広告運用者のためのExcel(エクセル)活用④:さらにレベルアップ【利用環境と見た目を整える】

広告運用者のためのExcel(エクセル)活用④:さらにレベルアップ【利用環境と見た目を整える】

広告運用者のためのエクセル活用も今回でもう第4回ですが、エクセルでのメインどころであるショートカットや関数からすこし離れて利用環境も整えてみましょう。

とても地味ではありますが、利用環境の構築は1度行っておくと以後便利な状況が続きます。もし初期設定から変更していない場合は自分好みに設定してみましょう。また、表の魅せ方の一つとして「表示形式」という機能を使うことでこれまで以上に見た目を整えることができますので、合わせてご紹介します。

※広告運用者のためのExcel(エクセル)活用の、第1回~3回はこちら
①:まずはこれだけ【基本のショートカット】
②:まずはこれだけ【基本の関数】
③:さらに便利な【応用のショートカット】


利用環境を整える

エクセルは多機能のツールであり、Officeシリーズが新しくなるとともに利用できる機能が増えています。(削除された機能もありますが。)
搭載されている機能を身につけるのと同様にその機能を利用する環境を整えるとより便利に作業ができるようになります。

オプションの基本設定を見直そう


ファイル>オプションの順で開くと、基本設定が開かれます。ここで編集した内容はエクセルを起動したときなどの標準設定となります。例えば、「毎回起動後に全てのセルのフォントを変更している」「使用しなかったシートを削除している」など行っている場合には基本設定で事前に設定しておくほうが良いでしょう。

新しいブックの作成時

ここで既定フォント、フォントサイズ、ブックのシート数を事前に決定することが可能です。先ほどもお伝えしたように、何度も修正を行っているのであれば、ここで修正しておけば今後エクセルを開いたあとに修正を行う作業は発生しなくなります。
エクセルでの可読性という点でもしフォントを変更する場合は「メイリオ」か「Meiryo UI」がおすすめです。筆者は必要な場合にのみシートを作成するため、ブックのシート数も最小数の1に設定しています。


その他、「数式」「文章校正」などかなり細かい設定が可能なので好みに応じて環境を整えましょう。

自動保存設定を設定


赤枠内の数値が短いほど自動回復用のデータの保存サイクルが短くなるため、作業中にデータが強制終了などで消失してしまっても、被害を最小限に食い止めることができます。
もちろん自動保存に頼るだけでなく「Ctrl+S」を使用してこまめに保存しておけばより安心です。

クイックアクセスツールバーの設定

クイックアクセスツールバーはリボンの下に表示できるエクセル機能のブックマークのようなものです。

こちらもオプションの画面から設定することが可能であり、利用環境を向上することができます。

もし、上図の赤枠内にチェックがなかった場合はチェックを入れ、クイックアクセスツールバーを表示しましょう。クイックアクセスツールバーにはツールバーに表示される全ての機能を表示させることができます。自身がよく使う機能などをいつでも1画面の中から引き出すことが可能になります。

また、クイックアクセスツールバーに設定した機能はAltキーを1回押すと数字とアルファベットで引き出すことも可能になるので、マウスなしでも様々な機能を呼び出せるようになります。

もし、普段からマクロやVBAを利用されている方は、クイックアクセスツールバーに作成したマクロを登録することが可能です。

表示形式(ユーザ定義)を理解する

書式設定を覚えておけば、表や数値の見せ方・わかりやすさが変わってきます。基本だけ理解すれば、あとはそれぞれを組み合わせるだけなのでそこまで難しくありません。さらに関数TEXT()で、ここで記載している表示形式を指定することもできるので、主な例は覚えておきましょう。

数値の表示形式

数値は指定方法がいくつかあります。

【ルール】

「0」「#」「?」この三種類で指定します。
上記三種類で1桁の数字を意味し、(0~9)が表示される。
「0」は多すぎる場合、0として表示
「#」は多すぎる場合、非表示
「?」は多すぎる場合、空白(スペース)として表示

文字や記号は二重引用符「”」で加工必要がありますが、一部記号は二重引用符で囲わなくてもそのまま表示してくれます。上図では「¥」「-(ハイフン)」などが当たります。

