BtoBサービスの導入事例、なんとなく作っていませんか?
- 「せっかく作った導入事例があまり活用されていない」
- 「事例の成果が商談や受注につながっているか分からない」
- 「そもそもどんな内容にすればいいのかイメージが湧かない」
これらの課題を感じている方も多いのではないでしょうか?
BtoBマーケティングにおける「導入事例」は、意思決定において重要な役割を担っており、単なる補足的なコンテンツではありません。
適切に設計・制作された導入事例は、リード獲得から商談成立、受注に至るまでのプロセスを大きく後押しします。
一方で、多くの企業で「作りっぱなし」や「形式的な事例」に終始し、成果を最大化できていないケースも散見されます。
そこで、本記事では、先日実施されたセミナー「導入事例はコンテンツの王様~受注を呼び込む【導入事例】制作の極意を徹底解説~」で紹介された効果的な導入事例の作り方についてまとめてみました。
※12/4(水)12:00より、同じくGAXマーケティングの佐藤さまとのセミナーを開催いたします!ご参加お待ちしています
目次
効果的な導入事例でとくに重要なのは「選定ポイント」と「選定理由」
まず、効果的な導入事例を制作するために盛り込むべき情報として、次の5つの要素が紹介されました。
- 概要(お客様プロフィール):業種・規模・課題を簡潔にまとめる
- お客様の課題は?:課題の具体的な内容と導入の背景
- 製品・サービスによりどう課題を解決したか?:数値とエピソードを交えた成功ポイント
- 選定ポイント・選定の決め手は?:導入製品・サービスが選ばれた要因
- どのように利用しているか?:利用シーンをなるべく具体的に
おおむね、どの導入事例にも採用されてそうな要素かと思いますが、上記の中で漏れがちなコンテンツは「選定ポイント」と「選定の決め手」です。
実は、「選定ポイント」と「選定の決め手」は実は最も読み手が気にしている要素の一つです。GAXマーケティング社とアイティメディア社が2023年に実施した「製品・サービスの導入検討に関するアンケート調査*」によると、BtoBのマーケティング担当者の多くが「同業種・同規模の企業がどのように課題を解決したか」と「選定の背景や決め手となった具体的な理由」を重視しています。
例えば「競合製品と比較した際に決定打となった機能や特性」など、「選定ポイント」と「選定の決め手」の情報が含まれていると、BtoBのマーケティング担当者が資料請求したり、社内の稟議を通すための後押しをしやすくなります。
効果的な導入事例を制作するための4つのポイントは?
導入事例は単なる「成功体験の紹介」ではなく、読者に「自社でも使える具体的な解決策」を提案するものです。
そのため、重要な要素が揃っているだけでは不十分で、読み手に配慮して制作する必要があります。
本セミナーでは押さえるべき4つのポイントが紹介されました。
1. ターゲットを絞り込む
成功する導入事例制作の第一歩は、ターゲットを明確に定義することです。導入事例を依頼する企業を選ぶ際には、想定される読者(ターゲット)を「業種×規模×課題」の軸で整理し、読み手の具体的なイメージに合う内容を構成することが重要です。
例えば、製造業向けのソリューションを提供する場合「中小製造業」や「国内工場を持つ企業」など、ターゲットとなる読者に当てはまる事例を選ぶことで、自分ごととして認識しやすくなります。
あるマーケティング企業では、「従業員数500人以下の製造業」を対象に、具体的な業務効率化事例を制作しました。このセグメントに特化した事例配信により、問い合わせ数が大幅に増加しました。
2. ストーリー性を持たせる
次に重要なのが単にデータや文字を並べるのではなく、「背景(課題の発生)→導入のきっかけ(解決プロセス)→成果」といった流れをストーリー形式にすることで、読みやすさと親しみやすさが増します。
例えば、以下の流れを意識してみると良いでしょう。
- 背景:例|多店舗展開している小売業の店舗スタッフ間の連携不足が課題
- 導入:例|ウェブ会議システムの導入でリアルタイムの情報共有を実現
- 成果:例|在庫調整の効率化により売上が10%増加
読者が「同じ状況に陥った場合の解決策」をイメージできるようにすることがポイントです。
3. 具体的でわかりやすく
また、導入事例は具体的でわかりやすいことが重要です。特に、定量データを含めた成果の明示は不可欠です。
例えば、「3か月で工数が20%削減」や「コストが年間300万円削減」といった具体的な数字があると読み手の解釈を生みづらくなり、説得力が増す効果が見込めます。
その他に具体的でわかりやすくする方法として、画像や図表を用いることで視覚的にうったえる工夫も重要です。
一般的には、視覚的に情報を伝えることで読者が内容を直感的に理解しやすくなり、文字だけで情報を伝えるよりも記事の印象や理解度が向上します。
4. 読みやすさに配慮する
最後に、レイアウト面も工夫できるとよいでしょう。
導入事例は情報量が多いため、箇条書きや色分け、見出しを効果的に使い要点を整理することが重要です。
具体的にセミナー内では、導入事例の見せ方としてビジュアル面で以下の工夫が紹介されました。
- お客様の業務を象徴する画像:業種を想起しやすい画像を活用
- 利用シーンの写真:製品の具体的な活用方法を示す
また、上記以外にも業種や用途ごとにデザインや配色を統一することで、視覚的なわかりやすさも向上します。
業種ごとに色を分けてレイアウトするのもおすすめです。例えば、製造業向けは青系、小売業向けは緑系など統一することで、読み手にとって直感的にわかりやすい事例が完成しました。
導入事例制作を効率的に進めるには?
