
アクセス解析のためにGA4を導入し、Google広告と連携を行って次のように活用している広告主も多いのではないでしょうか?
- Google広告アカウントにGA4のコンバージョンデータをインポート可能に
- Google広告アカウントでGA4の指標を確認可能に
- GA4のレポートで、Google広告の数値を確認できる
- GA4のオーディエンスデータを元にGoogle広告の配信が行える
一方で、最後にご紹介している「GA4のオーディエンスデータ」を利用した広告配信のなかで、利用には一定の条件があることもあり、あまり知られていないのが「予測オーディエンス」です。
この記事では、GA4の予測オーディエンスについて、仕組みや使い方、そして活用方法までを解説していきます。


目次
予測オーディエンスとは
GA4の予測オーディエンスとは、GA4の機械学習を用いて、特定の行動を取る可能性が高いユーザーを予測し、そのユーザーをまとめたオーディエンスのことを指します。
このオーディエンスを使用することで、今後コンバージョンする可能性が高いユーザーや、離脱のリスクがあるユーザーを効率的に識別し、それに応じたアクションを取ることができます。
具体的には、「7日以内に購入する可能性が高いユーザー」や「一定期間内に離脱する可能性が高いユーザー」といったオーディエンスが作成可能です。
どのような仕組みなのか、より詳しく見ていきましょう。
予測指標とは
GA4の予測オーディエンスの基盤となるのが、「予測指標」と呼ばれるデータモデルです。
予測指標とは、Googleの機械学習がユーザー行動分析して得られるユーザーの今後の行動を予測した指標を指します。
現時点で用意されているのは次の3つの指標です。
- 購入の可能性
- 離脱の可能性
- 予測収益
※「購入の可能性」「予測指標」に関しては、「purchase」「ecommerce_purchase」「in_app_purchase」の3つのキーイベントのみ対応
指標 | 定義 |
---|---|
購入の可能性 | 過去28日間にサイトへの訪問含め何らかの操作を行ったユーザーが、今後7日間以内に特定のキーイベントを行う可能性。 |
離脱の可能性 | 過去7日以内にアプリやサイトで操作を行ったユーザーが、今後 7 日以内に操作を行わない可能性。 |
予測収益 | 過去28日間に操作を行ったユーザーが今後28日間にコンバージョンすることによって得られる総収益の予測。 |
予測指標を利用するための前提条件
予測指標を利用するためには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。
1.十分なサンプル数の確保
購入ユーザー(ポジティブサンプル)と離脱ユーザー(ネガティブサンプル)それぞれに最小数のサンプルが必要です。
過去28日間のうち7日間で、以下の条件を満たす必要があります。
- 予測条件をトリガーとしたリピーターが1,000人以上
- 予測条件をトリガーとしていないリピーターが1,000人以上
2.予測モデルの品質維持
モデルの品質が一定期間維持されない場合は、予測オーディエンスが使用できなくなる可能性があります。
3.使用したい指標とイベントの条件
「購入の可能性」と「予測収益」の各指標の両方を対象とするには、プロパティは「purchase」と「in_app_purchase」の少なくともどちらか一方の送信が必要です。
また、「purchase」イベントを収集する場合、そのイベントの「value」と「currencyパラメータ」も収集する必要もあります。
この条件を満たしていないと予測オーディエンスも作成できません。前提条件を満たすことで、オーディエンス作成ツールやデータ探索ツールで予測指標を活用できるようになります。
5つの予測オーディエンス
利用条件を満たすことで使えるようになる予測オーディエンスの種類は次の5つです。
オーディエンス | 説明 | 条件設定 |
---|---|---|
7日以内に離脱する可能性が高い既存顧客 | 今後 7 日以内にプロパティにアクセスしない可能性が高い既存顧客です。 | 一致条件: (イベント) in_app_purchase OR purchase OR ecommerce_purchase OR (指標) LTV > 0 AND (予測指標) 離脱の可能性 > 80 パーセンタイル |
7日以内に離脱する可能性が高いユーザー | 今後 7 日以内にプロパティにアクセスしない可能性が高いユーザーです。 | 一致条件: (予測指標) 離脱の可能性 > 80 パーセンタイル |
7日以内に購入する可能性が高い既存顧客 | 今後 7 日以内に購入に至る可能性が高いユーザーです。 | 一致条件: (予測指標) 購入の可能性 > 90 パーセンタイル |
