
InstagramやXの投稿でインフルエンサーが企業の商品をPRするのを目にする機会が増えてきたのではないでしょうか?とある民間企業の調査によると、国内のインフルエンサーマーケティングの市場規模推計は年々上昇傾向となっており、2027年には2020年のおよそ4倍の市場規模になると推計されています。
データからもわかるように、インフルエンサーマーケティングが人々の消費行動に与える影響は今後ますます大きくなっていくことが予想されます。これからインフルエンサーマーケティングの市場が大きく拡大していく前に、手法や注意点について押さえておく必要性が高まってくるのではないでしょうか?
SNS向けの広告には、企業発信としてではなくインフルエンサーの投稿を広告に活用できる機能が用意されています。そこで今回は、インフルエンサー投稿を広告に活用できる機能について概要とメリットデメリットを解説します。


目次
第三者投稿の広告利用とは?
第三者投稿の広告利用とは、広告主とは別の第三者が投稿したオーガニック投稿を広告として配信することを指します。
ここでいう第三者とは、インフルエンサーや有名人などいわゆるフォロワー数が多い方だけに限りません。広告主がアプローチしたいユーザー群に大して影響を持つ方を指します。
ではなぜ、企業が直接アプローチするのではなく、第三者の投稿を通して広告を利用するのでしょうか?
第三者投稿の広告配信のメリット
第三者投稿の広告配信には、従来の広告手法とは異なる独自のメリットがあります。ここでは主要だと思われる4つのメリットをご紹介します。
商品を消費者目線で伝えられる
インフルエンサーが実際に体験した商品やサービスの感想を投稿してもらうことで消費者と同じ目線で商品のメリットや特徴を伝えることができます。第三者投稿の広告配信は、企業から直接発信されるものではないため、客観的な視点で商品やサービスをPRすることが可能です。
THECOO株式会社が15歳~59歳までの全国の男女1000人を対象に行った調査によると、10代から30代の約半数の人が、インフルエンサーや芸能人、まとめアカウントによるPR投稿を見て1度以上商品を購入したことがあると答えています。
PR投稿を広告主の広告として配信することで、インフルエンサーのフォロワー以外の人にも影響力を広げていくことができます。広告主で広告を配信するよりも第三者投稿の広告配信のほうが広告感が薄れ、商品に対して消費者からの共感や親しみやすさが生まれやすくなります。そのためより多くの人に商品を手に取ってもらうことが期待できるのではないでしょうか。
ターゲティングにより親和性が高いユーザーにアプローチできる
第三者投稿の広告利用は、PR投稿のような他のインフルエンサーマーケティングと違って広告配信の際にターゲティングをすることができます。
第三者投稿の広告利用により、インフルエンサーのフォロワーではない人にも投稿が配信されるため、オーガニック投稿ではリーチできない人にも情報を届けることができます。
その他にも、大学生向けのバイト求人サイトであれば、第三者投稿の広告利用を行う際に年齢を大学生に区切って配信することも可能なので、PRしたい層だけにしっかりとアプローチをすることができます。
生活や価値観に合った商品紹介で魅力が伝わりやすい
インフルエンサーが商品を紹介することによって、生活の中に商品を組み込んだらどうなるかが想起しやすくなります。また、広告主の商品と親和性が高いインフルエンサーが選ばれることが多いため、消費者目線で商品を伝えることができます。ユーザーの価値観にあった商品紹介ができるので、魅力が伝わりやすくなります。つまり、インフルエンサーの得意な分野に合わせて商品の特徴を伝えることができるということが大きなメリットとして挙げられます。
ここからは、実際に第三者投稿の広告利用が可能なX広告、Instagram広告、TikTok広告の配信手順について説明します。
第三者投稿の広告利用の設定は次の流れで行います。
- 広告主がインフルエンサーへ投稿の広告利用について許諾をいただく
- インフルエンサーが広告主に投稿の広告配信に許可を出す
- 広告主が広告媒体に第三者の投稿の広告利用を申請をする
- 広告主の広告管理画面でインフルエンサーの投稿を選択して設定してユーザーへ配信
- 広告主が広告媒体側へ広告費をお支払いする
広告代理店側でインフルエンサー側とのやり取りを行うケースもあります。
それぞれ、TikTokは「Spark Ads」、Xは「第三者投稿の広告利用」、Metaは「Instagramパートナーシップ広告(旧:ブランドコンテンツ広告)」といい、設定方法もそれぞれ違いますが、大枠の設定の流れについては上記①~④の流れの通りです。
X広告での第三者投稿の利用方法
X広告で第三者投稿を利用する場合、広告を配信するアカウント、広告として引用するアカウント(インフルエンサーのアカウント)ともに認証マークが付与されている必要があります。認証マークとは、下の画像にあるように赤枠の中の「アナグラム株式会社/Anagrams,Inc.」の横にある青色のチェックマークのことを指します。
認証マークについては、青色の他にも金色の認証マークもあります。青色が「X premium」金色が「Verified organizations」と呼ばれており、認証マークが付与されるためには「X premium」もしくは「Verified organizations」に加入する必要があります。
事前に広告主のアカウントと第三者アカウントに認証マークが付与されているかを確認し、必要があれば取得・もしくは依頼をしておきましょう。
その他、Xの第三者投稿の広告利用の方法について詳しく知りたい場合はアナグラムのブログを参考にしてみてください。
Instagramのパートナーシップ広告(旧:ブランドコンテンツ広告)の利用方法
インフルエンサーのインスタ投稿・ストーリーズの投稿を広告主の広告として配信できるのがInstagramのパートナーシップ広告(旧:ブランドコンテンツ広告)です。
