Amazon広告、売上アップにつながる広告運用のコツ7選

Amazon広告、売上アップにつながる広告運用のコツ7選
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Eコマース情報会社のMarketplace Pulseによると、全世界でのAmazonの出品者は2017年1月には約300万社でしたが、2021年1月には600万社を超えています。Amazonでは、1日に2,000以上の新しい出品者が参入しているそうです。

参考:Amazon Tops Six Million Third-Party Sellers|Marketplace Pulse

もちろん、日本も例外ではありません。出品者が増えるということは、それだけAmazon上での競争も激しくなることを意味します。Amazonに出品しているEC事業者にとって、今やAmazon広告は売上を上げるために必須になりつつあります。実際、Amazon広告に取り組んでいるEC事業者も多いことでしょう。

しかし、Amazon広告で売上をアップさせるための具体的なテクニックに関する情報は、Google 広告やFacebook広告と比べるとまだまだ少ないのも事実です。

そこで本記事では、実際にAmazon広告を運用して気づいた、売上アップにつながる広告運用のコツを紹介したいと思います。


スポンサー広告全般における運用のコツ

まずは、Amazon広告のすべての広告フォーマットで共通する広告運用のコツから紹介します。

セールの時期は「1日あたりの予算」をいつもより高く設定する

Amazonプライムデーやブラックフライデーなど、Amazon全体で大型セールを実施する時期はもちろんのこと、不定期に行われる「タイムセール」の時期もアクセス数が増えやすくなるため、広告費と売上も伸びる傾向にあります。。したがって、Amazonでの各種セールのスケジュールは事前に把握しておき、それに応じた予算のプランニングを行うようにしましょう。

広告費の増額ができれば一番ですが、できないことの方が多いでしょう。広告費の増額が難しい場合は、広告費が月の予算を超えないよう、セール開始前に予算や入札額を調整しておきましょう。

「予算ルール」を利用する

Amazonスポンサー広告であれば「予算ルール」を利用しましょう。

例えば、大型セールで期待できるトラフィックを想定した上で、キャンペーンの予算配分をセール期間中は自動的に引き上げ、終了後は以前の値にリセットされるように事前に設定しておくことができます。

予算ルールの設定方法は以下の通りです。

①キャンペーンの管理画面の左メニューで「予算ルール」を選択します。

②「予算ルールの追加」をクリックします。

③ルール名、タイプ、期間、増加(率)を入力または選択し、「予算ルールの追加」をクリックで設定完了です。

予算ルールについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

セールに参加する

もちろん、Amazonセールに参加することも可能です。ただ参加規定があるため、全ての出品者が参加できるわけではないことに注意しましょう。

例えば、Amazonプライムデーには以下のような参加規定があります(2022年6月時点)。

  • Amazonプライム会員限定割引は、通常の利用資格をすべて満たしていること。

  • プライムデーのAmazonプライム会員限定割引の利用資格を得るために、出品者の評価が4以上を維持していること。
  • 購入者から評価を受けていない出品者も、プライムデーのAmazonプライム会員限定割引の対象となります。
  • 商品の星の数が3.5以上あること、または未評価であること。

引用元:プライムデーの利用資格 - AmazonSellerCentral

セールに参加する場合は、広告費の増加に備えることに加えて、セール開始時にセール対象商品の入札価格を上げておくのも効果的です。

セール期間中は広告のクリック率・コンバージョン率ともに上昇することが多いため、入札を強めてインプレッション数や上位インプレッションシェアを高めることで、さらなる売上アップが期待できます。

レビューの数と評価スコアを確認する

商品レビューの数と評価スコアを確認したことがなければ、ぜひチェックしてみましょう。

Amazon広告にはレビュー評価(星の数)が表示されるため、レビュー数や評価スコアは広告のクリック率やコンバージョン率にも大いに影響します。(筆者の肌感覚ですが、レビューが増えるにつれてクリック率が上がっていきました)

さらに、Eコマース支援会社であるPatternの研究によると、Amazonのレビュー評価(星の数)とCVRには正の相関関係があり、レビュー評価が3から5に上昇すると、CVRは12%上昇するそうです。

参考:Analysis: High Amazon Star Rating Ups Conversion|Pattern Data Science

そのため、広告掲載商品をレビュー数が多く評価スコアが高いものに変えるだけで、広告のクリック率や売上のアップが期待できる可能性があります。レビューが良いのに広告掲載していない商品がないか、ぜひ一度確認してみましょう。

