「問い合わせが絶えない」BtoB企業に聞く!商談につながるコンテンツを生み出す社内体制・教育・評価制度とは?

「問い合わせが絶えない」BtoB企業に聞く!商談につながるコンテンツを生み出す社内体制・教育・評価制度とは?

一般的にBtoB企業のマーケティング活動においては、BtoCと比べると広告の配信先となるメディアも少なく、また気軽に手にとってみるといった選び方ができない商品やサービスも多いため、コンテンツマーケティングに取り組むケースが多いかと思います。

しかしながら「ネタがなくてコンテンツが作れない」「コンテンツを作り続ける体制がなく継続できない」という悩みや課題を耳にすることも少なくありません。

今回、SaaSのインサイドセールス代行業を営むセールスリクエスト社主催で「BtoBコンテンツマーケティングが上手い会社にいろいろ聞いてみた!」と題したオフラインイベントが開催されました。

BtoB領域のマーケティング支援において「問い合わせの絶えない」才流社、LIG社、そして弊社の3社が、コンテンツマーケティングを成功させる秘訣についてざっくばらんにお話した内容をレポートしていきます。

イベント概要

ルールを決めて全社で取り組むコンテンツの内製

原(セールスリクエスト):コンテンツ制作に自社で取り組もうと思っている企業は多くあるものの、書くひとがおらず、せっかく立ち上げたオウンドメディアや企業ブログも、更新頻度が少なくなりその役目を果たせないというケースがありますよね。

今回登壇の3社はいずれもコンテンツの制作を内製していることでも知られていますが、どのような取り組みでコンテンツを制作しているのでしょうか?まずは各社の特徴的な取り組みから聞かせてください。

株式会社セールスリクエスト 代表取締役 原 秀一 氏

前職では法人営業・インサイドセールス立ち上げ・マネジメント従事を経験。2019年株式会社セールスリクエストを設立し、代表取締役に就任。インサイドセールス代行・Salesforce・HubSpot活用支援を行う。

株式会社セールスリクエスト

二平(アナグラム):弊社は、ブログの執筆を評価制度の定量評価のひとつとしています。

現状ではいわゆる”営業”だけを行う部署やメンバーはおらず、案件のほとんどをインバウンドあるいはご紹介でいただいてます。そのため、ブログの執筆は営業活動として重要な位置づけになっています。営業から広告運用まで一貫して行う体制でもあるため、ブログの執筆者は基本的に現場のメンバー自らが行っているのも特徴です。

アナグラム株式会社 マネージャー 二平燎平

BtoB中心に数十社以上の広告運用やコンサルティングを経験。前職にて中小企業向けERPのセールスやCS、マーケティングなどTheModelの全工程に従事した経験と運用型広告の知見を合わせた売上を伸ばすBtoBマーケティングコンサルティングに定評がある。アナグラム社では主にBtoB向けの支援や情報発信を担当。

まこりーぬ(LIG):LIGではもともと「みんなで記事を書くこと」をルールにしていました。

正直なところ上手く機能していない時期もありましたが、経営陣を巻き込んだり達成状況を可視化したりと、さまざまな働きかけを経て社内へ浸透させました。

LIGブログ 編集長  齊藤 麻子 氏

2014年九州大学芸術工学部卒業後に採用コンサルティング会社へ新卒入社。法人営業から新規事業推進、マーケティング業務に従事したのち、2018年にLIGへ。2021年にマネージャー、2023年にLIログ編集長に就任し、現在は自社のマーケティング、オウンドメディア運営に携わる。副業ではライターとして活動中。あだ名は「まこりーぬ」。

