調査から読み解く、Google検索広告のCPC上昇傾向。86%の業種で平均10%アップだけど、

調査から読み解く、Google検索広告のCPC上昇傾向。86%の業種で平均10%アップだけど、

「Google広告のクリック単価が年々上がっている気がする」広告運用に携わる方なら、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。

この記事では、Alphabet(Google親会社)の公式財務報告、大手調査機関のベンチマークデータ、そして米国反トラスト裁判で明らかになった内部情報をもとに、Google検索広告のCPC(クリック単価)が実際に上昇しているのか、その要因は何かを多角的に検証していきます。


結論:CPCは確実に上昇しているが、すべての広告アカウントに当てはまるものではない

先に結論をお伝えすると、Google検索広告のCPCは確実に上昇しています。ただし、その上昇幅はデータソースによって年2〜12%と幅があります。

以下の表は、主要なデータソース別のCPC年間上昇率をまとめたものです。

データソース年平均CPC上昇率対象期間データの特徴
Alphabet年次報告書(10-K)約2.33%2019〜2024年グローバル全体、YouTube・ディスプレイ含む
WordStreamベンチマーク約4%以上2021〜2024年米国中心、17,000以上のキャンペーン
個別アカウント運用データ約11.75%9年間平均特定の検索語句を長期追跡
出典:Search Engine Land「CPC inflation: How fast are Google Ads costs rising?」(2025年4月)

なぜこれほどの差が生じるのでしょうか。Alphabet公式データはYouTubeやディスプレイ広告、新興国市場を含むグローバル集計のため、検索広告単体より低めに出る傾向があります。一方、個別アカウントでは競争の激しいキーワードを追跡しているため、高めの数値となっています。

2023〜2024年に起きた急激な上昇

特に注目すべきは、2023年から2024年にかけての急激な上昇です。

WordStreamが17,000以上の米国キャンペーンを分析した「Google Ads Benchmarks 2024」によると、2023年から2024年にかけてCPCは平均10%上昇し、平均CPCは4.66ドル(前年の4.22ドルから上昇)に達しました。

出典:WordStream「Google Ads Benchmarks 2024」

さらに重要なのは、86%の業種でCPCが上昇したという事実です。前年は約60%の業種で平均2%程度の上昇にとどまっていたことを考えると、2024年は大幅な加速が見られたといえます。

出典:WordStream「Google Ads Benchmarks 2025」

2025年版のベンチマークでは、平均CPCはさらに上昇して5.26ドルとなっています。検索広告のコストは過去5年間、一貫して上昇し続けているのです。

業種別に見るCPC上昇の実態

CPCの上昇幅は業種によって大きく異なります。特に注目すべき動きを見てみましょう。

CPC上昇が顕著な業種

業種平均CPC(2024年)前年比変動
弁護士・法律サービス8.94ドル高水準を維持
住宅・リフォーム6.96ドル高水準を維持
不動産2.10ドル約35%以上急騰
小売・ショッピング約20%上昇
旅行1.92ドル低水準だが上昇傾向
出典:WordStream「Google Ads Benchmarks 2024」PPC Hero「Why are Google Ads CPCs increasing?」(2025年7月)

不動産業界では、高金利による市場冷え込みにもかかわらず、広告競争は激化しCPCが急騰しました。小売・EC業界でもQ1 2023とQ1 2024の比較で約20%の上昇が報告されています。

例外的にCPCが下落した業種

一方で、金融・保険業界ではCPCが約25%下落したとされる調査もあります。高金利と経済不確実性により、銀行や保険会社が広告出稿を控えたことで競争が緩和された結果と考えられるのではないでしょうか。

出典:PPC Hero「Why are Google Ads CPCs increasing?」(2025年7月)

以下をみても分かる通り、業種によって状況は異なっており、単に「Google広告のCPCが上がっている」としてしまうのは早計だとわかります。(いわゆる平均の罠ですね)もちろん日本だと事情は異なりますが、それでもどうして上がっているのか、どうして相場が高いのかは、あたりがつきそうです。

全業種のCPC比較一覧(2024年 vs 2025年)

