「広告業界に一気通貫で働く選択肢を」アナグラムが取り組む、資本主義での挑戦とは 

「心の豊かさ」を求める時代へ

――阿部さんは以前から、社内でも、社外でも資本主義で起きている変化についてお話をしていますよね。本日はその点について改めて伺わせてください。

継続的に行っている中高生向けの講演などを含め、各所で伝えていますが、従来の資本主義は転換点を迎えているんじゃないかなと思うことがあります。それは資本主義は間違っているから別の体制を取るべきだとか、そういう過激な話をしたいのでは決してありませんし、岸田総理が目指すような新しい??資本主義とも異なります。「あれ、なんか変だな」と、資本主義が行き過ぎていると感じる部分は多少なりともありませんか?

以前、都内のとある渓谷に行ったときに、川の周辺すべてが私有地で囲まれていて釣りができませんでした。本来、川はカール・マルクスが言うところのコモン(共有財産)であると言えますが、まるで個人のものになっているかのようで違和感を覚えました。

このような現実を見ると、資本主義にはもう少しハイブリットな、折衷案のようなものがあっても良いのかなと感じたりすることは少なからず増えたなと思います。

――たしかにそうですね。たとえばコンビニで天然水が売られているのも資本主義ぽいですよね。もともと天然水はコモンですし。

まぁ天然水に関しては、たしかにコモンでもあるけれど、それを汲んでペットボトルに入れて販売所まで運ぶとなると、当然コストはかかるので、いろんな議論がありますけどね。

とくに最近では、商品の世界だけではなく、個人の働き方(キャリア)でも変化が起きています。戦後は今日のご飯を食べることに必死だったので、たとえば「自分らしく働きたい」とか、そんな考えはそもそも頭を過ぎらなかったはずです。生きるためには、どんな仕事でもやる覚悟があったからですね。

一方で、今は経済が発達して生活がある程度豊かになりました。当たり前のように毎日ご飯が食べられて、自分の命が保証されています。そうすると、自分の人生について考える余裕が生まれますよね。「自分らしく働きたい」とか「何のために生きているのか?」とか、人生に意味を見出すようになりました。なので、昔に比べたら物理的にではなく、精神的に生きづらい時代になったとも言えます。経済が伸びれば伸びるほど精神的に参っちゃう人も増える。まったく不思議な話ですよね。

実際に「GDPと幸福度は相関しない」という調査データもあります。

出典:アジア成長研究所

――そうですね……。

そう考えると、今の時代では “社会の豊かさ” も勿論大事なのは大前提なのだけれども、それ以上に “心の豊かさ” が必要なのではないかと感じます。

たとえばこれを消費の話に置き換えると、かつてはファーストフードのハンバーガーだけで満足していたのが、今の時代では1,000円以上する個人商店のプレミアムバーガーも食べたくなりましたよね。とくにコロナ禍になって、チェーン店より身近な個人店にお金を落としたいといった傾向は顕著になったと感じます。あくまで推測ですが、多くの人は「せっかく外食をするなら…」「どうせ1,000円を払うなら…」といった思いから、自分のお金をどこに投票するのか、しっかりと考えるようになってきたのです。2009年頃に池上彰氏が「買い物は投票行動だ」と言っていましたが、まさにそういう時代になったなというか、近年より顕著になってきたなと感じています。

チェーン店よりも個人商店の方が、店主が心の底から喜ぶ姿が見れますからね。その方が、心が豊かになると気づく人が増えたのかもしれない。もちろん、チェーン店はいつでもどこでも安定したクオリティを提供してくれるので、まったく否定するものではありません。ぼくも松屋、吉野家、大戸屋、日髙屋などには大変お世話になりましたし。

――コロナ禍という背景もありますが、もっと言うとインターネット、とくにSNSの普及によって世の中に選択肢が増えたというのも背景にありそうですね。

そうですね。たとえば昔は商店街の裏路地に美味しいコロッケを作る精肉店があっても、テレビで放映されるか、もしくは近所の口コミで広まるかしないと見つけられなかったですよね。でも今の時代は検索すればすぐに見つけられます。

