あけましておめでとうございます。本年もアナグラム株式会社ならびにアナグラムブログをよろしくお願いいたします。
新年最初の記事は今年も田中がお送りいたします。
過去の記事「2016年版、検索連動型広告のキーワード洗い出し方法」では、広告主や競合などのサイトを見る、ツールを使う、人という視点から洗い出すことなど、主に検索連動型広告のアカウント構築時に参考になる手法についてご紹介してきました。
入札するキーワードの洗い出しは、アカウントの構築が完了した時点でほぼ終わりと捉えられがちなのですが、運用開始後に入札が漏れていたり意図しない検索語句からコンバージョンに繋がっていたりすることが多くあるため、継続的なキーワードの洗い出しは運用上とても重要なことです。
今回は、既存のリスティング広告アカウントが激的に成果を生むために必要な検索キーワードの探し方をご紹介します。
目次
1. 動的検索広告の検索語句から探す
動的検索広告(以下、DSA)は、Google のオーガニック検索用に作成されたウェブサイトのインデックスを基に、サイトで扱っている商品やサービスなどと関連性の高い検索語句に対して広告を自動生成する機能で、入札したキーワードとDSAを併用することで、入札キーワードで拾いきれなかった検索語句でも広告表示が可能となります。
つまりDSAでのコンバージョンは、キーワードの入札が漏れていたがために発生しているということになりますので、DSAでコンバージョンに至った検索語句を基にして入札キーワードと広告を追加することで、より上位に広告を掲載させるなどコントロール可能な状態にすることができます。
DSAにおける検索語句の確認方法
DSAでは管理画面上でのキーワード入札が不要のため、「キーワード」タブで表示されるレポートには当然何も含まれません。なので、どのような検索語句で広告が表示されたかは「検索語句レポート」まで確認を行う必要があります。
参考:いま一度見直したい!動的検索広告(DSA)の効果をさらに上げる5つのチェックポイント
2. ショッピング広告の検索語句から探す
ショッピング広告の検索語句レポートもまた、新たな発見の機会を与えてくれます。
ショッピング広告ではGoogle アドワーズのアカウントとリンクしたGoogle Merchant Center(以下、GMC)に登録されている商品フィード(商品情報)の内容を基に、キーワードの入札なしで検索語句に最も関連した商品の広告を表示します。
基本的にはショッピング広告ですべての商品を広告として掲載しつつ、特に注力すべき商品に関してはキーワードでも入札を行うというのが王道の戦術となりますが、そのキーワード入札を行っている注力すべき商品の影に隠れて、ショッピング広告では多くのコンバージョンを上げている検索語句が少なからず存在します。
このようなキーワードでは入札していないけれども、ショッピング広告でコンバージョンのある検索語句に関してはキーワードとして追加、リンク先URLは検索語句に最も関連した商品カテゴリーのトップページに設定するなどして、ショッピング広告とテキスト広告のどちらも表示できる状態にしておくことで、コンバージョン機会がぐっと増えます。
ショッピング広告における検索語句の確認方法
ショッピング広告の検索語句レポートを確認する手順は、従来の検索連動型広告のキャンペーンと同じ、①「キーワードタブ」をクリックして②「検索語句」ボタンをクリックするだけです。
3. サイト内検索の語句から探す
サイト内検索は国内のEC売り上げトップ100サイトのうち95%が導入(注1)していると言われるほど一般的な施策です。
Web解析ツールの Google アナリティクスでは、訪問ユーザーがどのような語句でサイト内検索を行ったのかのレポートを確認することができます。
このレポートで頻出する(ビジネスのゴールに影響する)検索語句は訪問者からのニーズが高いといえますので、もし検索連動型広告のキーワードとして入札がされていない場合は入札をしましょう。また、ここに頻出する検索語句に関してはユーザーインターフェイス(以下、UI)やサイトのデザインの影響で、お目当てのページにたどり着きにくいということの現れでもありますので、広告のリンク先URL選定に注意し、また、UIやサイトデザインの見直しなどの検討も行うべきです。
(注1:国内EC売上TOP100サイトにおける「サイト内検索」導入調査レポート~2016年12月~ より)
Google アナリティクスでサイト内検索のレポートを確認する方法
サイト内検索キーワードレポートは、①「行動」メニュー階層下の②「サイト内検索キーワード」から表示することができます。
ただし、このサイト内検索キーワードのレポートを利用するためには事前の設定が必要になりますので、まだ設定していないという場合は次の手順で設定してみて下さい。
Google アナリティクスでサイト内検索のレポートを有効にする方法