導入事例を制作するには、企画から完成までに多くのステップが必要です。そのため、時間やリソースがかかり効率的に導入事例の制作ができないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、計画や進め方を工夫することで、効率的に導入事例制作が可能になります。最後に、セミナー内で紹介された効率的に導入事例を制作する方法について紹介します。
1. 事前に綿密な計画を立てる
まずは全体の流れを明確にし、具体的なスケジュールを設定しましょう。導入事例制作には取材や撮影などが必要となるため、事前計画が重要です。
用意しておくべき点としては「取材対象」(どの業種・規模・課題の顧客を選ぶのか)、「目的」(制作する事例の最終的な用途(営業資料、ウェブ掲載など))、「成果指標」(リード獲得数や閲覧数と行った具体的な数値目標)の3点を決めてから導入事例制作に取り掛かると良いでしょう。
特に取材対象の整理は抜け漏れがちなポイントです。導入事例制作では、「どの顧客の事例をどのように制作するか」を計画的に整理することが重要で、「顧客属性(業種、規模、地域など)」と「解決した課題」の掛け合わせで、整理するのがおすすめです。
整理をするうえで活用するとよいフォーマットとして以下の表を活用する方法が紹介されました。
次に公開されている事例も集計してみて、リストアップした企業の情報と事例公開されている企業の情報のギャップを確認するようにしましょう。そのうえで自社の導入事例に足りない部分を補うように計画を立てると、効果的な事例を効率よく制作していけるでしょう。
2. 社内外の関係者との連携を密にする
導入事例制作には、社内社外問わず多くの方の協力が必要不可欠です。そのため、顧客はもちろんですが、自社の営業担当者やデザイナー、ライターと密に連携し、取材の同意を得やすい工夫をするのも導入事例制作を進める過程で重要となります。
対社外向けにスムーズな連携を行う方法として、まずは導入事例掲載に同意をしていただく必要があります。その方法の一つとして、セミナーでは「顧客に取材を依頼する際の説明資料」を活用する手法が紹介されました。
成果の外部発信による広報効果など、事例に掲載してもらうメリットや具体的なビジュアル案や質問項目を事前に伝えることで、取材承諾率が向上します。
よくそんなに多くの導入事例を公開できるねと言われますが、進め方を工夫するだけでそこまで大変ではないです。紹介したような資料を用意すると導入事例の打診は10件中8件くらいは了承を得られる印象です。
続いて社内の各部門が連携をスムーズにするためには、仕組みを整えることが重要です。タスク管理ツールを活用して、進捗や役割分担を可視化したり、文章やビジュアルの共通のテンプレートを用意しておくことで品質を保ちつつスムーズな進行ができます。
あるIT企業では、営業チームが「顧客候補のリストアップ」、マーケティングチームが「顧客への取材依頼と調整」、デザインチームが「制作物の仕上げ」という役割分担を明確にしました。また、Slackでプロジェクト専用のチャンネルを作成し、全員が最新情報にアクセスできる環境を整えたことで、制作期間が約30%短縮されました。
まとめ
ここまでご紹介した通り、導入事例の効果を最大化させるためには、ただ制作するだけでなく、選定ポイントや理由を明確にし、読みやすさを意識したりターゲットの絞り込みを工夫することが重要です。
さらに、制作プロセスを効率化しながら、効果的な導入事例を複数制作できると、ナーチャリングや広告活用など各マーケティング施策に幅広く展開することで効果を最大化できます。
具体的にセミナー内では導入事例をPDFでダウンロードできるようにし、ナーチャリングメールやブログ記事と連動させたり、広告活用することで商談・受注率を向上した事例などの活用法が紹介されました。
このように導入事例はBtoBマーケティングにおいて顧客の信頼を獲得し、受注に直結する重要なコンテンツです。
これから導入事例に取り組む方は本記事で紹介した作り方を参考に、もし既に導入事例がある方は、これまで制作したコンテンツの見直しをするだけでも効果が見込めると思いますのでぜひ本記事で紹介したポイントを試してみてください。