Googleタグマネージャー(GTM)によるスクロール率の計測方法と広告での活用法

Googleタグマネージャー(GTM)によるスクロール率の計測方法と広告での活用法

広告のコンバージョン計測は、一般的には申し込みや購入などの利益につながるものを対象として計測することが多いです。

しかし、広告配信予算が少なく、コンバージョン単価が非常に高いサービスの場合、少ないコンバージョンから導き出せるデータをやりくりし、なんとか広告アカウントを良い状態へ導こうとするケースもあるでしょう。

そういった時には「マイクロコンバージョン(※)」を設定することが多いと思いますが、よく設定されるフォームタップやリンククリック以外の選択肢として、スクロール距離(スクロール率)もおすすめの要素です。

この記事ではスクロール距離について設定方法から活用方法まで解説していきます。

※マイクロコンバージョンに関しては、こちらの記事をご参考ください



スクロール距離(スクロール率)とは

スクロール距離とは、縦方向もしくは横方向へのスクロール割合を条件としたGoogleタグマネージャのトリガーです。

このトリガーをマイクロコンバージョンの計測に活用することで、以下のようなケースで役立ちます。

  • 広告を掲載しているものの、なかなかコンバージョンに至らない
  • コンバージョン単価が非常に高いため、限られたデータでの調整が難しい
  • フォームがランディングページよりも奥のページに存在している
  • 縦に長いランディングページを使用している

マイクロコンバージョンを活用する際のメリットとほぼ同等ですが、スクロール距離をトリガーとした場合、縦に長く途中で離脱するケースもあるランディングページで特に活用するケースが多いでしょう。

トリガーの設定方法

事前準備として広告アカウントにてコンバージョンタグを作成しておきましょう。ここでは計測したいスクロール距離(率)の数だけ発行します。

設定したタグをGoogleタグマネージャに登録を行ったら、対象のタグにトリガーを設定します。

① 左側メニューより「トリガー」を選択

② 右上の「新規」からトリガーを新規作成

③トリガーを設定する際に、トリガーのタイプから「ユーザーエンゲージメント」の中にある「スクロール距離」を選択します。

④スクロールの方向を確認

縦方向もしくは横方向を選択します。

⑤割合、もしくはピクセル数を設定

細かく設定したい場合はピクセル数を利用しますが、割合で設定を行うほうがわかりやすいです。

⑥トリガーの発生場所の設定

すべてのページ、もしくは一部のページを選択できます。特定のページのみを計測する場合は、「一部のページ」を選んでURLを指定しましょう。

こちらでトリガーの準備は完了です。あとは作成したコンバージョンタグの数だけ、同様にトリガーを作成しましょう。

それぞれ作成が完了したら、準備していたタグにトリガーを設定します。

プレビュー機能で確認

実際にプレビューでどのように反応するかも確認しましょう。

プレビュー機能を使用して正しく反応できていれば、赤枠の箇所に設定している割合のタイミングで「Scroll Depth(スクロール深度)」というイベントが表示されます。(画像内7~9)

それぞれのスクロール距離で反応しているタグが間違っていないかも確認しましょう。

25%のタイミングで50%のタグが有効化しているなど設定の間違いがなければ、設定は完了です。

スクロール率の活用法

スクロール率の広告運用への活用法を具体例を挙げて考えてみましょう。

ランディングページからすぐ離れてしまった人の割合を考えてみる

仮に、10%スクロールをマイクロコンバージョンとして設定した場合を考えます。

クリック数を母数として10%スクロールの割合を全体から差し引きすると「広告をクリックしたがほとんどスクロールせずに、閲覧をやめた」割合と捉えられます。

(計算式)10%での離脱率: 1 - (10%スクロール数 ÷ クリック数)

スクロールしなかったユーザーは広告をクリックしてランディングページを表示したものの、表示した後に離脱してしまっています。

原因として、キーワードとランディングページの関連性が低かったのか、ランディングページのファーストビューが魅力的ではなかったのか、はたまた間違ってクリックしてしまったのかといった仮説を考えることができます。

仮の数値を用いて10%の離脱率を見てみましょう。

上図では「AAA」や「BBB」のキーワードでは10%離脱率も高く、コンバージョンの見込みも薄いが、「EEE」をみると表示回数は少なく、10%離脱率も低いです。そのため「EEE」のキーワードでは、熱心にランディングページを読み込んでくれているユーザーも多いのではないかということがわかります。

このようにページ内の動きを確認することで、クリック率は他より低くても「EEE」のように離脱が低くページをよく読んでくれるキーワードに注目し、「EEE」に合わせた広告文の作成や、入札の引き上げなどのアクションにつなげられます。

注意

ここでは例として10%をすぐ離れてしまっているユーザーのポイントとして設定しておりますが、ランディングページの長さに対する割合なので、設定するページによっては5%や25%などの方が適していることもあります。プレビュー機能を用いて適切な割合を確認しましょう。

まとめ

スクロール距離のマイクロコンバージョンは、コンバージョン率が低いランディングページで活用されるケースが多く、長いランディングページであっても効果的です。

Google タグマネージャでの設定も容易で、導入コストも掛からないものですのでコンバージョンがうまく取れずに困っているアカウントがあれば、ぜひ入札調整の判断指標にしてみてください。

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