「解約」「メンバーの離職」「売上拡大」。20代でインターンからマネージャーのキャリアを歩んだ小山が3つの経験から学んだこと
今回取材した小山はインターンでアナグラム入社し、20代でチームリーダー、マネージャーとキャリアを歩んできました。「リスティング広告ってなんかおもしろいな」というところからのめり込み、今ではマネージャーとしてプロモーション全体の戦略設計など広告運用に限らない支援を手掛けています。

インターンからこれまでの9年間、たくさんの失敗や成功体験を積んできた小山に特に印象的な3つのエピソードをインタビューしました。

20代キャリアの歩み方のヒントとして、ぜひお読みください!

―――まずは経歴と今の仕事内容を教えてください。

2014年、大学4年生の夏からアナグラムでインターンを始めました。そのまま新卒で入社して、2017年にチームリーダー、2019年にマネージャーになり現在です。運用型広告を中心に、クライアントのプロモーション戦略の提案やチームのマネジメントをしています。また、自分のチームに限らず会社全体の底上げのために必要な勉強会の企画や開催もしていますね。

―――インターンからそのまま入社とのことですが、他の道は考えなかったのですか?

考えなかったですね。とにかくその当時はリスティング広告が楽しくて、極めたい気持ちが強かったので。

インターンでも裁量のある仕事を任せてもらえていたのも大きいと思います。新規提案から始まり、アカウントの構築、自分で作ったアカウントを運用して、レポートを作って、報告に行ってと一通りすぐに経験させてもらいました。学生だからといって雑務を渡されることはなく、徐々に複数のクライアントも任せてもらえるようになりましたね。

この時はリスティング広告の専門性が身についている感覚があり、どんどんと自信もついてきていました。この自信が後々大きな仇になるわけですが……。

―――インターンからマネージャーの今に至るまでの9年間、色んな失敗や成功を経験してきたのかなと思います。その中でも特に印象に残っているターニングポイントはありますか。

3つほど思い浮かびます。

まず1つ目は、入社3年目。クライアントからの解約が相次いだことです。複数のクライアントを担当させてもらっており、3年ほど経験を積んだことで新卒の時と比べて「ある程度の仕事を一人でこなせるようになった」と思い込んでいたんです。

振り返ると真逆で、むしろ1年目のほうが真摯に仕事に取り組んでいて提案のクオリティも良かったんですよね。荒削りながらもクライアントのために一生懸命考えて周りの人に相談して取り組んでいたなと。この頃は、慣れゆえに手癖で仕事をしてしまっていて、自分の頭で考えきれておらず、それを見抜かれて解約になったんだと思います。

3年経って成長していないことに焦り、そこでずいぶんダラダラと仕事していたなと、気合いを入れ直しました。

パターン化・効率化を進めることは大切ですが、その結果、思考停止し「手癖」で仕事をするようになってしまっては本末転倒です。本来やりたい仕事はその先で、パターン化・効率化で浮いた時間を使って、これまでに無いやり方を、額に汗をかいて考え出すことが大切だと気づきました。

―――「解約」という事実を突きつけられて気づいたのですね。2回目のターニングポイントは……?

2回目はチームリーダーになってからです。メンバーも増えて9人ほどのチームを持つようになり、新規提案や、既存のお客さまの拡大なども軌道に乗っていました。ここでも全部上手くいっているな思っていた矢先、ほぼ同時期に3人のメンバーから「辞めたいです」という声をもらったんです。

当時はとにかく「自分の持ちうる知識や経験を伝えて成長してほしい」という気持ちばかりが強く、伝え方まで配慮できていませんでした。強くあたってしまったり、刺々しい物言いも多く、そのことで不必要な恐怖感を持たせてしまっていたと反省しました。

結局その3人は離職という形になってしまいましたが、それ以降伝える内容だけでなく「どう伝えれば相手に届くか、行動を変えてもらえるか」を意識するようになりました。リスティング広告のコピーを考えるときには意識していたことを、マネジメントでは出来ていなかったんですよね。

マネジメントって自分自身を見つめ直す機会にもなると思います。

自分の場合は、理想像を掲げることとその理想までのロードマップをロジカルに考え、計画をつくれることが強みだと思っています。それを伝えようとした結果、「伝え方」という弱みが見えてきました。この弱みって就職活動の自己分析でも分からないですし、現場でリスティング広告を担当するだけでも気づくことが出来なかったんです。

あと、マネジメントに関して阿部さんに言われて印象に残っているのが、「学校の勉強とビジネスはルールが全く違う」ということです。学校の勉強はどちらかというといろんな教科をまんべんなく勉強して苦手を無くすことが必要ですが、ビジネスではひとつの強みで勝負をすることができるし、自分の苦手を補ってくれる人と一緒に仕事をすればいいと教えてもらいました。

―――では、3つ目のターニングポイントはどのようなことでしたか?

あるお客さんで記事LPのライティングをした結果、売上がめちゃくちゃ伸びたことです。

ただ単に広告運用で成果を伸ばしたのではなく、それまでは全く獲得出来ていなかったインフォメーショナルクエリ(※)からもしっかりと売れる流れを作ることができました。そこからLTVを伸ばすための施策や媒体ごとの継続率を見たりと、管理画面ではないビジネスの本質的な部分からご支援ができた経験でした。

この経験を機に自分自身の視野も広がり、クライアントから新しい商品の売り方について相談を受けることが増えていきましたね。

※インフォメーショナルクエリとは、Knowクエリとも呼ばれ「情報収集」を念頭においた際に用いられるものを指します。(例)「チーズケーキ レシピ」、「腰 ストレッチ やり方」

―――インターンからマネージャーというキャリアを積んだ20代、今改めて振り返るとどうでしたか?