もしレビューの数が少ない場合は、この後紹介する「レビューの数を増やす方法」も参考にしながら、レビューを増やす工夫をしてみることをおすすめしたいです。

レビューの数がなぜ重要なのか

レビューの数が重要なのは、レビュー数が多ければそれだけその商品が多くの人に購入されていることを意味しますし、たくさん売れているということは、それだけ人気の商品であると捉えることもできるからです。また、評価する人が多いほど、その評価スコアの信頼性も高く感じられるでしょう。

(レビュー数3件で星5の商品と、レビュー数100件で星4の商品だったら、どちらがより安心感がありそうでしょうか?)

評価スコアを上げることがなぜ重要なのか

次に、評価スコアが高いと、どのような影響があるのかを解説します。

たとえば、商品詳細ページの一部の広告枠には、星4つ以上の商品しか表示されないものもあります。

像引用元:Amazon商品詳細ページでの掲載実例

レビューの評価が高いと「星4つ以上」の広告枠にも表示されるため、広告の表示機会が増えることになります。さらに、「星4つ上」というお墨付きが付いた状態で表示されるため、クリック率も上がる可能性が高いです。

レビューの数を増やす方法

レビューの数が少ない場合は、例えば以下の施策を試してみてもいいかもしれません。

  • ショップからの注文受付完了メール・お届け完了メールにレビュー依頼の文言を追加する
  • 商品にレビュー依頼の手紙を同封する

※いわゆる「サクラ」などの不正な手段を用いてAmazonレビューを増やすことはAmazonのポリシー違反です。モラルに反しますし、Amazonの出品権限が取り消される可能性もあります。絶対にやめましょう。

参考:購入者の商品レビューポリシー│amazon seller central

キーワードはサジェストから探して表記ゆれも網羅する

キーワードターゲティングを配信しているなら、Amazonのサジェスト機能からもキーワードを探してみましょう。サジェストには頻繁に検索されるワードが表示されるため、自社商品と関連の高そうなキーワードを洗い出すことができます。

例えば、「高品質かつ高価格なバスタオル」を扱っている出品者の場合で考えてみましょう。

商品と親和性の高そうなキーワードを探すため、Amazonの検索窓で「バスタオル」を入力してみます。

画像引用元:Amazonの検索窓で「バスタオル」と入力したときのサジェストワード例

「バスタオル 今治」や「バスタオル 日本製」というサジェストワードがあることから、バスタオルの購入を検討する際、価格が高くても品質にこだわるユーザーが一定数いる可能性が高いことがわかります。

この場合、キーワードターゲティングで「バスタオル 今治」「バスタオル 日本製」を追加することで、こうした品質へのこだわりが強いユーザーにアプローチできる可能性が高まります。

下記は、Amazonの検索窓で「ばす」と検索した際のサジェストワードです。ひらがな表記も一定の検索需要があることがわかります。

画像引用元:Amazonの検索窓で「ばす」と入力した場合のサジェストワード例

また、Amazon広告のキーワードターゲティングでは「バスタオル」のキーワードを部分一致で設定しても、「ばすたおる」などの表記ゆれには広告が表示されません。ですので、漢字、カタカナ、ひらがな表記はそれぞれキーワード設定した方がよいでしょう。ただし、大文字と小文字、半角・全角文字 は同じ文字列として扱われるため両方を設定する必要はありません。

参考:Amazon マーケティングサービス(AMS)広告商品比較│amazon marketing service

キーワード設定するのがカタカナの「バスタオル」のみだと、「ばすたおる」で検索するユーザーに対して広告表示できない可能性があります。「バスタオル」「ばすたおる」のように、表記ゆれ語句もキーワード設定しておくことで、異なるカナ表記で検索するユーザーへの表示機会の損失を防げます。

購入見込みが高いキーワードから入札価格に傾斜をつける

キーワードターゲティングでは、キーワードによって入札価格に傾斜をつけることをおすすめします。

購入見込みの高い(コンバージョン率と費用対効果が高い)キーワードは入札価格を高めに、検索ボリュームは多いがコンバージョン率や費用対効果が低くなりやすいビッグワードの入札価格は抑えめにすることで、効率よくコンバージョンを獲得しやすくなります。

