オンライン・オフライン施策どっちがいい?BtoBの施策選定のポイントは「顧客解像度を高めること」

オンライン・オフライン施策どっちがいい?BtoBの施策選定のポイントは「顧客解像度を高めること」

2020年はコロナの影響で展示会の中止が相次ぎました。展示会の代わりにオンライン広告や、オンライン展示会への出展を強化した会社も多いのではないでしょうか?

法人リードの獲得にオンライン広告の利用が一般化した一方で、展示会への出展回数や年間予算はコロナ禍以前の水準に戻りつつあることが分かっています。

引用元:展示会出展の実態調査2024――代替施策を活用するも出展回数は回復傾向

オンライン施策とオフライン施策と打ち手が増えた一方で、どちらに力を入れるのが良いのか、あるいは適切に組み合わせ実行していけばいいのかに悩むBtoBマーケターも増えたのではないかと思います。

今回のセミナーでは、オンライン施策とオフライン施策の打ち手に悩んでいるBtoBマーケターに向けて、商材タイプ別の施策選定方法を株式会社Smapo代表の蔭山さんとアナグラムのマネージャー二平がお話しました。

ウェビナー概要

次の打ち手に悩んでいるBtoBマーケテター必見!商材タイプ別施策の選定方法を徹底解剖
開催日時:8/28(水)11:00
主催:株式会社Smapoさま、アナグラム株式会社

登壇者

株式会社Smapo
代表取締役 蔭山 明里氏

株式会社サイバーエージェントに新卒入社。インターネット広告事業に従事後、海外留学、インターネット企業への参画を経てサイバーエージェント子会社海外拠点(香港)の立ち上げを行う。2019年に株式会社Smapoを起業。

アナグラム株式会社
運用型広告事業部 マネージャー 二平燎平

BtoB中心に数十社以上の広告運用やコンサルティングを経験。前職にて中小企業向けERPのセールスやCS、マーケティングなどTheModelの全工程に従事した経験と運用型広告の知見を合わせた売上を伸ばすBtoBマーケティングコンサルティングに定評がある。アナグラム社では主にBtoB向けの支援や情報発信を担当。2024年3月に新刊「BtoBマーケティング“打ち手”大全 広告運用で受注を勝ち取る 最強の戦略 88 (できるMarketing Bible)」を出版


顧客解像度を上げて、業務内容や課題の理解からはじめる

オンライン・オフラインの施策を使い分けることが重要だということは多くのマーケターが意識していると思います。これらの施策について考える前に、事前に調査しておくべきことは何でしょうか?

二平さん:お客様の理解を深めることが重要です。BtoB商材は何らかの業務上の課題を解決するものがほとんどなので、業務プロセスを理解することでどの施策を実施すべきか判断しやすくなるためです。

例えば会計にまつわる業務で「消込」という言葉があります。「消込」は売掛金の入金があった場合、支払明細と照らし合わせながら入金されているデータを消していく業務のことを指します。

もし「消込」という言葉自体を知らなければ、「消込 改善ツール」や「消込 楽にする」といった検索広告のキーワードは思い浮かべられず、有効なオンライン施策を考えられないでしょう。

顧客解像度を上げるためにできることは複数ありますが、特にN1インタビューや営業同席がおススメです。BtoB商材を売っていくにはユーザーの課題・他社の商材理解・自社の強みの理解が必要で、実際に商品を購入した方やトップセールスにお話を伺うことでこれらをインプットできることが多いです。

蔭山さん:ヒアリングの際、どういうことをインタビューされているのでしょうか?

二平さん:「顧客ユーザーが商材を購入しようと思った課題やきっかけ」と「情報収集の方法」は毎回聞くようにしています。

「課題を抱えたきっかけ」を把握することで、そのタイミングにアプローチできるアイディアを考えることができます。例えば「法改正に合わせたシステム変更」がきっかけの場合、法改正の数ヶ月前に法改正に関するコンテンツを用意しておき、Metaでホワイトペーパーの広告配信を行うなど考えることができます。

次に「情報収集の方法」を把握しておくことで、オンライン・オフラインのどちらを優先すべきか判断がつきやすくなります。例えば「自社で調べることをあまりせず、代理店やパートナー経由で情報を仕入れる」というケースがありました。このような場合オンラインの施策を攻めるのではなく、代理店との関係構築を優先すべきですよね。

カテゴリの検索数×ターゲット数で自社の商材タイプを把握し施策を選定

顧客リサーチが終わったら、オンライン施策かオフライン施策か、どのような基準で判断しているのでしょうか?

