
Meta広告はさまざまな配置や要素があるため、広告枠やオーディエンスに合わせて広告クリエイティブを調整するのは大変ですよね。
そこで利用を検討したいのが「Advantage+ クリエイティブ」です。この機能を用いると、画像や動画、テキストがユーザーや配信面に応じて調整され、一部のアカウントでは画像生成機能も利用可能になります。
しかし、自動的に最適化されるのは便利な一方で、使い方によっては好ましくない調整がされたり、意図しない変更が加えられてしまう可能性もあります。
この記事では、Advantage+ クリエイティブとはどういう機能なのか、クリエイティブの確認方法から適用する上での注意点などについて紹介します。


目次
Advantage+ クリエイティブとは?
Advantage+ クリエイティブは、広告を見たユーザーがアクションを実行する可能性が高くなるよう、画像や動画をAIが自動最適化する機能です。2024年5月頃からMetaの広告マネージャーの「広告」の設定項目の1つとして追加されています。
機能は大きく以下の2つの機能から構成されています。
- エンハンス
- 画像生成
Advantage+ クリエイティブのエンハンスは、広告マネージャーにアップロードした画像・動画・ヘッドライン・説明文などの素材を、AIが自動でユーザーがアクションを起こす可能性が高くなるようパーソナライズされたクリエイティブに自動で最適化してくれる機能です。最適化の機能は、強化を意味する「エンハンス」という名称で呼ばれ、画像の調整やテキストの改善、アニメーションの追加など、様々な種類があります。
Advantage+ クリエイティブの画像生成では、次のようなことが可能です。
- 特定のオブジェクトを含む画像を入力すると、生成AI機能が背景のバリエーションを生成
- 参考にしたい画像をメディアエディターからアップロードまたは選択すると、生成AI機能が画像に含まれる要素に類似した新しい画像を生成
参考:Meta広告マネージャで画像のバリエーションを生成する
ただし、画像生成機能は現在、一部のアカウントのみに提供されています。
本記事では、すでに提供が開始されているAdvantage+ クリエイティブの自動最適化機能について、詳しく解説します。
Advantage+ クリエイティブを適用する条件
Advantage+ クリエイティブを適用するには、以下の2点に注意する必要があります。
①広告セットの設定で「ダイナミッククリエイティブ」をオフにする
すでに広告セットの設定でダイナミッククリエイティブの機能をオンにしている場合、途中でオフに変更できないため、新しく広告セットを作成する必要があります。
※ダイナミッククリエイティブとは?
ダイナミッククリエイティブは、オーディエンスが反応しやすいように、メディアとテキストの組み合わせを自動で最適化する機能です。画像から動画を作成したり、明度を調整したりする機能も含まれています。Advantage+ クリエイティブと一部機能が重複するため、どちらか一方を選ぶ必要があります。
➁広告キャンペーンの目的を「認知度」以外で設定する
キャンペーンの目的には、以下の6種類があります。
- 認知度
- トラフィック
- エンゲージメント
- リード
- アプリの宣伝
- 売上
キャンペーン目的が「認知度」では、Advantage+ クリエイティブを適用できないため、それ以外の目的を選びましょう。
※なぜ「認知度」では適用できないのか?
Advantage+ クリエイティブは、ユーザーのエンゲージメントを高めるために自動最適化される機能です。一方で、「認知度」を目的とするキャンペーンは、広告の表示回数を重視するため、最適化の方向性が異なります。そのため、適用対象外となっています。
エンハンスの種類
広告フォーマットによって、適用できるエンハンスが異なるため、以下にその種類を整理してみました。なお、エンハンスは随時アップデートされており、ご紹介しているエンハンスは2025年3月現在のものになりますのでご注意ください。
フォーマット | エンハンス | 機能 |
---|---|---|
シングル画像 | 音楽 | 配信面の雰囲気に合わせて広告に音楽を追加 |
画像アニメーション | 入稿している既存の静止画から動画を作成 | |
シングル画像・動画 | 明るさとコントラストを調整 | 画像の明るさとコントラストを調整 |
広告レイアウトに詳細を追加 | 評価、レビュー、ダウンロードなど、アプリに関するハイライトを広告で表示。クリックすると、Google PlayストアまたはApple App Storeで詳細を確認できる | |
オーバーレイを追加 | 指定したテキストのオーバーレイが追加 | |
画像を拡張 | 配信面のアスペクト比に合わせて、画像を自動拡張 | |
関連度が高いコメント | 広告へのコメントのうち、広告のパフォーマンスを向上させる可能性のあるものを自動的に判別し、FacebookやInstagramで上位に表示 | |
店舗所在地 | 近くの店舗所在地をハイライトして実店舗に買い物客を誘導。※売上(推奨)、トラフィックまたはエンゲージメントの目的を使用したキャンペーンで利用可能。店舗ページも必須 | |
