テレビCMの効果を高める運用型広告(検索広告やYouTube 広告)5つの活用方法

テレビCMの効果を高める運用型広告(検索広告やYouTube 広告)5つの活用方法
この記事は最終更新日から約2年が経過しています。

広告主(インハウス運用であれば上司)からテレビCMを実施するタイミングで「運用型広告で何かできることが無いか?」と聞かれることがあります。テレビCMでリーチした方は、運用型広告でリーチできるスマートフォンの検索結果画面やYouTubeなどに接するケースも多く、効果的に活用ができると相乗効果を生み出すことができます。

今回は押さえておきたい5つのポイントをまとめます。



1. 事前に指名キーワードの検索結果画面を整えておく

テレビCMを目にしてもっと詳しく知りたいと思った方は、手元のスマートフォンで情報収集します。サービス名などの語句で検索結果画面にたどり着くことも多いでしょう。そのとき検索広告を利用し見せたいウェブサイトを最上部に表示させておくことで、テレビCM出稿の目標(売上など)達成に役立つコンテンツを確実に見ていただくことができます。

確実に自社サイトに来ていただけるよう検索広告の出稿を検討できないか?

スマートフォンから検索して最上部に表示されるコンテンツは、検索エンジンの自然検索結果ではなく、検索広告の広告枠が来ることも多いです。(検索語句によって異なります)そのとき競合他社が広告出稿していると、自社サービス名で検索した方が最初に目にするのが競合他社の広告になり、顧客が勘違いしたままクリックし購入してしまったり、競合他社独自の魅力をアピールされ直前で乗り換える気持ちになってしまったり、もったいないです。

自社で最上部に広告出稿することで、顧客に確実にサイト訪問いただけるよう道筋を整えることができます。テレビCMを出稿すると、テレビCMを見て検索くださる方が増える可能性があるので、改めて適切な検索結果画面になっているか見返してみることをおすすめします。

見せたいコンテンツを表示できているか?

テレビCMに合わせ、キャンペーンのランディングページや、定期や高単価などで収益が見込めるランディングページに来てほしいというケースもあるかと思います。そんなとき、検索広告を利用すると、リンク先のウェブページを、広告文・キーワード・タイミングともに柔軟にコントロールすることができ、見せたいコンテンツを届けることができます。

自然検索は、例えばGoogleユーザーの検索意図やGoogleのアルゴリズムで変動し、必ずしも自社の出したいコンテンツを上位に表示することはできません。またウェブページをアップロードしても、Googleのインデックスに反映されるのに時間差があることもあり、テレビCMに合わせたピンポイントな差し替えが難しいこともあります。またそもそも、指名キーワードから本来ECに来てほしいのに自然検索1位はコーポレートサイトになってしまっているケースもあります。見せたいコンテンツを表示できているか、は念のため確認しておけるといいでしょう。

事前に指定キーワードで広告掲載されているか確認する

テレビCMを見た方に限定したコンテンツを配信したい場合、「○○で検索」など特定の語句での検索を訴求することがあります。そのとき語句を指定し、検索広告でキーワード登録する必要があります。注意するポイントは3つです。

1:日常的に検索されない語句にする

検索広告がテレビCMを見ていない人にも広告が届くのを防ぐためです。

2:長すぎず覚えやすい語句にする

長すぎると検索してもらいづらくなります。

3:事前に検索し、キーワードが表示されることを確認しておく

検索ボリュームが少ない語句は、Google 広告にキーワードを登録しても「無効 検索ボリュームが少ない」(Yahoo!の場合は「検索数が少ないキーワード」)とアラートが出て、広告が表示されないことがあります。

広告管理画面のアラート例

Google 広告 公式ヘルプには以下のように記載されています。

「検索ボリュームが少ない」と表示されるキーワードは、Google での検索トラフィックが極めて少なく、ユーザーによる検索のほとんどとあまり関連性がありません。このため、これらのキーワードで広告が表示されないよう、一時的に非アクティブにされます。