業種2024年CPC2025年CPC前年比変動
弁護士・法律サービス8.94ドル8.58ドル-4.03%
歯科医・歯科サービス6.82ドル7.85ドル+15.10%
住宅・リフォーム6.96ドル7.85ドル+12.79%
教育・指導4.39ドル6.23ドル+41.91%
パーソナルサービス4.95ドル5.81ドル+17.37%
産業・商業4.95ドル5.70ドル+15.15%
美容・パーソナルケア3.56ドル5.70ドル+60.11%
ビジネスサービス5.37ドル5.58ドル+3.91%
キャリア・就職4.53ドル5.16ドル+13.91%
健康・フィットネス4.71ドル5.00ドル+6.16%
医師・外科医4.76ドル5.00ドル+5.04%
アパレル・ファッション・ジュエリー3.39ドル4.31ドル+27.14%
動物・ペット3.90ドル3.97ドル+1.79%
自動車(修理・サービス・部品)3.39ドル3.90ドル+15.04%
家具3.29ドル3.86ドル+17.33%
ショッピング・コレクション・ギフト2.61ドル3.49ドル+33.72%
金融・保険3.00ドル3.46ドル+15.33%
スポーツ・レクリエーション2.34ドル2.64ドル+12.82%
不動産2.10ドル2.53ドル+20.48%
自動車(販売)2.34ドル2.41ドル+2.99%
旅行1.92ドル2.12ドル+10.42%
レストラン・フード2.18ドル2.05ドル-5.96%
アート・エンターテインメント1.72ドル1.60ドル-6.98%
全業種平均4.66ドル5.26ドル+12.88%

なぜCPCは上昇するのか(4つの構造的要因)

CPC上昇の背景には、単なる市場競争の激化だけでなく、複数の構造的要因が存在します。

要因1:経済的インフレの影響

GoogleのPartner Data Transformation LeadであるAlessandro Colarossiは、CPCの上昇について次のように説明しています。

「ほとんどの業種でのCPC上昇は、インフレなど継続する経済的課題と直接的に関連しています」

出典:WordStream「Google Ads Benchmarks 2024」におけるGoogleデータリードのコメント

物価上昇に伴い企業のマーケティング予算も増加し、同じ露出を維持するためにより高い入札が必要になっているのです。

要因2:広告クリック供給量の減少

需要だけでなく、供給サイドでも変化が起きています。

2023年後半のデータによると、広告費が4%増加したにもかかわらず、検索広告のインプレッションは前年比約15%減少しました。リッチリザルトやAIスニペット(主にAI Overview)などによりクリック可能な在庫が減少することで、残りのクリックに対する競争が激化し、CPCが上昇する構造になっています。

出典:PPC Hero「Why are Google Ads CPCs increasing?」(2025年7月)

要因3:Googleによるオークション調整(反トラスト裁判で判明)

2023年9月の米国司法省(DOJ)反トラスト裁判で、衝撃的な事実が明らかになりました。

Google広告担当副社長のJerry Dischlerは、Googleが収益目標を達成するために広告オークションを「頻繁に」調整していることを証言しました。これらの調整には最大5%(一部のクエリでは10%)の価格引き上げが含まれ、広告主には通知されていなかったといいます。

出典:Bloomberg「Google Antitrust Trial: Ad Targets Tweaked to Meet Revenue Targets」(2023年9月)、Search Engine Journal「Google Allegedly Adjusts Ad Auctions To Meet Revenue Goals」(2023年9月)

DOJの最終弁論資料ではさらに詳細な手法が明らかになっています。

  • Project Momiji(2017年導入):入札者の入札額を人工的に引き上げ、落札者のコストを15%増加
  • RGSP(2019年導入):オークション設計の変更により、広告収入を10%増加

Dischlerは社内メールで「収益目標を達成するためにクッションを揺さぶっている(shaking the cushions)」と表現し、「ノルマを達成するためにクリエイティブになる」ことが目標だったと証言しています。

出典:Search Engine Land「How Google harms search advertisers in 20 slides」(2024年5月)

要因4:AI Overviewsとゼロクリック検索の増加

2024年から本格展開されたGoogleのAI Overviews(AI概要)も、CPCに間接的な影響を与えています。

Seer Interactiveの調査(2024年6月〜2025年9月)によると、AI Overviewsが表示されるクエリでは:

  • オーガニックCTRが61%低下(1.76%→0.61%)
  • 有料広告のCTRが68%低下(19.7%→6.34%)

出典:Search Engine Land「Google AI Overviews drive 61% drop in organic CTR, 68% in paid」(2025年11月)

さらに、2025年現在、Google検索の約60%がゼロクリック検索(ウェブサイトへのクリックなしで完結する検索)となっています。ユーザーがクリックする機会自体が減少することで、残りのクリックに対する競争が激化し、CPCを押し上げる要因となっています。

出典:The Digital Bloom「2025 Organic Traffic Crisis: Zero-Click & AI Impact Report」(2025年12月)

長期的なCPC推移(検索広告で年11%超、ショッピング広告は10年で3倍超)