例えば「セラミド配合の高保湿化粧水」であれば、下図のようになります。

「セラミド 化粧水」などより具体的で自社商品とのマッチ度が高そうなキーワードでは入札を高く、「化粧水 おすすめ」などのビッグワードでは入札を抑えめにします。

「セラミド 化粧水」などの具体的なキーワードで検索しているユーザーは欲しいものの条件が明確に決まっており、コンバージョン率は比較的高くなりそうです。

「化粧水 おすすめ」などのビッグワードで検索しているユーザーは具体的にどんな商品が欲しいかまだ定まっていない可能性が高く、どうしてもコンバージョン率は低くなる傾向にあります。

広告グループ単位で目標費用対効果を達成していても、キーワード単位で見ると赤字になっているものもあるかもしれません。商品とキーワードの関連性が低いことや、特定の検索語句がキーワード全体の費用対効果を悪化させていることが原因の場合もあるため、入札調整だけでは解決できないこともあります。キーワードを絞ったり、費用対効果の悪化の原因となっている検索語句はネガティブターゲティングに追加するのも効果的です。

掲載枠ごとの成果を確認し、必要に応じて枠ごとに入札調整する

Amazon広告には以下の3つの掲載枠があり、スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告では、枠ごとのインプレッションや広告費、費用対効果を確認することができます。

  • 検索結果ページの上部(最初のページ)
  • 商品ページ
  • その他の検索結果

掲載枠ごとの成果は、スポンサーブランド広告ではレポートから確認できます。

掲載枠によって成果に大きな差が生じることもあるため、定期的に掲載枠ごとの広告成果を確認し、必要があれば枠ごとに入札調整を行いましょう。

もし予算に余裕があって特定の掲載枠の費用対効果が高い場合は、まずはその枠で入札を強化してみるのがおすすめです。

スポンサープロダクト広告の運用のコツ

スポンサープロダクト広告とは、Amazonの検索結果画面や商品詳細ページに表示できる広告です。Amazon内での検索キーワードや商品カテゴリー、個々の商品を指定して広告を表示することができます。広告見出しや写真は商品情報を元に自動で生成されるため、クリエイティブを作成する必要はありません。

ひとつのキャンペーン配下に複数の広告グループを作成でき、広告グループごとに以下を設定できるのも特徴です。

  • 広告表示する商品
  • キーワードターゲティングもしくは商品ターゲティングの内容

スポンサープロダクト広告で売上をアップさせるためのコツを紹介します。

広告グループは商品単位で分ける

Amazonで複数の商品を出品している場合は、Amazonスポンサープロダクト広告の広告グループは商品単位で分けるのがおすすめです。なぜなら、商品によって価格や利益率が異なる場合は、商品ごとに目標費用対効果を設定し、その目標費用対効果に応じた入札調整を行った方が、売上・利益ともに高めやすくなるためです。

商品数が膨大で、商品単位で広告グループを分けるとかえって管理しきれなくなるケースもあると思います。その場合は、価格帯や商品が必要とされる場面によって広告グループを分けるのがよいでしょう。

コーヒー豆やコーヒー関連商品を販売しているショップを例にして考えてみましょう。

広告グループ商品商品単価入札価格目標費用対効果
Aコーヒー豆200gのパックコーヒーフィルター100枚入りケトルマグカップ1,000~2,000円20円200%
エプロン2,000円20円200%
コーヒー豆・フィルター・ケトル・マグカップのセット5,000円50円250%
コーヒーメーカー20,000円200円500%

広告グループの分け方にはいくつかありますが、例えば次のような考え方ができます。

単価が同じくらいの商品はまとめる

表の広告グループAでは、同じくらいの単価の商品をひとつの広告グループにまとめています。

まとめ方の基準は商品点数の多さや価格の幅によっても異なりますが、「低価格帯」「中価格帯」「高価格帯」というように価格で商品カテゴリを分けている場合は、そのカテゴリの通りに広告グループを分けるのが分かりやすいでしょう。上の表のショップであれば、5000円までは低価格帯、5,000~20,000円は中価格帯、20,000円以上は高価格帯、という分け方になるかもしれません。

