Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)(以降、YDA)において、ウェブやアプリターゲティングのために利用している「オーディエンスリスト(条件)」の提供が終了し、新形式のリストへの移行が発表されました。
「オーディエンスリスト(条件)」とはタグやアプリ測定パートナーから受け取ったユーザーや行動などの情報の中から、「URL」「カスタムラベル」「参照元URL」などの条件を指定し対象を絞り込んだリストです。
YDAでは、オーディエンスデータを利用した広告配信の管理機能の改善ためデータソースの拡充や刷新を進めています。その一環でオーディエンスデータの整理も行われており、従来の「オーディエンスリスト(条件)」をより分かりやすくする新形式への移行が開始されました。
これまで「オーディエンスリスト(条件)」には「ウェブサイト訪問ユーザー」のデータと「アプリユーザー」のデータが混在していましたが、今回のアップデートで「ウェブサイト訪問ユーザー」または「アプリユーザー」のいずれかのリスト種別へ移行が必要となります。
この記事では手動移行とシステムによる強制移行の概要、手動移行の手順、注意点について解説します。
目次
移行のスケジュール
手動移行とシステム移行のスケジュールは次のとおりです。
移行方法 | 期間 | 対応内容 |
---|---|---|
手動移行 | 2023年1月11日(水)~6月末 / 7月初旬 | 「条件」リストを「ウェブサイト訪問ユーザー」リストまたは「アプリユーザー」リストへ移行 |
システム移行 | 2023年6月末 / 7月初旬~ | 手動移行期間後に残った「条件」リストをシステムで強制移行 |
従来のオーディエンスリスト種別「条件」を「ウェブサイト訪問ユーザー」と「アプリユーザー」へ手動移行し、その後、システムで強制移行が実施されます。また、「条件」リストは廃止される予定です。
手動移行とシステムによる強制移行
2023年1月11日より利用者自身で手動移行を実施できるようになり、その後2023年6月末/7月初旬には手動で以降されなかった「条件」のオーディエンスリストに対してシステムによる強制移行が実施されます。強制移行では一定の条件により移行が実施されるため、強制移行開始前までに「条件」のオーディエンスリストを「ウェブサイト訪問ユーザー」または「アプリユーザー」のリストへ移行しましょう。
設定条件と組み合わせによる移行先の制限
オーディエンスリスト(条件)を「ウェブサイト訪問ユーザー」または「アプリユーザー」のいずれかのリスト種別へ移行する際に、設定されている条件と組み合わせによって移行先に制限があります。
パターン | 設定条件と組み合わせ | 手動移行の制限 | システム移行の制限 |
---|---|---|---|
1 | 「URL」「参照元URL」のいずれかと「イベント種別」が設定されている | ウェブサイト訪問ユーザーリストまたはアプリユーザーリストの新規作成が必要(※1) | 移行なし(※2)(※3) |
2 | 「イベント種別」が設定されていて、「URL」「参照元URL」のどちらも設定されていない | アプリユーザーリストのみ指定可能 | |
3 | 「URL」「参照元URL」のいずれかが設定されていて、「イベント種別」が設定されていない | ウェブサイト訪問ユーザーリストのみ指定可能 | ウェブサイト訪問ユーザーリストに強制移行 |
4 | 「URL」「参照元URL」「イベント種別」のどれも設定されていない | ウェブサイト訪問ユーザーリストまたはアプリユーザーリストのどちらかを指定可能 | ウェブサイト訪問ユーザーリストに強制移行 |
※1…リストIDが新しく発番されるため、組み合わせなどは再設定が必要です
※2…条件リストが設定されている広告グループは、順次、該当条件リストの配信利用が停止されます
※3…新規での広告グループへの設定ができません
イベント種別を利用している方の多くは、アプリユーザーリストへ手動移行を行う必要があります。また、パターン4に該当し、今後アプリユーザーリストとして利用したい場合も手動移行をしなければなりません。
パターン3のオーディエンスリスト(条件)を利用しウェブサイト訪問ユーザーへ広告を配信している場合は、手動移行をせずとも、システムがウェブサイト訪問ユーザーリストに強制移行してくれます。もしパターン3で手動移行を行う場合は、設定条件と組み合わせの移行を行いましょう。
