
X(旧Twitter)を利用していて、企業のアカウントではなく個人のアカウントのポストに広告表記がついているのを見たことはありませんか?
これは、X広告の第三者のポストを広告として使用できる機能を使った広告です。
第三者のポストを広告活用することで、通常の広告ではエンゲージメントを得にくいユーザーにもアプローチしたり、行動を喚起しやすくなります。
この記事では、そんなX広告の第三者ポストの利用方法や成果を出すためのポイント、注意点を解説します。


目次
X広告の第三者ポストの利用とは?
X広告の第三者配信は、広告主のポストとは異なる第三者のポストを使って配信する仕組みのことです。
インフルエンサーや有名人のポストを活用することが多いですが、タイアップ企画やクロスプロモーション、パートナー企業のブランド活用などの事例もあります。
今回はインフルエンサーや有名人のポストを活用するケースを想定して解説します。
第三者ポストを用いるメリット
X広告で第三者ポストを用いるメリットは以下の3つです。
- 共感・信頼してもらいやすい
- 「広告感」が少なくエンゲージメントが得やすい
- オーガニック投稿でリーチできなかったユーザーにもリーチできる
共感・信頼してもらいやすい
例えば、おいしさに強みのあるプロテインの広告を配信するとします。
通常の広告の場合、どんなにテキストやビジュアルでおいしさを伝えても、他の企業と差別化が難しかったり、訴求内容を信じてもらえず決め手に欠けてしまいます。
しかし、普段プロテインの飲み比べレビューを投稿しているインフルエンサーが、他のプロテインとの違いを伝えながらおいしさを訴求するポストを広告として活用したら、「買いたい!」と思う方が増えそうですよね。
このように第三者の視点から投稿された内容は、企業から発信する情報よりも消費者に寄り添った目線で訴求できます。さらに、フォロワー数が多かったり専門性が高かったりなど発信力のあるアカウントであれば、内容を信頼感が高く、行動喚起しやすくなります。
「広告感」が少なくエンゲージメントが得やすい
X広告の第三者ポストの利用では、第三者アカウントのアイコン、アカウント名が表示されるほか、オーガニック投稿時に付いた「いいね」「リポスト」「返信」などのエンゲージメントも表示されます。
そのため、広告と身構えずに見てもらえる可能性が高くなり、普段は広告をスルーしているユーザーの目にも留まりやすくなります。また、元から「いいね」や「返信」「リポスト」がついているポストだと、全くエンゲージメントがないポストに比べてユーザー側の行動のハードルが下がるため、エンゲージメントが増えやすいのもメリットです。
オーガニック投稿でリーチできなかったユーザーにもリーチできる
せっかく広告費を払ってPR投稿を依頼しても、オーガニック投稿のみでは日を追うごとに1日あたりの表示回数が減りコンテンツが埋もれてしまいます。また、コンテンツ自体の訴求力が高くても、投稿のタイミングなどによっては想定よりリーチが伸びないことも。
そんな時、第三者ポストの広告利用であれば、オーガニック投稿でリーチできなかったターゲットにもコンテンツを届けることができるため、PR投稿を有効活用することができます。
第三者ポストの広告への使用方法
X広告で第三者ポストを配信するには、第三者から利用許諾を得てから配信設定を行う必要があります。配信までの流れを見ていきましょう。
第三者アカウントに広告への使用の許可をとる
アカウントのオーナーもしくは、代理人(本人が所属する事務所やマネージャー等)から許諾文をEmailで送ってもらう必要があります。
許諾文例
私、@○○○(第三者ポストとして使用するアカウント)は、@○○○(広告主アカウント)に対し、202x年○月○日から202x年○月○日まで、@○○○(第三者ポストとして使用するアカウント)を、広告主@○○○(広告主)のXの広告キャンペーンの広告ポストとして利用することを許可します。
許諾者(代理人):xxxx email:****@xxxx.com日付:202○年○月○日
トラブル防止のため、以下の点を押さえて申請内容と許諾文に相違が発生しないようにしましょう。
- 許諾者の名前はペンネーム不可で必ず本名を記載する
- 許諾文の送信元メールアドレスと許諾者のメールアドレスを一致させる
- 許諾を証明するメールの宛先、CC、BCCがすべて表示された上で、やり取り全体が含まれる形式で提出する
X社へ第三者ポストの利用を申請をする
許諾文が準備できたら、X社の問い合わせフォームから必要情報を記入した上で第三者ポストの利用申請を行ってください。
申請する際は、以下の情報を準備しましょう。
広告主の情報
- 広告主名(例:株式会社○○)
- 広告主のX ユーザー名(例:@xxxx)
- 広告アカウントID(例:18cexxxxxxx)
- キャンペーン開始日と終了日(例:202○年○月○日~202○年○月○日)
第三者の情報
- 第三者アカウントのX ユーザー名(例:@yyyy)
- 第三者ポスト利用許諾者のメールアドレス(例:xxxxx@xxxx.com)
第三者アカウントにポストしてもらう