また、小さなお店もSNSを駆使して頭角を表すようになりましたよね。たとえば長野県にある「わざわざ」さんが代表例です。

撮影:阿部

noteを活用した情報発信が巧みで、私が伺ったのは2018年頃でしたが、車でしか行けないような山奥のパン屋に一時期は長蛇の列ができていました。そこに集まる車のナンバーは西は神戸、東は千葉など、多岐にわたります。

世の中に多様な価値観が広がったといえば良いのかな。消費でもキャリアでも選択肢が増えたことで、豊かさを感じる瞬間が人それぞれになったと感じます。

資本主義のなかで「在り方」を変えていく

――世の中に多様な価値観が生まれた一方で、阿部さんは従来の資本主義に限界も感じていますよね。その辺についても詳しく伺いたいです。

イノベーションの父とも呼ばれるヨーゼフ・アロイス・シュンペーターが「資本主義に取って代わるものがないのは、資本主義が変わり続けているからだ」といったように、私もドラスティックな変化というよりは、徐々に変っていく方が自然だな、と思うわけですよね。それについては、アナグラムの創業時代の話をしましょう。

アナグラムは2010年に創業してから、基本的にクライアント対応から広告運用までをひとりの担当者が担う「一気通貫」の体制を整えてきました。これは従来の資本主義の定説である「経済合理性を追求するなら分業制を取るべき」という思想とは180度異なるものです。

――たしかに、分業制の方が効率が良いとアダム・スミスを始めとした過去の偉人たちも言及していますよね。

アダム・スミスの国富論しかり、フレデリック・テイラーの科学的管理法などが象徴的ですよね。しかし、それでもぼくは一気通貫の体制にこだわりたかった。勘違いしてほしくないのですが、決して分業制を否定しているわけではありません。実際に、世界経済は分業制によって成長しましたし、分業制によって多くの雇用が生まれたのもまた事実です。20世紀最大の発明とまで言われていますからね。

でも、今は時代に合わなくなってきたのでは?と感じる部分もあります。昔は分業制でも、みんなが今日のご飯を食べるのに必死だったので問題なかったと思うのですが、現在は多くの人が、やりがいや自分の将来に繋がる仕事を求めています。とくに最近は外出自粛の影響もあって、人生を見つめ直す時間が増えましたよね。

それにも関わらず対応できる範囲が限れている仕事を強いるのは、替えが効く&再現性という意味合いでは確かに有効だと感じる一方で、言葉を選ばずに言えば “飼い殺し” や”搾取”に近いのではないか、そう思うことが多少なりとあるわけです。

そもそもですが、なぜ資本家は分業制を取り入れたと思いますか?

――その方が生産効率が良く、安定して売上が伸びるから。ですか?

表向きの理由はそうですが、実際は「人が辞めないようにするため」という理由も多分に含まれています。特定の仕事しかできない人材を他の会社は欲しがらないので、転職が難しく、更には独立することは容易ではなくなりますからね。

「人新世の「資本論」」で有名な斎藤幸平さんが著書の中で紹介していますが、意識的かつ合目的的な労働のプロセスは、マルクス研究者であるハリー・ブレイヴァマンの表現を借りると、「構想」と「実行」との二つに分けることができると。あれこれと知恵を絞ることが「構想」であり、一連の労働を通じて構想を実現する過程が「実行」。人間の労働は元来、構想と実行が統一されたものでしたが、現代の資本主義下になると、構想と実行が分断されてしまっている、とも言えますよね。

このような背景もあり、これまでの資本主義は生産力を上げるなかで、労働者の「自律性」をも奪っている、こういう解釈もあるのは事実ですし、そもそも細分化された業務を長時間に渡って続けていると、クタクタに疲れて何も考える余裕がなくなります。そうしたら「辞める」という考えさえ、頭をよぎらなくなるんです。ブラック企業というのは良くできていて、こういった一連の負の流れを利用しているんですよね。

また、仮に体調を壊して辞めたとしても、分業で細分化され過ぎた業務は必要なスキルレベルが低い傾向にあるので、いくらでも代替が利きます。これも資本家側からしたら都合が良い話ですよね。

でも、人は自分の代わりはいくらでもいるという事実を認めたくないじゃないですか。「あなたにしかできない仕事だよ」と言われたいですよね?

