【事例で学ぶ】成果につながるBtoB記事広告の戦略とポイント

【事例で学ぶ】成果につながるBtoB記事広告の戦略とポイント

BtoBマーケティングでこんなお悩みはありませんか?

  • 潜在見込客のリード獲得数を増やしたい
  • マーケティングの成果を最大化する次の一手を探している
  • 認知向上施策に取り組みたいが費用対効果が合うか不安

検索広告やソーシャルメディア広告で、課題が顕在化した見込客の獲得で成果がでており、ターゲットを拡大するため潜在層へのアプローチがしたい。そんな状況で注目したいのが「記事広告」です。

「記事広告で本当に成果が出るの?」と思っている方も少なくないかと思います。見込客が抱える潜在課題を顕在化させる「きっかけ」に記事広告を位置付け、有益な情報を提供します。記事広告のタイトルや内容に興味を持った見込客の潜在課題を顕在化できれば、見込客は、自ら「課題認識」→「解決策の比較検討」→「商談」という流れを自然に後押しできます。本記事では、先日開催されたセミナー「80本の出稿から導き出した成果を出す 記事広告とは?」で紹介された、成果を出すためのポイントをまとめました。


記事広告(タイアップ広告)とは?

記事広告はタイアップ広告とも呼ばれ、Webメディアなどに通常のメディア編集記事と同様の形式で掲載できる広告フォーマットです。

広告主自身ではなく、掲載するメディア側や広告代理店が制作を行うことが多く、通常の記事のように記事として閲覧ができますが、区別するために「広告」「PR」「Sponsored」といった表示が付けられます。

一般的なランディングページが直接的に商品やサービスを紹介するのに対し、編集記事風の記事広告は、メディアの編集記事と同様に読者にとって役立つ情報を提示します。例えば、業界の最新トレンドや課題に触れながら、自社の製品やサービスがどのようにその課題を解決できるのかを自然な形で伝えます。

これにより、読者は記事広告を通じて、自らが抱えている潜在的な課題に気づき、解決策として製品・サービスへの興味関心が高まることが期待できることから、問い合わせや商談につながる可能性が高くなります。

GAXマーケティングの代表、佐藤岳さまが、前職のマーケティング本部長時代に、ITmedia NEWSへ掲載した記事広告の例を見てみましょう。

この記事広告は、「子育てで働ける時間が限られている」という女性たち、Web会議ツールを活用したコラボレーションの実例を紹介しています。Web会議ツールを活用することで、時間と場所の制約を取り除き柔軟な働き方を実現できることを示しています。

同じような悩みを抱える読者は、「この方法なら自分にもできるかもしれない」と具体的にイメージしやすくなり、結果として広告主であるWeb会議ツールの提供企業の問い合わせ数の増加に大きく貢献しました。

このように、記事広告は読者の課題に寄り添い、解決策を提示することで、共感と行動を引き出す効果があります。読者が自分ごととして課題を捉え、次のステップへ進むための強力な手段と言えるでしょう。

記事広告はカスタマージャーニーを進む「きっかけ」をつくる

BtoBバイヤーは、課題の認識、解決策の探索、解決策の選定や比較といった購買プロセスの約6割を自ら進めます。(出典:The Digital Evolution in B2B Marketing

米国のマーケティング・コンサルタントのTom Martinは著書「The Invisible Sales」で、BtoBバイヤーは、課題の解決策を自ら学習すると述べています。

ガートナー社のリサーチによると、BtoBバイヤーの購買プロセスの活動時間のは約45%が情報収集に費やしており、その多くは課題解決に向けて適切な解決策の選定に苦労しているそうです。

このような状況に対応するために、マーケターである私たちは、顧客の購買プロセス(カスタマージャーニー、バイヤージャーニー)を定義し、各プロセスのニーズに応じた情報を提供する必要があります。

