複数人のプロジェクトをスムーズに進めるために大切にしていること

複数人のプロジェクトをスムーズに進めるために大切にしていること

運用型広告の運用・コンサルでは、しばしば複数社・複数人が関わるプロジェクトに携わることがあります。

ベースとなる立ち回りは大きく変わることはないのですが、関わる会社・部署・人が多岐にわたることで、遅延や齟齬が生じてプロジェクトが難航することも。

今回は、時として30名以上が関わるプロジェクトを進めてきた筆者にとって、スムーズな進行のために、大切にしていることを綴ってみました。

登場人物の多いプロジェクトで困惑している方の一助になると幸いです。


その1:役割の明確化

まず、「誰が何を担当しているか」、「責任者は誰なのか」を明確にすることは大事です。

例えば会議の場で質問を投げかけるシーン。”名指しで話を振って即リアクションが得られる状態” を作っておくことで、会議の進行は格段にスムーズになります。

参加者のストレスや逡巡を極力なくし、円滑な進行ができるよう、立ち回りましょう。

その2:進行の迅速化

『船頭多くして船山に上る』ではないですが、関わる人間が増えるとプロジェクトの方向性が少しずつズレたり、スケジュールの大幅な遅延が往々にして起こります。

特にスケジュールの遅延は商戦期を逃すことにも繋がり、これが頻繁に起こってしまうと、中長期で見た際にビジネスの成長にとって致命傷になりかねません。

これを防ぐためにできることとして、自分のもとにボールを持ち続けないこと。こちらがボトルネックになって全体進行が遅れることだけは避けねばなりません。

広告文の確認なり、バナーや動画の発注なり、極力手元で止める時間を短くし、他の人が迅速に担当工程へ進めるよう対応しましょう。

そして、依頼の文面はシンプルかつ明確に。YesかNoか、確認が必要かそうでないのか、すぐ分かるものに。

筆者が使う小技として、返事が必要な案件の宛名書きは一人を名指しして送り、返事が必要ない・ざっと確認だけでokな案件は宛名書きを不特定多数にして送ったりしています。

返事が必要なものを連名にすると、誰が確認して返事をするのかの忖度が発生するため、名指しの方が対応の臨場感とスピードは上がります。逆に返事が必要ないものを名指しで送ると、返事の強要になりかねないため「みなさま」や「To:ALL」などに留めておくと、返信の義務感を軽減できたりもします。

その3:情報の可視化

複数のTODOが同時並行で進んでいると、あのTODOっていつまでにやればいいんだっけ…まぁまだ間に合うか、などの「何となくいけるだろ感」が各所で多発し、絶対に間に合わなくなります。

筆者は、TODO進捗をスプレッドシートで一覧化・可視化し、全員がいつでも最新情報にアクセスできるよう共有しています。

スプレッドシート サンプル

TODOの性質によっても項目は変わりますが、開始日と終了日、素材や入稿の〆日に加え、それぞれのボールのありか、終わったものとそうでないものが一目でわかる状態にしておけるといいですね。

進捗表があれば、いつまでに何を揃えていないといけない、今誰がボールをもっていて何待ちだという共通認識をもって全員が動ける上、人によって納期の認識が異なることが避けられるため、格段にスケジュール通りに進みやすくなります。

大事なのは、納期が過ぎてから確認を行うのではなく、納期前に確認すること。納期が過ぎてから「あれどうなってます…?」と聞いても、スケジュールはどんどん遅れていくばかり。納期の締めの少し前にマイルストーンを置いてリマインドを入れることで、全体進行をサポートしましょう。

コツとして、本当の納期の少しだけ前に納期を設定して、バッファをもうけておくのも、遅延やトラブル時にリカバリーできてお勧めです。あとは何より、全体的に余裕をもったスケジュール設定ですね。

なお、「そろそろスケジュール的にマズイので早くください!」というあいまいな発言は、人によって時間の捉え方が異なり、場合によってはムッとさせてしまうことにもなるためお勧めできません。誰にとっても平等で共通な捉え方ができる”日時”を指定することで、コミュニケーションのすれ違いを防ぐことができます。

その4:言語の標準化

最後は、言語の標準化です。プロジェクトの現場では、いろいろな略語や俗称が飛び交うことは珍しくありません。

文化も認識も経験も違う複数社が入り乱れると、時にその会社独自の言葉でプロジェクトが進んでいき、認識のズレや理解の遅れが生じることもしばしばです。

そんなときのコンサルの役割としては、なるべく略語を使わない、ググれば全員が理解できる言葉に翻訳してあげるとよいでしょう。例えば以下のようなケース。

コンサルが略語から正式名称に言い換え、アクセス解析ツールであることを補完することで、最近プロジェクトに入ったCさんも、その後の話に抵抗なくついていくことができました。

独自用語が飛び交っている現場では、あいまいな言葉の定義のすり合わせは超重要。あとで調べればいいやと思っても、独自用語のため、検索しても出てこないケース、結構多いです。また、例えば同じ「リード数」という言葉でも、A社は「見込顧客の獲得数」、B社は「リーチした顧客の数」など、認識が異なることもあるので、これも確認確認確認です。

あとは資料が独り歩きしてしまった際、認識の齟齬を生ませないために、資料内に独自用語とその意味をまとめておく一覧表をつけておくのも効果的です。

まとめ|相手の立場に立って考えよう

プロである以上、コンサルに専門技術や知識は絶対に必要です。

ただ、専門的なスキルが優れていても、クライアントを困らせたり、信頼されないと、「ただただめんどくさい人」になってしまい、そこに価値は起こりえません。

登場人物の多いプロジェクトをスムーズに進め、信頼されるためには、複雑に入り組んだ対人関係を紐解き、納期までにベストな状態でスタートできるかどうかにかかっています。広告主と制作会社などの会話が噛み合っていないときには、必殺技「横から失礼します。補足させていただくと~」もバンバン使っていきましょう。

内容がまとまらない議論も、多いですよね。そんなとき、「それってこういうことですよね」「それならこういう案はどうですか」「実行するためには、まずこれ、次にこれ、その後にこれが必要ですね」などと翻訳・分解し、全員の認識を合わせることで、プロジェクトが明確になり、スムーズに動き出す場面は本当に多いです。

そのために一番大事なのが相手の立場に立って考えること、ここが、コンサルの仕事の醍醐味だと思います。

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