LIGブログ


澤井(才流):LIGさんと同様、弊社も全社員でコンテンツを作っています。

毎週水曜の9:00〜12:00は、社員全員がオンライン上に集まってコンテンツを作る「もくもく会」を実施しています。

株式会社才流 コンサルティング部門 責任者 澤井 和弘 氏

求人メディア運営会社にて営業・マーケティング・新規事業の立ち上げを担当。その後、SaaSツールを提供する会社に入社し、マーケティングチームの立ち上げ・事業責任者などを務め、デジタルマーケティングに関するメディアへの寄稿やB2Bマーケティングに関するイベント登壇などを行う。2019年2月より株式会社才流にてマーケティングコンサルタントとして活動し、現在はコンサルティング部門の責任者として活動を行う。

株式会社才流(サイル)

原(セールスリクエスト):やり方は三者三様であるものの、いずれもある種の「強制」を取り入れている点が共通点として浮かびましたね。経営陣を巻き込むなど、会社として「コンテンツ」を発信することの重要性への理解が会社単位で深いルール化を実現できる背景があるのでないかと思われます。

顧客と向き合い、課題や悩みを知ることでコンテンツが生まれる

原(セールスリクエスト):オウンドメディアに携わったことのある方なら誰しもが持っているであろう悩みのひとつに「ネタが続かない」「何をコンテンツにすればいいのか分からない」というものがあると思いますが、どのようにして、コンテンツを考えていますか?

澤井(才流):お客さまからいただいた質問をコンテンツ化することが多いです。また、ITや広告領域であれば、新しいテクノロジーや技術がでてくるたびにコンテンツ化できます。お客さまとしっかり向き合っていればネタ切れすることはないと思います。

もちろん変化が少ない業界などでは、必ずしも新しいコンテンツを出し続ける必要はありません。そのような場合には、あらかじめ必要なコンテンツを洗い出したうえで、作成していくのがよいでしょう。

二平(アナグラム):運用型広告の領域はアップデートが多いのでネタには困りませんが、逆にどの会社でも書くことができる内容が多くなります。そこで重要なのが、どれだけ一次情報をとりに行けるか、独自の視点を書けるかです。弊社の場合、現場のコンサルタントが執筆しているため、たとえば新しい機能を実際に使ってみて感じたポイントも合わせて伝えられるようにしています。

まこりーぬ(LIG):私は一時期、お客さまと直接話す機会のない業務に集中していたのですが、その際は正直ネタが切れていました……。お客さまと対面することができなかったことが大きいです。

いざ営業を兼務するようになってから、お客様の前に出て自ら話すのと、誰かに間に入ってもらうのとでは、お客さまが持っている悩みに対する解像度が全く違うと感じましたね。「よく聞かれる質問」や「知りたい情報や知識」を直接把握することで、お客さまの悩みを言語化できました。

クライアントと対面する機会がないことが課題の場合、何とか現場にでる機会を増やすことが大事だと思います。マーケティング担当者が営業に同席する、今回のような交流会に参加して話すなど機会をつくるのがおすすめです。

原(セールスリクエスト):未来のお客さまへ向けたコンテンツを作る場合、顧客とのコミュニケーションがコンテンツのヒントになるというのはとても共感ができますね。

また、組織の形態によっては顧客と直接コミュニケーションが取れないという方もいらっしゃると思いますが、営業への同行や交流会への参加など、自ら機会をつくるという点もコンテンツのテーマに悩んでいる方は、すぐにでも真似したいですね。

その人が本当に書きたいテーマだからこそコンテンツの品質が高まる


原(セールスリクエスト)
:内製しているがゆえ、知識や経験不足などによりメンバーによってはコンテンツの品質が足りなかったり、クオリティをどうやって上げればいいのか、というのもよく聞く悩みです。「コンテンツの品質」を保つためにどのような取り組みや体制を用意しているのでしょうか?