申請が承認されると、第三者アカウントのポストが利用可能になります。既に投稿されているポストも含まれるため、このタイミングでなくても問題ありません。
広告管理画面で配信設定を行う
第三者のポストを広告で利用する際は、ポストを利用したい広告グループを選択し、「既存の広告を使う」から配信設定できます。
広告主のアカウント名が表示されている部分をクリックすると、X社から第三者ポストの利用権限が付与されたアカウントが表示されます。アカウントを選択後に該当ポストを選択し、「広告を選択」をクリックすれば広告として適用されます。
第三者ポストの広告活用で成果を出すためのポイント
初めてX広告で第三者ポストの利用を行う場合、成果を出すためには以下の2点を押さえましょう。
配信目的・ターゲットユーザーに応じたポストを活用する
発信力があったり、オーガニック投稿のエンゲージメント率が高いアカウントのポストを広告で活用しても、配信する目的やターゲットに合ったものでなければ成果は見込めません。
例えば、インフルエンサーのPR投稿を活用するとします。そのポストが簡易的で興味を引く要素が少ない場合、フォロワーからのエンゲージメントは多かったとしても、配信先のユーザーからはエンゲージメントを得にくいでしょう。逆に、フォロワー数が少なかったとしても、ポストの内容が配信先のユーザーが求めているものであれば十分成果が見込めます。
通常の広告と同様に、「誰に・何を・どのように伝えるか」を意識して活用するポストを選定してください。
コンバージョン目的で配信する際は、ポストにリンクをつけて投稿してもらう
コンバージョン目的のキャンペーンで広告配信する場合は、該当ポストに必ずリンクを入れる必要があります。
ただし、Xのアルゴリズム上、リンクが含まれたポストはオーガニック投稿時のインプレッションが伸びにくくなるというデメリットも。投稿時の拡散を狙うのであれば、該当ポストにリンクはつけない方が良いでしょう。
参考:Twitter's Recommendation Algorithm
投稿時の拡散を狙いつつ、広告でもポストを活用したいという場合は、ツリー内にリンクを入れておき、直接ポストにはリンクをつけない方法もあります。
投稿例:
その場合は、エンゲージメントやリーチ目的などコンバージョン目的以外のキャンペーンを選択してください。
第三者ポストを広告で利用する際の注意点
第三者ポストの広告は通常の広告より制約が多く、思わぬミスで計画通りに配信ができなくなることもあります。
以下の点に気をつけながら進行しましょう。
配信前の注意点
スケジュールに余裕を持たせる
設定方法でも解説した通り、広告配信するまでに第三者やX社側とのやりとりが発生するため、通常よりも時間がかかります。特に「この日に必ず配信したい」という希望がある場合は、早めに準備をしておきましょう。
ポストには必ずPR表記を入れる
第三者ポストでの広告配信を行う時は、ポストが広告であることが分かるように、#PR等を使い広告であることを示す必要があります。
第三者ポストの広告実施とは関係なく、宣伝投稿を依頼する際は、上記の対応をしなければステルスマーケティング(ステマ)に該当し、景品表示法違反となってしまうため注意してください。
第三者アカウントの所有者と仕様や利用条件をすり合わせておく
メリットの部分に記載した通り、第三者ポストを利用した広告はフォロワー以外のユーザーにも幅広くリーチができます。
第三者アカウントにとっては、認知やフォロワー数を獲得できるなど、リーチが広がることによるメリットがあります。しかし、本人が意図していないユーザーにも配信されるため、第三者ポストによる広告に抵抗感のある方も少なくありません。
トラブルを防止するために、第三者ポストの広告活用における仕様や配信期間等を事前にすり合わせておくと安心です。
広告主/広告に紐づけている第三者アカウントの両方に認証マークが付与されている状態にする
2023年7月1日以降、第三者ポストを利用するには、広告主と広告に紐づけている第三者アカウントの両方に認証マークが付与されている必要があります。
事前に第三者アカウントに認証マークが付与されているかを確認し、必要があれば取得するように依頼をしておきましょう。
参考:Xの認証バッジの要件 - 青いチェックマークの取得方法
配信後の注意点
広告活用する元のポストを削除しない
広告活用する元のポストを削除すると設定が外れてしまうので、削除しないように伝えておきましょう。
リポスト表示を広告配信元のアカウント(@ハンドル)側で解除しない
広告主/広告アカウントから第三者ポストを見ると、リポスト済みの表記になります。
このリポスト表示を広告配信元のアカウント側で解除すると、キャンペーンに紐付けたポストが削除されるなどの事象が発生し、キャンペーンが停止することがあるため解除しないで下さい。
「誰が言ったか?」で届き方が変わる
運用型広告では、同じ媒体・メッセージでも広告フォーマットや表現を変えるだけで成果が上がるケースがよく見受けられます。
X広告での第三者ポストの活用は手順がやや複雑ですが、実施できればコミュニケーションの幅が広がり、成果が伸びる可能性も高まります。
「X広告の成果をさらに伸ばしたい」という時は、ぜひ第三者ポストの活用を検討してみてください。
