バナー構成で押さえておきたいポイントと目的別の8つの型

バナー構成で押さえておきたいポイントと目的別の8つの型

バナー制作をする際、見た目を綺麗に整えることばかり注力していませんか?

どれだけ見た目が綺麗でも、肝心の情報が理解しづらかったり魅力を感じないものであれば、ほとんどのユーザーはスルーしてしまうでしょう。

バナー制作で最も成果を左右するのは「何をどのように伝えるか」という構成の部分です。

そこで本記事では、バナー制作に慣れていない方でもすぐに取り入れられる、構成を考える上で押さえておきたいポイントと目的別のバナー構成パターンを8つご紹介します。

「今のバナーと別の構成を試したい」「バナーを定期的に入れ替えたいけど、どう展開させていけばいいかわからない」という方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。


バナーを構成する各要素の役割

バナーを構成する要素は、おもに「メインコピー」「サブコピー」「CTA」「写真・イラスト」の大きく4つに分けられます。

必ずしも「この要素をすべて入れた方がいい」というわけではありませんが、構成を考える上でまずは各要素の役割を把握しておきましょう。

メインコピー

メインコピーは、ユーザーが1番最初に目にするメインとなる文章です。

みなさんはWebサイトやSNSを見ているときにふと表示される広告を、すべてじっくり眺めるでしょうか?

バナーをスルーするかどうかは1秒以内に判断されると言われているため、ここでユーザーの心を瞬時に掴まなければなりません。メインコピー次第で「これは自分には関係ない広告だな」とスルーされるか「自分の悩みを解決してくれるかも」と興味を持ってもらえるか、判断が分かれる重要な要素となります。

人が瞬時に認識できる文字量は13文字前後と言われているので、長くなりすぎないようにしましょう。

サブコピー

サブコピーは、メインコピーを補完する文章です。

メインコピーで自分ごとだと感じてくれたユーザーがさらに興味を持つように、たとえば「1日たった5分だけ」「送料無料」「国産100%」といったプラスαの魅力を伝えたり、ターゲットを絞りたいときは「初回購入限定」「働くママ向け」といった文章を入れることもあります

メインコピーのみで情報が伝わる場合や、あえてメインコピーだけを際立たせたい場合は省略することもありますが、加えることでさらに興味を持ってもらえる可能性がある場合は上手に活用していきましょう。

CTA

CTAはコール トゥ アクションの略で、日本語では「行動喚起」を指します。バナーを見たユーザーに起こしてほしいアクションを具体的に記載することで、次の行動を促す役割を果たします。

単に「購入する」「ダウンロードする」といった行動を書くだけではなく、「いまだけ50%OFFで購入する」とお得感を伝えるオファーを足したり、「いますぐ無料でダウンロード」とハードルを下げる文言を付け足すことでユーザーの背中を押すこともできます。

▼Meta広告のCTA選択肢

掲載する媒体やフォーマットによっては、上図のようにCTAを別途選択する欄があるため、バナー内での記載は省略しても良いでしょう。ただし選択肢の文言は行動のみとなっていることが多いので、バナーの中にも別途「いまだけ50%OFF」といったオファーを付け足すなど、掲載された時の全体像をしっかり描いて構成を考えることが重要です。

写真・イラスト

「画像優位性効果」といって、写真やイラストは文字よりも理解度が高く記憶にも残りやすいと言われています。

たとえば熱々の鉄板で焼いているお肉や、ジェルのみずみずしさを表現するテクスチャーはテキストのみで表現することが難しいので、写真を大きく配置すると効果的です。

人材サービスやソフトウェアといった無形商材の場合も、ターゲットを表した写真やイラストをコピーとともに配置することで、ひと目で「誰向けなのか」を伝えることもできます

あえて文字のみのバナーでインパクトを出す手法もありますが、もし文字だけではひと目で自分ごとかわかりづらそうだなと感じた場合は、イラストや写真で補足できないか考えてみましょう。

構成を考える上で押さえておくべきポイント

バナーの表現方法はさまざまですが、どんなバナーでも成果を上げるために最低限押さえておきたいポイントを2つご紹介します。

なるべく要素を減らしてメインメッセージを印象づける

バナーのサイズは限られており、ユーザーが「あとでじっくり見よう」と振り返って見てくれることもほぼありません。そのため、一瞬で自分ごとかどうか判断できるわかりやすさが成果を左右します。情報を詰め込むとどうしてもゴチャっとした印象になり、その分メインメッセージが弱まってしまうのです。