二平(アナグラム)編集部を設けて品質を担保できる体制を用意しています。

「その記事は面白いか(ためになるか)」「十分な知識を持っているか」「誰も傷つけていないか」などいくつかの方針を元にテーマを選定し、編集と二人三脚で執筆を進めていきます。

編集部も基本的に広告運用を経験している(現在も案件を持っているメンバーが多い)ので、フィードバックを通してコンテンツの品質も高められていますね。

澤井(才流):コンテンツの品質担保については2つあります。1つ目は、アナグラムさんと同じく、企画の内容が面白いかどうかです。企画がでてきた時点で話し合い、コンサルメンバーでブラッシュアップしています。もう1つは文章のクオリティですね。弊社の場合、コンテンツ部門が記事の編集・確認を行います。一言一句の細部まで想いを込めることが多く、フィードバックによって「こういう観点で記事を書く必要があるのか」という学びがありますね。

まこりーぬ(LIG):フィードバックに加えて「メンバーが興味をもっている領域で、コンテンツ作成を進めてもらう」って、大事だと思うんです。編集長という立場で記事を何百本と編集してきましたが、執筆者が一緒でも記事の完成度にばらつきがありました。分析した結果、「そのテーマに関してその人が本当に書きたい記事なのか」という点が大きいことがわかりました。得意なこと、伝えたいことをテーマに選定できれば、みんなハッピーになれそうです。

原(セールスリクエスト):フィードバックを綿密に行える体制がコンテンツの品質につながっているというところは各社共通でした。コンテンツを出すこと自体が目的ではなく、コンテンツを通して読者に提供したいものが明確だからこそクオリティを求められているのではないかと思います。

また、LIGまこりーぬさんの「その人が本当に書きたいテーマ」なのかという視点は、なかなか持てていない視点ではないでしょうか?書きたいと思っているテーマだからこそ、熱量のある記事になり、回り回って読者のためになるのではないかと思いました!

継続的に取り組むからこそ、ニーズが生まれるタイミングに対応できる

原(セールスリクエスト):コンテンツを出し続けるのにはどのような理由があるんでしょう?

二平(アナグラム):困ったときに思い出していただけるよう、コンテンツを出し続けて接点を増やすことを意識しています。

社内ではよくリードに対して言われる「ナーチャリング(育成)」という言葉は使っていません。例えば広告の運用代行の場合、「他の代理店に依頼しているけどうまくいかなくなった」「自社でインハウス化しているけどナレッジが足りないことに気づいた」というように課題が明確になり、はじめて外注ニーズが生まれるためです。

実際に、「ブログでコンテンツをよく見ており、アナグラムさんに問い合わせてみました」とご相談をいただくことが多いです。広告運用の現場で発生する悩みや広告主から伺った課題などさまざまなコンテンツを提供することで普段から接点を持つことができ、外注ニーズが生まれたタイミングで第一想起群に入れるケースが多いのではないかと思っています。

まこりーぬ(LIG):アナグラムさんと一緒で、コンテンツを出し続けることに集中しています。

たとえば定期的にセミナーを開催していたところ、「今期の予算が余っているので、ちょうどその領域に取り組みたいと思っていたんです」というお話をいただきました。このようにコンテンツを出し続けることで、突発的ニーズに対しても対応できる可能性が高まると感じましたね。

原(セールスリクエスト):BtoB企業にとって、顧客の興味や関心、商品やサービスが必要となるタイミングを把握するのにもコンテンツは役立っているのがよく分かりますね。闇雲にコンテンツを出すのは論外だと思いますが、必要なタイミングで必要なコンテンツに出会えるよう情報を継続的に出していくこと自体にも価値が生まれるのだと思います。

さまざまなコンテンツがあふれるいま、コンテンツを見つけてもらうために何を意識していますか?