営業担当者の販売を支援する「セールス・イネーブルメント」が注目されていますが、バイヤーの購買を支援する「バイヤー・イネーブルメント」を強化することが、マーケティングの成果を最大化し顧客満足度の向上につながります。

検索広告の多くは、解決策のブランドや解決策の手段のキーワードで入札していることが多いと思います。それらのキーワードで情報収集している見込客は、解決策を探索している状況です。

このフェーズの見込客は、複数の解決策を比較検討している状況にあるため、売り手である私たちの視点では商談化や受注しやすい反面、同業他社との比較されていることから、商談化しにくかったり、商談化しても受注しづらい課題があります。

このような状況で記事広告が有効なのは、読者が興味を持ちやすいテーマに沿って解決策のヒントを自然に提示できる点です。具体的には、読者が記事を読む中で、次のような気づきがあるでしょう。

  • こんな問題があったのか
  • こんな解決策があるなら試してみたい

このように自分の課題を具体的に把握しやすくなります。これにより、読者が次のステップである解決策の検討や導入にスムーズに進むためのきっかけを提供できるのです。

間接効果の成果が高く、検索広告と同水準の成果を実現

「課題を認知するきっかけ」となる記事広告は、カスタマージャーニーの入り口に当たるため、直接効果(記事広告からそのままコンバージョン)以上に間接効果が高いこと大きな特長です。

記事広告の直接効果と間接効果を合わせた成果が、検索広告と同程度に達した事例もあります。どのような記事広告であったのか具体的に説明されました。

事例:新しい解決策「空間共有」の提案

例えば、「テレワーク さぼり」と検索したターゲットに、自然検索結果として表示された記事広告では、単なる問題提起ではなく、「空間共有」という新しい解決策を提示しました。

  • 「空間共有」とは、オフィスと自宅をオンラインでつなぎ、チームの一体感を維持しながら在宅ワークの課題を解決する仕組みです。
  • 読者は記事を通じて、「この方法なら在宅ワークを上手く活用できそう」と具体的にイメージし、信頼感が向上した結果、問い合わせというアクションにつながりました。

成果のポイントは、単なる広告ではなく、読者が「自分ごと」として捉えられるストーリーを伝えることです。

商談成立までのスピードも向上

別の事例では、記事広告を通じて商談に至った顧客が、他の経路(バナー広告や自然検索)と比べて、商談成立までの日数が短縮されたというデータも紹介されました。

この記事広告では、読者が抱える潜在的な課題を具体的に提示し、解決策を提案した上で、関連コンテンツへと自然につながる導線を設計していました。そのため、読者は短期間で「このサービスなら自分の問題を解決できる」と確信し、スムーズに商談へ進むことができたのです。

顧客が課題を理解し、解決策を明確にイメージするサポートも行える

課題を認知したばかりの場合、もっと詳しく知りたいと思ったユーザーは検索エンジンなどを利用して自ら情報収集します。このとき、人によっては求める情報が見つからずに断念してしまったり、探すのに時間を要したりしてしまいますよね。

関連コンテンツへと自然につながる導線を設計をしておくことで、記事広告をきっかけに顧客が課題を理解し、解決策を明確にイメージできるサポートまでも行えるようになります。

効果的な記事広告を制作するステップ

では実際に、記事広告を効果的に活用するには、どのような手順で企画を進めていくのが良いのでしょうか?記事広告を最大限に活用し、成果につなげるためには、以下の手順で準備します。セミナーで紹介された成功事例をもとにした、具体的なステップをご紹介します。

1. 解決したい課題とターゲットを明確に

まず、アプローチしたいペルソナ(読者)が解決したい課題と私たちの提案価値(バリュープロポジション)を明確にします。アプローチしたいペルソナが日常的に接触しているメディアを選びます。

