YouTubeをラジオ感覚で聴いている人も多いのではないでしょうか?
たとえば、読書をしながらYouTubeでクラシック音楽を聴いたり、料理をしながらポッドキャストを聴いたりしている方もいるでしょう。
そうした主に音声のみでYouTubeを楽しんでいるユーザーに対してアプローチできるのがYouTubeの「オーディオ広告」です。
参考:YouTube を聴取しているユーザーにリーチできる「オーディオ広告」がリリースされました - Google 広告 ヘルプ
今回は、YouTubeオーディオ広告のメリットや設定方法、クリエイティブ制作のポイントを紹介します。
目次
YouTubeオーディオ広告とは?
YouTubeオーディオ広告とは、YouTubeを観ているのではなくて聴いていると思われるユーザーに対して配信される音声に最適化された動画広告です。
YouTubeやYouTube Musicで長時間のリスニング中のユーザーなど、YouTubeとYouTube Musicの無料版アカウントに配信されます。
参考:YouTube オーディオ広告を作成する - Google 広告 ヘルプ
YouTubeオーディオ広告を配信するメリット
まずは、YouTube上に掲載される他の動画広告と比べてオーディオ広告を配信するとどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
音声は記憶に残りやすく認知拡大にも効果的
オーディオ広告は、他のYouTube広告と違いインストリーム広告のようなスキップ機能がついていません。そのため、最初から最後まで広告を聴いてもらえる可能性があります。
また、音声は映像と比べて、過去のことや以前触れたときの状況などを思い出し「自分ごと化」につながりやすく、記憶維持率が高いという研究結果もあります。テレビCMのフレーズが耳に残って頭から離れないことはよくありますよね。
参考:音声広告は映像広告と比べて記憶の維持率が高い!radiko、その理由を脳科学的実証実験で解明
このようにYouTubeオーディオ広告は最後まで聞いてもらえる仕組みになっている、かつ、YouTubeを“聞いている”ユーザーにアプローチができることから音声広告と同様に記憶に残りやすい特徴を持つため、商品やサービスを「知ってもらうこと」を目的に行う認知施策で有用な手段といえます。また、ながら聴きであるため広告が邪魔に感じにくいこともメリットのひとつです。
以下は、自動車メーカーが行なったサマーセールにおいて、YouTubeオーディオ広告を活用して、広告想起率を21%向上というブランド認知に成功した事例です。
クリエイティブは既存の動画素材を再利用し、ターゲットはテクノロジーやソーシャルメディアに関心がある人や、ハッチバック(バックドアのない荷台のない車)の購入を前向きに検討している人に配信した結果、広告想起率は21%向上し、ブランドの認知を高めることに成功しました。
参考:Why marketers should care about the music industry’s latest transformation - Think with Google
制作費が動画広告よりも抑えられる場合が多い
動画の制作費は「構成」「キャスティング」「撮影」「編集」「ディレクション」などの要素によって大きく変動するため内容にもよりますが、Web広告用の動画の制作費は数万円から100万円ほどです。
参考:【動画制作の費用相場は?】費用の仕組みやフリーランスに依頼する場合も解説!| Lancers
その点YouTubeオーディオ広告は、イメージが伝わればシンプルなスライド動画やアニメーション動画でも良いため、従来の動画制作費よりも安価に制作できる可能性があり、クリエイティブ制作費を抑えてチャレンジできる広告メニューといえます。
YouTubeオーディオ広告のクリエイティブ仕様
YouTubeオーディオ広告は、YouTubeにアップロード済みの動画を使って広告を配信します。
しかし、YouTubeにアップロード済みのすべての動画がオーディオ広告として配信できるわけではありません。オーディオ広告の入稿仕様に沿った動画のみが利用可能です。
YouTubeオーディオ広告の入稿仕様は下記のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
広告(動画)の長さ | 最長15秒 |
ファイルサイズ | 最大128GB |
解像度 | 426 x 240(240p) 640 x 360(360p) 854 x 480(480p) 1280 x 720(720p) 1920 x 1080(1080p) 2560 x 1440(1440p) 3840 x 2160(2160p) |
アスペクト比 | 16 : 9 ※4 :3 も可能ですが、動画の左右両端に黒い帯が表示されます |
YouTubeオーディオ広告の動画のサンプルはこちらをご確認ください。
シンプルなアニメーション
静止画像
動画引用元:YouTube オーディオ広告を作成する -Google 広告 ヘルプ
YouTubeオーディオ広告の設定方法
オーディオ広告の概要がわかったところで、次はキャンペーンの設定方法から広告の入稿方法を説明します。
キャンペーン設定
広告管理画面を開き、「キャンペーン」を選択し、「+」ボタンをクリックして新しいキャンペーンを作成します。
キャンペーン目標は「ブランド認知度とリーチ」を選択し、キャンペーンタイプは「動画」を選択します。
キャンペーンのサブタイプは「オーディオ」をクリックします。
※オーディオを選択してもYouTube動画広告として配信されることがあります。
続いて、キャンペーン内容を設定します。
①キャンペーン名を入力します。
②入札戦略を選択します。