色とセミコロンに関して


セミコロンは関数でいうとif()のようなもので、複数のセミコロンを使用することで様々な条件で複数の指定が可能になります。

【ルール】

A<正>;B<負>;C<ゼロ>;D<テキスト>
プラスの場合に書式A
マイナスの場合に書式B
ゼロのときに書式C
文字列の場合に書式D

もちろんA;Bのようにセミコロンは一つでもOK
また、A;;Cのように表記をしなくてもOK

色は「[色]」で指定することができ、赤、青、緑、黒など様々な指定が可能です。
条件と組み合わせて書式を設定することも可能でその場合には角カッコで囲み、比較演算子を使用します。


書式で色を変化させる場合でよく使われるのは、例えば昨月・昨年との比較でマイナスだった場合に赤くするなどが多いかと思います。広告配信結果の数値を説明する場合には比較を行うと直感的にも伝わりやすくなるため、配信期間が長いキャンペーンは上図のように変化幅を伝えられる表だとよいでしょう。

日付の表示形式

【ルール】

西暦年を「y」、月を「m」、日にちを「d」で表します。
表示形式を変更する場合は文字列ではなくシリアル値である必要がある。
「g」は年号を、「e」で和暦の表示。「ee」で2桁での表示です。
「a」は曜日を表示します。英語表記の場合は「d」を3つか4つ並べることで表示できる。

Tips:曜日別に色をつけたい場合


せっかく曜日を表示するならば【条件付き書式】を使用して、「表全体を曜日に合わせて土日で色をつける」といった見やすい表も作成することが可能です。基礎編で記載したweekday()関数をルールに設定することで、土曜日には青色、日曜日には赤色で塗りつぶすという設定もできます。


ルールのweekday()関数では2018/11/1の日付が入っているF3セルのシリアル値が「1」かどうかを確認させています。また、列番号に「$」を付けて、列だけ固定させているのがポイントです。

時間の表示形式

【ルール】

時間「h」、分「m」、秒「s」で表す。
hやsと組み合わせて使用している場合にのみ、「m」は分と解釈されます。
[hh]と表記すると24時間を超えた表記になります。(分や秒も同様)

日付で使われるシリアル値は整数部と日付部で意味合いが変わります。また、日付では日にちを示し、小数点以下で時刻を示しています。
一番下の「1.17」では「1」日と「0.17」時間であるために、24時間を超えた表記となるわけです。

知っているだけでは、何事も上達しない

話は変わりますが「百聞は一見に如かず」という言葉には続きがあります。

百聞は一見に如かず
百見は一考に如かず
百考は一行に如かず
百行は一果(効)に如かず
百果(効)は一幸に如かず
百幸は一皇に如かず

引用:「百聞は一見に如かず」には続きがある。"見て理解" のその先にあるたいせつなこと。 | コラム

他人から聞くだけでなく、自分で見てみないとわからず
見るだけではなく、その意味を考えないと意味がなく
考えるだけでなく、実際に行動するほうが身につき
行動をするなら、結果を出すべきであり
その結果は幸せになるものではないとならず
その幸せは自分だけでなく皆の幸せにならなければならない。

という意味で続いていきます。「百聞は一見に如かず」は漢書にあった言葉として現代ではことわざとして伝わっています。「百聞は一見に如かず」に続く文章は出自不明で誰かが作った創作と言われていますが、個人的に非常に気に入っているフレーズです。

どの学問や分野でもそうですが、(前回の分も含め)記事を読んだだけでは「百聞」の状態であり何も変わっていません。エクセルの勉強を行うことがどんな事のタメになるのか考えてみましょう。考えたらあとは実際に行動(使用)するのみです。きっと成果にもつながることでしょう。

エクセルは個人に紐付くスキルと思われがちですが、自分の成果だけで満足することなく便利な使い方やアイデアを共有することで、チーム、会社、みんなの幸福度が高まると考えています!この記事をきっかけに是非エクセルをより上手に使ってみてください。

※広告運用者のためのExcel(エクセル)活用の、第1回~3回はこちら
①:まずはこれだけ【基本のショートカット】
②:まずはこれだけ【基本の関数】
③:さらに便利な【応用のショートカット】

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