7日以内に初回の購入を行う可能性が高いユーザー | 今後 7 日以内に初めての購入に至る可能性が高いユーザーです。 | 一致条件: (予測指標) 購入の可能性 > 90 パーセンタイル そして (索引) LTV = 0 除外条件: (イベント) in_app_purchase または purchase または ecommerce_purchase |
28日以内に利用額上位になると予測されるユーザー | 今後 28 日以内に最も収益を生み出すと予測されるユーザーです。 | 一致条件: (予測指標) 予測収益 > 95 パーセンタイル |
※パーセンタイル:データを値が小さい順に並べたとき、対象の値が全体の中で下位から何%の位置にあるかを示す指標。
たとえば、サイト訪問ユーザーを増やしたい場合には「7日以内に離脱する可能性が高いユーザー」に対して、再アプローチが有効な可能性があります。
他にも、積極的に初回購入者を増やしたい場合には「7日以内に初回の購入を行う可能性が高いユーザー」にオトクな情報を広告で掲載したり、逆にこれらのオーディエンスを除外することで、購入する可能性の低いユーザーへ広告で重点的アプローチする、といったさまざまな活用が可能です。
紹介した5つの予測オーディエンスは、予測条件の編集もできます。また、カスタムオーディエンス作成する際にも利用できますので、他の条件と組み合わせて様々なオーディエンスの作成が可能です。
予測オーディエンスの作成方法
以下の手順を参考に、オーディエンスを作成してみましょう。
まず、GA4の管理画面にログインし、①「管理」からデータ表示内の ②「オーディエンス」を選択します。
③「オーディエンス」をクリック。
オーディエンスを新規作成する画面になるので、「オーディエンス リファレンスを使ってすぐに利用開始する」内の④「予測する」を選択します。
すると、予測指標に基づいた以下5つの予測オーディエンスが候補として表示されます。
候補のうち、予測指標を利用するための前提条件を満たしていない予測オーディエンスは「利用不可」と表示されます。一方で、「利用可能」ステータスになっている予測オーディエンスが使用できるオーディエンスとなります。
⑤「利用可能」をクリック。
(※「7日以内に離脱する可能性が高いユーザー」を選択した場合として説明)
「7日以内に離脱する可能性が高いユーザー」の予測オーディエンスがデフォルトで作成されます。
デフォルトの条件を変更したり、ほかの条件を追加したりすることで、オリジナルの条件に変更できます。変更が終わったら「保存」を押すことで予測オーディエンスの作成が完了します。
作成したオーディエンスは、データ表示内のオーディエンスから確認できます。
作成したオーディエンスは通常のオーディエンスと同様に標準レポートや探索レポート、Looker Studioでの利用やBigQueryへのエクスポートにも対応しており、広い範囲で活用できます。
なお、セグメントや比較機能とは異なり、過去のデータへ遡って反映はできないため注意が必要です。
Google広告への連携
また、GA4とGoogle広告が連携されている場合は、Google広告ログイン後に「ツール」を選択し「共有ライブラリ」の「オーディエンスマネージャー」で作成したオーディエンスの確認が可能です。
もし、Google広告上で表示されていないときは、「GA4のデータが共有される設定になっているか」と「パーソナライズド広告の有効化がオンになっているか」を確認してみましょう。
1.GA4のデータ共有設定の確認
データ共有設定の確認、編集はGA4の管理者権限が必要です。
①「管理」から②「アカウント」内の「アカウントの詳細」を選択して、データの共有状況の「Googleのプロダクトとサービス」がチェックされているか確認しましょう。変更する場合は、設定をチェックの有無を変更し保存をします。
2.パーソナライズド広告の有効化の確認
こちらはGA4の編集者権限から確認・変更が可能です。
①「管理」から②「サービス間のリンク設定」内の「Google広告のリンク」をクリック。編集するリンクされたGoogle広告アカウントを選択することでパーソナライズド広告が有効化されているか確認できます。
参考:
まとめ
GA4の予測オーディエンスは、ユーザーの未来の行動を予測し、それに基づいてターゲティングを行います。このオーディエンスを用いることで、広告運用の精度や効率を上げ、成果向上につながります。
特に、従来の配信やターゲティングでは成果が頭打ちになっていると感じる運用者や、新しいアプローチを模索している運用者には、GA4の予測オーディエンスが有力な選択肢となるでしょう。この記事を参考にぜひ試してみてください。
