
以前、第三者から守る方法をお伝えしましたが、広告主が自ら商標を利用する際にも注意するべきポイントがあります。
自社商品・自社サービスの広告配信をする際に、広告文にサービス名やブランド名を入れるのが一般的だと思います。
しかし、商品名やサービス名が商標登録されたワードである場合、商標法により第三者が商標登録されているワードを使用することは禁止されています。
参考:広告文への商標の使用制限について - ヘルプ - Yahoo!広告
そのため、インハウスもしくは正式に依頼された他社からの配信かつ権利者から見て問題ないケースにおいても、対象のワードが利用できないケースがあります。
もし、商標登録されているキーワードを広告文として利用する場合の意識すべきポイントや必要な流れをお伝えしていきます。


Contents
利用許諾は広告アカウント単位で有効
基本的に利用許諾申請は「広告アカウント」単位で有効です。
そのため、新規の広告アカウントを作成して商標ワードを利用する際に、制限がかかっているワードに関しては都度許諾申請を行う必要があります。
たとえば、既存サービスでの広告アカウントが存在しており、商標である会社名を利用制限していた場合です。
新しい広告アカウントにて同企業の別サービス集客のために広告文に制限済みの会社名を利用したい場合には、新しいアカウントで利用許諾申請を行う必要があります。
この前提を踏まえて、広告主以外が利用できるケースに触れていきます。
広告主以外でも利用できる場合
Google広告で広告主以外が商標ワードを広告文に利用する場合には、再販業者と情報サイトに関するポリシーに注意しましょう。
(Google 広告)再販業者と情報サイトに関するポリシーに注意
広告掲載に使用するキーワードや広告の内容については、広告主が責任を持って管理することが前提になっており、Google 広告の利用規約でも知的所有権の侵害を禁止しています。
参考:Payment methods & terms of service finder
ただし、再販業者と情報サイトに関するポリシーの要件を満たしている場合には商標を利用することが可能です。
参考:Trademarks - Advertising Policies Help
つまり、ランディングページが商標になっている商品・サービスそのものを販売する目的で記載されている場合には、商標名を広告文に含めても、ポリシー違反になることなく入稿を進めることが可能です。
もちろん商標キーワードに関連するページであれば誰でも商標登録されたキーワードを利用できるというわけではなく、Google広告の利用規約や商標法を遵守した上で、商標権所有者様から許諾されている場合に限られます。
また、Google広告のヘルプでは以下に該当する広告が禁止されています。
再販業者および情報サイトに関するポリシーでは、次のような広告は禁止されています。
引用:商標 - Google 広告ポリシー ヘルプ
- 競争的な意図で問題の商標に言及している広告
- 商業上の情報を表示する前にランディング ページでユーザーに詳細情報の提供を求める広告
- 広告主が再販業者か情報サイトかが不明な広告
想定していた商標ワードが利用できない場合には、上記の項目に該当していないかも確認してみましょう。
商標制限に抵触していた場合
広告文に使用している商標が、本来であれば使用して問題がない状況にも関わらず、媒体側にて商標利用の制限がかかっている、あるいは再販業者と情報サイトのポリシー(Google 広告)に反していると判断された時には、Google 広告、Yahoo!広告 検索広告(以降、Yahoo!検索広告)では、それぞれ下記のようなポリシー違反が出ます。
Google 広告
Yahoo!検索広告
上図のような状態は、対象の広告の配信が制限されています。
解決方法としては、商標権の所有者(自社の担当者またはクライアント)に対して商標権の使用許諾申請、または使用意図が異なることに対する再判定申請(Yahoo!検索広告のみ)が必要になります。
Google 広告とYahoo!検索広告では、申請のフローが異なるため、次のトピックでは、各媒体の実際の使用許諾申請のフローと、Yahoo!検索広告の使用意図が異なる場合の再判定申請について解説していきます。
使用許諾申請のフロー
実際に商標の使用許諾を取得する際のフローをGoogle 広告とYahoo!検索広告に分けて解説していきます。
Google 広告で使用許諾申請を行う方法
簡単にまとめると以下のような流れになります。
- 「商標使用許諾リクエスト」に必要な情報を入力し送信
- Googleから審査完了の連絡が来る
- Google 広告管理画面より再審査請求を行い制限を解除する
順を追って解説していきます。
1.「商標使用許諾リクエスト」に必要な情報を入力し送信
使用許諾リクエストのページを開きます。
