「将来はYouTuberになる」と、先日、友人の小学校6年の男の子が言っていました。
YouTuberとはYouTube上に独自で制作した動画をアップして、そこに掲載される広告の収入を得ている方々などです。YouTuberはYouTubeの利用者数が増えることに連れて近年注目されるようになりました。数年前では考えられませんでしたが、小中学生のなりたい職業ランキングの上位にYouTuberがランクインすることは、いまでは珍しくありません。身近に話を聞くと広く認知されていることをあらためて感じます。
参考:小中学生「将来の職業」人気ランキング 男女の1位は - ITmedia ビジネスオンライン
YouTubeは小中学生に留まらず、大人でもニュース番組のライブ放送や美容アイテムのレビュー動画、ビジネスマンのデスクワーク中のBGMのようにさまざまな目的で、幅広い年代に利用されています。2017年に行われた調査によると、日本のユーザーが無料で動画コンテンツを視聴する際に最も使っているサービスはYouTubeだそうです。
参考:【第2回 DIF共同調査】動画広告ユーザー調査 2017(2017年6月実施)
このようにさまざまなユーザーが多く集まるYouTubeに配信される動画広告ですが、少し前までは「動画を見てもらう」ことを目的とした広告配信が中心でした。しかし現在では広告フォーマットの種類も増え、さまざまな目的に応じた広告展開が可能となっています。
今回は、YouTubeの動画を活用して配信できる、TrueViewを動画広告を中心としたGoogle 広告で配信可能な動画広告の種類やそれぞれの特徴、成果を出すために知っておきたい基礎知識についてご紹介します。
Google広告で配信できる動画広告
YouTube動画を一度でも観たことがある方は、再生前、再生中、もしくは再生後に流されるスキップ可能な動画広告を見かけたことあるかと思います。これは「TrueView インストリーム広告」と呼ばれるTrueView 動画広告の1種です。Google広告の動画広告は、YouTubeで動画を視聴したり、YouTube内で検索していたりするYouTube上のユーザーにアプローチできるイメージが強いですが、2018年からは新しく「アウトストリーム広告」のフォーマットが登場し、YouTube以外のGoogleのパートナーサイトにもアプローチできるようになりました。
動画広告の種類
TrueView動画広告にはいくつかの広告フォーマットが用意されており、これらと比較的新しく登場したバンパー広告とアウトストリーム動画広告を加えて、Googleの動画広告は構成されています。
種類 |
入札方式 |
広告の目的 |
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TrueView 動画広告 |
TrueView インストリーム広告 |
CPV |
ユーザーの興味・関心を引きつける 例)購入意向・好感度の上昇、視聴回数の増加 等 |
インフィード動画広告 (旧:TrueView ディスカバリー広告、TrueView インディスプレイ広告) |
CPV |
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TrueView ショッピング |
CPV |
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TrueView アクション |
CPA |
ユーザーの行動を促進 例)購入数、来店者数の増加 等 |
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TrueView リーチ |
CPM |
ユーザーへのリーチを最大化、 認知度の上昇を狙う 例)認知度・広告想起率の上昇 等 |
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バンパー広告 |
CPM |
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アウトストリーム動画広告 |
vCPM |
各広告フォーマットで利用可能な入札方法はこちらの通りです。
- CPV(Cost Per View)… 広告視聴1回あたりの費用
- CPM(Cost Per Mille)… 広告表示1,000回あたりの費用
- vCPM(viewable CPM)… ユーザーが視聴可能な広告表示1,000回あたりの費用(広告の面積の 50% が画面に表示された時間がディスプレイ広告では 1 秒以上、動画広告では 2 秒以上)
- CPA(Cost Per Action)… 広告による成果1件あたりの費用
ユーザーの興味・関心を引き付ける従来のGoogle動画広告は動画を見て商品を知ってもらったり、ブランドを覚えてもらうブランディングを目的とした施策に利用されることが多い印象がありました。現在では目的に応じて広告配信ができるように広告フォーマットが用途別に提供されており、従来のブランディングを目的とした広告配信以外にも商品の購入やサービスの申し込みなど、動画広告を視聴している場で、ユーザーに特定のアクションを促すダイレクトレスポンスを目的として施策にも利用されるケースが増えてきています。
TrueView インストリーム広告
TrueView インストリーム広告は、なんらかの動画を視聴しているユーザーにアプローチする広告フォーマットで、再生開始から5秒が経過するとユーザーが広告をスキップすることができます。広告はYouTubeに配信される動画やGoogle ディスプレイネットワーク上のサイトやアプリの動画に掲載することが可能です。
ユーザーが広告を30秒間視聴(30秒未満の広告は最後まで視聴)、もしくは動画広告を操作(ウェブサイトへのリンクや、Call-to-Action(CTA)オーバーレイ、カード、コンパニオン バナーをクリックすることなど)すると、その最初に発生したアクションに対し、動画の視聴回数が1回とカウントされます。動画視聴に対して課金がなされる、CPV(Cost Per View)での料金体系です。
インフィード動画広告(旧:TrueView ディスカバリー広告・TrueView インディスプレイ広告)
インフィード動画広告は、YouTube上でユーザーが動画を探しているときなど、視聴するコンテンツを選択するタイミングでアプローチできる広告フォーマットです。
