
4月は入社や入学・入園など、新たな生活を迎えた方も多いのではないでしょうか。アナグラムでも、4月1日にささやかながら入社式を行いました。
これから運用型広告に携わる方も、すでに取り組んでいる方にとっても、役に立つ広告媒体のアップデート情報をお届けできればと思います。
それでは、3月のアップデートを見ていきましょう。


Google広告の注目アップデート
3月はP-MAXでキャンペーン単位の除外設定が可能になったりと、すでにアナウンスされていたアップデートが複数実装されています。実装が中心で新たなアップデートは控えめでしたが、その中でもGoogleタグの仕様についてアナウンスがあったので見ていきましょう。
Googleタグが自動的に読み込まれる仕様変更
2025年4月10日より、Googleタグマネージャー(GTM)の仕様が変更されます。GTMで設定したGoogle広告タグやFloodlightタグの実行前に、自動的にGoogleタグが読み込まれるようになるとのことです。
Googleタグは、以下の機能を持っています。
- Googleアナリティクス(GA4)やFloodlightとのデータ共有
- クロスドメインの自動設定
- イベントの自動検出
従来のGTM設定ではGoogleタグを省略しても計測が可能だったため、未設定のまま運用しているケースが多くありました。本来はGTMでGoogleタグを設定するのが推奨されていましたが、それがあまり浸透していなかったため、Google広告タグの実行前にGoogleタグを自動適用する仕様に変更されたと考えられます。
今回の仕様変更に伴い、広告主側でGTMやタグの設定を変更する必要はありません。Googleタグの機能を活用できるようになるため、計測精度の向上が期待されます。
対象 : すべてのアカウント
公式ヘルプ : なし。該当のアカウントにメールにてアナウンスが入っています
メール件名 : 2025 年 4 月より、Google タグ マネージャーのコンテナで Google タグが自動的に読み込まれるようになります
車両広告でRV車、キャンピングカーの掲載が可能に
自動車を検索しているユーザーに、近くで販売中の車両を表示する「車両広告」で、RV車やキャンピングカーの掲載が可能になりました。
車両広告は2022年3月に主に米国向けに提供が開始されました。2025年4月時点では日本での展開は未定ですが、P-MAX にアップグレードなど改良が進んでいるため、今後導入される可能性もありそうです。
対象 : 米国のみ
公式ヘルプ : ポリシーの更新: RV 車とキャンピング カーも車両広告の対象に - Google Merchant Center ヘルプ
Yahoo!広告のアップデート
Yahoo!広告では、ディスプレイ広告を中心に細かなアップデートがありました。期日までに対応が必要なアップデートもあったので見ていきましょう。
※ここでは 「ディスプレイ広告」はYahoo!ディスプレイ広告(運用型)を指します。
【ディスプレイ広告】顧客データ(メールアドレス・電話番号)を連携する際の形式を変更
「コンバージョンの詳細マッチング」と「オーディエンスリスト作成時のデータアップロード」において、顧客データ(メールアドレスおよび電話番号)を連携する際の形式が変更されます。変更は2025年4月7日に実施される予定です。
連携可能なメールアドレス・電話番号の形式は以下です。
①メールアドレス
変更前 : 小文字または大文字 例 : abcd@yahoo.co.jp 、ABCD@operator
変更後 : 小文字のみ 例 : abcd@yahoo.co.jp
②電話番号
変更前 : 電話番号のみ 例 : 09012345678
変更後 : 国番号+電話番号 例 : +819012345678
顧客データを活用した広告配信を行っている場合、現状のデータ形式がどのように表記されているのかを事前に確認できるといいですね。
また、確認や変更時には、顧客データの取扱に十分に注意しましょう。
対象 : 顧客データ(メールアドレスおよび電話番号)を活用している広告アカウント
公式ヘルプ : 【ディスプレイ広告】顧客データ連携時の形式変更について - LINEヤフー for Business
【ディスプレイ広告】キャンペーン間の共有予算機能の提供開始
これまでキャンペーン単位で設定していた1日の予算を、複数のキャンペーンにまたがって設定できる「キャンペーン間の共有予算機能」が提供開始されました。
キャンペーンを横断して予算を設定できるため、予算を使い切らないキャンペーンの余剰分を不足しているキャンペーンに自動的に振り分けられ、広告の機会損失を減らします。
パフォーマンスレポートの「共有予算レポート」で、共有予算ごとの表示回数やクリック数などの実績値を確認可能です。
なお、1日の途中で個別予算から共有予算、またはその逆に変更した場合、変更前に使用した金額は考慮されません。設定変更後の予算に基づいて配信されるため、当日の予算配分には注意が必要です。
対象 : すべてのアカウント
公式ヘルプ : 【ディスプレイ広告(運用型)】キャンペーン間の共有予算機能の提供について - LINEヤフー for Business
【検索広告】商品情報掲載を無料化へ
2025年5月より、検索広告(ショッピング)の「Yahoo! JAPAN 商品情報掲載」が、無料で利用できるようになります。
