後発ダイナミックリターゲティング媒体ながら、成果保証が可能なダイナミック広告として、アカウント/売上金額ともに右肩上がりに急成長しているRTB House(アールティビーハウス)についてご紹介します。
課金方式・配信面・クリエイティブ・広告配信アルゴリズムなどRTB Houseの特徴はもちろん、Criteo等他媒体との併用シミュレーションについても触れていますので、現在Criteoを配信中で、RTB Houseを追加検討中の方もご確認いただけたらと思います。
目次
RTB Houseとは?
RTB Houseとはディープラーニングを活用したダイナミックリターゲティング広告の配信サービスです。
RTB House | 全てのファネルに向けたAIディープラーニング
2012年にポーランドで創業され、現在はアジアを含む世界44か国で展開、広告主は全世界で1,200社を超えています。また、媒体資料によれば中央ヨーロッパにおける広告主のリピート率は99%と実績をあげているそうです。日本でのサービス提供開始は2017年7月、日本法人設立は2018年2月と、同じくダイナミック広告を提供するCriteo(クリテオ)などに比べると後発のサービス展開にも関わらず、その効果の高さから注目を浴びています。
RTB Houseの最大の特徴は、ディープラーニング(深層学習ーDeep Learning)型の学習技術を用いて最適化された広告配信です。
ユーザーのサイトへの来訪歴のみならず来訪元や滞在時間、カートに入れる際の行動などあらゆる情報を一元管理してディープラーニングで行動を予測します。その予測から、各ユーザーのコンバージョンの可能性や成果につながるクリエイティブを自動生成し、ダイナミックリターゲティング広告を配信します。
そもそもディープラーニングとは?
【TIPS】ディープラーニングとは?
コンピューターによる機械学習で、人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層的にすることで、コンピューター自らがデータに含まれる潜在的な特徴をとらえ、より正確で効率的な判断を実現させる技術や手法。音声認識と自然言語処理を組み合わせた音声アシスタントや画像認識など、パターン認識の分野で実用化されている。
出典:デジタル大辞泉より
例えば、一般的な機械学習では、あらかじめ”人を介して”たくさんの猫の絵を機械に読み込ませたり、「猫」の特徴を数量化した特徴量を設定することで、類似したデータを判別します。一方、ディープラーニングでは、「猫」を構成する様々な属性や要素(色、毛、形など)を大量に機械学習することで、”人が直接関与することなく”、ネコの特徴をコンピューターが自動的に学んでいくという違いがあります。
RTB Houseの配信面
では次に、RTB Houseがどのようなサイトや広告枠へ広告配信できるかをみていきましょう。
Google/海外/国内ネットワーク(国内はYahoo!面を除く)
ここでお気づきの方もいらっしゃると思いますが、RTB Houseの配信面は、他の媒体と多くが重複しています。(※2)
それでもRTB Houseが日本市場において約4年間でアカウント/売上金額ともに右肩上がりに急成長している理由は、限られたネットワーク、配信面のなかでも、RTB Houseならではの特徴を活かしながら、単体での活用に加え、他媒体との併用においても実績をあげているからといえます。
(※2) 一部を除きSafariには配信をしていません。(掲載面側で独自にユーザーに許諾を行っている場合のみ配信)
こちらは、ITPの影響を加味し、何度対応しても次回のiOSアップデートで次なる対応をしていくというところにリソースを割くのではなく、根本的な解決をすることが重要と考えているようです。RTB House のビジネスができたとき (2015 年前後) にはすでに ITP が市場で問題になっていたというのも大きいとのことです。
ITPの影響がないのは本当?
