【SMX East 2018】Google キーノートより:着実に進むオンラインとオフラインの連携、その他アップデート情報

【SMX East 2018】Google キーノートより:着実に進むオンラインとオフラインの連携、その他アップデート情報
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検索エンジンマーケティングをテーマにした大規模イベント「SMX(Search Marketing EXPO)East」が2018年10月24・25日の2日間にわたり、米国のニューヨーク市で開催されました。

参考:SMX® East | October 24-25, 2018 In NYC | Search Marketing Expo


イベントの2日目である10月25日の朝、キーノートにGoogleのGoogle 広告のプロダクト・マネージャーであるJon Diorio氏と同社のOtoO(Online to Offline)のグローバル・プロダクト・リードのAnnah Dominis氏が登壇しました。モデレーターは本イベント主催のThird Door Media社チーフエディターで、Search Engine Landでもお馴染みのGinny Marvin氏が務めています。

このセッションでは、Google社のなかのひとから直接、Google 広告の新機能や今後の開発について聞くことができました。本記事ではこのセッションで発表されたGoogle 広告のアップデート情報をご紹介します。


電話より好まれるメッセージでのコミュニケーション

ピザ好きだというJon Diorio氏が、久しぶりのニューヨークでおすすめのお店を尋ねる際に、多くの人がそうしているように、電話をかけるのではなくメッセージを送って聞いた、と昨晩のエピソードを振り返りました。

また、実際のデータを示しながら「多くのひとが一日に何回もメッセージをやり取りし、商品やサービスの情報を得るためにメッセージを使うのを好む」と、生活者がメッセージに慣れ親しんでおり、電話に比べてメッセージが好まれている現状と解説を加えます。

メッセージ表示オプションの3つのアップデート

Google 広告において、ユーザーが広告上からメッセージを直接的に送ることのできる機能が、検索広告の「メッセージ表示オプション」です。

Jon Diorio氏は「現代の生活においてテキストメッセージでのコミュニケーションはとても大きい存在です」とその重要性を強調し、メッセージ表示オプションに関する3つのアップデートを発表しました。

自動返信機能

検索広告の場合、ユーザーは調べている内容にすぐに答えが見つかることを期待しているのではないでしょうか。いつでもすぐに返信はできなくても、メッセージが無事に受け取ってもらえたことが分かればユーザーは安心します。実際にメッセージ機能はいいが、ユーザーは即レスを期待しているだろうけど、いつも瞬時に返信することはできない、といった声が多かったようです。

この自動返信機能では、ユーザーから来たメッセージにあらかじめ設定したメッセージをすぐに返すことが可能となり、そうした期待に応えることができます。例えば営業時間外でも「お問い合わせありがとうございます。」「明日、返信します」といったようなメッセージの返信ができるのようになり、が無事に受け取れていることを伝えられます。

Eメール転送機能

メッセージを受け取る側の利便性もお互いにストレスなくやり取りを行うためには重要です。

これまでメッセージ表示オプションは、特定の電話番号を設定しSMSメッセージでのやりとりが必要でした。そのため、新しく電話番号を用意したり、SMSで送られてきたメッセージに対応できるのは限られてしまうことがネックでした。

今回、このEメール転送機能によって、メッセージがEメールに転送されるようになり、また広告主はEメールに返信することでSMSでユーザーにメッセージを送ることができます。メーリングリストを設定すれば、効率的にメッセージに対応できることも期待できます。

メッセージコンバージョン

メッセージ表示オプションの計測のためにレポートも拡張され、やり取りの回数でコンバージョンの定義ができるようになります。例えば、レストランで通常2回以上のメッセージのやりとりで予約が発生するようであれば、その回数をコンバージョン発生の閾値として設定しコンバージョンを計測していけるようになるとのことです。

この機能により、スマート自動入札でより深いやりとりが見込める機会に対しての最適化が期待できるようになります。

参考:メッセージ レポートについて - Google 広告 ヘルプ

来店コンバージョンの機能改善

Annah Dominis氏は「Eコマースが広がっていると言ってもほとんどの購買はいまだに店舗によるもので、多くの人は実店舗を持つブランドで買い物をしたいと思っている」というデータを示し、ほとんどのカスタマージャーニーの終点はいまだにオフラインであることを強調しました。そこでオンラインと同様にオフラインでの売上をできるだけ増やせるよう、来店コンバージョン(store visit)に関する以下の2つのアップデートが発表されました。

