
広告運用において、誰に広告をみせるかがもっとも重要な要素のひとつです。なかでも広告主のサイトやアプリ、YouTubeチャンネルなどを利用するオーディエンスの行動を活用することで、効率のよい広告配信が可能となります。
Google 広告では、オーディエンス マネージャーというツールで広告配信に利用するオーディエンス情報を一括で管理することができます。
既に知っていて利用しているという方もリマーケティング リストを管理する時以外はあまり使ったことがないということが多いのではないでしょうか。
実はオーディエンス マネージャーはオーディエンスを作成するだけでなく、広告配信しているユーザーのインサイトを分析し、ユーザー理解を深めたり新しいターゲティングのヒントにもなりうるツールなのです。
今回はオーディエンス マネージャーの仕組みと広告配信への活かし方を解説していきます。


オーディエンス マネージャーとは
オーディエンス マネージャーとは、Google広告の配信に関わるオーディエンス情報を一括で管理できるツールです。
オーディエンス マネージャーでできること
画面右上の「ツールと設定」アイコンの「共有ライブラリ」 の下に表示される「オーディエンス マネージャー」をクリックすることでアクセスすることができます。
オーディエンス マネージャーで管理できるのは以下の3つの項目です。
- オーディエンス リスト
- オーディエンス インサイト
- オーディエンス ソース
では、それぞれの基本的な役割について確認していきましょう。
オーディエンス ソース
オーディエンス ソースではリマーケティング リストなどを作成する際の基となるデータソースを管理することができます。
追加できるオーディエンス ソースは以下の6つです。
Google 広告 タグ | 最も多く使用されているであろうオーディエンス ソースです。Google 広告 タグを設置したウェブサイト上からデータを収集しオーディエンスを作成することができ、サイトにアクセスしたことがあるユーザーを対象に Google 広告の配信を行えます。 |
---|---|
Google アナリティクス | Google アナリティクスで作成したオーディエンス リストをインポートすることで、そのリストに基づいて Google 広告の配信を行うことができます。 |
YouTube | 連携したYouTubeチャンネルを見たことがあるユーザーやYouTubeチャンネル内の特定の動画を視聴したユーザーなどを対象にオーディエンスを作成することができます。 |
顧客データ | 自社で持っている顧客の連絡先などの情報をアップロードすることで、Google サービス(Google 検索、YouTube、Gmail など)を使用している顧客に対してGoogle 広告の配信を行うことができます。 |
Google Play | アプリを使用しているユーザーやアプリ内で購入を行ったユーザーを対象にオーディエンスを作成することができます。 |
アプリ分析 | アプリ分析プロバイダ(Firebase など)や独自のソフトウェア開発キット(SDK)とアカウントをリンクすることで、アプリを使用しているユーザーを対象にオーディエンスを作成することができます。 |
オーディエンス リスト
オーディエンス リストでは、以下の3つを管理することができます。
リマーケティング リスト | ウェブサイトに訪れたことのあるユーザーのリスト |
---|---|
カスタム インテント | 特定の商品・サービスに対して購入を前向きに検討しているユーザーのオーディエンス |
カスタム アフィニティ | 特定の商品・サービスに対して興味・関心を持っているユーザーや熱中していること・習慣に基づいてセグメントされたユーザーのオーディエンス |
これらのオーディエンスをそれぞれ、「リマーケティング」「カスタム オーディエンス」のタブから管理することができます。
リマーケティング
オーディエンス ソースで追加したソース先のデータを基にターゲットを設定しリストを作成することでリマーケティング リストの作成が可能です。
また、リマーケティング リストの検索、並べ替え、フィルタやラベルの適用、グループ分けやキャンペーン・広告グループへの追加も行えます。
カスタム オーディエンス