RTB Houseは上記の配信面でも触れたように、RTB Houseは一部を除きSafariには配信をしていません(※1)。日本の約45%(※2)はiPhoneユーザーで、iOSユーザーの大半はデフォルトブラウザのSafariを利用していることもあり、他媒体と比較するとITPの影響は少ないと見られております。
ですが、逆にSafari利用率が大半を占めるサイトですとリーチできるユーザー数が少なく、深層学習エンジンの学習が進むことが難しいため、一度Googleアナリティクスなどの計測ツールでユーザーが利用しているOSの比率を確認することをおすすめします。Safari以外のOSの占める割合が3割以上ある場合は導入の検討を推奨します。
(※1)掲載面側で独自にユーザーに許諾を行っている場合のみ配信
(※2)「2022年5月スマートフォンOSシェア調査」MMD研究所調査データより
RTB Houseの特徴
では次からは、他のリターゲティング広告を実施していても、パフォーマンスを発揮できるRTB Houseの特徴について解説していきます。
ディープラーニングによるアルゴリズムで広告配信を最適化
一般的な機械学習を活用した広告配信では、効果のよいクリエイティブやユーザーを機械に学習させることで、配信効率をあげています。
一方、RTB Houseのディープラーニングを活用した広告配信では、効果を高めるための要素、例えば、クリエイティブ、フィードデータ、タグ情報、広告配信先、ユーザーの来訪歴、来訪元や滞在時間、カートに入れる際の行動など、より粒度の細かなあらゆる要素レベルの情報を一元管理して深層学習(Deep Learning)で判断/判別し、各ユーザーのコンバージョン可能性や成果につながるクリエイティブを自動で生成し、動的リターゲティング広告を配信しています。
目的に応じた4つの課金モデル
2022年6月現在、以下の4つの課金モデルが用意されており、広告配信するうえでサイトの目的に応じて選択が可能です。
CPS保証課金 | 売り上げあたりの広告費の比率を指定する課金モデルです。※CPS = Cost per Sales (広告費 / 売上) x 100 |
---|---|
CPA 保証課金 | 設定した目標CPAが保証される課金モデルです。万が一、目標CPAを上振れた場合は、超過分の配信費は請求されず、目標CPA分のコストのみ課金されます。 |
CPC 課金 | 設定したクリック単価を上限に、クリックが発生するごとに広告費が発生します。 |
ダイナミック CPC 課金 | CPC課金と同じくクリックが発生するごとに広告費が発生しますが、CPCは獲得見込みに応じて動的に調整されます。 |
CPS/CPA保証課金モデルでも、コンバージョン獲得の確度の高いユーザーや配信面に配信することになりますが、ダイナミックCPC課金モデルのほうが保証モデルよりも配信量が伸びやすく、目標を大きく下ぶれることも少ないため、最近はこちらの課金モデルが主流になってきています。
リッチなクリエイティブ
RTBHouseの特徴には、リッチなクリエイティブの表現も挙げられます。
動きがあり、複数の商品それぞれの魅力を伝えるユニークなバナーであることがわかります。バナーによっては商品にマウスオーバーすると、拡大表示され、ユーザーが興味を示した商品にフォーカスして訴求することもできます。
他の広告配信サービスとは違ったこれらの特徴により、RTB Houseは同じダイナミックリターゲティング広告であっても成果を出すことが期待できるのです。
フルファネルでの広告配信にも対応
RTB Houseは、サイト訪問済みのユーザーに向けたダイナミックリターゲティング広告だけでなく、購買ユーザーや自社の顧客に類似した未接触ユーザーへの広告配信も可能となりました。
今までのディープラーニング(深層学習)エンジンでは、ファネル中のターゲット層を手動で設定する必要がありましたが、RTB HOUSEの最新のエンジンでは、顕在層・潜在層の間でのユーザーの関心の変化を捉えて、適切なタイミングで、適切な広告配信面に、適切なクリエイティブを訴求できるようになりました。
特に、RTB HOUSEのディープラーニングが広告配信の学習を進める際には、一般的な機械学習で利用される80のシグナルを大きく超える200,000ものシグナルを読み取ってエンジンが学習を行うため、非常に精密な広告エンジンが学習を進めます。
RTB HOUSEの深層学習は、ファネルのそれぞれのフェーズで以下の動きを読み取り、ターゲティングを行います。
- 認知(Awareness):広告を見て興味/関心があると推測されるユーザー
- 検討(Consideration):Webサイト訪問といった行動を取る可能性が高いと推測されるユーザー
- 購入(Conversion):コンバージョンする可能性が高いと推測されるユーザー
フルファネルでの広告配信メニューは以下の通りです。
潜在・認知層に対しては動画クリエイティブやブランドの世界観を表すようなクリエイティブを、また顕在層に対してはパーソナライズされた動画クリエイティブやアクションを促すためのバナーを配信する、といったようにファネルごとに応じたクリエイティブを広告エンジンが判断して訴求を行います。
他リターゲティング広告との併用のすすめ
すでにリターゲティング広告を運用している場合であっても、RTB Houseと併用することで相互に効果を高めることが期待できる点にフォーカスして解説していきます。
まずは、こちらの図をご覧ください。これは、リターゲティング広告のターゲティングを「お笑いでウケるお客さん」に例えて図解したものです。