色々ありましたよ。ぼく、入社する時に阿部さんに直接3,000文字のメールを送ったんです。

実はアナグラムでインターンをする前に、別の会社でリスティング広告を経験していました。それをきっかけにリスティング広告を極めたいと思い、「一番イケててノウハウもありそうなアナグラムに入社したい!」と思ったんですが、その当時新卒採用をしていませんでした。

それでもどうしても入社したかったんですが、多分普通の応募メールを送っても学生は相手にされないじゃないですか。「アナグラムという会社の経営者に、何を伝えれば学生の自分でも興味を持ってもらえそうか?」を考え抜いてメールをつくったら3,000文字になっちゃいましたね。今考えればこれもマーケティングだなと。その時、阿部さんの名前を「安部」と間違えたのは内緒ですが(笑)

いまは、色んな経験を経て「決められたルールの中でゲームをプレイしていたところから、目的に対して自らルールを設定できるようになった」かなと思います。

正直入社3年目くらいまでは、仕事は与えられるものという感覚でした。当事者意識が低く、お客さんがなぜ怒っているのか、なぜ危機感を感じているのかもよくわからないレベルでした。

今では、クライアントが求めている以上の成果を出すためにはどうしたらいいのか、そのための理想像を描くこともできるようになったかなと思います。

課題に対してやるべきことって、よく見る重要度×緊急度の四象限で整理できるんですよね。ヒアリングしたときに出てくる課題ってどちらかというと緊急で重要なことが多いんです。当然それに対するご提案はしつつ、理想像に近づくためには、緊急ではないけど重要なことにどれだけ取り組めるかだと思います。

ここに取り組めるようになったのは、新規提案を通じて「アナグラムがなぜ選ばれるのか」について真剣に考えたからです。いくつかのケースを通じて、選ばれる理由について考え抜く経験をしたことで段々研ぎ澄まされていったのかなと。なので、とにかく打席に立って経験することは大事だと思います。

―――ちなみに小山さん自身、20代の過ごし方の中で「緊急ではないけど重要なこと」はどう取り組みましたか。

ぼくの場合、そこに当てはまるのは読書と夜の散歩ですかね。読書は元々好きで、20代後半にかけては特に事業戦略の本などを読むようになりました。

読んで得た知識は、無意識的に行動・思考に反映できるように「行動に取り入れたいリスト」を作っています。

" 無意識的に "が重要で、最初は毎日リストを見返して意識的に行動するんですけど、繰り返しやっていると意識しなくとも自然に理想の振る舞いができるようになるんです。

―――アナグラムには「一人でも食べていける力を身につける」というひとつの教育方針があります。マネージャーともなるとそれも可能なのかなとも思いますが、アナグラムに残るのはなぜですか?

会社のメンバーと張り合いを持って仕事することは楽しいですし、社内外問わず誰かのために仕事をしたいという気持ちはあって、そのためには一人でやるよりもチームや組織でやる方がインパクトが大きいですよね。

あとは、アナグラムの会社の作り方がおもしろいからというのもあります。アナグラムでは、現場に売上ノルマを下ろしていません。売上ノルマあり、その優先度が高いと、場合によっては「クライアントの課題解決になる・ならないは関係なくとにかく提案をしましょう」となってしまいますよね。それがないんです。

また、仕事の進め方や成果の出し方も、現場に裁量があります。生産性を追及するために、ひとつの「勝ちパターン」に沿って分業し、効率的に回す組織にすることもできます。しかし、それはやりません。

なぜなら、「これさえやっておけば大丈夫」となると、人は考えなくなるんですよね。そうすると期待以上の仕事のクオリティは出にくいですし、それはクライアントにも見抜かれる。イレギュラーな状況や環境の変化にも対応しきれなくなる。わたし自身が3年目に「手癖」での仕事に陥っていたのと同じ状態です。やっている本人も仕事が単なる「作業」になってしまい楽しくありません。

そうではなくて、各々のコンサルタントがクライアントのために裁量を持って自分の頭で考えて働く。

会社としてはその前提を崩さないよう干渉はしすぎない。しかし、一方で会社として品質を担保することも大切です。そのためにサポートはするし、週に1回全社で2時間の勉強会の場を設ける、成果を出すための着眼点を提供する、などしています。

これはつまり「売上ノルマを追わずに売上を上げる」「やり方に干渉せずに品質を上げる」「分業をせずに専門性を上げる」など、一見相反する複数のテーマをいい塩梅に両立するということです。このバランス感覚を、100人規模になっても体現するのがアナグラムという会社の特長で、アナグラムでマネジメントをやる醍醐味でもあります。

―――さいごに、どんな人と働きたいですか。

論理性があって、議論が好きな人ですかね。気骨がある人とも言えるかな。「みんなこう言っているけど自分はそう思わない」というのを臆せず主張できる人がいいですね。

あとは、商いに対して責任を持って、横串に部署を見ながらリーダーシップを持って推進していくことに興味がある人と働きたいです。おまけで言うと、麻雀と読書が好きな方もウェルカムです。雀卓囲みましょう。