Googleショッピングキャンペーンの高度な最適化

Googleショッピングキャンペーンの高度な最適化
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Unyoo.jpの記事「Googleがショッピング広告の新たな展開を発表:あらゆる購買の瞬間を捕捉するか」でも取り上げられていたように、GoogleショッピングについてGoogleは日々“Micro Moments”を捉えるためにはどのようにすればよいか考え、そして次々と新たな機能が次々と発表されて来ています。

そんな中、日本に目を向けてみるとGoogleショッピングキャンペーンはいまいち盛り上がりに欠けている感がまだ見受けられます。

これは恐らく、以下の4点に集約されるのではないかなと考えます。

  • 商品リスト広告とショッピングキャンペーンの仕組みがブラックボックスである点が多いため、何をどうしていいかわからない
  • 商品フィードを準備できない、編集できない
  • 日本ではGoogle単体でのインパクトが米国などと異なる
  • そんなことよりとりあえずリマーケティング

これらにより、Googleショッピング施策との優先順位が低くなりがちになってしまっているのかなと感じます。

そんな中、Search Engine LandにてGoogleショッピングキャンペーンに関する調査と調査結果について記事が投稿されました。投稿内容で示されたデータと手法にとても興味深い点があり、今後のGoogleショッピングキャンペーンの最適化に役立てて欲しいという観点から記事を翻訳してみました。


※以下は、Search Engine Land筆者Andreas Reiffen氏から承諾を得て和訳したものです。
(Reprinted with permission of Search Engine Land.)

Advanced Optimization Of Google Shopping Campaigns
http://searchengineland.com/advanced-optimization-google-shopping-campaigns-224627


Googleショッピングキャンペーンの高度な最適化

Hero-Advanced-Optimization-of-Google-Shopping

Googleショッピングは素晴らしい成果をもたらし、広告主にとって必要不可欠な存在となっているのは間違いありません。しかしながら、多くの広告主はGoogleショッピング上で競合企業と差別化をする術を知りません。

数週間前、Googleショッピングについての見解をSMXロンドンで発表しました。 これからお話する内容は、ベルリンで私たちのビジネス・インテリジェンス・チームによって行われた研究とテスト結果の概要です。これらの見解によって、Googleショッピングキャンペーンの高度な最適化にチャレンジすることができるようになると幸いです。

入札がインプレッション数とトラフィックボリュームにどう影響するか?

多くの方々がご存知のように、検索連動型広告ではCPCの引き上げ等の追加投資は限界利益を減少させるという明確な相関関係があります。 私たちは同じルールがGoogleショッピングに適用されるかどうか知りたかったです。 これを検証するために、商品をランダムに選んで入札単価を200%に増加させました。

我々はこの検証から二つの重要なことを学びました。

    1. 入札を引き上げるとトラフィックは増加する傾向にありますが、カニバリゼーションが発生すると、トラフィックの質は減少します。今回テストした一部の商品については、一般的な検索クエリからのトラフィックが大幅に増加しましたが、具体的な検索クエリのトラフィックは同じままでした。また、平均クリック単価(CPC)が高くなりました。具体的なクエリからのクリックに多くを支払うのと同時に、通常あまりコンバージョンしない一般語のクエリからのクリックも増加したため、収益性が下がったことを意味しました。他のケースでは、商品に関連した検索クエリからのトラフィックが増加するということは、より高い入札は収益性を保った質の高いトラフィックを増加をもたらすことも分かりました。
    2. さらに、入札がインプレッションボリュームへもたらす変化や影響についても調べてみました。 いくつかの例を以下に示します。

Tabel-1-impact-of-bid-changes-on-impression-volume表1 ― 入札の変更によるインプレッション数への影響

これらのデータは、従来の検索連動型広告と比較してGoogleショッピングの場合には非常に狭い入札単価の範囲内で急激な変化が起こることを示しています。 これは、以下のグラフに示されています。