短期的な変動だけでなく、長期的なトレンドも確認しておきましょう。

検索広告の長期データ

Search Engine Landが管理する7つの高額出稿アカウント(法律、歯科、EC、引越し、医療機器、靴、旅行業界)を分析した結果、過去9年間の平均で年間11.75%のCPC上昇(CAGR:複合年間成長率)が観測されています。

これは同期間の米国消費者物価指数(CPI)上昇率(約4.24%)を大幅に上回る水準であり、検索広告のコストがインフレ以上のペースで上昇していることを示しています。

出典:Search Engine Land「CPC inflation: How fast are Google Ads costs rising?」(2025年4月)

ショッピング広告の長期データ(参考)

なお、Rank Fuseの分析によると、Googleショッピング広告(商品リスト広告)のCPCは2015年第1四半期の約0.85ドルから2024年第4四半期の3.68ドルへと、10年間で333%上昇しました。これは年平均約7〜9%の成長率に相当します。

検索広告とは異なる広告タイプですが、Google広告全体でCPC上昇傾向が続いていることを裏付けるデータといえるでしょう。特に急激な上昇が見られたのは2021〜2022年で、年間で約15%のCPC上昇が観測されています。COVID-19パンデミック後のEC市場拡大に伴う広告競争の激化が主因と考えられます。

出典:Rank Fuse「Google Shopping Ads CPC Trend Analysis (2015-2024)」(2025年9月)

Alphabet公式データから見るCPC推移

最後に、Alphabet(Google親会社)の公式財務報告からCPCの推移を確認しましょう。

2024年の年次報告書(Form 10-K)によれば、以下の数字が示されています。

  • Google検索およびその他プロパティでの有料クリック数は前年比5%増加
  • クリック単価(CPC)は7%上昇

出典:Webull「Alphabet Inc. (GOOGL) Annual Report (Form 10-K) for the fiscal year ended December 31, 2024」

Search Engine Landの分析では、2018〜2024年のAlphabet年次報告書を精査した結果、6年間のうち3年(2021年、2023年、2024年)で有料クリック数とCPCの両方が増加していることが確認されています。

最も劇的な変化は2020〜2021年で、COVID-19によるオンライン活動の急増に伴い競争が激化し、CPCも大幅に上昇しました。

出典:Search Engine Land「CPC inflation: How fast are Google Ads costs rising?」(2025年4月)

いま取るべき対策

CPCの上昇が構造的なものである以上、広告主は受け身ではなく能動的に対策を講じる必要があります。

「広告の品質」の改善

一般的に「広告の品質」が高いほど、同じ広告ランクを維持するために必要なCPCは低くなります。検索語句と広告の関連性、広告文とランディングページの関連性、ランディングページの利便性を高め、予想クリック率を改善することで、CPC上昇の影響を緩和できます。

広告の品質を測る目安のひとつに「品質スコア」があります。数字で見えるのは分かりやすいですが、ランクやスコアを上げることが目的とならないように注意しましょう。その広告はあくまでユーザーのためのものです。

キーワード戦略の見直し

競争の激しいビッグワードから、より具体的なロングテールキーワードへのシフトを検討しましょう。検索ボリュームは減少しますが、CPCを抑えながらコンバージョン率の高いユーザーにリーチできる可能性があります。

以下はBtoBに関する記事ですが、ランディングページもキーワードの幅を広げるのに有効な手立てのひとつです。ぜひ参考にしてみてください。

チャネルの分散

Google検索広告への依存度を下げ、Google広告の他のチャネルやMeta広告、Microsoft広告など他のプラットフォームへの分散を進めることで、リスクヘッジが可能です。いわゆる「卵はひとつのカゴに盛るな」は投資の至難として良く引用される言葉ですが、広告投資においてもどうようなことが言えます。

YouTube広告の費用動向(検索広告との比較)

チャネルの分散について、もちろんGoogleは検索広告だけではありません。ここでは主要な配信先のひとつで費用対効果も大きくなるYouTube広告の状況をお伝えします。

結論:YouTubeは相対的にCPCを抑えられる可能性も高い

指標YouTube広告Google検索広告
平均CPM3.5〜4ドル程度(2025年)
平均CPV0.02〜0.03ドル
平均CPC0.49〜0.97ドル5.26ドル(2025年)
年間上昇率緩やか〜横ばい+12.88%

