YDA(運用型)に「推定コンバージョン」が導入

YDA(運用型)に「推定コンバージョン」が導入
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Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)(以降、YDA)において、2023年2月27日から推定コンバージョンが導入されています。

参考:推定コンバージョンの導入について

コンバージョンの計測やリマーケティングなどのユーザーの行動履歴や興味関心のターゲティングには、Cookieが利用されています。特にWebサイトを離れた後のユーザーを追跡できるサードパーティCookieにおいて、プライバシーの侵害につながるのではないかという見方が広まり、Cookieの利用制限が進んでいます。たとえば、Appleが提供するWebブラウザのSafariでは、サードパーティCookieは即時破棄されるようになっています。

この影響により測定できないコンバージョンデータが増加し、2022年11月時点で、ディスプレイ広告におけるiOSトラフィックのコンバージョンデータは、平均で約15%測定できなくなっている傾向にあるとYahoo!から公表されています。

今回、「推定コンバージョン」が導入されることで、Cookieの利用制限などにより測定できなくなっていたコンバージョンを推定できるようになります。コンバージョンが増加するので、広告配信や広告効果の最適化向上が期待できます。

この記事では、推定コンバージョンの詳細や注意点を解説していきます。


推定コンバージョンとは

画像引用元:推定コンバージョンの導入について 内PDF P.8より

「推定コンバージョン」とは、iOSなど観測性が低下しているプラットフォーム上での測定データに対して測定可能なデータを用いてモデルを構築し、プライバシー保護の影響で測定できていなかったコンバージョンを推定したものです。

コンバージョン補完機能でも測定できないコンバージョン(主に広告クリックから8日以降に発生するコンバージョン)が「推定コンバージョン」となります。

※ヤフー社に確認したところ、コンバージョンの計測期間を7日としている場合には、推定コンバージョンは含まれないとのことでした

推定コンバージョンが導入されることで、下記のようなメリットがあります。

  • プライバシー保護規制などにより測定できていなかったコンバージョンデータが測定されるため、計測の精度が高まり、より正確な広告評価が可能になる
  • コンバージョンデータが増加するため、広告配信や広告効果の最適化向上が見込まれる
  • OS・ブラウザーごとの配信評価がより正確になり、自動入札の精度が高まる

推定コンバージョンが導入される背景として、Cookieの利用制限の動きが強まっていることがあります。特にサードパーティCookieは、第三者が勝手に利用することができてしまい、知らない間に行動履歴が第三者に取得されてしまう可能性もあることから、プライバシー保護の観点で問題視されております。Appleが提供するWebブラウザのSafariでは、サードパーティCookieは即時破棄され、さらにファーストパーティCookieでも有効期限が最短で24時間まで短縮されるなど、Cookie自体の利用制限が進んでいます。この影響により、測定できないコンバージョンデータが増加し、入札や計測精度の低下につながっています。

このようにCookieの利用制限により正確な計測が難しい環境下でも、実態に近いコンバージョンの計測ができ、質の高いレポートや自動入札が利用できるようになることは運用者として嬉しいです。

推定コンバージョンが反映される対象

推定コンバージョンは、以下の対象レポートや一覧画面のコンバージョン数に合算されて表示されます。

対象 項目
パフォーマンスレポート コンバージョン数
コンバージョン数(クリック経由)
コンバージョン数(全て)
一覧画面
コンバージョン測定画面

※対象外のレポート:コンバージョン経路レポート、アトリビューションモデル比較レポート、横断リーチレポート

アカウントへの影響に注意

想定されるアカウントへの影響

推定コンバージョンがコンバージョンに合算されることにより、アカウント構造や配信実績によって、リリース後に以下のような実績、配信傾向の変化が見られる場合があります。

影響対象 想定される変化
レポート項目 コンバージョン数 推定コンバージョンが合算されるため、コンバージョン数が増加する可能性があります。(※)
自動入札 コンバージョン数の最大化(目標値あり/なし) コンバージョン数の増加・コンバージョン単価の低下に伴い、数値が多少変動する可能性があります。
キャンペーン目的 コンバージョン
商品リスト訴求
広告の品質に加味されるコンバージョン数が増えることにより、コンバージョンの予測精度が高まりキャンペーン全体のコンバージョン数の増加が見込めます。

(※)とくに、iOSのみ配信、かつクリックからコンバージョンまでの時間が長い商材の場合、コンバージョン数が多くなる傾向があるとYahoo!から公表されています。

リリース後にコンバージョン数が増加、コンバージョン単価が低下した場合、目標コンバージョン単価の設定を見直してみたり、予算上限などの調整を検討してもよいでしょう。また、これまでOSごとに広告グループを分けて運用されていた方は、統合することでより効率的に学習および最適化を行うことができます。

コンバージョン数が増えることにより自動入札を導入条件も満たしやすくなるので、自動入札の活用を検討してみてもよいでしょう。

  • コンバージョン数の最大化(目標値あり):広告グループ単位で直近30日間にコンバージョン数が40件以上見込めるキャンペーンでの利用
  • コンバージョン数の最大化(目標値なし):キャンペーン単位で直近7日間にコンバージョン数が20件以上見込めるキャンペーンでの利用

その他の注意点

その他、下記の点にも気を付けましょう。

  • 推定コンバージョンは数日遅れで反映される
  • 削除されたコンバージョンタグにも、削除後数日は推定コンバージョンが計上される可能性がある
  • 推定コンバージョンと実測のコンバージョンを分けて表示することはできない
  • リリース前の配信データで推定コンバージョンは確認できない
  • 推定コンバージョンを含めないようにすることはできない

計測できなかったコンバージョンが可視化されるのはメリットである反面、あくまで推定ではあるため、実際の獲得状況などと大きな乖離がないか注意しておくのがよさそうです。

まとめ

今回、「推定コンバージョン」が導入されることにより、Cookieの利用制限で計測できていなかったiOSなどでのコンバージョンが推定され、コンバージョン数に合算されます。そのため、モバイルからのコンバージョン数増加が予想されます。自動入札を活用している場合は、モバイルへの配信量が増える可能性がありますので、特にリリース後のモバイルの数値は定期的に確認しておきましょう。

また、Cookieの利用制限が進むにつれて、計測に関するアップデートも随時行われるでしょう。運用型広告の成果は、計測によっても左右されるので、Cookieの利用制限の動向も見つつ、利用している媒体でどんな対応を行っていくのかもチェックしていきたいですね。

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