テキストの改善 | 広告に関連する情報を自動で作成。テキストオーバーレイ、フッター、見出しなどクリエイティブ上に表示 | |
動画エフェクト | 色とビジュアルのシャープネス調整が追加 | |
動画の拡張 | 配信面のアスペクト比に合わせて、動画を自動拡張 | |
ビジュアルのタッチアップ | 配置に合わせて、選択した画像を自動的に切り取って拡張 | |
3Dアニメーション | 画像に動きと奥行きを追加 | |
カルーセル | 複数画像フォーマットを調整する | 静止画像を使用したマルチメディアアセットを使用している場合、スライドショーを作成 |
広告レイアウトに詳細を追加 | 評価、レビュー、ダウンロードなど、アプリに関するハイライトを広告で表示。クリックすると、Google PlayストアまたはApple App Storeで詳細を確認できる | |
ダイナミック説明 | カルーセルの説明を表示する最適なタイミングを判別 | |
カルーセルカードのハイライト | ユーザーが興味があるカルーセルカードを自動で判別し、カルーセル広告の1枚目で表示 | |
情報ラベル | 商品に関する情報(セール中の商品など)をクリエイティブに自動追加 | |
音楽 | 配信面の雰囲気に合わせて広告に音楽を追加 | |
プロフィールエンドカード | ページのプロフィール写真を使用してカルーセル広告の最後にカードを追加 | |
関連度が高いコメント | 広告へのコメントのうち、広告のパフォーマンスを向上させる可能性のあるものを自動的に判別し、FacebookやInstagramで上位に表示 | |
テキストの改善 | 広告に関連する情報を自動で作成。テキストオーバーレイ、フッター、見出しなどクリエイティブ上に表示 | |
ビジュアルのタッチアップ | 配置に合わせて、選択した画像を自動的に切り取って拡張 | |
カタログ | Advantage+ カタログ用クリエイティブ | カタログ内からユーザーが反応しそうなクリエイティブを選択し、パーソナライズされた広告フォーマットとクリエイティブで表示 |
ダイナミックメディア | 自動化と商品ランキングを使用し、エンゲージメントを引き出せる可能性が高い画像または動画をカタログから選んで表示 | |
カタログアイテムを追加 | シングル画像または動画フォーマットで売上またはトラフィックの目的を使用していて、カタログがオンになっていない場合に、広告画像または広告動画の下にカタログのアイテムを表示されることがある | |
CTAエンハンス | オーバーレイCTAリンクのスタンプとキーフレーズを自動ペアリングし、商品に関する情報を追加。Instagramストーリーズ面でのみ適用。 |
フォーマットごとに適用できるエンハンスを分類しましたが、エンハンスの種類は複数あります。その中でも機能が分かりにくそうなものをピックアップして下記で紹介します。
【画像・動画フォーマット】
音楽
音声が流れるMetaアプリ上の配信面の雰囲気に合わせて、画像広告に音楽を追加します。「音楽」のエンハンスを適用すると、自動で選曲がされますが、、Advantage+ クリエイティブの設定画面から自分で選曲も可能です。広告やブランドイメージに合わない音楽になる可能性もあるので、どのような選曲がされているかは確認して、必要に応じて自分で選曲することをおすすめします。
画像を拡張
配信面のアスペクト比に合わせて、画像が自動拡張される機能です。フィードやリール面など、広告配信面ごとに画像をより自然に見せられます。Advantage+ クリエイティブが適用になったアカウントの場合は、「画像を拡張」がデフォルトで有効になります。適用は静止画のシングル画像のみですが、Advantage+ カタログ広告への導入も段階的に進んでいます。
「画像を拡張」をオフにしたい場合は、[ビジュアルのタッチアップ]の機能をオフにします。
※「画像を拡張」は[ビジュアルのタッチアップ]および[オーバーレイを追加]のエンハンスと結合されていて表示がされません。
画像アニメーション
入稿している既存の静止画から動画を作成してくれます。パン、ズーム、回転など、一般的なモーションエフェクトを自動的に適用し、短いアニメーション動画として変換します。
【カルーセルフォーマット】
情報ラベル
商品に関する情報(セール中の商品など)をクリエイティブに自動追加します。
※ Advantage+ カタログ広告のクリエイティブツールで[カタログ情報を追加]オプションを使用して、手動で情報ラベルを追加することも可能です。
【カタログフォーマット】
Advantage+ カタログ用クリエイティブ(旧称:ダイナミックフォーマットとクリエイティブ)
以前Metaであったダイナミック配信と同じ機能で、カタログ内からユーザーが反応しそうなクリエイティブを選び、ユーザーごとにパーソナライズされた広告フォーマットとクリエイティブで表示します。
ダイナミックメディア
カタログを使用している場合に、自動化と商品ランキングを使用して、広告を見たユーザーからエンゲージメントを引き出せる可能性が高い画像または動画をカタログから選んで表示します。
