運用型広告の提案をする前に考えておきたい6つのポイント

運用型広告の提案をする前に考えておきたい6つのポイント
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どんな広告運用者でも使える時間は限られています。リスティング広告に加え、Facebook/Instagram広告、Twitter広告、LINE Ads Platformなど運用要素を備えた広告媒体はますます増えています。合わせて、各媒体の多機能化によって、できること、やるべきことは膨れ上がっていますよね。そのため、やりたいことすべてを行う時間は現実的にはありませんし、限られた施策提案の打席においてヒットを打ち続けなければ、継続的なビジネスの成長は難しいでしょう。

今回は、運用型広告の施策提案において少しでも打率を上げ、提案が空振りばかりしないために気を付けておくべき6つのポイントを考えました



1.努力のベクトルは間違っていないか

Photo by Yuiizaa September on Unsplash


いくら素晴らしい提案であっても守るべき前提条件を逸脱しまうと、せっかくの提案が意味のない内容になってしまいます。提案に向けて走り出す前に、まずは最低限の前提を確認しておきましょう。

・広告予算額の上限
・広告の成果目標の数値(KPI)
・提案の提出日、実施の期限
・提案内容が法的に問題がないか
・提案内容が媒体ポリシーに抵触していないか
・提案内容が倫理的に問題ないか
などなど

提案の骨子をまとめた後に前提条件とのズレがあると、最悪の場合、提案作成に費やした全ての時間がムダになってしまう可能性さえあります。弊社代表の阿部はこれを「努力のベクトルが誤っている」と表現をしています。

参考:努力のベクトル

ベクトルを大きく誤ることがないよう、まずは軸となる前提条件を過不足なく確認するところからはじめましょう。

2.そのサービスの強み・弱みを理解しているか

Photo by Kelli Tungay on Unsplash


そもそも広告主のサービスの強みや弱みを理解していないと、気づかぬうちに誤った方向へ向かってしまうことがあります。

たとえば、筆者が携わったリラクゼーション施設では、当初競合の他店と同じ料金にもかかわらず、低料金を全面に打ち出していました。もちろんこれでは成果が出るはずがありません。そこで、考えてみたところ「予約が取りやすい」という自社の強みを発見し、売上を伸ばすことに繋がりました。

「疲れが溜まってどうにもならない。値段は問わないので、今すぐにでも駆け込みたい」というユーザーの需要に答えられたのですね。

強みや弱みを理解しないままに施策を練ったとしても、それは見当違いの方向へ向かいやすくなってしまいます。また、強みのないところで頑張ったところで、徒労に終わることも少なくありません。

効果的な施策を考えるためには、まず広告主の「強み」や「弱み」を見つけること大切です。

3.提案に仮説があるか


セブン‐イレブン創業者・鈴木敏文さんは、仮説を立てることについて以下のように表現しています。

海辺の町で釣り船の発着場へ続く道路沿いにセブン-イレブンの店舗があった。明日は週末で、天気予報では絶好の釣り日和。早朝、昼食を買いに立ち寄る釣り客の心理からすると、昼に気温が上がっても、傷みにくいイメージのものを求めるのではないか。「それなら梅のおにぎりが売れるのでは」と仮説を立てて、多めに仕入れておく。
~中略~
なんら仮説も立てず、適当に発注しているかぎり、それは単に梅おにぎりというモノにすぎません。一方、自分なりに仮説を立てて発注すれば、そこに意味が込められ、単なる梅おにぎりから「陽気のいい日の釣りの昼食には梅おにぎりがいいのでは」というコトに変わります。仮説を立てるとは、お客様にどんなコトをメッセージとして伝えるか、そのストーリーを考えることであり、お客様はそのストーリーに共感して買う。このとき、お客様と売り手とのあいだで強い関係が生まれるのです。

参考:作業をするな、仕事をしろ!〜ビジネスのキモは「仮説の立て方」にある

仮説がない運用型広告の提案は「この広告プロダクトが...」「このターゲティングが...」という「モノ」に終始してしまうことがほとんどではないでしょうか。

どんな状況にいる、どんなユーザーに対して、どんな広告でメッセージを伝えるのか?「そのためにこの広告プロダクトをこう活用しましょう!」というように仮設が先頭にある提案にはストーリーが生まれます。

自分の提案にはストーリーがあるか、提案を聞く方に成功するイメージを抱いてもらうことができるのか、いま一度考えてみるのをおすすめします。

4.広告の作り手と受け手となるユーザーの間にギャップがないか

Photo by Suad Kamardeen on Unsplash

広告の作り手と受け手となるユーザーの間にギャップがないかは、現在ではもっとも注意するべきポイントのひとつです。

「そんな風に受け取られるとは思わなかった」ではなかなか済まないケースがしばしばあるのも事実ですよね。広告主やブランドが伝えたいメッセージと、広告から受け取った内容の間にギャップがあると、ひとを動かせないどころか溝をますます深めてしまうことになりかねません。

これらのギャップの多くは、これまでの慣習の上に成り立っているため、なかなか気が付きづらい点が一筋縄ではいきません。受け手となるユーザーの間にギャップがないかは注意しすぎることはありませんので、提案する前にいま一度考えてみてください。

また、普段からいろいろなひとの価値観に触れるのもギャップを埋めるためのアクションとして役に立つのではないかと思います。

5.ビジネス全体にどれくらいインパクトがあるか

Photo by Jordan McDonald on Unsplash

当然ながら投資ができる広告費にも上限があります。限られた時間、限られた広告費という縛りがある中で広告配信の成果、さらには広告主やクライアントの売上全体に対してインパクトが大きい改善案を考えたいとき、提案すべき内容の優先順位は、どのように決めれば良いのでしょうか?前提として費用対効果がすでに合っている場合の一例ですが、私は以下の順番で優先順位をつけることが多いです。

  1. 現在最も成果を生み出している部分を更に伸ばせないか
  2. 費用対効果はまだ見合わないが、インパクトが大きい部分は改善できないか
  3. まだチャレンジしていない部分に投資ができないか

私たち運用者に求められているのは広告を管理する業務ではなく、広告を通して成果を出すことです。同じ1時間を使って考える改善案であれば、100の成果を101にするより、100の成果を150~200にするためにはどうするか?という視点を、常に持ちたいです。

6.本当に運用型広告が最適か

Photo by Mitch Lensink on Unsplash

ターゲティング精度に優れた運用型広告ですが、運用型広告はあくまで数ある集客方法のうちのひとつでしかありません。「その目的を達成するためには、本当に運用型広告が最適なのか?」という視点は忘れずにいたいです。

また、広告以外の部分がボトルネックになっている可能性もあります。例えば、地方のテーマパークの集客に必要な施策は、広告よりも現地までのユーザーの足となるバスの整備かもしれませんし、新宿駅の前で飲食店を探している人を近くのお店まで導く施策は、運用型広告ではなく駅前の看板広告や人力でのビラ配りか適しているかもしれません。

あなたの提案はもっと良くなる

最初から短時間で全ての項目を確認することは難しいかもしれませんが、まずは作成した提案内容が各項目を満たしているかどうか、時間をかけてひとつずつ確認してみてください。何度か繰り返し確認を続けることで、提案作成を進めることと同時に不足している部分に気付くことができるようになります。実施前に空振りとなりそうな提案に時間を使うことが少なくなるよう、限られた時間を有効に使っていきたいですね。

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