Figure-1-High-elasticity-in-a-very-small-range図1 - 非常に狭い範囲で急激な変化が起きる

少額の入札額の変化でトラフィック量が急激に変化する点が続くことから、オークションに参加するために必要な最低入札価格があると思われます。それ以降では入札額の変化に対してはトラフィックに大きな変化をもたらしません。

このテストによって、我々はGoogleショッピングでそれぞれのクエリに幾ら支払うのかをほとんどコントロールできないということが明らかになりました。―広告を表示させたい・表示させたくないをキーワードレベルで入札し、検索クエリをコントロールできる従来の検索連動型広告とは異なり、Googleショッピングはこのレベルのコントロールが出来ません。

【訳者補足】

この実験結果は商品フィードはしっかり準備しているにもかかわらず、商品が表示されないという場合は入札単価が低すぎることが要因の一つである可能性が高いということを示唆します。商品によって入札額に対してインプレッションが急激に増えはじめる点がまちまちなので、すべての商品に一括した入札単価を設定するよりは、ある程度商品グループを小分けにして入札を変えられるようにしておけば、表示したい商品が表示されない!と言ったトラブルにも対処しやすくなりますね。

Googleショッピングキャンペーンの優先順位の設定は、パフォーマンスにどのような影響を与えるのか?

キャンペーンの優先順位設定がパフォーマンスへどの程度影響するかをテストするために、我々は、重複するキャンペーンを作成して、異なる優先順位で並行して配信できるようにしました。 キャンペーンの内容は同一なので、これにより優先度の違いによる影響を分離することができました。

我々の調査結果は、キャンペーンの優先順位自体はトラフィックに影響を与えなかったことを示しました。それどころか入札単価に大きな差があるときには、Googleはその優先順位設定を超えて、優先順位が低くとも入札単価が高い商品を提供していました。

【訳者補足】

これは従来の検索連動型広告で、同一グループにマッチタイプが「完全一致」と「部分一致」両方を入れ、検索クエリが「完全一致」だった場合、原則的に「完全一致」が優先されるが、広告ランクに差がある場合は「部分一致」が優先される場合がある。というのと同じですね。商品フィードが全く同じであるこの場合、あくまでも検索クエリに対してどのショッピングキャンペーンの商品をヒットさせたいかの優先順位を決めるだけですので、トラフィックの量に変化は起きないということですね。

検索クエリのレベルでGoogleショッピングのパフォーマンスを最適化することはできるのか?

上記のテストは、キャンペーンの優先順位を利用することでトラフィックボリュームを高めることはできないことを示しました。 しかしながら、我々はキャンペーンの優先度設定がトラフィックを分ける手段として有用であり得ることを発見しました。

次の例を見てください:

Figure-2-Sames-bid-for-different-user-intents図2 ― 異なる検索意図に対して同じ入札

2つの検索クエリは全く違う意図をもっており、コンバージョン率もかなり違うはずです。明らかに検討段階にいるユーザーと、購入したい靴が決まっているユーザーに同じ入札をおこないますか?答えは、もちろん、ノーです。

では、どのように我々はこの問題を解決したのでしょう?

我々は、キャンペーンの優先順位設定を用いて検索クエリの特異性に応じたショッピングキャンペーンを作り、除外キーワードも設定することで、よりコンバージョンしやすいトラフィックを割り当てられるようにしました。私たちは、このセグメント化戦略によって商品に対して従来平均を超えた入札単価を設定することが可能になったため、より高いコンバージョン率を見込める検索のクエリからのインプレッションを得ることができるようになりました。 また、低品質の検索クエリにかけていたコストを節約することができました。

次の結果をご覧ください。

Figure-3-CPO-on-campaigns-split-up-by-specificity図3 – キャンペーンの特異性によって分割した場合のCPO(£)

 