カスタム インテント(入力したキーワード・URLなどを基に商品やサービスについて購入を前向きに検討しているユーザーを集めたオーディエンス)やカスタム アフィニティ(入力したキーワード・URLなどを基に興味・関心を持っているユーザーを集めたオーディエンス)を作成したり、カスタム インテント・カスタム アフィニティ リストの検索、並び替え、フィルタの適用、キャンペーン・広告グループへの追加が実施できます。
オーディエンス インサイト
オーディエンス インサイトはGoogleのデータに基づくユーザーの詳しい情報(性別・年齢・地域・使用デバイスなど)をオーディエンスごとに把握、分析できる機能です。
オーディエンス リストで作成したオーディエンスはもちろんですが、「コンバージョンに至ったすべてのユーザー」の性別・年齢・地域などの特性も分析できるため、実際の広告運用時の仮説立てや立てた仮説の答え合わせなどにも役立てることができます。
たとえば、40~50代向けの美容製品を販売していた場合、実際に製品の購入に至ったユーザーの性別や年齢などを確認することができます。もしここにズレがある場合、広告の訴求を変えるべきなのか、はたまた製品の方向を調整する余地があるのかなど、気づきを得ることもできます。
次に実際のオーディエンス インサイトのそれぞれの項目を説明していきます。
①分析対象のオーディエンス
分析対象とするオーディエンス(作成したリマーケティング オーディエンスやコンバージョンに至ったユーザーなど)を画像のような一覧から選択できます。
②比較に使用するベンチマーク
「分析対象のオーディエンス」と比較するベンチマークとして、「日本の人口データ」や「 Google ディスプレイ ネットワーク」を閲覧しているすべてのユーザーのデータを選択し使用することができます。
③オーディエンス分布
オーディエンス分布の項目は「ユーザー特性」「地域」「デバイス」の3つとなっており、それぞれ以下の表の項目を確認することができます。
④関連性の高いオーディエンス
購買意向の強いオーディエンス:指定したオーディエンスに含まれるユーザーの「購買意向の強いオーディエンス」との関連付けを確認することができます。
また、インデックスの項目では「分析対象のオーディエンス」と一般的なオーディエンスを比較して該当する購買意向の強いオーディエンスに属している可能性が”〇〇倍高い”というかたちで表示してくれます。
アフィニティ カテゴリ:指定したオーディエンスに含まれるユーザーの「アフィニティ カテゴリ」との関連付けを確認することができます。
上記と同様に一般的なオーディエンスと比較した関連度を確認できます。
購買意向の強いオーディエンスやアフィニティ カテゴリ、それぞれのインデックスを確認することで、特にどのような属性を持つユーザーがウェブサイトに訪問しているのか・コンバージョンに至っているのかを把握できます。
また、これらのデータをもとに実際にがウェブサイトを利用しているユーザーの理解を深めることもできます。
また、ユーザー理解を深める以外にも顕著にインデックスが高いオーディエンスへの配信を強化や新しい広告訴求をすることで成果へ繋げられるケースもあります。
オーディエンスのインサイトの活用例
ここまではオーディエンス マネージャーの概要や見ることができる項目などを記載してきました。
主にはオーディエンス リストの作成・管理だけで使用される機会が多いオーディエンス マネージャーですが、実はオーディエンス インサイトを活用することで仮説の確認や新たな仮説立てや立てた仮説を運用に反映していくことも可能です。
以下がオーディエンス インサイトを活用する際の一例です。
たとえば、検索広告、ディスプレイ広告それぞれにおいて以下のことが実施可能です。
- 任意のオーディエンスにのみ広告を配信する
- 任意の「購買意向の強いオーディエンス」に対して入札金額を引き上げて積極的にアピール
※検索広告においては「購買意向の強いオーディエンス」のみ上記のような設定が可能です
まとめ
オーディエンス マネージャーはオーディエンスリストを作成・管理するだけなく、運用に対しての仮説の確認や新たな仮説を立案できる場所です。
さまざまなオーディエンスリストを作成するとともに、そのオーディエンスリストのユーザー特性などを確認し、ぜひ次の一手を導く仮説を考える際に役立ててみてください。