
今や動画SNSの代表格として、多くのユーザーを魅了しているTikTok。その成長に伴い、TikTok広告も日々進化を遂げています。
そんな中、限られたリソースでも高い広告効果を実現する手段として登場したのが、AIを活用した「Smart+(スマートプラス)キャンペーン」です。
今回はSmart+キャンペーンの特徴から設定方法まで、わかりやすく解説します。


目次
Smart+キャンペーンとは?
Smart+キャンペーン(以下、Smart+)は、機械学習と予測AIによって広告のパフォーマンスを最大化し、より適切なターゲット層に広告を届けることを目的とした機能です。
Google広告のP-MAXキャンペーンや、Meta広告のAdvantage+キャンペーン(ASC)などの配信メニューをイメージするとわかりやすいかもしれません。
Smart+キャンペーンと通常キャンペーンの違い
Smart+と通常キャンペーンは、大きく以下のポイントで違いがあります。
- 「広告セット」の概念がなく、入稿が簡単に
- ターゲティング・配信面・クリエイティブが自動で最適化
- 運用者が調整できる要素が少ない
それぞれ詳細に確認していきましょう。
「広告セット」の概念がなく、入稿が簡単に
通常のTikTok広告は「キャンペーン」>「広告セット」>「広告」という3階層で構成されていますが、Smart+には広告セットの概念がありません。
配信の目的、広告クリエイティブ、ターゲット地域、言語を設定するだけでいいので、通常キャンペーンより入稿の手間が少ないのが特徴です。
ターゲティング・配信面・クリエイティブが自動で最適化
ターゲティングや配信面は、広告が配信されるたびに成果を学習し、次回の配信で最適な結果を得られるように自動で調整されます。
また、最もパフォーマンスの高いクリエイティブにはより多くの予算が配分され、成果の低いクリエイティブは自動で配信停止されます。
さらに、テキストや動画のアセットも自動で組み替えてくれるので、クリエイティブ疲れの緩和や、広告セット全体の寿命を延ばすことができます。これにより、時間の経過とともに費用対効果の改善も期待できるのがSmart+の特徴です。
運用者が分析・調整できる要素が少ない
細かな運用調整が不要になる一方で、広告運用者が手を加えられる範囲は非常に限られます。
調整できる内容としては、主にアセットの入れ替えにとどまり、通常キャンペーンで可能なターゲティングの細分化や入札調整、配信面の制御などは行えません。
また、現段階でSmart+で確認できる指標は限られています。一例を挙げると「アセット別の成果」「ターゲット属性別の成果」「配信面ごとのパフォーマンス」は確認することができません。
特に社内外に対して配信結果のデータを詳しく共有する必要がある場合は、導入を検討する際にこの点を事前に擦り合わせておく必要があるでしょう。
Smart+キャンペーンの設定方法
Smart+の設定は簡単ですが、いくつかのポイントに注意する必要があるので見ていきましょう。
①キャンペーン作成画面にアクセス
TikTok広告マネージャーにログインし、キャンペーンの「作成」をクリックします。
②キャンペーンの目的を選択
Smart+キャンペーンの利用が可能な目的を設定します。(アプリプロモーション、リード生成、ウェブサイトのコンバージョン数)
3つの目的を選択するとSmart+キャンペーンのON/OFFトグルが表示されます。こちらのトグルをONにすることでSmart+キャンペーンの配信設定が可能になります。
③最適化&予算編成の設定
Smart+キャンペーンの配信設定画面に移ります。
最適化の目標、データ連携する広告アカウント、最適化イベントをそれぞれ設定していきましょう。
④ターゲットオーディエンスの設定
次にターゲットとなる地域、言語、必要に応じてオーディエンスの除外の設定を行います。
⑤プレースメントの設定
アプリプロモーション、リード生成、ウェブサイトのコンバージョン数どの目的を選択した場合でも、自動プレースメントで配信が行われます。