リターゲティング広告をひとつの媒体のみで行った場合、その媒体のエンジン内が判断した最適なユーザーにしかセグメントされません。(上の図の例えですと、ノブでしか笑いが取れない状況になります。)
そこに追加でもうひとつ違うロジックをもったリターゲティング広告媒体を加えると、ターゲットできるユーザーの層が広がります。(ノブでウケなかった層にくっきー!でウケれば全体として笑いの取れた数は増えます。)
この違いはお客さんの笑いのツボが異なるように、それぞれの媒体のユーザーの確度の判断の仕方(アルゴリズム)が異なり、それぞれの芸人が異なるネタを披露するようにクリエイティブの出し方がそれぞれの媒体で異なるために起こります。
RTB House のアルゴリズムが異なるのはDeep Learningが機械学習とは異なるアルゴリズムでユーザーを定義する点で大きく異なります。
結論として、複数のリターゲティング広告媒体を運用することで全体のリターゲティングするトラフィックを増やし、それに伴いコンバージョン件数を増加させるというメリットがあるのです。
併用も可能にするRTB Houseのエンジンの特徴
一般的なダイナミック広告のアルゴリズムでは、例えばサイトへの訪問回数が多いユーザーほど、購入確度が高いと考えられ、そういったユーザーを分析するには下図のようなY=ax などの線形分析で表される分析手法で広告配信が行われているケースが以前は多くありました。
これに対しRTB Houseのアルゴリズムは、Deep Learning(深層学習)エンジンを使用しており、一般的なダイナミック広告のロジックとはまた異なります。
例えば、”ユーザーがサイトを 5 回訪問したときに購入確度が一気にあがる”であったり、” 特定のイベント(キャンペーン、クーポンなど)が発生した時に購入する可能性が高くなる” 、など(上図参照)のように直線では捉えられない購買行動も、非線形分析手法を用いて、エンジンが判断しターゲティングします。
そのため、配信面が同じでも、配信するユーザーや広告、掲載する商品が異なるので、他媒体ではコンバージョンしないと判断されたユーザーが、RTB Houseではコンバージョンを獲得できることが期待できます。
【事例】CriteoとRTB House並走時のパフォーマンス変化
Criteoを配信中のケースにおいて、追加でRTB Houseを配信した際の一般的な開始3-5か月の実績を下図に表しました。
左側の図は、CriteoとRTB Houseを同じROAS目標で配信したケースです。
RTB House(赤)を開始したタイミングでCriteo(紫)の配信額は効率に合わせ下がっているものの、その落ち込み分以上をRTB HouseがCV額を補っているのが分かります。
また、右側の図はRTB Houseの追加前と追加後の両方を同額の予算で配信したケースです。結果的に両社で効率を高め合い、RTB House追加前はROAS 900%だったものが、追加後はROAS 1,000%でCV額が増加しています。
Criteoの配信費はどちらも効率に合わせ減額しているものの、Webサイトの事業主としては、結果的に売上の拡大に成功しているのです。
よくある配信設計の間違い
ここまでお読みいただいた方であれば、RTB Houseの特徴やメリットがわかりいただけたのではないでしょうか。ただし、一方で他の媒体と異なる特徴や仕様があるため、配信設計には注意するべきポイントもあります。
開始1ヵ月からCriteoと同じ成果を求める
上述している通り、RTB HouseのエンジンはDeep Learning(深層学習)エンジンを使用しており、従来のロジックよりも複雑な分析にクリックやCV数が必要です。
サイトの月間UU数やクリック数・CV数によりますが、最低でも1-3ヵ月は学習期間が必要です。
CPA/ROAS保証の目標値を、高すぎる目標値に設定する
上記と同じく、どうしても保証モデルが効く、というと理想的なCPA/ROASを設定したくなる気持ちはお察しします。しかし、他の広告媒体でも届いていないような高い目標を初めから掲げてしまうと、配信が抑制され、ますますクリックやCVが発生せず、学習期間を長引かせることに繋がるのです。
配信開始初期は先行投資と思い、学習期間中は許容できる目標に設定し、配信開始後に徐々に目標値を上げていき、将来的に理想の目標に届かせるステップを踏むことをおすすめいたします。
商品や商材の特定のカテゴリやユーザー属性での除外設定
こちらもRTB HouseのDeep Learning(深層学習)とは相性がよくありません。サイト上でタグは実行されているのにフィードには存在しない、のようにタグとフィードの不一致率が高いと、エンジンが分析できずに学習が正確に進まなかったり、広告掲載がNGになってしまうこともあります。基本的にエンジンには最大限の情報を送り、強化したいカテゴリやユーザーに関しては、除外ではなくタグで強化したいカテゴリにフラグを立て、目標KPIを見直す手法をおすすめします。
ディープラーニングの効果を最大限にするために
RTB Houseの効果を最大限に高めるためには、ディープラーニングの要素となる多くのデータを正確に伝え、蓄積し、機械学習の精度をあげることが重要です。
例えば、データフィードに含まれる情報を充実させることで、クリエイティブの要素が最適化され、レコメンドの精度もあがります。またタグを正しく設置することで、プラットフォーム側にサイト上のユーザーの行動データを渡すことができます。
後発のダイナミックリターゲティング媒体ではありますが、国内でも導入アカウント数、配信費が右肩上がりに伸びている、今注目の媒体です。まずはその特徴や仕組みを十分に理解して、導入を検討してみてくださいね。