例えば、BtoB商材の購買を検討するビジネスパーソンがペルソナの場合、業界ニュースサイトやビジネス専門メディアに日常的に接触している可能性があります。

ペルソナが興味関心を持っているテーマやトピックを扱っているメディアに記事広告を掲載することで、課題認識を自然に促し、広告主のサービスへの信頼と関心を高めやすくなります。

2. 目的や目標の設定

次に、記事広告を通じて達成したい次のような具体的な目的や目標を設定します。

目的

  • ペルソナの潜在課題を顕在化する
  • 課題の解決策としての製品・サービスを認識してもらう
  • 解決策の選び方や比較検討のポイントの理解してもらう
  • 製品・サービスの導入方法や活用法を認識してもらう

目標

  • 自然検索経由での流入数の増加
  • ページ訪問回数の増加
  • セミナー参加者の獲得
  • 資料ダウンロードの促進
  • 問い合わせ数の増加

目的や目標を明確にすることで、記事広告の内容や構成、記事広告に設置するリンク先ページ、来訪者の行動を促すCTA(コール・トゥ・アクション)を適切に設計できます。

3. 読者視点でのコンテンツ(解決策)企画

対象とする読者が直面する課題を起点に、解決策や選び方、導入手順を「読んで役立つ情報」として提供することが重要です。どのような構成であれば読者に受け入れられるか、メディアの編集者と相談しましょう。

例)

  1. 課題:選択肢が多く、自分に合う製品がわからない
    →読者が自分の状況やニーズに合った製品を見つけやすくなる
  2. 課題:製品導入に不安がある
    → ユーザー目線で導入手順を紹介し不安感を軽減する
  3. 課題:使い方や導入後の効果がイメージできない
    → 特長的な機能や具体的な利用法を紹介しWeb会議体験の質的向上を理解してもらう

4. 関連コンテンツへの導線設計

記事内や右サイドに掲載内容に関連するコンテンツへのリンクを配置します。掲載内容に興味を持った読者へ、関連情報を提案し、興味があるコンテンツに遷移してもらうことで、紹介した製品やサービスに関する情報収集を促します。読者が複数のコンテンツを閲覧してもらうことで、広告主の製品やサービスへの理解を深められます。これにより、問い合わせや商談への移行がスムーズになり、商談化率の上昇も期待できます。

具体的には、次のような関連リンクの設置が効果的です。

  • 製品・サービス
  • 導入事例
  • 業界のトレンド
  • 調査レポート
  • 専門家による解説記事
  • 解決策の選び方
  • 製品やサービスの使い方
  • 製品資料のダウンロードリンク
  • セミナー・ウェビナー情報

なお、設定できるリンクの数や場所、追加料金の有無などはメディアによって異なるため、あらかじめ確認しておくのをおすすめします。

記事広告で成果を出すための4つのポイント

記事広告で成果を出すためには、読者のニーズに寄り添ったコンテンツ設計や、継続的に効果を分析するための計測環境が重要です。本セミナーではおさえるべき4つのポイントが紹介されました。

①導入事例を活用

出典元:GAXマーケティング社より提供

ITmediaとGAXマーケティング社が2023年に行った読者アンケート調査では、商品やサービスの導入検討における「稟議申請」段階でもっとも読みたいコンテンツとして導入事例が挙げられました。

導入事例は、他社の成功事例を知ることで製品やサービスへの信頼感が増し、稟議申請や上司への提案においても強い裏付けとなるため、意思決定の後押しとなる重要な要素です。

このように、導入事例は単なる成功談ではなく、具体的なストーリーや背景を示すことで、読者にとって「自分ごと」として課題解決を捉えやすくし、購買や導入に向けたアクションを促す強力なコンテンツとなります。

自社と似た課題を抱える企業にとって、解決策をイメージしやすくするとともに、意思決定を後押しする重要な要素となりそうです

②記事広告のレイアウトは編集記事と同じにする

記事広告を効果的に活用するためには、掲載するメディアの編集記事と同じレイアウトで作成することが重要です。これにより、メディアに訪れた読者が、興味関心に応じたコンテンツを自然に読み進めることができ、違和感のない閲読体験を提供できます。