※TikTokもしくはPangleを除外して配信を行いたい場合は、別途Smart+キャンペーン以外のキャンペーンを作成し、手動でプレースメントを選択する必要があるので注意しましょう。
⑥予算とスケジュールの設定
次に広告の予算と配信期間をそれぞれ設定します。
⑦広告素材のアップロード
最後に広告素材(画像、動画など最大30個 広告用テキスト100文字/最大5個)をアップロードします。
広告素材のアップロードが完了したら「公開」をクリックすることで審査のうえ、配信が開始されます。
Smart+キャンペーンの運用のコツ
Smart+を最大限に活用するためには、いくつかの推奨設定事項があります。
TikTokピクセルとイベントAPIを設定する
ピクセルとイベントAPIを設定することで、コンバージョンデータをトラッキングし、キャンペーンをさらに最適化できます。
コンバージョンデータの精度の向上が見込まれるので設定を推奨します。設定には技術的要素が必要で複雑な内容となるのでエンジニアの方と連携して設定を進めましょう。
少なくとも4本以上のアセットを用意し、バリエーションを持たせる
Smart+では、動画や画像とテキストを自動で組み合わせ、最適な配信パターンを見つけていく仕組みです。そのため、最低でも4本以上のアセットを用意しておくと、より高いパフォーマンスが期待できます。
たとえば動画冒頭の演出を変えてみたり、秒数を15秒、30秒、60秒といった形で異なる長さの動画を用意したりすることで、バリエーションを増やせます。また、動画だけでなく静止画も組み合わせることで、配信のパターンに幅を持たせることが可能になります。
こうした“変数”を意識的に作っておくことで、Smart+の自動最適化がより機能しやすくなり、成果の伸びにもつながるはずです。
CPAの10倍程度の日予算を確保する
初期学習を促進するには、十分なボリュームの配信データが必要です。そのため、過去に獲得していたCPAから少なくとも10倍程度の日予算を設定して、配信するのが良いでしょう。
配信開始後の7日間は予算の減額やアセットの削除をしない
Smart+は配信しながら成果を学習・最適化していく仕組みのため、短期間での成果判断は禁物です。最低でも7日間以上の継続配信を行うことで、安定したパフォーマンスの兆しが見えてきます。
また、配信開始から最適化が進むまでの学習期間中に一部の操作を行うと、学習がリセットされてしまう可能性があります。とくに日予算の減額やアセットの削除、コンバージョンイベントの変更などは、学習途中のデータを無効にしてしまう可能性があるため、初期の7日間はできる限り変更を加えずに様子を見るのが理想的です。
7日が経過しても成果が出ない場合は、アセットの追加やKPIの見直しを
TikTok公式では、「学習期間中に50件のコンバージョンを達成する」ことが安定配信の目安とされています。 この学習が十分に完了すると、安定した広告配信の開始が望めるでしょう。
一方で、学習期間中に十分なコンバージョンが得られず成果が出ないことがあります。 その場合は初期学習後の8日目以降に以下のような対処を行いましょう。
- アセットの追加・差し替え
実質的に最も効果的かつ推奨される調整方法。訴求軸を変える、導入部分の構成を変える、尺を変える、CTAを強めるなど。特にクリック率や視聴完了率が低い場合は冒頭5秒を見直すのが効果的。 - KPI・成果地点の見直し
Smart+では自動最適化のゴール(コンバージョンイベント)を明確に設定しておくことが重要。たとえば「購入」ではなく「カート追加」や「LP遷移完了」など、1ステップ前のCVに変更してみる。
まとめ
Smart+キャンペーンでは、明確にターゲティングや配信面を切り分け、広告を一つひとつ検証していくという運用は必要なくなります。
ただ、広告管理画面の数値をもとに最適化されるため、リードの質にどんな変化があるかなど初動はとくに注意が必要です。
今回紹介した通常キャンペーンの違いや運用のコツを押さえた上で、ぜひ利用を検討してみてくださいね。