主な調査結果をもとにすると、おおよそこのような傾向が見えてきます。

  1. YouTubeは成長が鈍化している
    • YouTube is showing slower growth than other platforms, with less than half the growth rate in 2023 than 2022. Veuno(Veuno, 2024年)
  2. CPMは季節変動が大きいが、年間では安定的
    • Dec 2024 averaged $5.70 CPM, with the highest week hitting $6.93 during Cyber Week. Early-year dips (e.g., $1.98 in Jan 2025) and summer slumps ($1.76 in Aug 2024) offer low-cost opportunities. Lenos
  3. Shorts在庫の拡大がCPMを抑制
    • For OLV—particularly on platforms like YouTube—demand is also increasing as more brands invest in video content. However, this inflation is being tempered by a steady expansion in placement offerings. YouTube, for example, is aggressively growing its Shorts inventory, which helps keep CPMs competitive despite rising investment. DAC
  4. 検索広告より大幅に安い
    • If you compare YouTube to Google Ads, you will also notice that the video platform typically has a lower cost per click or view. The difference can be just cents for a YouTube view versus $50 or more for a click on Google. Podium

YouTube広告は、現状CPCが高騰しづらいのには次のような理由が考えられます。

要因説明
在庫の拡大Shorts、CTVなど新しい広告枠が増加
スキップ可能広告視聴されなければ課金されない
競争構造検索広告ほど「今すぐ客」を奪い合わない
ブランド認知目的コンバージョン直結ではないため入札競争が緩やか

もちろん、目的にあった活用であることやユーザーに期待するアクションを起こしてもらいやすいクリエイティブを設計できているのが前提です。

YouTubeに限らずですが、動画にも積極的に取り組んでおり、活用の幅や成果の拡大への活用も進んでます。動画広告のカテゴリの記事も覗いてみてくださいね。

動画広告

そのうえで自動入札を活用する場合でも、上限CPCの設定やターゲットCPA/ROASの適切な調整により、急激なCPC上昇を防ぐことができます。定期的にパフォーマンスをモニタリングし、必要に応じて戦略を見直しましょう。

まとめ

ここまでご紹介してきた調査から明らかになったGoogle検索広告におけるCPCの状況を整理します。

観点結論
CPCは上昇しているか?確実に上昇している
上昇幅は?年2〜12%(データソースと業種により異なる)
2023〜2024年は?特に急激(平均10%上昇、86%の業種で上昇)
上昇は今後も続くか?構造的要因から継続する可能性が高い
Googleの関与は?反トラスト訴訟でオークション調整を認めている

CPCの上昇は、経済的インフレ、クリック供給量の減少、Google自身によるオークション調整、AI Overviewsの普及という複合的な要因によって引き起こされています。

Search Engine Landの分析が指摘するように、「CPCが上昇するなら、今日顧客を獲得するコストは明日よりも安い。そしておそらく今後も相場が安くなることは期待できない」という視点も重要です。

広告予算の最適化と戦略の見直しを通じて、上昇するCPCの中でも効率的な広告運用を目指していきましょう。


主要データソース一覧

本記事で参照した主要なデータソースをまとめます。

ソース名発行元発行時期URL
Google Ads Benchmarks 2024WordStream2024年https://www.wordstream.com/blog/2024-google-ads-benchmarks
Google Ads Benchmarks 2025WordStream2025年https://www.wordstream.com/blog/2025-google-ads-benchmarks
CPC inflation: How fast are Google Ads costs rising?Search Engine Land2025年4月https://searchengineland.com/cpc-inflation-google-ads-costs-rising-fast-454291
Why are Google Ads CPCs increasing?PPC Hero2025年7月https://ppchero.com/why-are-google-ads-cpcs-increasing/
Google Shopping Ads CPC Trend Analysis (2015-2024)Rank Fuse2025年9月https://rankfuse.com/blog/google-shopping-ads-cpc-trend-analysis-2015-2024/
Google Allegedly Adjusts Ad Auctions To Meet Revenue GoalsSearch Engine Journal2023年9月https://www.searchenginejournal.com/google-allegedly-adjusts-ad-auctions-to-meet-revenue-goals/496634/
How Google harms search advertisers in 20 slidesSearch Engine Land2024年5月https://searchengineland.com/doj-google-search-ad-price-manipulation-440207
Google AI Overviews drive 61% drop in organic CTR, 68% in paidSearch Engine Land2025年11月https://searchengineland.com/google-ai-overviews-drive-drop-organic-paid-ctr-464212
Alphabet Inc. Form 10-K (2024)Alphabet Inc.2025年1月SEC公式サイト

関連記事

Google ショッピング広告の成果が「悪くない」ではダメな理由
Google ショッピング広告の成果が「悪くない」ではダメな理由
続きを見る
指を止め、行動を促す!SNS広告における「アイキャッチ」の重要性と作成のポイント
指を止め、行動を促す!SNS広告における「アイキャッチ」の重要性と作成のポイント
続きを見る
セールやキャンペーンで活用したい!検索広告の「プロモーション表示オプション」とは?
セールやキャンペーンで活用したい!検索広告の「プロモーション表示オプション」とは?
続きを見る