1人歩きしても正しく理解してもらえる、リスティング広告のレポートの書き方

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広告主・代理店の立場を問わず、リスティング広告運用者の仕事として必ず発生するタスクにレポーティングがあります。その際にリスティング広告の運用状況をきちんと理解してもらい、打ち合わせの機会をより有意義なものにするためにレポートを作成するわけですが、内容をあまり理解してもらえなかったり、受け手ごとに異なった見解を持たれてしまい社内を混乱させてしまった!というような事態を引き起こしてしまっては、貴重な時間をかけて作ったレポートの存在意義は皆無です。
※皮肉なことに、勤務時間の大半をレポート作成に係る作業が占めている、なんて話もしばしば耳にします。

ではどのような点に留意すれば、受け取った人が分かりやすく、仮にそのレポートが一人歩きしたとしても見た人に正しく理解してもらえるようなレポートが作成できるのでしょうか?1つ1つ見ていきましょう。
尚、本内容はあくまでも「レポートが1人歩きしても正しく理解してもらえる」という点にのみフォーカスしており、学術的なフォーマット・ルールには沿っていない部分もあるかと思いますが、その点はご容赦いただけますと幸いです。

1番最初に客観的事実を述べる

レポート作成の中でまず最初に述べるべきことは、疑いようのない客観的事実、つまり配信した数値結果を述べましょう。多くの場合、報告を受ける人がまず知りたいのは「その月の状況がどうであったか?」という情報です。そして、誰がどうみても齟齬なく伝えられる情報というのは数字です。これから述べていくことの疑いようのない大前提を最初に共有するという意味で、まずは冒頭部で数値結果を述べることが重要です。

リスティング広告では月単位でデータを集計しレポートを作成するケースが多いため、ここでは1ヶ月間の配信結果で作成すると想定します。(基本的には週次単位でのレポーティングも考え方は同じです)

数値の変化を述べる

冒頭で全体数値を述べたら、次に事実として数値が変化した箇所に言及しましょう。月単位でレポートを作成していると、多くの場合は前月・もしくは前年同月との数値を比較する場合が多いのではないかと思います。その際に、下記の3つを意識して述べると、読み手にとって分かりやすい内容になります。

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ただ現実的に見ると、数値が変化した所は細かく見ていけば見ていくほど無数にあるでしょうし、多くを記載してもかえって読みにくい内容になってしまいがちです。ですので、まずは広告主の業績に影響を与える可能性のある指標で、かつ変化の大きな所から述べましょう。リスティング広告を実施している広告主の目的によって言及する指標は変わる場合もありますが、その多くはコンバージョン数やCPA、売上など、コンバージョン関連の指標になることがほとんどです。

もう一つ注意したい点としては、数値報告には主観を用いないことです。例えば下記のような主張が述べられていたとします。

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広告運用者は常に動向を追っているため、良くなったのか悪くなったのかということを肌感覚で理解していますが、初めてレポートを見る人がデータだけを見た際に、それがいいのか悪いのかを読み取ることはできませんよね。その一方で、下記のような記述であればどのくらい良化したかという根拠がデータとして明示されているため、前月よりも良くなった事実は誰が見ても明白です。

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このように、良くなった・悪くなった という表現を用いる場合には、必ず根拠となるデータを合わせて記載しましょう。冷静に考えると当たり前のことではあるのですが、運用を行っている当事者ゆえに見えなくなってしまいがちな所です。

要因・分析・対処を述べる

数値の変化を述べたら、次は「その数値が変化した要因は何なのか?」という根拠を述べます。数値が変化するということは、些細な事でも何かしらの理由があるはずです。その数値変化をみて、運用者はデータをどう分析し解釈したのか、そしてその変化に対してどのようなアクションを取ったのかを述べれば、仮に数値が悪化した所があったとしても既に対応策を取っていることが伝えられるため、説明された側が不安感を持つことは少なくなるでしょう。ここまでの流れを一度整理しておくと、下記のような関係になります。

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この流れでレポートを作成すれば、万が一レポートが1人歩きしても、見た人に正確に伝わる内容になるでしょう。その上で最後に、あえてもう1点だけ付け加えるべき要素があると筆者は考えています。

大事なのは“今”と“未来”を述べること

ここまでの流れを踏襲して作成するでも十分理解してもらいやすいレポートになっていますが、筆者がプラスαで記載すべきであると考えている要素は「現状はどうなのか、そして今後どんな運用を行っていくのか」ということです。

リスティング広告のレポーティングはその性質上、運用した過去のデータをご報告する、という流れになります。レポート作成の頻度が月単位であれば、多くの場合、その前月のデータレポートを作成して月初に報告することになる訳ですが、報告する今まさにその瞬間もリスティング広告は配信され続けています。月が変わり、レポートを作成する当日までのデータが多少なりとも溜まってきているはずなので、そのデータ傾向をおおまかに分析し、簡単なサマリーを付け加えてみましょう。

さらに、その”今”をうけて、今後どのような運用(調整、施策、検証など)を予定しているのか、ということまで述べると、受け取り手にも運用者の動きが共有できて安心感も増すでしょう。ただし、この方法はすべてのアカウントで実施できるわけではなく、アカウントによってはデータ量が少ないために月初のタイミングでは全く傾向が掴めないケースもあります。もし運用されているアカウントにある程度データが溜まっており、月初のタイミングでも傾向が見えている場合には是非取り入れてみてください。

ここまでの流れを踏襲したレポート例を記載しておきます。必要に応じてご参考にして頂ければ幸いです。

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まとめ:誰が読んでも見解のブレが少ないレポート作成を

人の物事の受け取り方は千差万別で、説明した人すべてに全く同じ見解を持ってもらうことは不可能かもしれません。しかし、ここまで述べてきた一連の流れに基づいてレポートを作れば、ある程度誰が見ても理解しやすく、見た人の解釈が大きく異なるようなレポートにはならないでしょう。

仮に見た人ごとに解釈の異なるレポートを作ってしまった場合、例えばそのレポートが受け取った人の上司、さらにその上の上長、社長にまであがっていった際に、「成果は出ているのに正確な情報が伝わらずちゃんと評価してもらえなかった」といった事になってはお互い不幸になってしまいます。

そんな事態を避けるためにも、ある程度どんな立場の人が見ても記載している内容が正確に、かつ、見た人の見解が大きくブレてしまわないようなレポート作成を心がけましょう。

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Koichiro Hayashi

Koichiro Hayashi

アナグラム株式会社 運用型広告エキスパート。 大学卒業後、金融機関にて融資・渉外業務に従事。その後、ウェブコンサルティング会社にて宿泊施設に対するリスティング広告の新規導入・運用業務に従事した後、2014年よりアナグラムにて様々なプロジェクトに携わる。広告運用はもちろん、新規のお問い合わせ対応、時には打ち合わせと称した飲み会などを行っている。