停止されたキーワードの検索回数が少しでも増えると、再度アクティブになり、そのキーワードで広告が再び表示されるようになります。このステータスは定期的に確認され、更新されます。

引用元:検索ボリュームが少ない - Google 広告 ヘルプ

その場合、テレビCMの開始タイミングに合わせて表示できない可能性があるため、「他のキーワードに変更する(たとえば他のキーワードの部分一致で表示させる)」「検索数が増えるまで待つ」など調整が必要です。

そのため、事前に広告が正しく表示されているか必ず確認することをおすすめします。

2. 指名キーワードの表示回数をテレビCMなどの効果検証に活用する

テレビCMに合わせて、交通広告・デジタルサイネージ広告など様々な広告を実施することがありますが、ネックになるのは効果検証です。

行動喚起にどの媒体が有効だったのか、しっかりと調査し振り返る広告主もいますが、調査を実施していなかったり、調査結果を見ても結論が曖昧で特に洞察を得られないまま次に進むしか無いことも少なくないように思います。

そんなとき検索広告の指名キーワードの表示回数推移を参考の一つとするのはおすすめです。テレビCMを見て「もっと詳しく知りたい」「購買したい」など、さまざまな行動が喚起されますが、まずは検索して調べてみる人も多いと推測されるからです。

指名キーワードは多くの場合掲載枠1位にほとんど固定で出稿しています。そのため、表示回数≒検索ボリュームと考えてほとんど差し支えがありません。

検索動向を見る手段として「Google トレンド」もあります。数ヶ月から数年の検索動向の変化を掴むのに適しています。しかし、かならずしも検索ボリュームの推移を示しておらず、あくまで検索のトレンドしか把握できません。

指名キーワードの表示回数推移であれば、定量的な変化を把握する方法のひとつとして有効です。

特定の行動の喚起を計測するものではありませんし厳密なものでもありません。しかし手軽に調査可能ですし、「大きく増えていれば効果アリ」「そうじゃないなら効果ナシ」で施策ごとにはっきりと答えを出しやすいのもいいところだと思います。

3. キャストを運用型広告でも活用させてもらう

テレビCM出稿でキャスティングが伴うこともありますが、キャストの名前で検索されたり、キャストを利用した広告クリエイティブを出稿したりで、広告と連携し獲得機会を増やすことができます。

キャストの名前で検索広告を出稿する

テレビCMをご覧になった方は「キャストの名前 × カテゴリ」キーワードで検索することがあります。例えば「大谷翔平 マットレス」のように。社名・サービス名だけでなく、こちらも漏れなく登録できるといいでしょう。

ウェブサイト・広告クリエイティブに登場してもらう

キャストとの取り決め次第にはなりますが、ウェブサイト・広告クリエイティブへの掲載がセットでできると、より効果が見込めます。広告クリエイティブにて「○○さんも愛用」「テレビCM放送中」など含められると、人気を演出でき安心感につながることもあります。

4. YouTubeでの広告配信も検討する

予算が潤沢にある場合、10-30代にリーチしたいケースなどは予算ポートフォリオの一部にYouTubeを組み入れることで成果向上を狙えるかもしれません。テレビCMでしかリーチできない人、YouTubeでしかリーチできない人それぞれ相当数いると考えられるため、双方配信することでリーチを最大化することが可能です。

テレビCMでリーチできない層への補完が期待できる

10-30代に関してはテレビCMでリーチできない層が増えていますが、YouTubeはその層にリーチ可能です。特に10-30代がターゲットとなる場合、YouTubeの優先度は高いと考えられます。

「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」令和3年8月総務省情報通信政策研究所によると、10代・20代・30代は平日の行為者率(メディアを利用した人の比率)・行為者平均時間(メディアを利用した時間の平均)ともに、テレビ(リアルタイム)よりもネットの方が高くなっています。