来店コンバージョンのデータも機械学習の対象に

データドリブンアトリビューションは、マシーンラーニングによってコンバージョンパスを分析し、どのキーワードや広告などが実際にコンバージョンに貢献してるか明らかにしてくれます。Googleの機械学習を活用した機能であるデータドリブンアトリビューションやスマート自動入札によって来店コンバージョンが引き上がることを、Annah Dominis氏は起点となったキーワードによってコンバージョン率に差が出るという例を示して説明しました。

来店コンバージョンにつながったパスもわかるようになると、ユーザーのオンラインとオフラインの両方の行動を加味して、より適切な予算配分ができるようになることが期待できそうです。

またキーワードと同様に入札に重要な要素として店舗との距離の例も紹介されました。昨年のホリデーシーズンにおいて、店舗からの距離が近い人に対しての入札の強化があった場合は、そうでない場合と比べてQoQ(四半期前年比)で大きく来店コンバージョンが伸びたそうです。店舗ビジネスにおいてはユーザーの位置情報は特に重要なシグナルだと思いますので、スマート自動入札によってロケーションのシグナルなどを活用してより良い入札ができるようになると来店コンバージョンも大きく改善することが期待できそうです。

Google アナリティクスでの来店計測の開始

一部の広告主向けにGoogle アナリティクスでも来店コンバージョンが計測できるようになるそうです。これによりGoogle 広告以外のチャネルの来店コンバージョンへのインパクトも把握できるようになります。メールやソーシャル、オーガニックサーチなど、それぞれチャネルがどの程度、来店コンバージョンに貢献しているかがわかれば、ビジネス全体でより適切な予算のアロケーションが期待できますね。

参考:広告主様に新しいローカル マーケティング イノベーションをご紹介します - Google 広告 ヘルプ
「Google アナリティクスでの来店数測定を開始します」を参照

Google アドワーズからGoogle 広告にリブランディングしてからもなお、入稿ツールであるAdWords Editorは”AdWords”のままでしたが、ついにGoogle Ads Editor が登場するそうです。デモ画面では今とは違ったかなり新しいUIが表示され、特に複数のアカウントを一つのテーブルに落とせ、一括で編集できたりと、アカウントをまたいだ編集作業がしやすい点が強調され説明されていました。

他にも以下の点が改善されるそうです。

  • クロスアカウント管理
  • 新しいUI
  • 電話専用広告の広告文への対応
  • アカウント単位の通話レポート
  • 動画キャンペーンのCTAと見出しの対応
  • 1 日の推奨予算

一部の機能はまだまだ管理画面でしか入稿できなかったりするので、多くのアカウントを管理する代理店の運用者にとっては嬉しいツールになるのではないでしょうか。


これからホリデーシーズンに入るため、小売などのビジネスに活きそうなアップデートが多かった印象です。来店コンバージョンに関するアップデートは、一部の広告主が対象ではあるものの、Google アナリティクスでGoogle 広告以外の成果も把握できるようになったりと、オンラインとオフラインの垣根のない効果計測が着実に実現してきている様子が伺え、今後がますます楽しみですね。

今回ご紹介した内容は、同日にもGoogle Ads Blogにて公式リリースが出ていますので合わせてご確認ください。 

参考:Drive better results: An insider's look at the latest Google Ads innovations

まとめ

会場では、マニアックな内容だけではなく、基礎的な内容を一通り学べるセッションがあったり、参加者の数に関係なく、日本に比べても質問が活発にされているのが印象的でした。いくつかのセッションのスピーカーは、オーディエンスに簡単なアンケートをとっていたのですが、半数以上がインハウスで運用型広告やSEOに携わっていると手を挙がりました。広告運用者でいえば、国内でもインハウスだとなかなか新しい情報や外部との情報交換をする機会が少ないと聞くことも多いですが、SMXというイベントがリアルな学びの場となっているようです。

ベータ版のプロダクト情報など何かと米国は情報も早く、運用型広告の分野でも一歩も二歩も先に進んでいると思っておりましたが、実際にイベントに参加した限りではそんなこともなく、セッションの内容も話題に上がるテーマも日本のものとそう大きな差はなかったように感じています。日本においても、インハウスや広告代理店という垣根なしに運用型広告を学べる機会が増え、国内外を含めて運用型広告の領域がさらに盛り上がっていくといいなと思いました。

ただ米国でのBing Adsの存在感や、Amazon広告の注目度の高さ、(ニューヨークのご飯代の高さ!)、などは現地で体感しておかないとなかなか実感が得られないので、行ってきて本当によかったです!

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