あなたのリスティング広告が出てこない10の理由

あなたのリスティング広告が出てこない10の理由
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リスティング広告の運用に携わる日々の中で、必ずと言っていいほど経験する現象がいくつかあると思います。比較的多く起こるのは、「出るはずの広告がどうしても出ない」ということではないでしょうか。準備は全部OKだと確信したのに、それにもかかわらず設定した広告が掲載されない状態に頭をかしげることもあれば、「何回検索してみても、広告が表示されないようですが、どうしたのでしょうか?広告を止めているではありませんか?」という風のメールをクライアントから送られることもたまにあるかもしれません。

ただし、「広告が出ない」と簡単に一括りで言いますが、このような状況を作る要因は様々あります。その中から、最も重要と思われるケースを10個紹介したいと思います。


①料金に関する問題

皆様はきっとご存じかと思いますが、Google アドワーズとYahoo!プロモーション広告はPay Per Click(クリック課金型)のチャネルである以上、料金面に何かの問題が起こった場合、広告配信ができないシステムになっています。さほど多く発生することではないでしょうけれど、実際に起こった時はアカウントの全ての広告が出なくなり、インパクトがかなり大きいため最初に紹介します。

主の原因は入金へのタイムラグであったり、残金が不十分であったり、といったところです。両者共に起こるリスクは定期的な残高チェックで大幅削減できます。

料金の確認方法は以下の通りです。

※Google アドワーズの場合

Googleアドワーズでは、管理画面右上の歯車アイコンをクリックし、「料金」で残高、課金設定とお支払い情報に問題がないか確認できます。


※Yahoo!プロモーション広告の場合

Yahoo!プロモーション広告では「資金管理」で確認できます。

※尚、請求書決済が導入されている代理店アカウントなどで運用をしている企業の場合、この料金に関する問題はほとんどの場合で該当しません。

②予算による制限

※Google アドワーズの場合

広告が表示されない原因ナンバーワンを言っても過言ではないのはこちらでしょう。該当の広告が所属しているキャンペーンは一日の予算がもうすぐ足りなくなる、或いはすでに達しているということよって広告配信に強く制限がかかってしまうケースです。そうなった場合は、キャンペーンタブのステータスの項目に「予算による制限」と表示が出ますので管理画面で簡単に確認できます。

※Google アドワーズの場合

また、予算による制限の有無に合わせて広告表示へのインパクトをインプレッションシェアの損失率(予算)の表示項目で確認することも可能です。①「表示項目」をクリックし「表示項目を変更」を選択します。②「競合指標」から「検索広告のインプレッションシェア(予算)」あるいは「ディスプレイ広告のインプレッションシェア(予算)」を選択して保存して完了です。

無論、理想的な話だと、リスティング広告に投資できる予算に常に余裕がある環境が一番良いですが、多くの場合、世の中はそんなに甘くないのも事実です。特にチャネルごと・プロダクトごとなどに厳しい上限があれば、広告予算には慎重なプランニングが欠かせないものです。しかし、もっと柔軟な体制においても決定的な瞬間に大事なキャンペーンの予算が足りないことはなるべく避けたいところですから、予算分配、入札管理などで制限がかからないように取り組むことが非常に大事です。

③キーワードの重複

こちらは少し特殊かもしれません。広告は一応出ていますが、出したい「あの広告文」がどうしても確認できないケースです。一つの要因としてはアカウント構造の問題が考えられます。

例えば、同一のキーワードを異なるマッチタイプにて、更にそれをそれぞれ異なる広告グループに分けている悪しき習慣を引きずっているアカウントをたまに見られますね。

しかし、そこまで粒度の粗いアカウント構造だと、除外キーワードの設定と入札の優先順位をつけることを少し間違ってしまうと、「事実上の重複キーワード」を大量に作ってしまいます。例えば、「+靴 +通販」、「+靴 +通販 +激安」、「[靴 メンズ 通販 激安]」 が同じ検索語句を競い合う状況が起こり得ます。そうすると、どこのキーワードがどの検索語句に反応するかはほとんど偶然に任せられてしまう恐れがあり、意図的に広告を狙って出すことが非常に困難です。ちなみに、どの広告グループとキーワードが現在広告の配信をしているかは、広告プレビューツールでも確認できます。