たとえば「肌のうるおい不足にオールインワンジェルで極上スキンケアタイム」というコピーがあったとします。一見綺麗にまとまっていますが、このコピーは誰に向けたものでしょうか。

「肌のうるおい不足」「オールインワン」「極上スキンケアタイム」という3つの訴求に分解すると、それぞれ「乾燥を改善したい」「オールインワンで手早くスキンケアをしたい」「スキンケアタイムをより良いものにしたい」という違ったニーズを抱えた人に向けたものであることがわかります。

3つの訴求を1枚のバナーに詰め込むことで、どのニーズを抱えた人にもひと目で自分ごとだと感じてもらうことが難しくなってしまっています。

この場合は要素を1枚に詰め込むのではなくそれぞれ訴求軸のちがうバナーを別パターンで用意するのがおすすめです。

バナーの構成を考えるときは、実際の口コミやアンケートを参考にニーズを分類して、それぞれのニーズにあわせた訴求軸ごとに複数パターンを用意するのが理想的です。

配信する媒体・フォーマットの表示の仕方とポリシーをチェックする

構成を考える前に、制作予定のバナーがどんな風に掲載されるのか必ずチェックしておきます。

バナー画像とは別で見出しや説明文、CTAが表示されたり、掲載面によってはレスポンシブで小さな枠に表示されることもあります。SNS広告の場合はターゲットがどんな気分・どんな状況でそのSNSを見ているのか、ふだんどんな投稿を見ているのかも合わせてリサーチしておきましょう。

また、媒体のポリシーを確認しないまま進めると媒体の審査に落ちてしまったり、何度も修正が必要になってしまうことがあるため、こちらも忘れずに確認してください。

目的別で使えるバナー構成の型

ここからはバナー構成を考えるのが初めての方でもすぐに取り入れられる、バナー構成の型を目的別に紹介します。

型と言っても、ただなんとなく当てはめるだけでは表面的な模倣にしか繋がらず、ユーザーに響くバナーを制作するのは難しいでしょう。大切なのは「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかを考え抜くことです。

ここで紹介する型は、ターゲットや目的、訴求軸を整理した上で、どのように伝えたらユーザーに響くかを考えるヒントとしてお使いいただければと思います。

誰に向けた広告かひと目でわかる「ターゲット絞込み型」

「〇〇な人必見」という風に、年齢、性別、職業、趣味などでターゲットを絞り込んで呼びかけると、該当者が「自分に関係のある広告だ」とひと目でわかるため、注目してもらいやすくなります。

コピーで呼びかける対象は、「女性の方」など広すぎると多くの人に当てはまってしまい、自分ごとだという意識が薄れるので「〇〇を解決したい女性の方」という風に具体的に明記しましょう。

逆に顕在層を狙おうとして「管理職で〇〇のサービスを検討している方」のように絞りすぎると、該当者が少なすぎて誰にも見てもらえない可能性があります。コピーを考える際は「自分ごとだと感じてもらえるか」「どれくらいの人が該当するか」という2つの視点を意識しましょう。

また、ターゲット絞り込み型は注目を集める目的だけでなく、ターゲット以外の誤クリックを防ぎたいときにも有効です。たとえばBtoBサービスの場合は「法人向け」と入れることで、対象ではない個人ユーザーのクリックを減らす効果もあります。

<デザインのポイント>

  • 瞬時に自分ごとだと認識してもらうために、絞り込む情報は冒頭に持ってくる
  • ターゲットを表す写真やイラストを大きく配置するのも効果的

悩みや願望に寄り添って共感を得る「感情代弁型」

ユーザーが抱えている悩みや願望をそのまま代弁することで、「まさに今自分が思っていることだ!」と興味を持ってもらうことができます。

コピーを考えるときは「こう思っているだろうな」と想像するよりも、ユーザーの口から出た悩みや願望をそのままコピーにすると、よりリアルで共感を得やすくなります。

直接話を聞くことができれば理想的ですが、自社や競合サービスの口コミを見たり、SNSで「〇〇 やめたい」「〇〇 やりたい」といった悩みや願望に関するワードで検索することで、ユーザーの声を知ることも可能です。

