新型コロナウイルスによる感染症の拡大により、様々なルールチェンジが一斉に起きたと強く感じています。
そのような状況下、実店舗を持つネットショップは臨時休業などを余儀なくされているケースも多いかと思います。また、緊急事態宣言が解けたとしても、感染の波が再度訪れる可能性もあり、治療法やワクチンなどが確立されるまでの間は、店舗の運営は不安定になるものと想像できます。
先がまだ見えない時代、実店舗でのビジネスを継続させるために、Google 広告やGoogle マイビジネスを使って、いま何ができるかを考えてみました。
目次
小売業がGoogleを使って“いま”できること
英語の資料にはなりますが、この状況下で小売業がGoogleを使ってできることについてガイドを作成しています。
内容として目新しいものは無いですが、混乱下にあるこの現在に読むと、何ができて何をするべきかという思考の整理が冷静に行えました。羅針盤として活用いただけるのではないかと思います。Google 翻訳やDeepLなどのサービスを使って読んでみてください。
ちなみに、この記事の執筆にあたっては、この資料を一部参考にしています。
Google Merchant Centerにアップロードする商品フィードの在庫状況は正確に設定しておく
アナグラムが完全リモートワークに切り替わってから、在宅でも快適に業務を遂行できるように環境整備をしようとしていると、いくつか欲しい物がなかなか手に入らない状況に遭遇しました。それは、モニター、モニターアーム、ヘッドセット、Webカメラなどなど。
2020年3月末から4月上旬には、世の中も緊急事態宣言が発令されそうという空気であったことから、外出せずに必要なものが揃えられる通販の需要が急拡大しました。よって、お手頃で性能が良い商品は各種通販サイトから軒並み姿を消し、入手困難なケースも多々見受けられました。
快適なリモートワーク環境をいち早く整えるべく、Amazonや楽天といったサイトだけではなくGoogle 検索でも商品を検索するのですが、ここで厄介なことが発生します。
Googleで型番などの検索をして表示されたショッピング広告をクリックしたところ、どこのサイトも「入荷待ち」「お取り寄せ」「メーカーから直送」という表示が目立ちます。
つまり、商品を購入するための決済はおこなえる(お店によっては発送時に決済されるケースもありますが)が商品の配送は未定というステータスです。残念ながらこれは実質在庫なしと同義です。
当然、人によって入荷次第の発送でも良いという方もいるでしょう。しかしながら私のように、できるだけ早く入手したいというケースもあります。
どちらが良い悪いという話ではありませんが、在庫が有ると思って広告をクリックするケースも多いはず。商品の入荷の見通しが立っていない場合は在庫なしとして購入に繋がりにくいクリックを抑え、その分の広告費を本当に必要な部分にあてがうなど対応しましょう。
商品の在庫状況は availability 属性で指定する
商品フィードの availability [在庫状況] 属性は、以下3つの中から選択して記述する属性となっています。改めて復習してみましょう。
in stock [在庫あり]
現在、注文を受け付けていて購入ができる状態。商品の在庫があり、通常通りに配送できる状態にある場合に指定します。
out of stock [在庫なし]
現在、注文を受け付けていない、または販売できる状態ではない場合に指定します。注文は受け付けているものの、在庫がなくて配送できない場合は、販売できる状態ではないものとします。
preorder [予約]
新規に取り扱いを開始する商品に限り利用できる属性です(後日在庫が補充される既存商品に対しては指定できません)。現在、注文を受け付けているものの、まだ発売されていない場合に指定します。
店頭受け取りが可能な店舗であればローカル在庫検索の実施も検討
商品フィードの他に、ローカル商品在庫フィードの用意など、広告を始めるための準備の難易度はさらに高まります。
ただし、後述もしますが日本の場合は配送網が抜群に発達していますので、店舗に取りいく手間よりも宅配などで配送してもらうほうが利便性も高いです。そのため、ローカル在庫検索の導入コストを考慮すると、利用できるシチュエーションとしては、生鮮食品などできるだけ早く届けないとならないような商品ジャンルなどに限定されてくるでしょう。
Google マイビジネスで店舗の情報を更新する
実店舗を持つネットショップの場合は、Google マイビジネスも活用していることが多いと思いますが、こちらも時世にあわせて店舗の情報を更新しましょう。
現在の店舗状況について投稿を行う
店舗の営業状況、在庫の状況、配送の状況、安全のための取り組みなど、臨時休業の中にあっても発信できる情報は発信しましょう。
お店に直接問い合わせる前に休業情報や短縮営業時間、実践している安全対策や衛生対策、
ビジネス支援ギフトカードの提供状況などの情報が検索画面上に表示されいてれば、
ユーザーも安心してお店まで伺うことができますね。
一時的に店舗を閉じている臨時休業の場合はフラグを設定
Google マイビジネスでは、2020年4月ごろより臨時休業を表すフラグをワンクリックで設定する事ができるようになりました。
これまで、祝日やお盆、年末年始などの事前に日程が決まっている暫定的な休業の場合は、特別営業時間機能によって都度設定してきたかと思いますが、昨今のコロナウイルス感染症拡大防止の観点などで臨時休業する場合など、期間が定まっていないような休業はこちらの設定を活用するのも良いでしょう。
