近年ますます重要性が増しているGoogleショッピング広告。当ブログにおいても、そのメリットや今後の成長性について取り上げてきました。
参考:Google ショッピング広告の成果が「悪くない」ではダメな理由
今や、ECではマストな施策のショッピング広告ですが、実は出稿可能なコンテンツに関して独自のポリシーがあり、通常のGoogle広告と基準が異なるケースがあります。
ショッピング広告に限らず、ポリシー違反による広告の審査落ちが発生すると、すぐに広告を配信することができず販促の機会を逃すことにも繋がります。
また、同一アカウントでポリシー違反を数多く指摘された場合、アカウント自体を停止されてしまう恐れもあります。
「広告を掲載しようと思った商品がポリシー違反によって出稿できなかった・・・」と後になって発覚するようなことがないよう、今回は具体例も交えながら、ショッピング広告の独特なポリシーについて紹介をしていきます。
目次
そもそも「ポリシー」とは
インターネット広告媒体では、それぞれの媒体の基準に沿って広告掲載の要件を定めており、これらの要件をGoogle 広告では「ポリシー」と呼びます。
具体的には、概ね以下の事項について定められたガイドラインと理解しておけば問題ないでしょう。
- 広告掲載を禁止、もしくは制限しているコンテンツ
- 禁止行為に関する定め(不正な宣伝方法やデータ収集など)
- 編集基準(広告に使用する文字記号、画像など)
今回はGoogleに焦点を当てて解説をしていきます。
ショッピング広告に適用されるMerchant Centerのガイドライン
Googleショッピング広告のポリシーは、Google広告ではなくGoogle Merchant Centerにおけるガイドラインとして定められています。
参考:Google Merchant Center|ショッピング広告のポリシー
大部分の内容はGoogle 広告と共通する項目なのですが、「商標」や「制限付きコンテンツ」といった項目に関しては、ショッピング広告の形式に沿った内容となっています。
ショッピング広告を掲載する際に特に違いに注意しなくてはならない箇所は「広告掲載対象外のショッピング コンテンツ」というショッピング広告に設けられているポリシーです。
ショッピング広告では、最適なユーザー エクスペリエンスを提供できない特定のコンテンツについては宣伝は認められていません。
このような制限はショッピング広告に固有のものであり、機能が異なったり別のサポートの仕組みが追加されたりしている他の Google サービスやプラットフォームのポリシーには影響しません。
このように、ショッピング広告の形式には適さないとGoogleが判断した商品・サービスについては、独自に制限が設けられています。
ショッピング広告で表示される内容は主に「商品画像」「商品名」「販売ショップ名」ですが、テキスト広告と比べるとユーザーに提供できる情報量が少ないため、その範囲内でユーザーが正しく商品情報を理解できない商品については「掲載の対象外」としているのではと考えられます。
そのため、検索キャンペーンやディスプレイキャンペーンでは掲載に問題のない商品でも、ポリシーの違いによりショッピングキャンペーンでは広告が出稿できないケースがありうるのです。
ショッピング広告での掲載対象外とされているコンテンツ
ポリシーでショッピング広告での掲載対象外とされているコンテンツは以下の通りです。
- チケット販売
- 乗り物
- 金融商品
- 通貨
- オープンループのギフトカード
- サービス
- 不動産
- 定期的な請求
- 商品ソフトウェアによって処理される請求
以下では具体的な事例を元に一部の項目の説明をしていきます。
こんなコンテンツはNG
シャンプーの定期購入コース
シャンプーや化粧品、またサプリメントといった商品の通販サイトでしばしば見られる、1ヶ月単位などの定期的に購入し続けることのできる商品やサービス。俗に言う「サブスク(サブスクリプション)」で提供の商品は、通常のテキスト広告やディスプレイ広告の出稿は可能ですが、ショッピング広告は掲載できません。