――それはそうですね……。

もちろん分業制のなかで、定められた仕事を定時にきっちりと終えて、あとは自分の時間や家族の時間を大切にしたい人もいます。それは否定しません。人生の選択肢のひとつですからね。

ただし、先程も伝えたように現代では価値観が多様化してきています。なぜなら本やインターネットを通じて、情報や知へのアクセスが容易になったからです。そうしてさまざまな価値観が生まれやすくなり、自分なりの生き方を考える人が増えてきましたよね。

それにも関わらず、多くの広告代理店は分業制のままです。ぼくはそこに活路を見出したんですよ。だからこそアナグラムは一気通貫の体制を整えます。もちろんこれまでの資本主義の定説からは外れてしまいますが、働く選択肢のひとつとしてうちのような会社が世の中にあっても良いのではないか、と思うわけです。

――なるほど、一気通貫の体制にはそのような背景があったんですね。先日、ニュースで「米ウォルト・ディズニーが街をつくる」という発表を見ました。共感した人だけが集まって、社会の選択肢のひとつとして存在するという点で、どこかアナグラムと似ているなと感じます。

まさにその通りですね。これはあくまでぼくの思想なんですよ。そしてその思想に共感してくれている人たちがアナグラムという法人に所属してくれているというイメージです。

一部の企業や経営者は、世の中の価値観が多様化していることに気づいているはずなんです。しかし、それを実態(法人)に落とし込もうとしている人は非常に少ない。

起業した当初は「絶対にうまくいかないよ」と先輩経営者たちから言われました。「分業制にしたほうが良い」「属人性を排除せよ」と、本当にたくさん言われました。もちろん先輩たちが言っていたことは一理あります。

それでも、ぼくは分業制を避けたかった。だってそれはすでに他社がやっていることだから、ぼく自身がリスクを冒してまでやる必要なんてないじゃないですか?一気通貫でひたむきに仕事に向き合っている人と本気で仕事がしたかった。この考えに共感してくれる物好きな人だけがアナグラムに来て、一緒に働ければそれで良いと思っていました。

――実際に一気通貫でもこれまではうまく回ってきましたよね。一方で、もちろん分業制が「悪」ではなく、むしろそれを望む人もいるはずです。あくまで分業制だけではなく、一気通貫という選択肢もあって良いのでは?ということですよね。

そうです。何度も言いますが、分業制が決して悪いわけではありません。社員が何も考えられないぐらいまで搾取してしまうのは良くないということです。

そもそも資本主義は本当に素晴らしいシステムです。仮に自己中心的な事業や社会悪であったとすると、刹那的に売上があがることがあっても、継続的に売上を上げ続けることはできません。資本主義の仕組みはよくできています。欠陥があるのは間違いないですが、それでも資本主義というのは他人を幸せにしなければ自分が幸せになれないという素晴らしいシステムなんですよ。限られたマーケットの中で誰かしらに支持されるからこそ成り立つ。他人を幸せにするということを誰よりも抽象度高く考えた人こそが資本家たり得ると思います。繰り返しますが、ぼくはこのような資本主義を変えたいと思っているのではなく、あくまで、この資本主義のなかでの “在り方” 、”選択肢”を増やしていきたいんです。

一気通貫の仕事で、自分のやりたいことが見つかる

――阿部さんは会社をどのような環境にしていきたいと考えていますか?

社員それぞれが、自分にとって心地の良い働き方を探せる環境にしたいですね。

広告代理店やコンサルティング会社の良いところは、さまざまな事業や組織を内部から見られることです。経験を積むと「これは嫌だな」とか「あれは良いな」とか、自分の好き・嫌いを判断できるサンプルがたくさん集まります。そのなかで「これをやりたい!」と思えるものが見つかったら、そのときは卒業すれば良いんだと思います。

――社員の卒業(退職)は、会社にとってマイナスなことだと思いますが、それでも良いのでしょうか?