「カテゴリーキーワードの検索数×ターゲット数」のセグメンテーションを活用しています。4つの領域に分れており、商材タイプによってオンライン施策を中心に実施するべきか、オフライン中心にするべきか傾向がわかります。

縦軸のカテゴリーキーワードの検索数というのは、商材を検索する際に入力するであろうメインのキーワードの検索数を示しています。目安として月間数千以上の検索数があると多いという象限に分類されます。横軸のターゲット数というのは、その商材を購入する可能性がある顧客のボリュームを意味しており、業界に特化しているか否か、対象とする企業規模といった要素で、ターゲット数のボリュームが決まってきます。

この2軸を掛け合わせてできる4つのセグメントのうち、どのセグメントに当てはまるかで商材タイプを見分けることができ、タイプごとに取り組むべき施策が決まっています。

「会計ソフト」と「船舶管理システム」を例に考えてみましょう。「会計ソフト」は月間平均検索ボリュームが10,000以上のためカテゴリー検索数は多く、どの業界でも必要なケースが多いためターゲット数も多いです。右上の領域に属するため、オンラインで検索広告などを強化していく優先度が高いです。「船舶管理システム」は同様に考えると左下の領域に属するため、オフラインの優先度を高めるべきでしょう。狙いたい企業をリストアップしてDMしたり、テレアポしたり、業界特化の展示会に参加を積極的に行ったうえで、オンラインは補助的に活用するのがおすすめです。

セミナー参加者から次のような質問が寄せられました。

「オンライン・オフラインの優先度が決まったあとはどのように施策を考えていくのがよいでしょうか?」

二平さん:成果が出やすい施策から着手していくのがおススメです。

オンラインでは、検索広告・リターゲティング・比較サイトへの掲載が効果的なことが多いです。検索広告では能動的に検索を行っているユーザーにリーチできますし、リターゲティングでは自社サイトを訪れたユーザーに再度訴求できます。

オフラインでは、既存リストの掘り起こしが効果的です。例えば、過去に資料請求をしたものの、すぐに商談につながらなかったユーザーが一定数いるはずです。資料請求は自社に興味を持っている証拠なので、再度アプローチすることで商談に発展する可能性が高まります。

オンライン・オフラインと切り分けず、横断して考える

オフラインとオンライン施策を組み合わせて、有効に機能させる方法などあるのでしょうか?展示会を例に、どのような方法があるか教えてください

二平さん:オフラインの展示会について考えると、やはり連絡するスピードが重要です。名刺交換した際にアポイントがとれればベストですが、とれなかった場合は当日にメールで連絡をいれていました。あとはメールで連絡をする際、展示会のブースの画像を一緒に送った際は反応が良かったですね。

蔭山さん:弊社からは海外のオフラインイベントででうまくいき、日本でも転用できそうな事例をご紹介させていただきます。

1つ目は、寄付者がギフトカードを通じて好きな慈善団体を選んで寄付できるプラットフォーム「CharityChoice」のイベント後にギフトカードを送ることで応答率が上がった事例です。

ギフトカードを受けとった参加者は、自分の好きな慈善団体に寄付をすることができます。従来のメールよりも応答率が高くなる傾向があるため、展示会で特に気になった企業さまに対してはギフトカードを送付することで返答率の上昇が期待できそうです。

2つ目はパーソナルなメッセージをDMやギフトカードに含めたことで、商談への引き上げ率が上がった事例です。

「ガーデニングのお話楽しかったですね、またコーヒーを飲みながら弊社の話もぜひ聞いてください」のよう展示会で話した内容を含めたうえでコーヒーのギフトを送ったところ、MQLからSQLへの転換率が10%から25%まで上昇しました。

展示会では何十名の方と話しておりメールもまとめて受け取るため、参加者はどの企業からの連絡か思い出せないことがありそうです。二平さんの話であがったようにブースの画像を送ってみたり、ギフトカードを活用してコミュニケーションを深めていきたいですね。

オフラインでしか出会えないユーザーと接点を持つ

続いて、セミナー参加者からは次のような質問が寄せられていました。

「展示会が以前より増えている気がしますが、出展したほうが良いのでしょうか?」

二平さん:リソースや資金を考慮したうえで、ターゲットとなるユーザーが展示会に参加している場合は積極的に出展してみる価値があると思います。

N1インタビューで情報収集の方法について伺ったところ「オンラインで調べることは少ないが、展示会には必ず参加する」という企業さまがいました。私自身も前職で展示会を実施していた際、オンラインでは接点を持てなかった企業の方々と交流できた経験があります。地方では展示会社が貴重な情報収集の場であり、参加者がとても熱心に話を聞いてくれる印象もありました。

さらに展示会はただ名刺交換をするだけでなく、その場で実際に製品やサービスを体験してもらえるチャンスです。参加者との距離を縮めたうえで、本日ご紹介させていただいたギフトカードを送付するなどフォローを行うことで反応率を高める工夫もできそうですね。

オンライン施策だけでは接触できない層にリーチできる機会でもあるので、ぜひ参加を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

オンライン・オフラインの施策が多様化しており、どの施策を選ぶかの判断がますます難しくなっていると感じます。BtoB領域における成功事例コンテンツが多く見られるようになっていますが、肝心の自分の顧客解像度が低ければそれらを真似するだけでは十分な成果を得ることは難しいでしょう。

顧客の課題を正確に把握し、どこで情報を集めているのかを調べる必要があります。今回も話に上がった「N1インビュー」や「営業同席」を実施したことがない場合、ぜひ試してみることをおすすめします。

また、展示会後のフォローも多くの企業が抱える課題です。ご紹介いただいた海外の事例からも、顧客のことを十二分に考えて施策を打つ大切さが分かりますよね。どのような情報が顧客の反応を引き出せるのかを考え、実践してみることが大切ではないでしょうか。


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