ショッピング広告には原則、広告に金額が表示されますが、ユーザーとしてはその金額を支払えば広告されている商品が手に入ると思いますよね。仮に定期購入の商品の広告が出ていたとしたら、検索ユーザーには料金体系が十分に伝わらず、意図しない定期契約となってしまい、不利益となりかねません。
現状の広告フォーマットではこのようなユーザーの不利益を回避することが、十分にできないとの判断から、定期的に購入が発生する商品の広告は出稿できなくなっているのではないでしょうか。
一方で、定期的な請求の制限には、例外的に許可されているコンテンツがいくつかあります。
- オンラインで配信される新聞や雑誌の定期購読
- 前払いで 1 年単位でのみ自動更新されるソフトウェアの定期購入
これらは一般的に定期購入であることが広く知られていたり、前払いでの一括支払いであればユーザーが金額を誤解する恐れが少ないという判断の元、一部の地域では許可されていると思われます。
自動車用タイヤ(取付・交換サービス付き)
自動車タイヤの通販において、取付・交換サービスが付帯しているケースはしばしばありますね。これらもテキスト広告、ディスプレイ広告であれば問題ありませんが、実はショッピング広告だとポリシー違反です。「商品として形が残らない労働、時間、労力、専門知識、行動。これには物理的な商品にバンドルして販売されるサービス」は、ショッピング広告のポリシーにおいて掲載対象外となっているためです。
冒頭の例は「物理的な商品にサービスがバンドルされている(セットになっている)」ことからポリシー違反となってしまうのです。
他にもリフォームに関連する事例では、家庭用のトイレやガスコンロといった商品を、工事費込みの価格で販売している(既設製品の取り外し・設置工事といったサービスをセットにしている)場合も、ショッピング広告ではポリシー違反になるケースです。
当たり前ですが、商品としての形がないサービスはユーザーが所有することはできません。サービスの内容はそれぞれ異なりユーザーが得られる価値もさまざまです。定期購入のケースと似ていますが、広告上の金額からユーザーにとってのサービスの価値を判断するのはとても難しそうですよね。そのため、「サービス」にあたる商品でのショッピング広告は出稿できないようになっているのではないかと思います。
住宅
テキスト広告やディスプレイ広告では頻繁に見かける広告だと思いますが、「不動産」はショッピング広告での掲載対象外ですので、シンプルな事例ではあるものの注意が必要です。
不動産
物理的に移動できない資産、または形を変えたり破壊したりしなければ移動できない資産
例: 物理的に移動できない資産、または形を変えたり破壊したりしなければ移動できない資産
不動産は個人が所有することができますが、その購入には移動できないものであるがゆえ、所有権という権利の移動という契約によってなされます。物理的に移動できない資産は、ショッピング広告の利用は現状ではできません。
これまで見てきた内容を整理してみると、概ね以下のような商品は、現時点ではユーザーに十分な情報を提供できないとしてショッピング広告の掲載は不可と定められているようですね。
- ユーザーが商品の金額を誤認する可能性のあるもの
- 商品としての形が残らないもの
- 物理的に所有できないもの(所有できても物理的に動かせないものはNG)
この他にも、商品の金額が流動的な金融商品や通貨、多くの都道府県において迷惑防止条例として禁止されている転売としても話題にあがるコンサートチケットなどはショッピング広告の利用は現時点ではできません。
まずはヘルプでポリシーの把握を
以上、ショッピング広告特有のポリシーについて説明してきました。
冒頭でもお話をしたように、ポリシー違反は時として広告主に直接損害を与える危険があり、決して軽視してはいけません。また、どうしてそのようなポリシーが用意されているのか考えることは、プラットフォームの思想を知るのにも有効ではないでしょうか。
今回はGoogleのショッピング広告ポリシーに焦点を当てましたが、Yahoo!プロモーション広告やFacebook広告など、各媒体のガイドラインは細かい部分で違いがあります。まずは、一次情報である媒体のヘルプを読み込むのが一番です。その上で、媒体や自社の法務担当の方などと相談して進めるのがよさそうです。