カタログアイテムを追加
シングル画像または動画フォーマットで売上またはトラフィックの目的を使用していて、カタログがオンになっていない場合に、このオプションが表示されることがあります。広告画像または広告動画の下にカタログのアイテムが表示されます。
適用可能なエンハンスを確認・設定変更をする方法
Advantage+ クリエイティブのエンハンスは広告ごとに適用できる種類が異なります。どのエンハンスが適用可能か確認したり、エンハンスごとにオン/オフに切り替える設定変更は、広告マネージャーの「広告」の設定で行えます。
①広告マネージャーにログイン後、「広告」の設定画面を開きます。
➁広告の設定画面に「Advantage+ クリエイティブ」という項目が追加されているので、『編集』をクリックします。
③詳細プレビューが表示されます。画面右上に「すべての最適化」が表示されていることを確認。
※プルダウンで「標準エンハンス」のみ表示させる切り替えも可能です。
④広告によっては一部のエンハンスが隠れていることがあるので、ページ下部を確認し「他のエンハンスを見る」をクリックし表示させましょう。
表示されているエンハンスが、その広告で適用可能なエンハンスになります。
エンハンスをすべて適用する場合は、詳細プレビュー画面左上の「すべての最適化」の切り替えボタンから行います。エンハンスを個別でオン/オフにしたい場合は、個々のエンハンスの右上の切り替えボタンから設定します。切り替えボタンで変更後、右下の「保存」クリックで適用されます。
Advantage+ クリエイティブを適用する上での注意点
適用する際や広告を作成する上での注意点についてお伝えします。
意図しない変更がされる可能性がある
Advantage +クリエイティブをオンにして配信し、実際に広告配信されたクリエイティブを確認すると、商品画像にテキストが被っていたり、アスペクト比が変更された影響でデザインが見切れていたり、生成された見出しや説明文が配信意図とマッチしないことがあります。
- 商品画像にテキストが被る
- アスペクト比の変更でデザインのレイアウトが崩れる
- 自動生成された見出しや説明文が意図に合わない場合がある
規定やブランドイメージに合わない可能性がある
レギュレーション的に商品画像が隠れることがNGであったり、広告の訴求として使ってはいけない言い回しがあるなど、アカウントによって様々な事情があると思います。広告で使用する素材の規定が細かく決まっている、訴求メッセージやブランドの世界感をしっかり管理したいというアカウントは、Advantage+ クリエイティブ自体の適用を検討する、もしくはエンハンスの中でもオンにするものを選択するのがベターでしょう。
- ターゲットに誤解を与えたり、不適切な表現を含む
例)業界特有の表現や専門用語が誤った文脈で使用される
広告を新規作成する際に一部の機能が自動で有効になる場合がある
広告を新規作成する際に、一部のエンハンスが自動でオンになることがあります。また、Advantage+ クリエイティブをオフにしている既存の広告を複製して新規広告を作成した場合も同様で、オフにしていた設定は引き継がれず、複製した広告で一部エンハンスが自動的にオンになる可能性があります。
違うアカウントのカタログが紐づいていることがある
広告マネージャーに複数のアカウントが紐づいている場合、「カタログアイテムを追加」というエンハンスによって、広告マネージャーに存在する違うアカウントのカタログ(商品フィード)が紐づくことがあります。
広告マネージャーに複数の広告アカウントが紐づいている場合は、「カタログアイテムを追加」のエンハンスで紐づいているカタログ名が正しいか確認した方がいいでしょう。
表示されたクリエイティブが確認できず、成果が分析しづらい
Advantage+ クリエイティブの特徴として、広告はユーザーごとにパーソナライズされて表示されます。
しかし、実際にどのようなクリエイティブが表示されたのかを確認できないため、どのデザインや要素が効果的だったのかを分析できません。そのため、クリエイティブ調整の成果を可視化できないのは1つネックな点でしょう。
「Advantage+ クリエイティブ導入前のチェックリスト」
- 初期設定を確認し、不必要なエンハンスをオフにする
- カタログ紐付けが正しいかを確認
- 広告クリエイティブをプレビューで確認し、意図しない変更がないかチェック
まとめ
MetaがリリースしたAI活用型のAdvantage+ クリエイティブ。まだ発展途中の技術ですが、今後の活用が進むことでAIの精度が向上し、クリエイティブの品質も向上する可能性があります。
それはAI全般に言えることですが、精度向上には学習データの蓄積が不可欠です。Advantage+ クリエイティブも例外ではなく、提供開始から間もないため、今後さらに進化していくことが期待されます。まずは、現時点でのエンハンスの種類と特性を把握しながら、小規模なキャンペーンで試してみるのもおすすめです。自社の広告にマッチするものは活用して、うまく付き合っていけるといいですね。
