
クライアントあるいはインハウスであれば上司に「広告アカウントを見たい」と言われたとき、広告アカウントにアクセスする際に必要となる権限をスムーズに付与できていますか?
「どのレベルの権限を付与すれば良いのかわからない」「ひさしぶりの依頼で手順を忘れてしまった」となってしまう広告運用者も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、おもな3つの広告媒体、Google 広告・Yahoo!広告(旧:Yahoo!プロモーション広告)・Facebook広告アカウントにアクセスするための権限(以下、アクセス権)を付与する方法をご紹介します。
※この記事は、2020年3月時点での情報をまとめております。
Contents

アクセス権を管理する仕組み
広告アカウントへアクセスするためには、広告アカウントの管理者から用途に合わせた権限を指定して付与してもらう必要があります。広告アカウントの誤操作などトラブルを回避するためにも、必要なひとに必要な権限を付与するのがアクセス権の管理では重要です。
アクセス権の種類は大きく分けて3つ
まず、広告アカウントへのアクセス権は次の3種類に大別できます。
- 管理者権限
- 編集権限
- 閲覧権限
それぞれ何ができるのか、解説します。
管理者権限
広告アカウントのステータスのオン・オフはもちろんのこと、広告アカウントに関するあらゆる設定を編集・管理できる権限です。アカウントにユーザーを追加・削除したり、支払い方法の登録や変更を行う人にはこの権限が必要です。
ただし、広告アカウント内のすべての項目を管理できてしまうため、たとえば必要がないのに誤った操作を行ってしまうリスクもあります。この権限の取り扱いには十分に注意しましょう。
編集権限
おもに広告アカウント内の配信設定を登録・編集・削除ができる権限です。設定変更や入稿など、広告運用を行うには 最低限この権限が必要です。
閲覧権限
広告アカウントを閲覧できる権限です。たとえばアナグラムでは、基本的に広告アカウントを開示しており、クライアントさまには閲覧権限を付与しています。
なぜ編集権限ではないかと言うと、万が一誤って設定を変更してしまい広告掲載に影響がおよぶのを回避するためです。
状況に応じて適切な権限を選択できるように、それぞれ何ができるのかは常に頭に入れておきたいですね。
アクセス可能な範囲は媒体ごとに少しずつ異なる
アクセス権は「管理者権限」「編集権限」「閲覧権限」の3つに分類できるとお伝えしましたが、各権限でアクセス可能な範囲は媒体ごとに少しづつ異なります。
ひとくくりに「閲覧権限」とだけ把握していると、媒体ごとの違いを見逃してしまうことも。たとえばクライアントに「Google 広告と同じ『閲覧権限』をFacebook広告にもつけてほしい」と頼まれて、Facebook広告アカウントの掲載内容が閲覧できる権限を付与したら、「レポート作成ができる権限がほしかったんだ」と食い違いがおきてしまうこともあります。
どんな権限があってそれぞれ何ができて何ができないのか、媒体ごとに確認しておきましょう。
Google 広告
Google 広告の各権限で利用可能な機能は次をご確認ください。
アクセス権の一般的な分類 |
管理者 |
編集 |
閲覧 |
- |
Google 広告のアクセス権の種類 |
管理者 |
標準 |
読み取り専用 |
メール専用 |
---|---|---|---|---|
|
◯ | ✕ | ✕ | ✕ |
|
◯ | ◯ | ✕ | ✕ |
|
◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
|
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
参考:Google 広告アカウントのアクセスレベルについて - Google 広告 ヘルプ
Yahoo!広告
Yahoo!広告の権限ごとに利用できる機能は以下を参照ください。
アクセス権の一般的な分類 |
管理者 |
編集 |
閲覧 |
Yahoo!広告のアクセス権の種類 |
管理者 |
登録更新 |
参照 |
---|---|---|---|
|
◯ | ✕ | ✕ |
|
◯ | ◯ | ✕ |
|
◯ | ◯ | ◯ |
参考:権限管理機能とは 各アカウントで付与できる権限(管理権限、登録更新権限、参照権限)- Yahoo!広告ヘルプ
Facebook広告
Facebook広告の各権限で利用可能な機能は次のとおりになります。
アクセス権の一般的な分類 |
管理者 |
編集 |
閲覧 |
Facebook広告のアクセス権の種類 |
管理者 |
広告管理者 |
アナリスト |
---|---|---|---|
|
◯ | ✕ | ✕ |
|
◯ | ◯ | ✕ |
|
◯ | ◯ | ◯ |
参考:広告アカウントのアクセス許可と権限 - Facebook広告のヘルプセンター
アクセス権の付与に必要なもの
広告アカウントへのアクセス権を付与するにあたり、必要なものは次のとおりです。
共通で必要なもの
- メールアドレス
Yahoo!広告とFacebook広告では特に条件はありませんが、Google 広告はGoogle アカウントのメールアドレスが必須です。ですので、たとえばGoogle 広告とYahoo!広告、2つの媒体の権限付与を一緒に行う場合は、Googleアカウントのメールアドレスを1つ用意すると良いでしょう。
Yahoo!広告でのみ追加で必要なもの
- 権限を付与したい人の氏名
「なぜ氏名がいるの?」と思う方もいると思いますが、Yahoo!広告やYahoo!関連サービスを利用するにはYahoo!ビジネスマネージャー(※)への利用者登録が必要で、氏名とメールアドレスが入力必須項目となっています。メールアドレスと併せて氏名を確認するのを忘れないようにしたいですね。
※Yahoo!ビジネスマネージャーとは、企業向けのID発行・管理システムです。利用者登録すると、Yahoo!広告やYahoo!関連サービスを利用できます。
Facebook広告でのみ追加で必要なもの
- ビジネスマネージャID
広告代理店からクライアントにアクセス権を付与する際には、クライアント所有のビジネスマネージャ(※)のIDが必要になります。逆もまた然りです。