※2023年12月時点、オーディオ広告で選択可能な入札戦略は「目標インプレッション単価」のみ選択できます。
③予算を設定します。
④「ネットワーク」を選択します。
※デフォルトで「ディスプレイ ネットワークの動画パートナー」のチェックボックスにチェックが入っていますが、「ディスプレイ ネットワークの動画パートナー」にはオーディオ広告は配信されません。念のためチェックを外しときましょう。
⑤「地域」と「言語」を設定します。
広告グループ設定
次に、広告グループを作成します。
⑥広告グループ名を入力します。
⑦広告をリーチする対象「ユーザー」や広告を表示する場所「コンテンツ」を設定します。
広告の設定
最後に、オーディオ広告を作成します。
⑧動画URLまたはキーワード検索をして、オーディオ広告で配信したいYouTube動画を選択します。
YouTubeオーディオ広告に使用する動画は、事前にYouTubeにアップロードしておく必要があります。なお、動画の公開設定が「非公開」では広告に利用できません。動画をアップロードしたら公開設定を「公開」または「限定公開」に設定しましょう。
YouTubeに動画を投稿して公開設定するには、「YouTube Studio」というクリエイターツールを使用します。詳しい設定方法は下記のYouTubeヘルプを参照ください。
参考:YouTube 動画をアップロードする -YouTube ヘルプ
⑨広告遷移先のページURLと表示URLを入力します。
⑩最後に広告の名前を入力し、[キャンペーンの作成]をクリックして完了です。
音声広告のクリエイティブ制作のポイント
ここでは、YouTubeオーディオ広告などの音声広告のクリエイティブ制作のポイントを紹介します。
音声は聞き取りやすいスピードを意識する
YouTubeオーディオ広告は音声に最適化された動画広告のため、音声の聞き取りやすさを意識することが大切です。
言葉を伝えることのプロであるアナウンサーが話す早さは、「1分間に300文字」と言われています。
YouTubeオーディオ広告の尺は最長15秒です。15秒の動画であれば、75字程度で伝えたいことをまとめることをおすすめします。それ以上は、話すスピードが速い印象となり、うまく伝わらない可能性があります。
冒頭の5秒でユーザーの興味を惹く
他のYouTube広告と同様、オーディオ広告も冒頭の5秒でユーザーの興味を惹くことを心がけたいです。
なぜなら、オーディオ広告が配信されるユーザーの多くは、YouTubeを好み、インストリーム広告などのスキップできる広告に慣れている人だからです。また、オーディオ広告はながら聴きしている人も多いため、興味がないと他のことに意識をすぐ移せる環境にあります。
ですので、オーディオ広告も他のYouTube広告と同様に冒頭の5秒が壁になります。冒頭の5秒までにユーザーの興味を惹きつける仕掛けを入れることが重要で、商品やサービスを知ってもらう可能性を高めます。
例えば、ビールの広告であれば、缶をあけたりコップに注ぐ音を入れたりしてしずる感を出すなど、冒頭でユーザーの興味を惹きつけられたらその後の内容も聞き入ってくれそうですよね。
短時間で印象づける
YouTubeオーディオ広告は、YouTubeを聴いていると思われるユーザーに対して配信されるため、動画は見られにくいです。そのため、音声のみで商品やサービスを知ってもらう必要があります。また、YouTubeオーディオ広告の尺は最長15秒と短いです。
そのため、企業名や商品名を含めるのはもちろん、短時間で印象づける工夫が重要です。
例えば、サウンドロゴ(※)を使って企業名や商品名を強く印象づけたり、サウンドロゴがなくても、繰り返し企業名や商品名を伝えることで耳に残りやすくなります。
ほかにも、俳優さんや声優さんをナレーションに起用したり、懐メロを流したり、耳慣れた音や声を利用して端的に伝えたいことを伝えることで、「何の広告だろう?」と興味をもって聴いてくれるので印象に残りやすいです。
※サウンドロゴとは、効果音やメロディーを使い、企業名や商品などを宣伝する楽曲のことで、ブランドロゴを音で表現したものです。
次の行動を促すフレーズを入れる
YouTubeオーディオ広告の尺は最長15秒と短いため、ユーザーに覚えてもらうためには「次の行動を促すフレーズ」を広告内に入れることが重要です。
たとえば、ドラッグストアなどの店舗数が多い企業であれば「近くの店舗へアクセス」のように、端的に移してほしいアクションを伝えるのが良いでしょう。
動画もみられる可能性がある前提で用意する
YouTubeオーディオ広告はYouTubeやYouTube Musicを見ているユーザーにも配信されます。YouTubeやYouTube Musicを聴いているユーザーに最適化された広告とはいえ、動画が簡素なものになり過ぎないように注意しましょう。
ちょうど画面を開いていて、広告を見たら真っ暗な動画や静止画(※仕組み上は可能です)では、商品やブランドに良い印象は持てないですよね。
シンプルなスライド動画やアニメーションに行動を促すフレーズを入れるなど、YouTubeやYouTube Musicを見ているユーザーにも表示されることも忘れないようにしたいですね。
まとめ
私のまわりでも家事の合間にYouTubeを聴いている、YouTubeをバックミュージック代わりに聴きながら仕事をしているという声を聞きます。YouTubeを聴いて楽しむ人も増えているのではないでしょうか。
米国のデジタル広告に特化した市場調査会社eMarketerによると、デジタルオーディオ広告の分野における米国のメディア予算は、今後も増加傾向になると予測されています。
今後も増えていくだろう「ながら聴き」をしている可処分時間にアプローチするためには、オーディオ広告の配信を視野に入れておきたいですね。