ご覧の通り、かなり印象的な結果となりました。 この戦略の主な課題は、実装プロセスが手動であり、これを実行するためには時間とリソースが大量にかかるといことです。

【訳者補足】

商品フィードを「従来の商品フィード」と「(商品名や型番など)具体的な検索クエリ向けに特化した商品フィード」を準備し、前者のフィードを扱うショッピングキャンペーンの優先度を「低」、後者のフィードを扱うショッピングキャンペーンの優先度を「高」にしておくことでトラフィックを分けるといった力技が必要になります。従来の商品フィードは機械的に生成ができますが、特化型の商品フィードは手動で作成する必要が出てくるので、これを実現するにはかなり労力が必要になりそうです。

商品フィード上、ディスクリプション最適化を行うことに対して時間を費やす価値はあるのか?

これをテストするために、ランダムに選んだ商品のディスクリプションを変更し、クリック数への影響を測定しました。 まず初めにディスクリプションの改善を試み、それに加えて全く関係ないディスクリプションも作りました。

ここにTFNCのドレスを使用した例を示します:

Table-2-changing-the-description-had-virtually-no-impact-on-performance表2 – 全く関係のないディスクリプションを作成

テストの結果、すべての商品において、ほぼ同様の結果を示しました:

Figure-4-Description-Impact-On-Clicks

図4 – ディスクリプションの変更によるクリックへの影響は軽微

ディスクリプションを変更してもほとんど影響がないのはこのデータから明らかです。さらに、ドレスのディスクリプションを野球帽のディスクリプションに変更しても、マイナスの影響を与えているようには見えません。

【訳者補足】

この実験結果からですと、じゃぁディスクリプションは何でも良いのか?と思いがちですが、検索クエリとディスクリプションの関連性もGoogleは見ているはずですので、どちらかと言えば、当り障りのないディスクリプションでも良いので必要最低限の内容は設定しておいたほうが良いと思います。Googleショッピングではディスクリプションも表示されますので・・・。また、ここではトラフィックに言及していますが、ディスクリプションはインプレッションに影響してくると思いますので、この結果は鵜呑みにせず、いち実験結果として見てもらえれば良いかなと思います。

商品フィード上、商品カテゴリ(Googleの商品カテゴリ)の正確性はどのくらい重要なのか?

次に、Google商品カテゴリについても上記と同様なテストをしました。 商品カテゴリを改善するところから始め、のちに無関係な商品カテゴリにしてクリックの影響を測ってみました。この例でテストされた商品は、スポーツシューズです。

Table-3-Making-product-category-irrelevant-and-measure-the-impact-on-clicks表3 – 無関係な商品カテゴリを設定する

テストの結果は次のとおりです。

Figure-5-Product-Category-Impact-On-Clicks図5 – 無関係な商品カテゴリに設定してもクリック数に与える影響はありません

ここでも、変更がクリックのほとんど影響を与えなかったことがわかります。 実際には、商品と商品カテゴリの関連性が低くてもマイナスの影響を与えませんでした。

【訳者の補足】

これも先ほどのディスクリプションの実験と同じように、それぞれで大きな差はなかったとのことですが、消費財のように複数の広告主が全く同じ商品を掲載している場合、正しくカテゴリを指定している商品とそうでない商品との間で何らかの差がでてきそうな気がします。商品点数が膨大でかつ、扱う商品のカテゴリが多岐にわたる場合は、1つ1つカテゴリを確認して当てはめる作業は苦行と感じる場合もあるでしょう。そういった場合は、細かいところまで合わせるのではなく、まずはある程度大きいカテゴリの指定で止めておくという形でもまずは問題ないかなと思いますが、最終的には詳細なカテゴリを設定しておきましょう。こちらもトラフィックの変化としたデータですので、インプレッションなどに変動が起きている可能性はありますね。

商品のタイトルを書き換えると、ショッピングキャンペーンにどのように影響するか?