Google マイビジネスの左側メニュー「情報」をクリックすると、上図の項目が表示されますので、「休業マークを付ける」をクリックします。
時短営業の場合は特別営業時間機能を設定する
臨時休業をしないまでも、営業時間を短縮して営業する場合は、前項でも紹介した特別営業時間機能を利用することで、通常の営業時間の変更はせずに営業時間を変更できます。
Google マイビジネスの左側のメニュー「情報」をクリックすると、「特別営業時間を追加」というカレンダーアイコンの項目が表示されるので、鉛筆マークをクリックします。
すると、特別営業時間の設定ウィンドウが表示されるので、ここから追加していきます。
ただし、この画面からですと1つ1つ設定する必要があり、操作が煩雑になります。そのため、ある程度の期間分を一括で編集したい場合は、スプレッドシートを利用して更新する方法も提供されています。
スプレッドシートを使った一括更新の方法については割愛します。詳しい方法は、iSchool 伊藤さん(Google マイビジネス ヘルプコミュニティのゴールドプロダクトエキスパートです)のブログ記事が参考になりますので、そちらをご参考ください。
※補足:左側メニューの「ビジネス情報の管理」をクリックすることで、ビジネス一覧が表示されます
商品提供方法に関する属性を管理する
小売の場合は、属性として商品の提供方法を表示させることも可能です。
オプションとしては「店内受け取り」「宅配」「店頭受け取り」「店舗内ショッピング」といったものから選択可能です。
日本では配送網が発達しているためか、店頭受取などはあまり馴染みが無いかもしれませんが、例えばアメリカなどでは注文から配達まで7~10日程度かかることも多い(追加料金を払えば航空便で翌日などもあったりしますが…)うえ、不在の場合は配達された荷物が玄関先に置き去りにされたりするので盗難に会いやすいという事情もあります。
故に決済はオンラインで行って、商品は近くの店舗で受取りしたほうが速いし安全に受け取れるといったケースもあります。この方法であれば、時間も配送コストもぐっと抑えられますし合理的。
もしオンラインで決済できたり、事前連絡の上で入店せずに商品が購入できるような仕組みが準備できている場合は、こういった属性オプションを選択するのもひとつの手ですね。
サポート募集リンク機能の登場
ビジネスプロフィールにギフトカード購入のためのリンク、寄付のためのリンクを追加する機能がリリースされました。サポート募集リンクで集めたお金がどのように活用されるかも記載することができ、寄付される方、お店の方が共に気持ちよく使える機能ですね。
海外では駐車場受け取り(カーブサイド・ピックアップ)が浸透しつつある
これもアメリカの例になりますが、前項でも触れたとおり、店舗で受取るニーズが日本よりも高い事もあり、店頭受け取りサービスも進化をしています。
進化したそれは駐車場受け取りというもので、アメリカではカーブサイド・ピックアップと呼ばれます。オンラインで商品を手配し、指定された店舗の駐車場に自走車を停めると、店員さんが自動車に商品を積み込んでくれるという方法です。この場合、商品を受け取るのに車から降りることは一切ありません。
車から一切降りることがないのですから、人との接触を極力避けることができるわけです。つまり、新型コロナウイルスを始めとする感染症に感染する危険性を低くする事ができると言えます。
日本でも2020年5月よりマクドナルドが「パーク&ゴー」という名称で、このカーブサイドピックアップの取り組みを開始しました。マクドナルド公式アプリでオーダーすると、指定した店舗の駐車場で車から降りることなく商品が受け取れるというものです。
こういった取り組みを大手の企業が実施してくれるということは、社会的にもとても大きな意義があるので、これをきっかけに色々な企業でテスト的でもいいので採用してほしいなと個人的には思います。
店舗に駐車場があって、決済や商品受け取り時のコミュニケーションの仕組みさえ整えば、駐車場受け取りという手段の提供もひとつ検討しても良いのかもしれません。
もう一つ国内のカーブサイドピックアップの例をご紹介しましょう。
ドライブスルー八百屋という名称ですが、Webで予約をして指定の日時に指定された場所に行くと、車から降りずに商品を購入できるというサービスです。最近では精肉や鮮魚も取り扱いを始められたようです。
このケースでは予約販売という形をとっているため、急なキャンセルが発生したときにどうするかというリスクはあるものの、必ずしもオンラインで決済を行う必要はありません。つまり、考え方を変えればすぐこの仕組みは導入できてしまうのです。
日本でも生鮮食品など日持ちしないものを取り扱う場合などは、この駐車場受け取りと相性が良いのではないのでしょうか。
目まぐるしく変わる情勢に合わせた対応を
緊急事態宣言が解除となり、コロナウィルス感染症が拡大する前の状態に戻りそうな気配はありますが、ソーシャルディスタンスを保たないと感染してもおかしくないという意識は強まっています。
国からは新しい生活様式に関する提言もなされていますし、まえがきで触れたように、いつ次の感染流行の波が来てもおかしくはありません。コロナ前と言われる状況が戻ってくることは無いと思って頭を切り替えるべきです。
そのためには、いまどのようなメッセージを発する必要があるか、どのような仕組みをつかったら安心して買い物ができるのかなど、その時その時に都度考えて様々なものをアップデートをしていく必要があります。
まだまだ先が見えませんが、手元にあるカードを増やして最大限それが活用できるよう、できることからコツコツと進めていきたいですね。