移行の手順
次にリスト種別「ウェブサイト訪問ユーザー」と「アプリユーザー」への移行手順についても確認しましょう。
リスト種別「ウェブサイト訪問ユーザー」へ移行する場合
①オーディエンスリスト一覧画面で、リスト種別「条件」の横に移行画面への遷移リンク【リストを移行】が表示されるので、こちらをクリックします。
②移行先指定画面で、移行先リスト種別:「ウェブサイト訪問ユーザー」を選択し、実行をクリックします。リスト種別以外(リスト名、条件や有効期間など)は編集ができません。
③リスト種別が「ウェブサイト訪問ユーザー」に変更されていることが確認できたら、移行完了です。
リスト種別「アプリユーザー」へ移行する場合
①オーディエンスリスト一覧画面で、リスト種別「条件」の横に移行画面への遷移リンク【リストを移行】が表示されるので、こちらをクリックします。
②移行先指定画面で、移行先リスト種別:「アプリユーザー」を選択し、実行をクリックします。リスト種別以外(リスト名、条件や有効期間など)は編集ができません。
③設定する「リンクID」を選択します。別途、ベンダー側のUI上でリンクIDの登録が必要です。リンクIDとは、Yahoo! 広告と、ヤフー以外の企業が提供する広告効果測定ツール等とデータ連携するためのキーとなるIDのことです。
④リスト種別が「アプリユーザー」に変更されていることが確認できたら、移行完了です。
オーディエンスリスト移行時の注意点
オーディエンスリスト(条件)を移行するにあたり、注意しなければならない点があります。
アカウント単位で必要な手動移行の原則
手動で移行をする際は下記の原則があります。
- 1アカウント、1つ以上の条件リストに紐づけ
- アカウント単位で「ウェブサイト訪問ユーザー」または「アプリユーザー」に移行
別のアカウントが保有しているオーディエンスリスト(条件)を利用している場合、保有元のアカウントが移行をしなければ該当のリストを利用できなくなってしまうので注意が必要です。
アプリユーザーリストへ移行する際の前提条件
アプリユーザーリストへの移行時は、広告効果測定ツール側でリンクIDが登録できる状態になっていることが前提条件となります。
2022年11月時点で、ディスプレイ広告にアプリのイベントデータが連携可能な広告効果測定ツールであるAdjust、AppsFlyerでは既にリンクIDへの対応が完了しています。利用可能なツールは今後順次追加されるようです。
参考:広告効果測定ツールとディスプレイ広告アカウントをリンクする - ヘルプ - Yahoo!広告
参考:アプリのイベント情報をもとに広告を配信する - ヘルプ - Yahoo!広告
移行期間中の条件リストについて
移行期間中、条件リストの新規作成は停止されるようです。システム移行後、条件リストが設定されている広告グループは、順次、該当する条件リストの配信利用が停止されます。
「URL」「参照元URL」のいずれかと「イベント種別」が設定されている場合(パターン1)、または「イベント種別」が設定されていて「URL」「参照元URL」のどちらも設定されていない場合(パターン2)は、手動移行しなければ条件リストのまま残ってしまい、該当リストの配信利用ができなくなるので注意が必要です。
まとめ
運用負荷なく利用できるオーディエンス管理機能を実現していくために、今回は「条件」リストで混在していたウェブとアプリのソースを「ウェブサイト訪問ユーザー」と「アプリユーザー」で明確に分けるアップデートが行われました。オーディエンスリストを見た際に、リスト種別の列を確認すれば、サイトを訪問したユーザーのリストなのか、アプリイベントで連携されたユーザーのリストなのかを瞬時に識別できるようになったため、以前よりも分かりやすくなりましたね。
移行完了後も今まで通りリストを利用することができますが、設定条件によっては、システムが強制移行してくれないケースや、意図しないリストへ強制移行されてしまうなど注意すべき点もあります。
特にイベント種別を利用されている方、今後アプリユーザーリストを利用したい方は、手動移行での対応となるので注意が必要です。現在ウェブサイト訪問ユーザーへ広告を配信されている方の多くは、パターン3(「URL」「参照元URL」のいずれかが設定されていて、「イベント種別」が設定されていない)に該当しますので、システムによる強制移行にお任せしても問題ありません。事前に現在の設定を確認した上で、手動にするのかシステムに任せるのかを検討しましょう。