【令和2年度】[平日]主なメディアの平均利用時間(全年代・年代別) 

【令和2年度】[休日]主なメディアの平均利用時間(全年代・年代別)

【令和2年度】[平日]主なメディアの行為者率・行為者平均時間(全年代・年代別)

【令和2年度】[休日]主なメディアの行為者率・行為者平均時間(全年代・年代別)

ネットのうち「動画投稿・共有サービスを見る」が男性だと全年代でトップの平均利用時間、女性だと「ソーシャルメディアを見る・書く」に次いでトップです。

【令和2年度】[平日]インターネットの利用項目別の平均利用時間 (全年代・年代別・男女別) 

【令和2年度】[休日]インターネットの利用項目別の平均利用時間 (全年代・年代別・男女別

ソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率だとYouTubeは10-40代で90%を超えており、LINEに次いでトップの利用率となっています。

【令和2年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)

「動画リーチキャンペーン」を活用する

Google 広告の「動画リーチキャンペーン」を利用すると、15秒以下(スキップ不可)の動画を配信でき、テレビCM用の動画をそのまま利用でき制作費用や工数をほとんど割くことなく実施することができます。

その他の動画広告フォーマット、スキップ可能なインストリーム広告(再生開始から5秒でユーザーが広告をスキップできる)、バンパー広告(6秒)などだと、最適な動画の構成が異なるため注意が必要です。

[※補足] YouTube広告ではターゲティング機能を活用できる

YouTube 広告の特長は、細かなターゲティングができることです。YouTubeはGoogleのメディアで、Google 広告で出稿可能です。YouTubeユーザーは基本的にはGoogleアカウントでログインしており、同アカウントの性別・年齢などの登録情報、直近検索したこと、興味のあるコンテンツなどさまざまなシグナルを参考にターゲティングがされます。

  • 性別、年齢などデモグラフィック情報でのターゲティング
  • チャンネルや、チャンネルのテーマなどでターゲティング
  • カスタムセグメントで、Googleで検索したキーワードを元にしたターゲティング

実施の際は、ターゲティングを設定することで成果向上が見込め、ターゲティングごとの成果も確認し振り返りし今後に活かすこともできます。テレビCMと合わせてYouTubeを配信ポートフォリオに組み入れる際は検討してみてもいいかもしれません。

[※補足] YouTube広告では「リーチプランナー」機能も活用できる

リーチプランナーとは、Google 広告の機能で、テレビCMと合わせてYouTube 広告を実施するときの予算配分の目安を確認でき、成果を高める参考になり、予算を説明する根拠にもなります。Google 広告アカウントがあれば無料で利用できるので、こちらも参考にしてみることをおすすめします。

詳しくは以下の記事もご覧になってください。

5. コンバージョン率の上昇を逃さず出稿を拡大する

テレビCMでリーチ済みの方にウェブ広告で再度リーチできるとコンバージョン率は高くなりやすくなります。ほか施策を通じ、すでに多くの方にリーチできており認知や空気感が醸成されてくると運用型広告が全体的にコンバージョン率が上昇し、これまでチャレンジして駄目だった施策で費用対効果が見合ったり、適切な予算が拡大したりすることも少なくありません。テレビCM実施後のコンバージョン率に注視して柔軟に拡大していけるといいのかなと思います。

 まとめ

以上多くの広告主に当てはまりそうな勘所やテクニック的な部分をまとめてみました。

とはいえ実際やるべきことはケースバイケースで、サービスや顧客ターゲットごとに異なります。肝心なのは、テレビCMを見た顧客の気持ちになって、カスタマージャーニーを追体験してみることだと思います。

  • テレビCMを見たあとどんな気持ちになって何をするんだろうか?
  • スマートフォンを開いてどの画面を見るんだろうか?

そうすると、おのずと運用型広告の役割も見えてくるはずです。

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