広告でいくら集客を頑張っても、LP(ランディングページ)が使いづらければ、穴の空いたバケツに水が溜まらないように、効率的にコンバージョンしてもらうのは難しいですよね。
LPの課題を解決し、よりコンバージョン率を高めるための方法のひとつに「A/Bテスト」があります。LPにおけるA/Bテストとは、Webサイトのコンテンツを2つのバージョンで用意し、どちらが効果的なのかを比較する方法です。
しかしながら、条件が整わないままにA/Bテストを行っても「結局どっちがよかったんだろう?」と時間も労力も無駄になってしまいます。
この記事では、LPのA/Bテストを円滑に進めるために、事前に把握しておきたい情報をピックアップしてお伝えします。
揺れの少ないA/Bテストを行うためのポイントを知りたい方は、先にこちらの記事を先にお読みください。
目次
ページの役割と流入経路
多くのLPは、広告や自然検索、SNSなど、さまざまな場所から流入します。そのため、広告の成果が改善しても、他の流入経路からの訪問者の目的と合わずに離脱してしまう可能性があります。
流入経路によって、ユーザーの目的や行動が大きく異なるため、その特性を理解しておく必要があります。たとえば、新規顧客と既存顧客が混在するサービスサイトでは、ファーストビューの設計を両者の目的に合わせる必要があります。
このように、LPの役割や訪問者の属性、流入経路など、ページの全体像を把握することで、効果的なA/Bテストが行えます。GA4やGoogle Search Consoleなどのツールを活用し、詳細な分析を行うと良いでしょう。
プロジェクトメンバーやクライアントと、ページの特性に応じた最適な施策を検討することが重要です。
また、一つのサービスに複数の広告代理店が支援をしている場合、同じLPを流入先に設定していることもあるため、対処方法をプロジェクトメンバーやクライアントに相談しましょう。代理店ごとにLPを分ける、特定のパラメータがついている場合のみA/Bテストを実施するなどの対応が可能です。
セッション数とコンバージョン数
LP経由のセッション数とコンバージョン数は、A/Bテストの検証期間を出すために重要です。理由はサンプル数が少ないと有意差が出ない可能性が高く、施策の信頼度が低くなりやすいためです。
一般的に、有意差は95%以上で信頼度が高い結果と言えます。有意差がないと、タイミングや状況によっては違う結果になる可能性も高くなるため、勝ちパターンをLPに導入しても必ず良くなるとは言えなくなります。
有意差の判定はLPOツールに機能が用意されている場合や、以下のような無料で有意差を判定できるツールがあるため、活用すると自ら関数などを用いて算出するよりスムーズです。
参考:A/Bテスト信頼度判定ツール(有意差判定) - 株式会社真摯
セッション数やコンバージョン数は時期的な要因で上下することがあるため、過去1年ほどの実績を見て「テストを行う期間中に、数値に影響しそうな外部要因がないか」をあらかじめ確認しておきましょう。
PV数(有料LPOツールを利用する場合)
LPOツールを使う場合、PV数(ページビュー数、ページ閲覧数)に応じてプランが変動するものがあります。
上限を超えると計測が止まることもあるため、あらかじめ使おうとしているLPOツールのプランを確認した上で、必要に応じてPV数も確認しておきましょう。
コンバージョンポイントごとの重要度
LP起点のコンバージョンが複数ある場合、プロジェクトメンバーやクライアントとどのコンバージョンが重要か、すり合わせておきましょう。
たとえばBtoB商材や不動産販売など、購入までに時間がかかる商材によく見られるのですが、「資料請求」と「問い合わせ」など、コンバージョンポイントが複数設けられていることがあります。たとえばA/Bテストをした際に「資料請求」ではテストパターンが優勢、「問い合わせ」ではオリジナルパターンが優勢と結果が分かれるケースがあり、事前に優先度を決めておかないと優劣がつけられなくなります。
資料請求 | PV数 | CV数 | CVR | 有意差 | 配信比率 | 勝敗 |
---|---|---|---|---|---|---|
オリジナル | 10000 | 30 | 0.3% | 95% | 50% | 負け |
テスト | 10000 | 45 | 0.45% | 50% | 勝ち |