現在は、商品が購入された際にのみ課金が発生する成果報酬型の仕組みです。変更後は、商品情報の掲載を経由して購入があった場合でも、利用料金は一切発生しません。さらに、商品情報掲載に関する月額予算の設定も不要となります。
なお、リリース日以降に発生した注文実績から無料対象になりますが、リリース前に注文実績があるものは請求が発生します。
Yahoo!広告で検索連動型ショッピング広告の実施を検討していたものの、商品情報掲載にかかる費用を懸念して実施に踏み切れないケースもあったことでしょう。
今回の無料化に伴い、検索連動型ショッピング広告へ取り組む広告主も増えるのではないでしょうか。
※現時点で、検索広告(ショッピング)は、正規代理店など、売掛取引(後払い方式)のアカウントを運用している場合にのみご利用可能です。
対象 : 検索広告(ショッピング)を利用している広告主
公式ヘルプ : 検索広告(ショッピング)商品情報掲載の無料化について - LINEヤフー for Business
【ディスプレイ広告】「友だち追加」キャンペーンでカルーセル広告の入稿が可能に
友だち追加キャンペーンで、カルーセル広告が利用可能になりました。
これまでの広告タイプはレスポンシブ形式(画像と動画)のみでしたが、カルーセル広告の追加により、より多様な表現ができるようになります。
商品やサービスが複数ある場合など、効果的な活用が検討できそうです。
※キャンペーン目的「友だち追加」は、広告主情報が日本国内のアカウント、かつ契約当事者が「広告主」のアカウントのみご利用可能です。
対象 : キャンペーン目的「友だち追加」を利用しているアカウント
公式ヘルプ : 【ディスプレイ広告(運用型)】 キャンペーン目的「友だち追加」広告における機能追加 - LINEヤフー for Business
LINE広告のアップデート
AI生成によるクリエイティブ制作は、これまでYahoo!広告で先行して提供されていましたが、LINE広告にも活用の幅を広げています。
生成AIによる画像拡張機能が提供開始
クリエイティブ作成ができる「LINE Creative Lab」にて、生成AIを活用した画像拡張機能「AI拡張」の提供が開始されました。「LINE広告」「LINE公式アカウント」「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」のクリエイティブ作成において利用可能です。
AI拡張は、もとの画像を異なるサイズに拡張する機能です。例えば、1:1の画像を正方形の画像を1.91:1の横長画像に生成・変換できます。
写真素材を生成したところ、シンプルな画像でかつアライメント(配置)を真ん中に指定していれば、活用できる印象でした。それ以外のアライメントを指定すると、新たに生成されたオブジェクトが追加されるものもありました。
LINE広告の生成AI機能では、1アカウントにつき毎月30回のクレジットが付与され、1回の生成につき1クレジットを消費します。
なお、生成されたクリエイティブは広告審査プロセスでの承認を保証するものではありません。広告掲載基準に準拠していない場合や問題のあるクリエイティブについては、必要に応じて修正してください。
対象 : すべてのアカウント
公式ヘルプ : ビジネス用クリエイティブツール「LINE Creative Lab」 生成AIによる画像生成機能を提供開始 - LINEヤフー for Business
詳細ターゲティングに「本人の誕生月」セグメントが追加
詳細ターゲティングに誕生月のセグメントが追加されました。
広告グループの詳細ターゲティングで、条件を追加から設定できます。ユーザーの誕生月に合わせたプロモーションが可能になるため、誕生日特典やギフト需要などに活用できそうです。
対象 : すべてのアカウント
公式ヘルプ : オーディエンスセグメントを利用して配信する - LINEヤフー for Business
Meta広告のアップデート
Meta広告では、Advantage+ ソリューション(AIを活用した広告の最適化ツールの総称)のアップデートが盛んです。
Advantage+ カタログ広告で商品セットの広告に他の商品を含める新機能
特定の商品セットを広告する際に、カタログ内の他の商品も含めることが可能になりました。
これにより、Advantage+カタログ広告やショップ広告において、特定の商品のプロモーションをしながら他の商品も表示できるためパフォーマンス向上が見込めます。
商品セットのサイズがカタログ全体の60%を超えると、現在配信中の広告はそのまま掲載されますが、該当の商品セットを使用する新しい広告では、「商品セットの広告に他の商品を含める」機能を活用できなくなります。
対象 : Advantage+カタログ広告やショップ広告を活用しているアカウント
公式ヘルプ : 商品セットの広告にほかの商品を含める - Metaビジネスヘルプセンター
Advantage+ クリエイティブの生成AI機能を活用した画像生成ができるように
広告を作成でAdvantage+ クリエイティブを適用すると「背景画像の生成」と「フル画像の生成」が可能になりました。
広告の設定から、フォーマットに[シングル画像または動画]を選択し、「クリエイティブを設定」を進めます。
背景の変更であれば活用ができそうなものが作られましたが、元の画像とは大きく異なる画像になることもありました。
フル画像を生成する場合には、アップロードした画像や動画を参考に作成されます。もし、特定のオブジェクトを含めたい場合は、フル画像生成ではなく背景生成の使用が推奨されています。