感情代弁型は、特に潜在層に届けたいときに効果を発揮します。たとえば、サービスの特徴を端的に表した「夕飯作りをラクにする宅食サービス」というコピーを例に考えてみましょう。宅食サービスを探している顕在層にはピッタリですが、潜在層には直接的すぎて振り向いてもらえないかもしれません。

「悩みは自覚していても、解決に向けた具体的な行動をまだ起こしていない」という潜在層には、まずは「忙しくて夕食作るのもう限界!」といった感情を代弁するコピーで共感を得るところからスタートすると、「自分の悩みが解決するかも」と徐々に興味を持ってもらいやすくなります。

<デザインのポイント>

  • 感情を代弁するコピーが1番目立つように配置する
  • コピーを表すイラストや写真を添えると感情がより伝わりやすい
  • インパクトを出すためにあえてテキストのみのバナーにしたり、チェック項目式にするのも◎

現状を見直すきっかけになる「啓蒙型」

潜在的な悩みを抱えている人がハッとする言葉や、新しい発見をコピーにすることで、現状を見直すきっかけを作ります。

人は長期間同じ状況に置かれると、悩みを抱えている状態が当たり前になってしまい「解決しよう」と行動する気力をなくしてしまうことがあります。

ユーザーが諦めていることや、二の足を踏んでいることに着目して、背中を押すようなコピーを考えてみましょう。ここであまりにも強い言葉を使ってしまうと、不快な思いをさせてしまい逆効果なので、伝え方には注意が必要です。

自社サービスで解決できることも一緒に提示をすることで、魅力を感じていただけるきっかけになるためサブコピーでしっかり伝えるようにしましょう。

<デザインのポイント>

  • ハッとする言葉や新しい発見を入れたコピーが1番目立つように配置する
  • サンプルバナーのようにテキストのみか、写真+コピーのようなシンプルなレイアウトでコピーを際立たせる
  • メインコピーの引きが強ければ、読み物のように長文のサブコピーを入れるのも相性が良い(例:「残業が当たり前になっていませんか?〇〇を使った90%の人が残業時間を削減しています。ストレスで体調を崩す前に、まずは相談から始めてみましょう」)

他の選択肢に対する強みをアピールできる「比較型」

比較対象を出すことで、自社サービス単体で強みを訴求するよりも、よりメリットを感じてもらいやすい効果があります。

潜在層向けの場合は、左のサンプルバナーのようにサービスの利用前後でどれだけ状況が変わるかを比較するのがおすすめです。自社サービスとは別の解決手段を想起しているユーザーには、右のように「こんな解決手段もありますよ」と提示しつつ、強みとなる部分を強調します。

コピーを考える際は、比較対象のことをよく調べておきましょう。例えば英会話アプリの広告で、比較対象となる英会話教室のことを知りたい場合は、Googleマップで各教室のクチコミを見るのがおすすめです。

「英語が全くできず最初は話せるか不安でしたが、先生が優しかったので安心できました」「英語が話せないため、先生が一方的に話すことが多くなってしまう印象でした」など、ポジティブ・ネガティブどちらの口コミも見ておくことで、自社の強み・弱みを把握するヒントになります。

<デザインのポイント>

  • 二分割で表現すると、比較項目を見比べやすい
  • 配色はコントラストが生まれるようにする
  • 比較内容だけだと何の広告かわかりづらいので、サブコピーやCTAで何のサービスかわかるようにする

お得感や成果を具体的に伝える「数字表現型」

数字を入れることでお得感や成果を具体的に伝えることができます。

価格、割引率、実績、利便性(例:1日たった3分)など、具体的であればあるほどユーザーにとってのベネフィットをイメージしやすくなります。そのまま伝えてもピンと来ない数字の場合は、ユーザーがイメージしやすい数字に置き換えましょう。

例えば「1日2杯 1ヶ月分7,440円の青汁」と聞くと少し高く感じますが、「1杯120円の青汁」と聞くと、手が出せない価格ではないと感じる方も多いのではないでしょうか。元の数字でイメージがしづらい場合は、分割したり他の表現ができないか考えてみると良いでしょう。