タイアップ投稿というのも最近よく目にすると思いますが、発信者が誰かという点でパートナーシップ広告と明確な違いがあります。
タイアップ投稿は、インフルエンサーが企業の依頼を受けて商品やサービスをPRするための投稿のことで、ユーザー名の下に「○○とのタイアップ投稿」という形で、タグがつくのが特徴です。
タイアップ投稿は、インフルエンサーが企業の依頼を受けて商品やサービスをPRするための投稿のことで、ユーザー名の下に「○○とのタイアップ投稿」という形で、タグがつくのが特徴です。
発信者はインフルエンサーで自身のアカウントでタイアップ投稿を行い、商品やサービスのPRを行います。
一方、パートナーシップ広告は、インスタグラマーが投稿した写真や動画を広告主の広告として配信します。アカウント名の下に「広告」という表記がつき、「〇〇(インスタグラマーのアカウント名)と〇〇(タイアップした企業のアカウント名)」のように、インスタグラマーと企業のアカウント名が並列で表記されます。
パートナーシップ広告を利用すると、広告主やインスタグラマーのフォロワー以外にも拡大して配信することができます。さらに、広告として配信するので、インプレッション数や獲得単価など管理画面上で投稿の効果測定ができるのも大きな特徴でdす。
パートナーシップ広告の配信方法について詳しく知りたい方は、アナグラムのブログを参考にしてみてください。
TikTok広告のSpark Adsでの利用方法
TikTok広告のインフィード広告に、オーガニック動画を広告として配信できるのがSpark Ads(スパーク アズ)です。SparkAdsは、広告主が投稿したオーガニック動画だけではなく、TikTokクリエイターなどの第三者が投稿した動画も広告として活用することができます。
オーガニック投稿では、配信先のターゲットを絞ることができませんが、Spark Adsを活用すれば、細かなターゲティングができるので、動画を届けたいユーザーに配信することができます。
通常のInfeed広告と、Spark Adsでは見え方も違います。
- Infeed広告の場合
Spark Adsを始める-TikTok for Business
Infeed広告はアイコン画像、もしくはCTAボタンをクリックした場合、設定した誘導先ページ(LP)に遷移します。
- Spark Adsの場合
Spark Adsは、アイコンはTikTokプロフィールページに遷移、CTAボタンは誘導先ページ(LP)に遷移します。このため、Spark Adsはオーガニックに近い状態で広告配信が行われるため、Infeed広告と比べても広告感がなく、高いパフォーマンスを期待することができます。
また、通常のInfeed広告の動画の入稿秒数は60秒ですが、Spark Adsは10分までの動画を入稿することができます。そのため、60秒間では伝えきれない商品やサービスの魅力をたっぷりと動画内に詰め込むことが大きなメリットではないでしょうか。
その他、Spark Adsの具体的な設定方法については、アナグラムのブログをご覧ください。
第三者投稿の広告利用の注意点
第三者投稿の広告利用は多くのメリットがある一方、インフルエンサーと企業間の連携も多く必要になるため配信にあたってはデメリットや注意点もしっかりと押さえておく必要があります。
インフルエンサーと利用条件をしっかりすり合わせをしておこう
まずは、どのような内容の動画・もしくは静止画を作成するのか、報酬や二次利用の有無はどうするのかなど、配信内容をインフルエンサーとしっかり話し合っておくことが重要です。「言った・言わない」のトラブルを避けるためにも、事前に契約書を結んでおくと安心でしょう。
契約書に必ず盛り込みたい内容は4点です。
①報酬金額
②投稿の掲載期間
③二次利用、他媒体展開の有無
④他者のPR投稿を引き受けるときの注意点(競合にあたる企業から依頼が来た場合は必ず報告するなど)
特に、広告として他媒体に二次利用する場合は事前に許可をとっておかないと後々トラブルにもなりかねません。口頭で利用条件をすり合わせるだけではなく、しっかりと書面で残すようにするとお互いに安心でしょう。
商品の特性を踏まえてインフルエンサーを選定しよう
第三者投稿の広告利用を進めるにあたっては、広告主がPRしたい商品やサービスの特性を踏まえてインフルエンサーにお願いするのが重要です。
例えば、ペット用品など動物に関連した商品やサービスをPRする際は、実際にペットを飼っているインフルエンサーのほうが商品との親和性も高いのは想像しやすいでしょう。また、インフルエンサーのフォロワーにもPR投稿として商品を広げることができるので、一石二鳥の効果が得られます。
また、どういう意見を持っていてどういう内容を投稿しているのか、過去炎上していないかなどもチェックすべきポイントです。過去の投稿がもとになって、思わぬ形で広告主の商品までが炎上してしまうことは避けたいですよね。
まずは広告主のプロモーションの目的をしっかり理解し、商品やサービスを魅力的に紹介してもらえるインフルエンサーは誰なのか十分に検討しておくようにしましょう。
まとめ
SNSの第三者投稿の広告利用は影響力の強いインフルエンサーの投稿を活用して広告配信ができるため、オーディエンスからのエンゲージメントを得やすく、商品に対して消費者からの共感や親しみを持ってもらえるのが期待できます。そのため、自社での広告配信と違った見せ方で商品をPRしたいと思ったときには検討したい施策の一つです。
一方で、インフルエンサーと事前に投稿内容や報酬の金額などをすり合わせをしておかないと「投稿内容が広告主のイメージと違うように伝わってしまった」などトラブルにもなりかねません。
まずは広告主のプロモーション目的をしっかり理解し、第三者投稿の広告利用を活用してより多くの人に商品に興味を持ってもらえるようにインフルエンサーと手を取り合って施策に取り組んでいくことが重要です。