参考:Google アドワーズ・Yahoo!スポンサードサーチ、広告プレビューツールの解説と使用方法

④デバイス・地域・時間・ユーザーリスト設定によりターゲティングから外れてしまっている

検索連動型広告はその名の通り「検索」がないと始まらないのは言うまでもないことでしょう。そして、検索される語句にマッチされるキーワードが引き金となり広告が掲載されるわけですが、広告表示の条件をさら細かく絞る方法がいくつか存在します。その中で最もメジャーなものは恐らく、デバイス設定・ターゲット地域・広告スケジュール・ユーザーリスト(RLSA)の4つでしょう。言い換えれば、こちらの設定により一定の条件を満たしていないユーザーが何度検索しても広告が表示されないということは十分にあり得るので、自分がターゲティングの条件から外れてしまっていないかどうかを確かめましょう。

以下、各ターゲット別の確認方法です。

デバイス設定・ターゲット地域

地域やデバイスで絞っている配信なら広告プレビューツールを使うのが一番速い方法です。
参考:Google アドワーズ・Yahoo!スポンサードサーチ、広告プレビューツールの解説と使用方法

広告スケジュール

※Google アドワーズの場合

時間帯は「分割」>「期間」で「時間」を選択して確認できます。

ユーザーリスト

※Google アドワーズの場合

ユーザーリストは「ユーザーリスト」タブで「リマーケティング」を選択すれば確認できます。配信設定の指定どおりのデバイス・地域・時間帯・ユーザーリストなどにインプレッションが発生しているなら大きな問題はないでしょう。

⑤広告ランクが低すぎる

※Google アドワーズの場合

一定の広告がどの順番に掲載されるか、もしくはそもそも掲載されるかには広告ランクという指数が大きく関わっています。広告ランクが低すぎることが問題かどうかは、キーワード・広告単位で確認できます。ステータス欄の表示の吹き出しでマウスオーバーすれば確認可能です。

広告ランクの要因にはいくつかありますが、その内広告運用者が直接的に左右できるのは入札単価、表示オプションです。品質スコアには広告文の変更やキーワードと広告文との関連性を高めやすい広告グループ構造を作ることによって間接的に影響できます。広告ランクの仕組みについては以下の記事をご参照ください。

参考:今更聞けない?検索連動型広告の掲載順位と実際のクリック単価の決まり方

※Google アドワーズの場合

ちなみに、キーワードの検索数が少なすぎると広告配信ができないと診断されるケースもあります。確認方法は広告ランクと同じですが、原則として広告運用者がその状態を直接変えることができません。

⑥広告のローテーション設定

※Google アドワーズの場合

ローテーション設定で一定の広告が表示されないことは、ABテストを実施するために新しい広告を入稿した時に起こる確率が高いです。もし、不本意的に一方ばかりの広告が出てしまっているのであれば、キャンペーンのローテーション設定を確認しましょう。

ローテーション設定はクリック重視・コンバージョン重視・均等にローテーション・無期限にローテーションの4つのパターンがありますが、その内クリック重視・コンバージョン重視とはGoogle アドワーズで広告ごとに蓄積されてきたクリック率またコンバージョン率のデータを基に掲載率が自動的に調整されていく仕組みになっています。そのため、配信実績がある広告を優先する傾向が強く、新規の広告の出番が減ることがあります。

※この設定で成果が出れば変える必要が特にないのでしょうが、ABテストを行う場合や、アルゴリズムに委ねず、広告運用者が直接数値を見た上で判断したい場合は必ずチェックすることを前提に「無期限にローテーション」を検討してください。忘れ去られたABテストが意味もなく無期限にローテーションで表示され続け、本来得られた成果を逃しているケースは少なくありません。

⑦除外キーワードの設定ミス

本来ならば、除外キーワードの役目は意図しない広告掲載を防ぐことですね。しかし、実際に除外キーワードのチョイスを誤ってしまったり、除外キーワードそのものは良いがマッチタイプや有効範囲の設定で判断ミスしたりなど、望んではいないところまで広告配信を制限してしまうという逆効果をもたらすことがあります。もし、こうやって設定しているキーワードと除外キーワードに矛盾が生じると、Google アドワーズの管理画面にもアラートが出ますが、定期的にキャンペーン単位・広告グループ単位、共有ライブラリの除外キーワードリストに問題がないかもれなく確認する習慣を作っても良いでしょう。

