リーチプランナーとは?使い方から活用事例まで分かりやすく解説

リーチプランナーとは?使い方から活用事例まで分かりやすく解説

YouTubeなどで動画広告に取り組む際、こんな悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。

  • このリーチ数を目指すならいくら位の広告費が必要なの?
  • 年齢やターゲットを指定した場合にどのくらいリーチできるの?
  • テレビCMと合わせてTrueView動画広告を実施するときの予算配分をどうしよう。

Google 広告が提供している「リーチプランナー」を使うことであらかじめ広告配信に関する予測を立てることができます。

今回は「リーチプランナー」を使ってできることを、活用事例を含めて分かりやすく解説していきます。


リーチプランナーとは


ターゲットとなるオーディエンスを設定し広告費を入力するとどのくらいのユーザーにリーチできるかすぐに把握できます。その他に、予想されるフリークエンシーやCPM(広告表示回数1,000回あたりに掛かる費用)まで確認することが可能です。

また、テレビデータを追加することでYouTubeとテレビCMの出稿規模の比率を変えながら比較をすることもできます。


たとえば、予算のすべてをテレビCMで配信した場合は、設定したターゲットに対し62.0%にリーチできます。対して、テレビを70%・YouTubeを30%の比率で配信を行った場合は設定したターゲットの81.2%にリーチでき同じ予算だとしてもリーチできる割合は約20%増加します。このように、YouTubeとテレビCMの配信比率をどうするかでリーチ数が予測できるようになったためプランニングがしやすくなりました。

YouTubeとテレビを横断してプランニングする理由

GoogleがリーチプランナーにNielsenのテレビデータを追加することを発表したのは2019年11月ですが、デジタルシフトによるテレビ視聴者数の減少がありました。従来のテレビ視聴スタイルから、さまざまなデバイス、時間帯でオンライン動画にアクセスするようになりユーザー行動に変化がおきています。

Google Ads Blogでは、Nielsenが「放送やケーブルテレビで利用可能な18〜49のGRPは、2013年から2018年のわずか5年間で31%減少している」と発表したことに触れており、その減少を補いビジネスを拡大するためにYouTubeを動画プラン全体に組み込むことが必要と述べています。

参考:Balance your spend across YouTube and TV with Reach Planner - Google Ads Blog

※GRP:広告出稿回数ごとの視聴率を足した数値。

たとえば、視聴率10%の時間帯に4本、視聴率20%の時間帯に3本のCMを流した場合は、(10×4)+(20×3)で100GRPとなる。

テレビとYouTubeのクロスメディア施策の事例

実際にテレビとYouTubeのクロスメディア施策の事例がThink With Google で紹介されていますので一部抜粋してご紹介いたします。

キリンビバレッジ「FIRE」

企業名:キリンビバレッジ株式会社
商品名:缶コーヒー「FIRE」

過去のキャンペーンの実績から、テレビをあまり視聴しない層に対するリーチ拡大の必要性を感じており、テレビとYouTube の両方に出稿し、より効率的なリーチ獲得を目指しました。

これにより次のような成果を上げています。

  • テレビ単体でのリーチに加えて +10.3% の増加
  • 25~34 歳において購入意向が +5.5% の上昇
  • 広告想起率が +53.3% の上昇
  • ブランド関連キーワードの検索が +19.6% の増加

参考:テレビ と YouTube:リーチと効果を最大化するためのメディアプランニング - Think With Google

ユニ・チャーム「超快適マスク」

企業名:ユニ・チャーム株式会社
商品名:超快適マスク

テレビ広告と YouTube 動画広告を活用したクロスメディア施策を実施し、ブランドリフトとインクリメンタルリーチの両面で成果をあげた事例です。

※インクリメンタルリーチ:純増したリーチ。テレビ広告とYouTube広告を見た重複ユーザーは含まれない純粋に増えたリーチ数。

たとえば、YouTube広告を見たユーザーが20%いて、そのうちの10%がテレビ広告も見ている場合は純増した10%がインクリメンタルリーチとなります。

リーチを最大化するため、リーチプランナーを活用しシミュレーションを行い、テレビ広告と YouTube 動画広告の予算比率を決め、YouTube 動画広告に広告予算の約 3 割を投資しました。

キャンペーンの結果は以下の通りです。

  • リーチではテレビのみの場合、適切な視聴者に 50.13% のリーチだったのに対し、YouTube 動画広告と組み合わせることで、62.47% へとリーチを拡大。そのうち 12.34% が YouTube によるインクリメンタルリーチ。
  • 25 歳から 34 歳の女性層へのリーチ単価を見ると、YouTube の方がテレビよりも 39% 安価にリーチできた。
  • ティザー期における広告動画素材ごとのブランドリフト調査の結果では「超快適マスク」などのブランドキーワードの検索で 912.2% と高いブランドリフト効果が得られた。