一般的な編集記事は「タイトル」「本文」「右サイドのリンク集」などの要素で構成されています。記事広告もこの構成に合わせて作ることで、読者が編集記事を読むときと同じ感覚で情報を受け取ることができ、一貫性と読みやすさが保たれます。

こうした自然なレイアウト設計により、広告特有の押しつけがましさを感じさせず、記事広告であっても読者が無理なくコンテンツに没入できるため、最終的には自社サービスへの関心や信頼感を高める効果が期待できます。

③3本以上の記事広告を相互リンクで効果を高める

記事広告を活用する際には、3本以上の記事を相互リンクでつなぐことがおすすめです。同じテーマや関連トピックの記事を相互に結びつけることで、読者が複数のコンテンツを回遊しやすくなり、情報への理解が深まります。

さらに、記事同士がつながることで、特定の関心を持った読者が自社サービスや関連情報へスムーズにアクセスできるようになります。これにより、記事広告の効果が長期間持続し、掲載終了後も引き続き読まれ続ける可能性が高まります。

広告掲載を終了した後も、読者の流入が途絶えにくく、記事広告が自社のマーケティング資産として機能する点が大きなメリットです。継続的に新規顧客を獲得したい企業にとって、相互リンクを活用した記事広告は効果的な施策と言えるでしょう。

④記事広告の効果を測定できる環境を整備しておく

記事広告の効果を最大限に活用するためには、大きなメリットである高い間接効果も含めた正確な効果測定が欠かせません。

以下のポイントを押さえて、効果測定の基盤を整えましょう。

1. 広告効果測定ツールの導入

基本的に広告主のサイト外での掲載となるため、間接効果を正確に測定できる、アドエビスなどの効果計測ツールを導入しましょう。これにより、記事広告を読んだ後に起きた検索行動や、別経路での問い合わせ・商談への貢献度を把握できます。

2. SFA・MAツールとの連携

測定ツールとSFA(営業支援ツール)やMA(マーケティングオートメーション)ツールを連携させることで、リードがどのように育成され、商談や成約に至ったのかを可視化できます。間接効果による問い合わせや商談の進捗が明確になり、効果を正確に評価できます。

3. パラメータの設置

記事広告にパラメータを設置し、流入元やコンテンツごとの成果を追跡できるようにしましょう。これにより、間接的に影響を与えた記事がどれかを特定しやすくなり、次回の施策改善に役立てられます。

4. レポートの作成

間接効果も含めた成果を一目で確認できるレポートを用意しましょう。たとえば、記事広告をきっかけにした検索行動や、後日発生した問い合わせ・商談数をレポートにまとめることで、記事広告の真の効果を評価できます。

間接効果を正しく測定することで、記事広告の長期的な影響見えにくい成果を把握しやすくなります。計測環境の用意は時間も手間も掛かりますが、記事広告の費用対効果が明確になり、次の施策に自信を持って投資する判断が可能になりますので、最初にしっかり取り組んでおくのがよいでしょう。

まとめ

記事広告は、潜在的な顧客に自社を知ってもらう「きっかけ作り」に効果的な施策です。認知を広げるだけでなく、課題に気づいていないユーザーに対しても解決策を提示し、問い合わせや商談へと自然に導くことが期待できます。

ただし、ターゲットが明確でなく広告媒体が適してなかったり、読者視点でのコンテンツが作れてなかったりすると効果は発揮できないでしょう。また、広告主が管理するサイトではなく、外部のメディアを利用するため、計測環境を整えることも重要です。

手間も時間も要する施策ですが、きちんと取り組んだだけの成果がでることは、今回GAXマーケティングの佐藤さまが過去に取り組んだ事例からも明らかです。

ぜひ記事広告を活用できないか考えてみてください。

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