商標使用許諾リクエストページで「商標権所有者様、または Google 広告の商標権侵害の申し立てに記載された連絡担当者様ですか?」に対して、「はい」を選びます。
「商標権所有者様との関係」「連絡先情報」に必要事項を入力します。
広告文で使用する商標を入力します。
商標を使用した広告文を入稿する広告アカウントのIDを入力します。
補足やファイルを添付する必要がある場合は、「補足説明」の欄に入力します。問題がなければ誓約欄のチェックボックスにチェックを入れます。
再度内容に問題がないことを確認し、「送信」を押します。
2.Googleから審査完了の連絡が来る
およそ1週間程度で、Googleからメールにて許諾申請の結果の連絡が届きます。
3.Google 広告管理画面より再審査請求を行い制限を解除する
管理画面より対象の広告に対して、再審査請求を行いましょう。
Yahoo!検索広告で使用許諾申請を行う方法
以下のような流れで申請を行います。
- 必要なものを準備する
・申請者の名刺
・商標登録証・商標原簿
・商標の使用を許諾する広告主の情報 - 「商標権者による商標の使用許諾の申請フォーム」より申請する
- Yahoo!検索広告管理画面で制限解除の確認を行う
必要物を準備する
申請には下記の3点が必須となります。
詳細はYahoo!広告ヘルプ「商標の使用を許諾する場合の申請について」をご覧ください。
- 申請者の名刺
申請者本人、または代理人による申請の場合は、申請する代理人の名刺を用意してください。
- ファイル形式はjpg、pdf、bmp、pngのみ添付可能。
- スキャンデータまたは写真も可能。
- 写真の場合、文字がすべて読み取れるようにする。
- 商標登録証、もしくは商標原簿
特許庁が発行した商標登録証、もしくは商標原簿の写しを電子ファイル化したものをご用意ください。
- ファイル形式はjpg、pdf、bmp、pngのみ添付可能
- スキャンデータまたは写真も可能。
- 写真の場合、文字がすべて読み取れるようにしてください。
- 商標の使用を許諾する広告主の情報
広告主名:許諾する検索広告の広告の遷移先サイトにおける企業情報や運用者情報などをご確認ください。
表示URLのドメイン部分:許諾する検索広告の広告における表示URLのドメイン部分をご用意ください。表示URLのドメインがサブドメインまである場合は、後方一致で判定します。
「商標権者による商標の使用許諾の申請フォーム」より申請する
上記のリンクより、必要情報を入力して申請します。
Yahoo!検索広告管理画面で制限解除の確認を行う
広告文への商標の使用制限について - ヘルプ - Yahoo!広告
上記リンクの「商標権者の許諾を得て使用する場合」を参考に、該当の広告にて「使用制限が解除されているか確認する」をクリックします。
解除がされていれば、ステータスが「制限なし」に変更されます。
(Yahoo!検索広告のみ)商標の使用意図が異なる場合の再判定申請
広告文中に商標制限がかかっている文言があり、商標そのものに言及していない場合については、再判定申請を行うことが可能です。
例えば「サーチライト」を含めた広告文を作成した時に、商標として「サーチ」が登録されていた場合です。
この状態を解除するには、以下の手順で進めます。
- 新規広告の作成画面にて希望の広告文を入力し「保存」ボタンを押す
- 商標への言及ではない語句の申請
新規広告の作成画面にて希望の広告文を入力し「保存」ボタンを押す
入稿したいタイトル・説明文・最終リンク先URLや任意項目を入力し、画面下部の「保存」ボタンを押します。
商標への言及ではない語句の申請
ページ上部に出たアラート内にある、「以下の語句は商標への言及ではないので、広告の再判定を申請します」にチェックを入れます。
その後、「商標への言及ではない語句」の中に、入稿したい広告文で使用している文言を入れます。
先ほどの上記の例の場合、申請する文言は使用制限がかかっている「サーチ」ではなく、「サーチライト」となります。
すべての入力箇所が埋まったら、ページ下部の「保存」ボタンを押します。
広告の再判定が行われ、申請が承認されると制限が解除されます。
もし、上記を行っても「配信停止」ステータスのままで、使用制限が解除されない場合は、前述の『Yahoo!検索広告で使用許諾申請を行う方法』を参照し、使用許諾申請を行う必要があります。
まとめ
ここまで、商標名称を広告文で使用する際の注意点や、もしも制限がかかっていた場合の申請フローをご紹介しました。
商標使用が商標法の観点から問題が無かったり、所有者から許可が下りていたとしても、状況によっては商標使用制限がかかることがあります。
新しく広告アカウントを作成した場合など、商標に関するキーワードが広告文に利用できないといったケースは起こりうるので、出会った際に落ち着いて対処ができるよう商標ワードが利用できるようになるまでの手順は押さえておきましょう。