単価の差が大きすぎる商品をひとつの広告グループにまとめてしまうと、その広告グループの入札単価が「低価格帯の商品にしては高すぎるが、高価格帯の商品にしては低すぎる」金額になる可能性が高くなります。高すぎる入札単価では費用対効果が合わず、低すぎる入札単価は広告露出機会や売上機会の損失に繋がるため、いずれにしても売上アップの妨げになります。そのため、商品数が多い場合は、できるだけ近い単価の商品をひとつの広告グループにまとめるのがよいでしょう。

商品が必要とされる場面が異なる場合は分ける

表の広告グループBの単価は商品単価は広告グループAと同じくらいですが、「コーヒー豆やケトル」と「エプロン」では獲得に繋がりそうなキーワードなどが異なるため、広告グループを分けています。

「コーヒー」で検索した人は、コーヒー豆やコーヒーを淹れるのに必要なケトル、フィルターも買いそうです。でも、「コーヒー」で検索してエプロンが表示されても、買う人は少なそうに感じますよね。こういった場合は広告グループを分け、それぞれに適したターゲティングを設定した方が売上は上がりやすいでしょう。

広告グループを分けた上で、商品価格や目標費用対効果に応じた入札価格を設定しましょう。

例えば、表の広告グループC・Dは広告グループA・Bより商品単価が高いため、入札価格も高めに設定します。

スポンサーブランド広告の運用のコツ

スポンサーブランド広告とは、Amazonの検索結果に表示される広告フォーマットです。クリックすると、Amazonストアページまたは商品詳細ページにリンクします。

スポンサーブランド広告では、見出しやカスタムイメージなどのクリエイティブを任意に設定できるのが大きな特徴です。ロゴか見出しをクリックすればAmazonストアに遷移するため、広告表示されているもの以外もさまざまな商品を見てもらうことができます。

※スポンサーブランド広告については、こちらの記事で詳しく解説しています。

有名ブランドでなくてもチャレンジする価値あり

「ブランド」が名前に入っていることから誤解されがちなのですが、スポンサーブランド広告は認知獲得だけに適した広告メニューではなく、売上を伸ばすことは十分可能なので有名ブランドでなくても配信してみる価値は十分あります。

目立ちやすい位置に掲載

スポンサーブランド広告は、検索結果ページでは検索窓のすぐ下という大変ユーザーの目に入りやすい位置に表示されます。実際にPCの検索画面で表示されたものは以下の画像の通りです。

画像引用元:Amazonでの「コーヒーメーカー」の検索結果

Amazonに買い物客が多い

また、Googleなどの検索エンジンは「調べものをしたい」「商品について知りたい」「商品を買いたい」など幅広い目的のユーザーが利用しますが、Amazonを訪れるユーザーは大抵の場合、「Amazonに何か欲しいものを買いに来た人」です。

とくに欲しいものはあるがメーカーやブランドはまったく決まっていない、という浅い検討段階にあるユーザーが検索した際、目立つ位置で、工夫を凝らしたクリエイティブでアプローチできることはスポンサーブランド広告の大きなメリットです。

したがって、キーワードターゲティングで配信する場合は、自社ブランド名・固有の商品名はもちろんですが、「このキーワードで検索している人になら興味を持ってもらえるはず」というビッグワードでも広告表示することをおすすめします。

例えば、高機能なコーヒーメーカーと付属のコーヒー豆を販売しているなら、ブランド名に加えて「コーヒーメーカー」「コーヒー豆」というキーワードで配信するイメージです。

また、スポンサーブランド広告に初めて取り組む際は、まずは一番売れ筋の商品か、レビューが最も良い(レビュー数が多く、評価も高い)商品で試してみましょう。売れ筋の商品はそれだけ多くのユーザーに買いたいと思ってもらえている商品ですから、Amazonで商品を調べ始めている段階のユーザーに広告表示するのに適していると言えるでしょう。さらにスポンサーブランド広告では商品のレビュー数と星の数も表示されるため、レビューが良い商品はより高いクリック率が期待できるためです。

最後に

Amazon広告で売上アップにつながる広告運用のコツをご紹介しました。

Amazon広告はGoogleやFacebookなどと比べるとまだ自動入札が未発達なところもあり、だからこそ運用者の工夫次第で大きく売上や費用対効果を上げられる可能性のある媒体です。

本記事が、少しでもAmazon広告を運用中の方の助けになればうれしいです。

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