参考:あの会社のクロスメディア広告は成功したの?──ユニ・チャーム、ピザハット、JR東日本の事例を「X-media Unique Reach Report 」で分析する - Think With Google

事例にもあるように、テレビとYouTubeの両メディアは補完関係にあります。テレビでリーチできない層にYouTubeを活用し、YouTubeでリーチできない層はテレビを活用してリーチの最大化を図ります。事前にその効果を把握するためにリーチプランナーを活用しプランニングしていくことで成果を出すための確率を上げることができそうです。

リーチプランナーの使用方法

最後に、リーチプランナーの使い方を解説していきます。

リーチプランナーの指標を理解しよう

まず、使い方の前にリーチプランナーの指標を理解しましょう。

リーチできるターゲット 指定のプランでリーチ可能と予測されるユーザーの数です。
平均フリークエンシー キャンペーン期間中に1人のユーザーに対し広告が表示される平均回数の予測値
合計CPM 指定のプランにおけるすべてのリーチに対する合計CPM(インプレッション単価)を示します。CPM は、(予測メディア費用)÷(予測インプレッション数)×1000 で算出されます。
TRPs(国勢調査) 指定のプランでリーチ可能と予測されるターゲット視聴率(TRP)の合計値です。TRP は、(リーチできるターゲットの割合)×(平均フリークエンシー)で算出されます。
国勢調査 このプランの目標を達成するために必要な(ターゲット)視聴率単価(CPP)です。CPP は、(費用総額)÷(ターゲット視聴率)で算出されます。
国勢調査人口 国勢調査データに基づくターゲット層とターゲット地域に該当するユーザーの総数です。TRPの指標には人口規模が使用され、プランでリーチ可能なユーザーの数には影響しません。
YouTube人口 平均 28 日の期間中に YouTube と Google 動画パートナー(GVP)サイトで広告がリーチできるターゲット オーディエンスの合計数です。

リーチプランナーの利用手順

次に、リーチプランナーの利用手順を解説します。


①ツールと設定 > リーチプランナーをクリック

つづいてメディアプランを作成します。

②認知度リーチを設定
③YouTube+テレビを選択
YouTubeのみの選択も可能ですが、今回はYouTube+テレビで作成していきます。
④地域を選択。
・中京、関西、関東
・関西
・関東
上記3つから選択可能です。
⑤ユーザー属性を入力
年齢と性別を入力。年齢は18~64歳の範囲で選択可能。⑥期間を設定


⑦テレビキャンペーンを設定します。

ここでは、サンプルキャンペーンか特定のキャンペーンのどちらかを選択します。
サンプルキャンペーンは、過去のキャンペーンをもとに期間や費用の平均値を出してサンプル値として参考にすることができます。特定のキャンペーンは、過去に企業が行ったテレビCMのデータを活用してシミュレートすることが可能です。


特定のキャンペーンを選択すると、これから行うキャンペーンに似ている内容を探し出し選択ができます。今回は飲料系のプロモーションを仮定して、アサヒ飲料さんの過去に実施したキャンペーンを選択してみます。


2020年4月に行われたGREEN CALPISのキャンペーンを選択しました。

キャンペーンを選択すると右下の赤枠のように実際の費用が割り出され、この費用に対してのシミュレーションが算出されます。


⑧YouTubeキャンペーンを選択します。
用意できるクリエイティブを選択することで、配信メニューも自動で構成されます。

⑨入力が全て完了したら予測を表示をクリック

予測結果がこのように表示されます。赤枠部分のプラン内容を調整することで、リーチ数が変動するのでどのくらいの割合だと一番リーチができるのかをすぐに確認することが可能です。


また、ページ下部の編集からYouTube広告で配信するターゲティングを細かく設定できます。


クリックすると以下のようにターゲティングの選択画面が、表示されますのでプルダウンを開き各設定を変更します。こちらを変更するとそのターゲティングに合わせた予測に更新されます。

以上がリーチプランナーの利用手順になります。

まとめ

上のグラフはYouTubeとテレビのTRP(ターゲットの延べ視聴率)を年代別にグラフしたものですが、このグラフからもわかるように配信するメディアによってリーチするユーザー層には大きく差がでます。メディアの特性とユーザーがどんな行動をしっかり把握した上でプランニングをしていくことでリーチプランナーの利用価値はさらに大きくなっていくはずです。

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