また、同じ設定画面でテキストやロゴのオーバーレイ設定も可能です。オーバーレイには、デフォルトでブランディングの設定が適用されますが、ここで変更を加えてもブランディング自体は更新されません。
2025年4月2日時点で一部のアカウントのみ適用されています。
対象 : 一部のアカウント
公式ヘルプ : Meta広告マネージャで画像のバリエーションを生成する - Meta広告ビジネスヘルプセンター
ブランディングツールでロゴ、ブランドカラー、フォントが指定可能
広告単位のブランディングセクションの選択として、ロゴ、ブランドカラー、フォントが指定できるようになりました。
以前に使用したURLや広告、FacebookページやShopifyアカウントからの情報に基づいてブランディングのプリセットのおすすめが表示されます。プリセットは編集、削除が可能です。
なお、ブランディングはデフォルトでオフになっているため、広告を適用する場合で手動でオンにする必要があります。
2025年4月2日時点で一部のアカウントのみ適用されています。
対象 : 一部のアカウント
公式ヘルプ : Meta広告マネージャでの広告のブランディングについて - Meta広告ヘルプビジネス
インスタントフォームでワンタイムパスワード認証機能が選択可
リード目的のキャンペーンで、インスタントフォームを送信する前にワンタイムパスワードで電話番号を確認できるようになりました。
この機能では、ユーザーが広告をクリックしてインスタントフォームに入力する際、送信前にワンタイムパスワードの入力を求めることができます。なお、固定電話の番号ではフォームを送信できず、認証も行えません。一度認証が完了すると、ユーザーは認証済みの状態を90日間維持できます。
これにより、最新の電話番号を取得できるので適切なフォローが可能になるほか、得られる顧客情報の整合性も向上することが期待されます。リードの質に課題感がある場合に活用が検討できます。
対象 : リード広告を活用しているアカウント
公式ヘルプ : リードの質を向上させるためにワンタイムパスワードSMS認証機能を有効にする - Metaビジネスヘルプセンター
イベントの詳細を強調表示する機能の提供開始
Instagram広告に「イベントの詳細を自動で強調表示」する機能が追加されます。
広告文に90日以内に実施予定のセールや期間限定特典の日付が含まれている場合、CTA(コールトゥアクション)の横にイベントの詳細がハイライト表示される仕様です。
広告の詳細から設定も可能ですが、広告文に90日以内の日付が含まれる一部のコンバージョン広告に自動的に適用されます。
対象 : すべてのアカウント
公式ヘルプ : Meta広告マネージャでイベントの詳細をハイライトする方法 - Metaビジネスヘルプセンター
GoogleアナリティクスとMeta広告の連携が可能に
GoogleアナリティクスとMetaイベントマネージャが連携ができるようになりました。2024年8月に連携が発表された際には一部のアカウントに限定されていましたが多くのアカウントで連携可能になっています。
広告マネージャーのイベントマネージャーから、パートナー連携を選択するとGoogleアナリティクスのアイコンができます。連携するには、Googleアナリティクスの「閲覧権限以上」の権限が必要ですので事前に確認しておきましょう。
連携後は、接続ステータスで状況が確認できます。設定変更後、2~7日ほど認証にかかるため時間をおいて確認することがおすすめです。
連携することでMeta広告からのトラフィックやコンバージョンイベントをGoogleアナリティクス側のデータと結びつけ、効果測定を統合的に行えます。
また、Googleアナリティクス(GA4)で計測しているイベントを、Meta広告で使用するイベントに対応付けることも可能です。これを行うことで、GA4で発生したコンバージョン(例:購入、申し込み、ボタンクリックなど)をMeta広告のイベントとしても計測できるようになり、Meta広告の最適化や効果測定に活用できます。
対象 : 一部のアカウント
公式ヘルプ : GoogleアナリティクスをMetaイベントマネージャのパートナー連携として設定する - Meta広告ビジネスヘルプセンター
X広告のアップデート
各種SNSプラットフォームで縦型動画のコンテンツが次々と追加されています。同時に、縦型動画の配信面で活用できる機能の充実も図られていますので見ていきましょう。
バーティカルビデオ広告でアプリインストールを促進する機能が提供開始
縦型の動画広告であるバーティカルビデオ広告で、iOSのアプリインストールを促進するタップ・トゥ・インストールの配信が開始されました。
この機能は縦型動画広告が2秒再生されたあとに、広告下部に表示されるアプリインストールのCTAにてインストールを促せるものです。
現時点でiOSのみの展開です。
対象 : バーティカル広告を実施しているアカウント
公式ヘルプ : --
まとめ
3月は予告されていたアップデートの実装がいくつかあり、新たに発表されたアップデートがやや落ち着いていたように思います。5月にはGoogle Marketing Liveも控えており各媒体も次の一手を仕込んでいる最中かもしれません。今後の動きにも注目したいですね。
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