問い合わせ | PV数 | CV数 | CVR | 有意差 | 配信比率 | 勝敗 |
---|---|---|---|---|---|---|
オリジナル | 10000 | 45 | 0.45% | 95% | 50% | 勝ち |
テスト | 10000 | 30 | 0.3% | 50% | 負け |
また、「問い合わせ」が重要なのに「資料請求」を促す施策を優先度高く提案してしまう可能性もあるため、確認をしておくことで施策の優先度を間違えずに提案ができます。
オリジナルとテストの結果が等しい時の対応
A/Bテストの結果が、オリジナルとテストでほぼ等しい結果になることはざらにあります。そのような時に、オリジナルのままかテストを反映するかを事前に決めておきましょう。
「結果がほぼ同じなら反映しなくても良いのでは?」と感じる人もいると思いますが、購入前にユーザーがどんな情報を得たかによって、継続率が変わることもあります。
「購入前の情報が足りず、実際に商品が届いてみるとイメージと違った」ということもあり得るので、定量のみで判断せず、総合的に考えてどちらのパターンで進めるかを事前に決めておきましょう。
プロジェクトメンバーやクライアントなど関わる人にも、定性的な観点でも判断することを事前に伝えておくと、認識の齟齬がない状態で提案と結果報告ができます。
提案する施策が実装できるか
施策の内容によっては自分だけでは対応が難しく、デザイナーやエンジニアのアサインが必要な時もあります。
たとえば、テキストとイメージを一体化した画像の場合、LPOツール上ではテキストの変更ができないため、デザイナーへ画像作成の依頼が必要となってしまいます。
施策を実施する直前で「実装できなかった」という事態を避けるために、自分のみで対応できるか確認し、実装できない場合は依頼先とスケジュールを調整しておきましょう。
自分で対応できるかどうか、すでに契約しているLPOツールがある場合は、LPOツール上でテスト実装することもできます。
Chromeの検証ツール(デベロッパーツール)で確認可能です。HTML/CSSの変更、要素の削除であれば容易に変更できます。やり方は以下記事の「ブラウザ上でソースコードを確認する方法」をご参照ください。
元のデザインデータが用意できるか
LPでテストパターンを実装する際、テキスト部分の修正だけであればデザインツールを使わずとも対応可能ですが、画像の追加・変更やサイトデザインの大幅な修正をする場合には、デザインツールを使用するのが一般的です。このとき、元のデザインデータがあると修正作業がスムーズになります。
元のデザインデータとは、たとえばPhotoshopで制作したバナーであればレイヤーありのPSDファイル(拡張子が「.psd」)、Illustratorで制作したバナーであれば未アウトラインのAIファイル(拡張子が「.ai」)のことです。その他のツールで制作した場合でも、「テキストや使用素材など、各要素が選択・変更できる状態のデータ」を用意するようにしましょう。
デザインデータがないと、元のデザインを再現するために1から素材を集めて画像を作り直す必要があり、当初の想定よりも時間がかかってしまった……ということになりかねません。
もし自社以外でデザイン制作をしている場合、元のデザインデータを送ってもらったり、契約内容によっては買い取る必要が出てきます。時間が経過するほどデータの取り寄せが難しくなるので、大幅な変更を伴うテストのデザインは、自社で制作するか、外部に依頼する際はデザインデータを購入する可能性も事前に検討しておくと良いでしょう。
まとめ
ここで挙げた情報を事前に調べておくことで、信頼度が高い結果を得られたり、仮説に基づいた有意義なA/Bテストを行うことが可能です。
また、プロジェクトメンバーやクライアントに対して、先回りしたコミュニケーションもできるようになり、「LPのセッション数はいくつですか?」ではなく、「LPのセッション数が検証にはやや十分でない可能性がありますが、検証期間を伸ばしましょうか?」と踏み込んだ質問が可能になります。
A/Bテストは、傾向が見えてくるとコンバージョン率を改善したり、他のクリエイティブに横展開することができる施策になるため、良い結果が出せるように事前に情報を調べて提案を行いましょう。