「ビジネスマネージャID」は、ビジネスマネージャログイン時のURLで確認できます。URL末尾の「id=」以降の数列がビジネスマネージャIDになります。
そもそもクライアントがビジネスマネージャを持っていない場合は、次を参考にビジネスマネージャを開設してもらいましょう。
参考:Facebook広告運用の必需品!ビジネスマネージャ導入ガイド ビジネスマネージャの開設方法
※Facebookのビジネスマネージャとは、複数のFacebook広告アカウントやFacebookページ、ユーザー権限を一元管理ができるツールです。
アクセス権を付与する方法
ここからは各広告アカウントへのアクセス権を付与する方法をご紹介していきます。
例として、クライアントや広告関係者など最も付与する機会が多い、閲覧権限(※)付与の手順を解説していきます。
※ここでいう『閲覧権限』とは、広告アカウント上で掲載状況の閲覧ができる権限を指します。媒体ごとに名称は異なりますが、同一の機能をもつ権限を以下そのように呼びます。
Google 広告
Google 広告アカウントの閲覧権限(読み取り専用権限)を付与する手順は以下のとおりです。
※手順は、管理者権限所有者の広告管理画面で解説します。以下同様です。

① Google 広告の管理画面を開き、右上の「ツールと設定」をクリック
② 設定の「アカウントのアクセス権」をクリック

③ 左上の「+」ボタンをクリック

④ 権限を付与したいユーザーのGoogleアカウントのメールアドレスを入力
⑤「読み取り専用」を選択
⑥「招待状を送信」をクリックで④で入力したメールアドレス宛てに招待状メールを送信
※招待状メールの送信と同時に「管理者」権限所有者の登録メールアドレスに招待状メール送信の確認メールが届きます。
⑦ 招待状メール内の承認ボタンをクリックで招待を受理したら設定完了です。
よくあるのが、招待状メール送信(⑥)で設定が完了したと思ってしまうケースです。「設定したつもり」にならないように、⑦の手順もしっかり案内しましょう。
参考:Google 広告アカウントへのアクセス権を管理する - Google 広告 ヘルプ
また、クライアントセンター(※)でも同様な手順で権限の付与が可能です。
しかし、クライアントセンター(以下、MCC) アカウントから一括で権限の付与をしてしまうと、そのMCC アカウントに紐付いているすべての広告アカウントに同等の権限でアクセス可能となってしまうため、クライアントに権限を付与する場合はMCC アカウントからではなく、広告アカウントごとに設定するのをおすすめします。
参考:Google 広告の MCC アカウントについて - Google 広告 ヘルプ
※クライアントセンターとは、複数のGoogle 広告アカウントをまとめて管理するツールです。
Yahoo!広告
ここでは、Yahoo!広告アカウントの閲覧権限(参照権限)を付与する手順をご紹介します。次の流れで設定していきます。
↓
2.利用者の権限を設定
※Yahoo!ビジネスマネージャーへの利用者の追加がすでに終わっている場合は「2.利用者の権限を設定」の手順からご覧ください。
1. Yahoo!ビジネスマネージャーに利用者を追加

