のメディア内の他コンテンツとの連続性が自然になりやすく、クリックしていただきやすいと思います。

まとめ

1つ断言しますが、本ブログを読んで考え抜いて作った広告文であっても、上手くいかないことがあるでしょう。ただ、考え抜いた仮説が打ち砕かれたときにしか、大きな学びはないと考えます。広告文一発勝負で成果を出せる「センス」のある人はこんな方々です。

  • 自分の中の世界観が実際の世界のあり方と近いものに仕上がっている
  • コンテキストに即した文章を作れるボキャブラリーも豊富

これはマーケティングに携わるうえでも、ビジネス全般を進めるうえでも、大切な感覚です。この「センス」は普段の生活の中でいろいろな人と接することで磨かれていくことはもちろんですが、広告代理店で複数のプロジェクトに入れ替わり立ち代わり携わる方だと、顧客について毎回真剣に考え抜くことでも磨かれていくと思います。

また、世界のあり方は絶え間なく変化しているので、磨くのを止めた瞬間からこの「センス」は劣化することになります。運用型広告に携わっている皆様においては、10分で広告キャンペーンを実装しスタート3日で検証終了ぐらいの、20年前ならありえないスピード感で広告文すなわち世界観の検証が可能です。経験豊富なベテランマーケッターが幅を利かせる時代ではありません。いわば昔は歩いていたところを、高速道路に乗るような速さでこの「センス」も研ぎ澄ませることができると思います。

Jyunya Koyama

Jyunya Koyama

アナグラム株式会社 運用型広告エキスパート。 東京大学にて歴史学というウェブとかけ離れた学問を学んでいたものの、考えたことが費用対効果として可視化されるリスティング広告の魅力に憑りつかれ、2社のインターンを経て新卒でアナグラムに入社。コンサルタントとしてリスティング広告・Facebook広告の運用・コンサルティングを行っている。