「サムネイル画像」と「テキスト」で構成された広告が表示され、ユーザーがクリックすると広告が再生されます。YouTubeの検索結果ページ、動画の再生ページ、モバイル版YouTubeのトップページに掲載されます。ユーザーが広告のサムネイルをクリックし、広告の視聴した場合に料金が発生します。こちらも視聴回数に対して課金がなされる、CPV(Cost Per View)での入札です。
TrueView ショッピング
TrueView ショッピングは、商品のデータフィードがアップロードされているGoogle Merchant Centerをリンクすることで、TrueView インストリーム広告に商品の詳細とリンクを追加できる広告フォーマットです。
再生される動画と最も関連性が高い商品が動的にハイライトされ、一度に6商品まで表示されます。YouTubeで動画が再生される際にPC版のページでは再生動画の右側、モバイル版のページでは再生動画の下部に商品詳細とリンクが表示されます。こちらもCPV(Cost Per View)での入札です。
参考:購買行動の中の動画視聴に寄り添う、ショッピング向けTrueView動画広告のはじめ方
ユーザーの行動を促進
TrueView アクション
TrueView アクションは、従来のTrueViewインストリーム広告で目標CPA単価制で入札でき、Call to Action ボタンを表示することでユーザーに特定のアクションを促すことが可能です。
広告のクリックまたは10秒間の視聴が、広告で発生したエンゲージメントとしてカウントされます。動画広告がクリックされず10秒間以上視聴されてから3日以内にコンバージョンが発生すると、ウェブサイト コンバージョンとしてカウントされます。動画広告がクリックされた場合は、アカウントで設定されているの計測期間に準じてコンバージョンがカウントされます。
参考:Google アドワーズ、ユーザーにアクションを促す動画広告「TrueView アクション(TrueView for action)」の提供を開始
ユーザーへのリーチを最大化
TrueView リーチ
TrueView リーチは、従来のTrueView インストリームのCPVでの入札ではなく、広告をCPM制で入札できるためより多くのユーザーに広告を表示できるように調整が可能です。
参考:TrueView リーチの導入で、関心層へのリーチ拡大が可能に - Google 広告主コミュニティ
バンパー広告
スキップが「不可能」な6秒以内の動画広告で、TrueViewインストリーム広告と同様な場所へ掲載されます。
バンパー広告の再生時間は 6 秒以内で、簡潔で印象的なメッセージを利用することで、ユーザーの見ている動画の視聴体験への影響を抑えつつ印象づけることを目的としています。TrueView リーチと同様にCPM制での入札です。
参考:Think with Google、「6秒で気持ちをつかむ」YouTubeバンパー広告のクリエイティブにおける4つのポイント
アウトストリーム動画広告
アウトストリーム動画広告は、モバイル専用の動画広告フォーマットのひとつです。Googleのパートナーサイトやアプリのモバイル端末の掲載面に掲載され、YouTubeの外部にも広告の配信ができるので配信をより拡大させることが可能です。音声なしで再生が開始され、ユーザーが広告をタップするとミュートが解除されるます。視認可能なインプレッション単価(vCPM)での入札となっています。
参考:Google アドワーズ、YouTube以外にリーチを広げる「アウトストリーム動画広告」の提供開始
動画広告で利用可能なターゲティング
Google広告の管理画面で出稿できる「TrueView広告」「バンパー広告」「アウトストリーム動画広告」は、通常のディスプレイ広告と同様のターゲティング機能を使うことが可能です。
※Google広告の管理画面で貯められるYouTubeチャンネルのオーディエンスデータ
区分 |
ユーザーの行動 |
動画の視聴 |
・チャンネルの動画視聴 ・特定の動画視聴 |
チャンネル内のアクション |
・チャンネル登録 ・チャンネルページにアクセス |
動画内のアクション |
・チャンネルの動画を高く評価 ・チャンネルの動画を再生リストに追加 ・チャンネルの動画にコメントを追加 ・チャンネルの動画を共有 |
最近はユーザーの検索履歴に基づいてターゲティングするカスタムインテントの配信も可能になり、従来のターゲティングと比べてよりユーザーの興味・関心に合わせたターゲティングの広告配信ができるようになりました。Google広告の動画広告のキャンペーンでは、グループごとにターゲティングを指定することができるので、広告の目的に合ったターゲティングの設計をしてみましょう。
※2018年9月より、YouTube動画を広告として視聴したユーザーリストを、Google ディスプレイネットワークでの広告配信へは利用できなくなっています。(検索ネットワークでは、これまで通り利用可能です。)
ターゲティング |
詳細 |
リマーケティング |
広告主の動画、チャンネルでの操作履歴があるユーザーに広告を表示 |
コンテンツターゲティング |
・キーワードターゲティング :登録したキーワードに応じて、YouTube動画内、YouTubeチャンネル、ユーザーが関心を持ちそうなサイトに動画広告を表示 ・プレースメントターゲティング :チャンネル、動画、アプリ、ウェブサイト、サイト内のプレースメントをターゲットに指定 ・トピックターゲティング :選択したカテゴリに関連性の高い動画再生ページに動画広告を掲載 |
オーディエンスターゲティング |
・言語、地域、デバイス ・ユーザーの属性 :年齢、性別、子供の有無、世帯収入 ・興味・関心 :アフィニティ、カスタムアフィニティ、ライフイベント ・検索履歴に基づいたターゲティング(カスタムインテントオーディエンス) |
まとめ
動画を使った広告施策で成果に繋がらず失敗を経験したことがあるという方、動画広告やってみたいけどよく分からないから悩むという方、この記事を読んでいただいた方の中にはいらっしゃると思います。用途別に分かれて提供される配信フォーマットに基づいて、認知目的以外の施策でも有効的に使えるようになってきたGoogleの動画広告、さまざまなビジネス目的に合わせてぜひ検討してみてください。