まこりーぬ(LIG):ひとひねり加えることです。実績を提示して信頼性を得たり、バリューを伝えるのって重要なんですが、他の会社も実施していますよね。そのような中で、何か記憶に残り思い出してもらえるようなものがあると第一想起をとりやすいと感じました、LIGの場合は面白ブログでしたね。

澤井(才流):アナグラムさん同様、「BtoBマーケティング」というキーワードにおいて第一に想起してもらえるようコンテンツを出し続けることが重要だと考えています。ブログの執筆、セミナー、書籍、直近だとあたらしくYouTubeをはじめたのも、この目的を達成するためですね。YouTube経由では、これまで接点がなかったお客さまから問い合わせをいただき、露出を増やすのも大事だなあと感じています。

ただし、量を担保するだけでは意味がありません。品質を担保しながらカテゴリー内で接点を増やすことが重要だと考えています。

二平(アナグラム):運用型広告に関することを調べていると、いつも「アナグラムのブログに行き着くな」という状態を目指しています。もちろん自社のドメインだけではリーチが限られるため、寄稿や書籍、別メディアの運営などさまざまな選択肢があると思います。


現在では、情報収集先も人によってさまざまです。ブログ記事を分かりやすい図解にしてSNSへの投稿を行ったり、セミナー形式で解説したりと届けるための工夫はこれからさらに重要になっていくと思います。

原(セールスリクエスト):困ったときに一番に思い出してもらう、いわゆる「第一想起」してもらうには、他社とは違う工夫が必要ですね。インパクトのあるコンテンツを出したり、カテゴリーを絞って接点を増やしたり、届け方を増やしたりと、会社が違えば取り組み方もさまざまな工夫があるのは興味深いです!

自社にあった施策の選択と集中で成功の確率を高める

原(セールスリクエスト):コンテンツマーケティングは一般的には成果が出るまでに掛かる時間が比較的長い施策ですよね。リソースが十分ではない立ち上げのタイミングで実施する施策を絞るのは、上手くいかなかったときのことを考えると勇気がいるかと思います。これまでの経験を踏まえて、施策には集中して取り組むべきか、それとも分散しておくべきなのでしょうか?


まこりーぬ(LIG):集中したほうが良いと思います。中小企業のマーケティング責任者を経験し、施策を分散するとその分コミットメントが下がることを痛感しました。成果がでるまでやりきれなかったり、中途半端に実施することで「辞める?辞めない?」議論を繰り返すことが多かったです。

LIGの場合、直近はSEOにリソースを寄せたことで成果がでました。SEOを選択したのは、LIGはもともとのドメインが強く、成果に直結しやすいっていう前提があったからです。SEOを得意とするメンバーがジョインし、対策できるように動いてもらったお陰で成果がでるようになりました。リソースを振り切ったことが良かったですね。

澤井(才流):弊社の場合、検索連動型広告、SEOで購買につながりやすいキーワードに集中する、LPのサイト改善を行う、セミナーを実施するなどですね。成果がでやすい施策をやり切ったあと、拡大していくという考えでもいいんじゃないかなと思います。

今こうやって自信をもって言えるのも、以前まったく逆のことを実施していたためです。事業会社でマーケティングをやっていた頃は、どの施策に効果があるかを想定できていませんでした。とにかくいろんな施策を実施して、うまくいったものに絞っていました。

二平(アナグラム):先ほどもありましたが「継続性」というのは大きなチカラになるため、成果が出ると確信できるものであれば、集中して取り組むことで成功の確率を高められます。逆にリソースがないのに分散してしまうと、損切りのタイミングが測れず、いつまでもズルズルと惰性で続けてしまう、というケースもよくみますね。

編集後記

BtoB企業かつ、オウンドメディアを中心としたコンテンツマーケティングに取り組む各社は、その取り組みや考え方も良く似ているのだろうと思っていました。もちろん、共通するものも多くありましたが、コンテンツ作成の体制ひとつとっても、各社の色が出ており、まったく同じというものはなかったように思います。

「アウトの取り方は色々ある」とも言うように、自社の得意なことや環境によって取り組みは変わってくるということではないでしょうか?

他社のやり方を模倣するというよりも、どのように考えて取り組んでいるかの「考え方」は、自社の状況を整理する意味でも大変役に立つと感じました。どのようなやり方が自社、もっと言えば自分に合っているかを考え、明日から顧客への向き合い方にも変化がありそうです。

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