除外キーワードの仕組み、設定と管理方法がもっと気になる場合は以下の記事をご参照ください。
参考:検索連動型広告の効果を最大化させる除外キーワード徹底攻略

⑧審査状況が「審査中」または「不承認」

仮にステータス自体がすでに「有効」または「オン」になっていても広告が出ない場合は、審査が完了していない、または審査に落ちている可能性があります。入稿したての広告やキーワードはまず各媒体による審査を受ける対象になるため、審査に通ってない限り広告配信が不可能になっています。

ところで、審査中のものにも「有効」や「オン」というステータスが表示されることがありますが、それは「広告を表示できますよ」というよりも、単純に「停止されていない」という解釈の方が正しいかと思いますので、それだけでは当てになりません。審査自体に必要とされる時間はまちまちですが、1時間で済むケースもあれば3営業日までかかるケースもありますので、入稿後の審査状況を定期的に確認しながら終わるまで辛抱強く待ちましょう。

※Google アドワーズの場合


※Yahoo!プロモーション広告の場合

Yahoo!プロモーション広告には、キーワード・広告・広告表示オプションの審査状況をまとめて一箇所で簡単に確認できるボタンがあります。

⑨ステータスが「一時停止」となっているコンポーネントがある

広告が表示される前提の一つは、広告に直接かかわる要素に当たるキャンペーンと広告グループ、キーワード、広告のステータスが「有効」(Yahoo!プロモーション広告ではオン)であることです。つまり、このどれか1つが「一時停止」になっていると広告を掲載できなく原因になります。キーワード1つだけだとインパクトが比較的小さいかも知れませんが、例えばキャンペーンが停止している場合、入っている全ての広告が出なくなります。念のために、問題のキャンペーンを上の層から下へ(キャンペーン > 広告グループ > キーワードと広告)見て、不本意的に「停止/オフ」になっているものがないか確認をしましょう。

Yahoo!プロモーション広告の場合はアカウントレベルの配信設定も存在するので、その辺も「オン」になっているか確認しましょう。また、上記のステータスが「有効」にもかかわらずキャンペーンの開始日・終了日によって配信がない場合もあります。

⑩入札しているキーワードを検索しすぎる

これも意外と多いパターンです。特に上記のいずれも当てはまらなかった場合に、実はこれが原因だったのは決して珍しくありません。

「広告の掲載順位は?」「競合広告の訴求は?」「表示オプションがちゃんと付いているか?」リスティング広告運用者たるものは、このような考えがしばしば頭をよぎることはほぼ仕事病と言っても差し支えないでしょう。しかしながら、そこで早とちりしてさっそく検索を行う習慣を作ってしまった広告運用者も少なくないですね。気持ちはわかりますが、ことあるごとに設定しているキーワードを検索すると広告を見られなくなる可能性が高くなります。

理由はシンプルです。広告の掲載確認をする場合は広告をクリックしないため、何度か検索だけを繰り返すと検索エンジンの仕組み上、「クリックしてくれそうにないユーザー」つまり「広告を見せなくてもいいユーザー」と分類されるからですね。

では、「クリックする」という選択肢はコストが発生するので論外として、どのように広告の配信を確認をすればいいでしょうか?

そうです、プレビューツールがありましたね。確かに、直接検索窓に入力することと比べて、わざわざツールを使うというのは多少面倒に感じられることがかもしれませんが、無駄なインプレッションが発生にない上に、デバイス・地域・言語などいくつかの条件を簡単に再現できる便利な機能もついているため、日頃にプレビューツールを使う習慣をつけましょう。

参考:Google アドワーズ・Yahoo!スポンサードサーチ、広告プレビューツールの解説と使用方法

最後に

以上、出るはずの広告が、どうしても出てくれない際に最も多いと思われる原因とその検証法でした。やはり、冒頭で申し上げたように広告が掲載されない原因は様々であり、本記事では紹介しきれなかったものも(IPアドレスの除外やアドブロックソフトなど)存在しますが、ほとんどはこの10個のいずれかに当てはまるかと思います。

ここで強調したいことは、「広告が表示されない」ことが必ずしも「異常」ではないことです。つまり広告が出ないことが確実に問題である場合と、(意図的に出稿を制限する時などように)全く問題ではない場合もあります。あなたが見ている検索結果は必ずしもユーザーと同じではないことも忘れてはいけません。もしも「リスティング広告が表示されない!」という事態があっても慌てず騒がずに、まずは理由を確認することが先決です。その際に本記事を思い出していただき、お役に立てていただけましたら幸いです。

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