<デザインのポイント>

  • コピーの中でも数字部分が1番目立つように強調する。単位は数字より少し小さくすると可読性が上がる。
  • テキストのサイズを大きくするだけでなく、色や太さを変える、フチをつける、斜体にして躍動感を出すなど、数字だけデザイン処理を変えることでも目立たせることが可能

安心感を上げる「権威型」

権威付けすることでサービスに対する警戒心を解き、安心感を上げる効果があります。

「購入後に失敗をしたくない」という気持ちに対して、「この人のオススメなら大丈夫かも」「満足度がこんなに高いなら安心かも」と思ってもらえるような情報を追加します。

たとえば以下のような情報を入れられないか、検討してみましょう。

  • 専門家や著名人の推薦
  • 売上や販売実績
  • 顧客満足度
  • 雑誌やテレビでの紹介

権威型は、潜在層よりもサービスをある程度知っている顕在層の背中を押す一手として効果を発揮しやすいです。

<デザインのポイント>

  • 著名人の推薦の場合は、その人の写真も入れると注目してもらいやすい
  • 1位などの実績を表現する際は、金メダル、王冠、月桂樹のようなモチーフを使うことで、パッと見て特定の分野で突出していると伝わりやすい

具体的なシチュエーションを想像させる「利用シーン提案型」

季節、時間帯、場所などを商品情報と掛け合わせることで、具体的な利用シーンをユーザーに提案することができます。

「商品だけだと、利用シーンや使い方がわかりづらい……」という場合に、たとえば以下のような訴求をすると「いつ」「どこで」「どんな風に」使うのか具体的にイメージしてもらいやすくなるでしょう。

  • 本格カクテルが自宅で楽しめる(場所)
  • 寝る前のご褒美マスク(時間帯)
  • 汗ばむ季節に速乾Tシャツ(季節)

また、ふだんとは違う新しい使い方を提案するときにも効果的です。顔に塗ることの多い美容オイルを「ヘアケアにも使える美容オイル」という風に提示することで、髪の悩みを抱えている層にも届けることができます。

<デザインのポイント>

  • 季節や時間帯、場所がひと目でわかるように、テキストで状況を伝えるのではなく写真やイラストをメインにする
  • フォントが与える印象も考慮して選ぶ。落ち着いた雰囲気にしたい時は明朝体、元気で明るい印象を与えたいときにはゴシック体など

五感に訴えて想像を膨らませる「臨場感演出型」

効果音や質感がわかる写真など五感に訴える表現をすることで、実際に手にしなくても想像を膨らませることができます。

食品であれば食感、飲料であれば喉越し、化粧品であれば着け心地など……。音や質感は動画が1番伝わりやすいですが、画像の場合も効果音やテクスチャーをあしらうことで、臨場感を演出することができます。

「とろ~り」「もちっと」「さらさら」「プルプル」など商品写真だけではなかなか伝わりづらいので、どんな効果音をつけると伝わるか実際に商品を手にしながら考えてみましょう。

<デザインのポイント>

  • 効果音のテキスト部分のみあしらいを変えたり、動きを加えてイメージを伝える(例:「とろ~り」というテキストに雫が垂れているあしらいを加える)
  • 食べ物のシズル感を出したいときは、写真の特徴的な部分を大きく配置し、鮮やかさ、ツヤ感、などがわかるようにレタッチする
  • 商品画像の背景に水面のテクスチャーを入れたり、商品に入っている素材の写真やイラストを一緒に配置すると、味や成分が想像しやすい

まとめ

バナー制作に慣れていないと、なんとなく既存のバナーに似たようなものにしたり、広告主側が伝えたい情報を1枚に詰め込んでしまうことも少なくないと思います。


ですが、サイズが限られているバナー広告だからこそ「何をどのように伝えるか」という構成の部分に時間をかけ、考え抜くことが重要です。

一方的に言いたいことを言うのではなく、「今この状況の人に、どう声をかければ興味を持ってもらえるか」と悩んでいる人に声をかけるイメージでバナー構成を考えてみましょう。

制作したバナーをどうやって次の施策につなげていくか、広告クリエイティブのPDCAの回し方についてはこちらの記事で解説しています。

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