手順.1 クエリパラメータを確認する
まず、計測対象となるサイトでサイト内検索を行います。すると、URLに「?s=●●●」(●●●は検索語句)といったパラメータが付加され、検索語句に関連するページの一覧が返されますが、このとき「?s=」の「s」の部分をクエリパラメータと呼びます。
※上記は一例となりまして、クエリパラメータが「s」ではない場合や、クエリパラメータがそもそもURLに反映されない場合もありますので、その場合はウェブマスターに確認してみて下さい。
手順.2 サイト内検索の設定をする
クエリパラメータが確認できたら、続いてGoogle アナリティクス側の設定を行います。
①サイト内検索のレポートを表示させたいビューの「ビュー設定」を選択、②「サイト内検索のトラッキング」をオンにし、③クエリパラメータ(上記例では「s」)を入力して設定を保存します。
4. オーガニック検索の流入キーワードから探す
これは王道中の王道ですが、Google アナリティクスや Google サーチコンソール(以下、サーチコンソール)でレポーティングされる流入キーワードレポートから検索語句を探す方法です。
Google アナリティクスで流入キーワードを確認する
Google アナリティクスでは、コンバージョン(ビジネスの目標)を達成した流入キーワードが確認できるため、もし検索連動型広告のキーワードとして入札がされていない場合は入札を行いましょう。
ただし、Google や Yahoo! と言った検索エンジンでは通信のSSL化が進んでおり、検索エンジンから流出先のWebサイトに検索語句の情報を渡さない(レポート上は(not provided)となる)ことが一般的になってきています。2016年12月現在、Google と Yahoo!のSSL化されたトラフィックにおける流入キーワードは取得できなくなっていますので、あくまでも過去のデータを参考にするという使い方が良いでしょう。
オーガニックからの流入キーワードは、①「集客」メニューの階層下、②「オーガニック検索トラフィック」のレポートから参照することができます。
Google サーチコンソールで流入キーワードを確認する
サーチコンソールではGoogle アナリティクスと異なり、Google からの流入キーワードは把握できますが、その流入からコンバージョンを達成できたかどうかまでは追うことができません。
そのため、サイトへのトラフィックが多い流入キーワードのうち、検索連動型広告で入札しておらず、コンバージョンが見込めそうな流入キーワードについては追加で入札を行ってみましょう。
サーチコンソールにログイン後、「検索アナリティクス」をクリックすると検索クエリ(検索語句)とGoogle 検索結果で計測対象サイトがクリックされた回数が表示されます。
※サーチコンソールとGoogle アナリティクスをリンクすることで、Google アナリティクス側でもレポートが確認可能です。手順については割愛いたします。
5. 部分一致の拡張から検索語句から探す
従来の部分一致キーワードの検索語句レポートを見ると、例えば「渋谷」という入札キーワードに対しての検索語句が「神泉」と言ったように、その語が含まれない検索語句へと拡張をしていることがあります。これらの拡張された検索語句のうちコンバージョンにつながっている物があればぜひ追加をしましょう!
検索連動型広告のアカウントを完全一致、絞り込み部分一致、フレーズ一致のみで構成してしまうと、広告運用者の意図を超えた効果的な検索語句を発掘することは至難の業です。部分一致を正しく運用することで、新しい検索キーワードと出会える機会が高まります。
参考:最高のキーワード洗い出しツール、検索語句レポ-ト活用術
参考:「部分一致」でまだまだ広がる!マッチタイプの特性を利用したキーワード拡張による検索連動型広告の可能性
最後に
かなり昔のデータになってしまうのですが、SMX West 2011でGoogle アドワーズの中の人が次のようなデータを提示していました。
- 44%は3ワード以上のクエリ
- 64%は1回きりの検索キーワード
- 20%は過去90日間になかったキーワード
つまり、我々の想像を超えた検索語句が日に日に生まれていっているということですね。キーワードの洗い出しはアカウント構築時で終わりと言うのは誤りで、リスティング広告運用開始後はこういった新しいキーワードを日々洗い出して成果を伸ばしていくということが求められると言えます。
今回は既に手元にあるデータを基にしたキーワードの洗い出し方をご紹介いたしましたが、前述の通り「ことば」は日々新しくなっていきます。音声検索などの検索体験の変化も見逃せません。過去記事「施策に行き詰まったら管理画面から離れてみよう。」でもご紹介した8つの行動も取り入れてみると、新たな「ことば」の発見にもつながるかもしれません。