もちろん社員が卒業しないぐらい魅力的な職場にしようと日々努力はしています。しかし、社員それぞれの人生ですし、そこに抗うのは無理があると感じて折り合いをつけました。

※詳しくはこちらの記事「離職に向き合う」でも説明していますので、興味のある方はぜひ御覧ください。

極端な話ですが、たとえば社員から「パン屋をやりたい」と言われたらアナグラムでやるのは難しいですよね?もちろんマーケティングは支援できますが、パンを作る技術は私たちでは支援できませんからね。

一方で見方を変えると、パン屋をやりたいと思えたのはアナグラムで仕事をしていたおかげかもしれない。さまざまなクライアントのビジネスを支援するなかで、たとえば「BtoBは違う」「通販も違う」と感じた結果として「自分が作った商品を一般消費者に直接販売したい」と思い、辿り着いたのがパン屋かもしれないですよね。

――たしかにそうですね。これが分業制だったら、やりたいことが見つからなかった可能性もあります。一気通貫でクライアントから経営状況を生々しく聞ける環境なので、自分のやりたいことへのヒントを見つけやすいのかもしれませんね。

その通りです。また、アナグラムで培ったマーケティングの経験はきっとパン屋の集客面や経営面でも必ず活きますし、生計が立たない場合には副業でマーケティングの仕事にも活かせます。そう考えるとマーケティングの経験は、自分のやりたいことに挑戦する自信にも繋がるはずです。

――「一気通貫×マーケティング」の経験は自分のやりたいことを見つける、そして挑戦するのに最適ということですね。たしか最近も、バインミー屋さんを起業した社員がいましたよね。

彼の挑戦は本当に素晴らしかったですね。1万円を稼ぐのがどれだけ大変かを知って、今ではお客さんから預かる広告予算の重みも変わったそうです。たぶん初期投資は数十万円ぐらいかかったのかな?それでも、その経験は何倍ものリターンになって返ってきたはずです。

そもそも「いつかやりたい」と思いつつ行動に移さないままだと、脳のメモリを使うだけでコストになります。実際にやってみて成功すればそれで良いですし、一方で失敗しても次のことを考えられますからね。それを繰り返していくうちに、いつかは自分が理想とする仕事や働き方が見つかるのではないでしょうか。

――何事も試行錯誤の繰り返しが重要ということですね。

少しおこがましいですが、社員には自分の好きを追求するような人になってほしいです。そのためにアナグラムでは、自分の好きなことを見つけられる環境、そして見つけたときに武器となるスキルが身につく環境を作りたいと思っています。

話は逸れますが、そもそも全方位的に嫌だなと思う仕事はやらない方が良いんですよ。サザエさん症候群という話がありますよね。「明日から仕事か…」と思うのは、言葉を選ばずに言うと大切な命の時間を削って硬貨に換金しているようなものです。であるとするならば、どうせやるなら好きな仕事をやった方が良いに決まっています。もし好きな仕事がなくても、せめて6:4ぐらいで「悪くない」と思える仕事を見つけたいですね。個人的にはこの「悪くない」という感覚こそが、最も豊かではないかなと思っていたりします。

――6:4ぐらいで悪くないと思える感覚はたしかに大事だなと思います。10:0で完璧と思える仕事を見つけるのはなかなか難しいですからね。

そうですね。そもそもですが、自分が好きなことを仕事にするというのは綺麗事です。資本主義のなかにいる限りは、綺麗事のなかでも成果(利益)を出し続けないといけません。なんなら、綺麗事を綺麗にやって、しっかりと成果を出すからこそカッコイイわけですよね。綺麗事をいって成果が出ないのであれば、それは失敗と同様ですから。好きなことで、且つ一定の成果を出せる仕事をするのが、心も懐も寂しくなく幸せに生きられる道です。

一方で、とくにお金に関しては自分のなかで “ちょうどいい” の基準を定めることをおすすめします。たとえば、月収1億円ほしいですか?もちろん貰えた方が嬉しいですが、正直100万円でも生活はそこまで変わらなくないですか?