① Yahoo!広告の管理画面を開き、上記タブ「権限管理」をクリック

② 画面右上の「Yahoo!ビジネスマネージャー(従業員一覧)」をクリックでツール管理メニューを開く

③ ツール管理メニュー画面右上の「+従業員新規登録」をクリック

④ 必須項目の「氏名」と「メールアドレス」を入力
※住所や電話番号は自動で入力されるため記入する必要はありません。

⑤ ツール権限で「ツール利用権限」を選択
⑥「確認」をクリック

⑦「登録」をクリックで、④で入力したメールアドレスに認証メールを送信
⑧ 認証メール内の認証用URLをクリックで表示されたページでYahoo!ビジネスマネージャー ログイン用のパスワードを設定し、「認証」ボタンをクリック
参考:権限管理機能でアカウントにユーザーを招待する流れ Yahoo! JAPANビジネスIDを作成する - Yahoo!広告ヘルプ
参考:ビジネスIDの認証について - Yahoo!ビジネスマネージャーのヘルプ
これでYahoo!ビジネスマネージャーへの利用者の追加ができました。次は、利用者に権限を設定する手順をご紹介します。
2.利用者の権限を設定
※マイクライアントセンター(MCC)アカウントのツール管理者権限所有者の広告管理画面で手順を解説します。以下同様です。

⑨ 広告管理画面を開き、上記タブの「権限管理」をクリック

⑩ サービスを選択 ※今回は「検索広告」を選びます。
⑪ 検索窓にアカウント名を入力してアカウントを検索
⑫ 該当のアカウントを選択

⑬「+アカウントに招待」をクリック

⑭ 権限を設定したいビジネスIDを入力
⑮「参照権限」を選択
⑯「招待メールを送信」をクリックで④で入力したメールアドレス宛てに招待メールを送信
⑰ 招待を「承諾」したら設定完了です。
参考:アカウントに招待する アカウントへの招待方法 - Yahoo!広告ヘルプ
また、マイクライアントセンターアカウント(以下、MCCアカウント)を利用して広告アカウントを管理している場合、MCCアカウントの権限管理機能(ツール管理者・ツール利用者)で招待できるユーザーの権限は、権限を与えたいビジネスIDが自社または他社のどちらで発行したかによって異なります。
たとえばクライアントのビジネスマネージャーで発行したビジネスIDへの管理者権限の付与を依頼されても、 代理店は招待する権限がないためできません。前述でご案内した権限付与の手順をご紹介するなどの対応をとりましょう。MCCアカウントの権限管理機能で招待可能なユーザーの権限は次のとおりです。

Facebook広告
ここでは次の2つのケースにおける、Facebook広告アカウントの閲覧権限(パフォーマンスを確認)を付与する方法をそれぞれご紹介します。
2.ビジネスマネージャにユーザー単位で権限を付与する方法(社内の人向け)
1.ビジネスマネージャに一括で権限を付与する方法(社外の人向け)
ビジネスマネージャに一括で権限を割り当てて、そのビジネスマネージャに紐付いているすべてのユーザーに同等の権限を与える方法です。広告アカウントへのアクセス権を社外の人に付与する場合はこの手順をご覧ください。
たとえば広告代理店所有の広告アカウントへのアクセス権をクライアントに付与する場合や、クライアント所有の広告アカウントの広告運用を広告代理店が行う場合などがこれに当たります。

① ビジネスマネージャ左上のビジネス設定をクリックで開いたプルダウン画面から「ビジネス設定」を選択

② 左メニューから「広告アカウント」を選択
③ 検索窓に広告アカウントID(または広告アカウント名)を入力して検索
④ 表示された広告アカウントを選択

⑤「パートナーを割り当て」をクリック

⑥「ビジネスID」をクリック

⑦ クライアントの「ビジネスID」を入力
⑧「パフォーマンスを確認」をオン
⑨「次へ」をクリックで設定完了です。
2.ユーザー単位で権限を付与する方法(社内の人向け)
自社で所有しているビジネスマネージャにユーザーを追加して、ユーザー単位で権限を割り当てる方法です。広告アカウントへのアクセス権を社内の人に付与する場合に適した方法です。上司や同僚など、社内のメンバーを追加する際はこちらの手順をご確認ください。
①~④までの手順は「①ビジネスマネージャに一括で権限を付与する方法」と同じです。

⑤ 「ユーザーを追加」をクリック
※左上、右上どちらのボタンでも同じです。

⑥ 権限を設定したいユーザーを選択
※ここで権限を付与したいユーザーが表示されない場合は、ビジネスマネージャにユーザーがそもそも追加されていない可能性があります。登録方法は以下をご参考ください。
参考:Facebook広告運用の必需品!ビジネスマネージャ導入ガイド 「ユーザー」の登録方法
⑦「パフォーマンスを確認」をオン
⑧「アクセス許可を設定」をクリックで設定完了です。
まとめ
広告アカウントへのアクセス権は、ユーザーごとにアクセス可能な範囲を割り当てることができる便利な機能です。一方で、各権限でアクセス可能な範囲を把握せずに権限を付与すると、クライアントとの思わぬ食い違いを起こすこともあります。そうならないためにも、各権限で利用可能な機能の把握とクライアントや上司のやりたいことをしっかりヒアリングしたうえで適切な権限を付与することが大切です。
また、権限付与の依頼がある度にその手順を調べていた広告運用者も今後は本記事で振り返ればスムーズな対応ができそうですね。