このテストの結果、とても興味深い調査結果が得られています。特定の商品に対して、コンバージョンに至った検索クエリを分析し、商品フィード内の商品タイトルにその上位の検索クエリを含めてみました。 以下の例では、商品の中から「Lipsyドレス」を取り上げ、その商品に対する一般的な検索クエリの中で最もコンバージョンをした「パーティードレス」を含めてみました。

Table-4-includ-the-top-search-queries-in-the-product-title-field-within-the-product-feed表4 - 商品のフィード内の商品タイトルフィールドに上位の検索クエリを含めます

結果は次のとおりです。

Figure-6-Party-dresses-queries-volume-increase図6 – この商品で「パーティードレス」という検索クエリからからのトラフィックが増加

ここで、商品のタイトルにパーティードレスを含む場合、この商品のトラフィックに大きな増加があったことがわかります。 このクリックの増加が他にカニバリゼーションを起こしている製品からのクリックを奪うことなく、本当に増分したものかどうかを見るために、このグラフによって示すよう他の全ての製品においてもクリックを比較しました。

テストを行った商品では3,600クリックが増加、その他の商品では400クリックが減少したことが見て取れます。これはカニバリゼーションによって増分した増加でではないことを意味します。

【訳者の補足】

この結果から、商品のタイトルを変更することはトラフィックに重大な影響を与え、トラフィックが純増(またはその逆もしかり)する場合があることを示唆しています。同様に、質が高いトラフィックをもたらす検索クエリからのトラフィック増加を狙える可能性があるということも言えます。この手法を活用することで、前述のキャンペーンと優先度を分けることで、検索クエリに応じたトラフィックの分配が実現できるようになりますね。

結論

今回の調査で以下のことが分かりました。

  • ショッピングキャンペーンの入札モデルは、従来の検索連動型広告と比べると高い価格弾力性を示していますが、それは非常に狭い範囲に限られます。少額の入札によって関連性の高い検索クエリからのトラフィックがかなり増加する可能性があり、入札単価の調整は、いくつかの商品ではすぐに成果が出そうな施策になります。
  • 単一の複数キャンペーンに対して異なるAdWordsキャンペーンの優先順位を設定しても、トラフィックへの影響はありません。しかし、優先順位設定の活用によって、検索クエリに応じてトラフィックをセグメント化する場合は非常に強力となり、コストの約20%を抑えることができます。
  • 商品フィード内の商品のディスクリプションと商品のカテゴリを最適化しても、トラフィックには影響を与えません。
  • 商品フィード内の商品のタイトルを最適化するとトラフィック量に大きな影響を与えます。また、タイトルを書き換えることで、特定の商品にトラフィックを向けることができるようになります。

参考までに、SMXロンドンでのプレゼンテーションはこちらで閲覧できます:


【訳者談】

従来の検索連動型広告と比べてショッピングキャンペーンでは「何をどうしたら何がどうなる?」といった部分においてブラックボックスである事が多いので、こういった調査とその結果を得ることは大変貴重なものであると思い、英語が大の苦手の訳者が翻訳に奮闘しつつ紹介させていただきました。

その中でも特に重要な事項は、「入札単価とインプレッションの関係」「トラフィックに最も影響を与えるのは商品のタイトルの変更」ですね。入札単価によって表示がされない商品はたくさんあるはずですので、こまめに入札単価を調整してみましょう。商品タイトルの変更については、先日の記事「データフィードを使った商品リスト広告、動的リマーケティングの成果を上げるために行いたい3つの習慣」でも触れていますのでそちらも参考にしながらチューニングに取り組んでみてください。チューニングのカギとしてはどんな検索クエリからのトラフィックを得たいかになるかと思います。

なかなか全ての商品で取り組むことは難しいと思うので、いくつかの主力商品でテストしてみれば良いのではないでしょうか。恐らくテストを重ねる上で身につく勘所があるかないかで、その後の成果は変わってくるだろうとな思います。

※09月12日(土)、「リスティング広告運用者の為のスキルアップセミナー Vol.2」の中で、データフィードについてお話する機会があるので、興味がある方はこちらからどうぞ!
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