この感覚は人それぞれです。人によって価値観は異なりますからね。でも、カール・マルクスが警鐘を鳴らしたように「資本の運動には限度がない」んですよね。お金を稼ぐことを追求すると冗談抜きでキリが無いんですよ。どれだけお金を稼いでも「もっと欲しい」と飢えて、いつまで経っても幸せをつかめない経営者もいます。

自分の好きなことをやりつつ、自分にとって “ちょうどいい” 金額を稼ぐ。キャリアというのは、それを見つける旅です。人によっては1年で見つかる人もいれば、5年10年かかる人もいます。それでも、ぼくの経験上は一気通貫で仕事をしていれば、見つかる確率は高くなると感じます。

――自分も見つけたいです。。。ちなみに、自分の好きなことを見つける確率をさらに上げるためにはどうしたら良いのでしょうか?見つけられた人のなかで、何か共通点があれば知りたいです。

共通しているのは、目の前の仕事に全力で取り組んでいることです。全力で取り組む人の周りには良い人や良い情報、そしてチャンスが集まってきますからね。「自分の年収は周りにいる5人の平均になる」とよく言われますが、これは本当にその通りです。周りからさまざまな情報が入ってくることで、自分ひとりでは思いつかなかった考え方を学べますよね。そのうちに、必然と自分の思考も研ぎ澄まされていくんです。

――たしかにやりたいことを見つけて卒業した人は、みんな足元の仕事を疎かにしていなかった印象です。キャリアに正解はありませんが、アナグラムの卒業生をみることで運用型広告のキャリアパターンも知れますよね。

まずは資本主義のルールを知るべき

――本日のインタビューは資本主義の変化から始まり、分業制一辺倒への限界、自分のやりたいことの見つけ方など、とても濃密な話が聞けました。

いろいろと話しましたが、まずは資本主義のルールを知ることが何よりも重要です。ゲームに例えると、ダッシュはBボタンを押してジャンプはAボタンを押す、穴に落ちたら死ぬみたいなものですね。そこで「なんで死ぬんだよ!」と文句を言うのは違いますよね?だってルールなんですから。しっかりとルールを把握したうえで戦おうぜという話です。

社員には常日頃から伝えていますが、資本主義を理解するには投資を経験するのが最も早いです。時代の流れから需要が大きくなるものを予測して、その価格が安かったら買う。とてもシンプルなことですが、世の中のお金の動きを知るのにこんなに適したものは他にありませんし、この感覚はマーケティングにも酷似しているとも言えます。

多くの人は「投資とか怖いな…」「元金がないからな…」など言いますが、ルールを知れば別に何も怖くないんですよ。世の中は必ずしも、持つ者が最初から持っていた、というわけではないですし、持たざる者が持つ者になるためには、ボラティリティ(価格変動の度合いを示す言葉)の高いものにbet(投資)せざる負えない、と相場が決まっているんです。

ルールを知らないと持たざる者が年利5%ほどのETF(Exchange Traded Fund )などにbetしてしまいます。これは大きな間違いで、仮に元金100万円だとしましょう。ETFにbetし続けて1億円になるのは何十年後になりますか?というのは計算すればすぐにわかることですよね。

単純に自分の持ち分をどこに投資するかという話です。これはキャリアでも同じですよね。自分の労働力を投資しているようなものですから。それを株や不動産に転換するというだけの話です。

――たしかにそう言われると金融投資もハードルが低くなりますね。一方で、自分の労働力をどこに投資するのか、というのは改めて重要だなと感じました。人生の大半の時間を投資するわけですからね。何なら株や不動産の投資よりも慎重に行うべきだなと思いました。

そういうことです!ぼくは学生時代に古着のせどりをしていたので、仕入れたものをいかに高く売るかを考える素養が身につきました。(もちろんせどりを推進しているわけではありませんが……)たとえば1万円のパーカーを買うときに、売値が5千円のものもあれば、一方で3万円ぐらいのプレミア価格がつくものもありますよね?消費もキャリアも、このような投資的な考え方ができるようになると、この資本主義のなかでも上手く生きられるはずです。

繰り返しになりますが、従来の資本主義は転換点を迎えていると思います。一人ひとりの価値観が多様化して、転職も独立も当たり前な時代となり、ひとつの会社に一生を捧げることだけが正解ではなくなりましたからね。

そのためにもアナグラムでは、社員がやりたいことが見つかるような環境、そして見つけたときに活かせるスキルが身につく環境を整えてきました。もちろん一気通貫でクライアントと向き合うことは、そう簡単なことではありません。自由(裁量)がある分、責任はセットで考える必要がありますからね。

しかし、それでもアナグラムで働きたいと思う人や、今回話した内容に共感してくれる人がいたら、ぜひ一緒に仕事をしましょう。カジュアルな会社説明会も定期的に開催しているので、お待ちしております。