リスティング広告との連動で実現する、機能する自社メディア

リスティング広告との連動で実現する、機能する自社メディア
この記事は最終更新日から約6年が経過しています。

※筆者:Keiji Abe

以下は「宣伝会議 2011年 5/15号」に筆者が寄稿した内容であり、宣伝会議編集部から承諾を得て再掲しております。

http://www.amazon.co.jp/dp/B004WOTCEA/ref=cm_cr_ryp_prd_ttl_sol_0

※尚、ここで掲載されているのは原稿になり、編集の手が加わっていないものになります。

現在、リスティング広告(Yahoo!プロモーション広告、Google アドワーズなど)は数多くの企業が取り組んでいる検索エンジンマーケティングの一つで、近年その重要性が再度見直される傾向にある。

従来のリスティング広告は既に購入意思のあるようなユーザー、すなわち「顕在層」への訴求を目的として利用されることが多く、"刈取り型"広告の代表格としてあげられることが多かった手法だ。リスティング広告において"刈取り"の箇所を最適化するという仕事が最も注目されており、重要なわけだが、顕在層へのリーチだけに特化しているのが今のリスティング広告ではない。

今、リスティング広告と連動して、自社メディアが非常に重要な役割を果たそうとしている。筆者の関わる企業の取り組みからこれらの一部をご紹介していこう。

リスティング広告との上手な付き合い方

一定規模のECサイトなどであればそれ相応のコンテンツ量を保持し、SEO対策も行っていることだろう。アクセス解析を見れば、多くのキーワードの種類数での流入が確認できるはずだ。

ただし、競合がひしめき合っている中で、扱っている商品のすべての主要キーワードで検索エンジン内で上位表示されているとは限らない。その為、商品は扱っていても、オーガニック検索からの流入だけでは、特定のキーワードで検索をする多くの"ニーズの顕在化されたユーザー"を自社サイトへ呼び込むことができないのが現状だ。

そこで、"刈取り型"のリスティング広告(主に検索連動型広告)が効力を発揮する。ニーズの顕在化されたキーワードで検索をするユーザーに向けてリスティング広告を投入することで、より多くのユーザーを自社サイトへ誘導することができ、多くのコンバージョンを生み出すだろう。

仮にリスティング広告の予算が限られている場合には、オーガニック検索で上位表示されているキーワードの出稿を控え、オーガニック検索で上位表示されていないキーワードに予算を振り分けることで、予算をより効率的に配分することが可能だ。

提案型リスティング広告で潜在層へのアプローチも可能に

上記で上げたような、ニーズの顕在化されたキーワードであれば躊躇なく商品詳細のランディングページへリンクさせることでコンバージョンへの最短距離を提示することができ、結果的にコンバージョン率の向上を促進することができる。

しかしながらリスティング広告はそれだけではなく、もっとさまざまな活用方法がある。

例えば"重曹"などの商品を扱っているECサイトの場合で例題を出してみよう。

  • 重曹 通販
  • 重曹
  • 大掃除

「重曹 通販」などのキーワードの場合は既にニーズが顕在化していると言えるので、そのまま商品詳細ページへダイレクトにリンクしてしまって問題はない。ただし、「大掃除」などのキーワードの場合、通常の重曹を欲しているユーザーとはニーズが異なるのは明白だ。

「大掃除」と検索するユーザーは、大掃除のやり方、開始時期、裏ワザ、効率化などを知りたがっている可能性が高いため、重曹だけの商品詳細ページへリンクをしても、コンバージョンになる可能性は限りなく低いと考えられる。
※実際にコンバージョン率は低い傾向がある。

この場合、自社メディアでの仕掛けが有効になる。「重曹でエコな大掃除!簡単便利な裏ワザ紹介!」というようなコンテンツを用意し、そのページへリンクすることで、ユーザーの求めている情報に導き出すことができる。

ここでは可能な限り「大掃除」を目的としているターゲット消費者に刺さるコンテクストをつくり、いかに重曹を自然な形で盛り込めるかが重要になってくる。結果、もともと重曹がほしかった顕在層ではなく、大掃除を目的としていた潜在層へのアピールが可能となるのだ。コンテクストを自然に作成することができるのならば、バリエーションは無限大となり、一つの商品がさまざまな用度によって利用されることになり、さらなるチャンスが広がるだろう。

これは"提案型のリスティング広告手法"だ。こういった提案型のリスティング広告を行うことによって、潜在層とのエンゲージメントの構築が可能とも言える。

種は植えないと刈り取れない。リスティング広告に限らず、マーケティングでは顕在層だけではなく、潜在層といかに関係を持ち始めることができるかが重要になるのではないだろうか。

尚、こういった取り組みによってコンテンツが増加することで、結果的にSEO施策にも良い影響を与える。自社メディアを持ち、幅を広げることで、今までになかった流入を獲得することができ、更にさまざまなユーザーへ向けての新しい提案が可能となる。

既存の商品を既存のユーザーにだけ売り続けるというビジネスには限界がある為、企業がさまざまな自社メディアを持つ意味が改めて見直されている。

リスティング広告のアプローチは検索連動型広告だけではない

大掃除、このキーワードはさまざまな競合他社が出稿してしまっている、超がつくほどのBIGキーワードである場合がある。そういった時には入札単価が高騰している場合も多く、実際に入札するには現実的でないかもことも多い。これはリスティング広告がクリック毎に支払いが発生してしまうという、有料であるが故の永遠の悩みだ。

そんな時は検索連動型広告で勝負をするのではなく、Google アドワーズのディスプレイネットワーク(以下、GDN)で訴求することで、新しい可能性が大きく広がる。
SONY DSC

※GDNは検索キーワードより訴求力は劣る場合が多いが、Google アドワーズ網の中のさまざまな箇所に広告掲載が可能なので、訴求幅があがり、潜在層への訴求が効果的に可能。キーワードよりも比較的安く1件当たりのユーザーを誘導することが可能な場合も多々ある。

また、GDNではテキスト広告だけではなく、イメージ広告での訴求も可能だ。イメージ広告を利用することで、より多くのユーザーに訴求することができるだろう。

費用対効果と投資対効果の違いについて考える

こういった潜在層へのアピールは顕在層へのアピールと比較した場合、どうしても獲得単価が高騰してしまう傾向にある。それもそのはず、もともと購入意識の弱いユーザーへ訴求している為だ。

その場合、他のリスティング広告施策と同等に費用対効果でみるのではなく、投資対効果で見るようにしなければならない。その際の目安の投資対効果は、LTV(ライフタイムバリュー)を基準とすると、なまじに不可能な数字ではなくなる場合が多い。

顕在層へのアピールと、潜在層へのアピールではそもそも内容が異なるのを理解しなければ、これらの施策がうまく行くことはない。

2011年に筆者が宣伝会議に寄稿した内容の一部を再掲させて頂きました。リスティング広告はどうしても「刈り取り型」の側面だけが注目されがちですが、「情報」を届ける手段としても活用できるということを実際の取組みを通して書いた記事になります。掲載から4年後となる2015年現在、コンテンツマーケティングが非常に注目されている今だからこそ、改めてリスティング広告の価値を見直し、新たな可能性を考えるべき時期なのかもしれませんね。

20150223-06

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