Microsoft広告の「広告カスタマイザ」の使い方|できることや設定方法を解説

Microsoft広告の「広告カスタマイザ」の使い方|できることや設定方法を解説

広告運用において、ユーザーの検索意図や状況に応じた訴求ができると成果の向上に繋がります。しかし、様々な検索キーワードやユーザーの状況に合わせて手動で広告を調整していくことには限界がありますよね。

Microsoft広告の広告カスタマイザは、ユーザーの検索語句や場所、時間などに合わせて、広告見出しや広告の説明文などのテキストを動的に変更することができる機能です。この機能を活用することで、よりユーザーの検索意図や状況に合った広告訴求を届けることができます。

この記事では、これからMicrosoft広告で広告カスタマイザを利用したい方向けに設定方法や、Microsoft広告の広告カスタマイザの特徴などをご紹介していきます。


広告カスタマイザとは

広告カスタマイザを活用すると、特定の条件に応じて広告文を自動的に調整できます。主に以下の3つのカスタマイズが可能です。

  • キーワードに応じて広告文をカスタマイズ
  • 地域に応じて広告文をカスタマイズ
  • ユーザーが検索する時間に応じて広告文をカスタマイズ

たとえば、広告カスタマイザを設定すると、図のように検索キーワードに合わせた広告文の出し分けが可能です。

広告カスタマイザが適しているケース

広告カスタマイザは、期間限定セール在庫の変動が頻繁にあるサービス地域ごとの情報が重要なサービスに特に適しています。

1. 期間限定セールや在庫変動がある場合

セールや在庫状況の変化に応じて広告文を頻繁に更新するのは大きな負担になります。広告カスタマイザを活用すれば、最新情報に自動で対応できるため、手作業による更新の手間を省くことができます。

2. 地域ごとに情報が異なる場合

エリアごとに異なる情報を提供する必要がある場合も、広告カスタマイザが有効です。
例えば、**「東京では2月22日開催」「大阪では2月23日開催」**といった全国各地で異なる日程のイベントを実施する際に、地域や日付に応じた広告文を自動的に出し分けることができます。

このように、手動での変更作業を最小限に抑えながら、より適切な広告配信が可能になります。

検索広告以外でも活用できる

Microsoft広告の広告カスタマイザは、レスポンシブ検索広告はもちろんマルチメディア広告でも活用ができます。

マルチメディア広告とは、検索ウィンドウの右側に表示される、画像や見出し、説明文、ロゴを組み合わせた広告です。画像とテキストが表示されるため視認性の高い広告であることが特徴です。

広告カスタマイザを活用することでユーザーの検索状況を反映した広告文が出せるため、さらに効果的な広告表示が可能となります。

では、続いて広告カスタマイザの設定に必要なものを確認していきましょう。

広告カスタマイザの設定手順

では、さっそく設定の手順をご紹介していきます。まずは設定に必要な2つの要素を確認しれいきます。

広告カスタマイザの設定に必要なもの

広告カスタマイザを設定するためには、以下の2つが必要です。

  • 広告カスタマイザ フィード
  • 広告カスタマイザを挿入する広告文の登録

フィードとは

フィードは、いわゆるデータフィードと呼ばれる特定のルールに則って整理・構造化されたデータ群のことです。

フィードを広告文へ設定することで、作成したフィードのルールに応じて広告文が動的に掲載されるようになります。

画像引用元:Google広告の「広告カスタマイザ」の使い方|できることや設定方法を解説 - アナグラムブログ データフィードとは

広告カスタマイザフィードは、「どのような状況のターゲットに、どの情報を広告に挿入するか」を「属性」としてスプレッドシートに記載します。

具体的には以下の3つの属性が必要です。

  1. カスタム属性:広告に挿入したい情報を指定
  2. ターゲティング属性:広告カスタマイザを適用するターゲットキーワードや地域を指定
  3. 標準属性:広告カスタマイザを適用するデバイスや日時などのスケジュールを指定
カスタム属性

カスタム属性では、広告にどのような内容を表示するか指定します。カスタム属性は文字通り任意の属性を指定できますが、広告文に反映させる値は各属性のデータ型の仕様に沿ったものである必要があります。

種類列ヘッダーの形式指定可能な値
テキスト商品名、商品カテゴリー、説明名前 (text) (例: "Shoes (text)")任意の文字、数字、記号
数字在庫数、選択可能な色の数名前 (number) (例: "Colors (number)")任意の整数
Price商品コスト、売上割引名前 (price) (例: "Base_Price (price)")任意の数字 (小数を含む) と有効な通貨記号
日付イベントの開始時、セールの最終日名前 (date) (例: "Sale_Date (date)")yyyy/mm/dd hh:mm:ss (24 時間制、hh:mm:ss は任意)

参考:広告カスタマイザ フィードについて - Microsoft広告 ヘルプ

ターゲティング属性

ターゲティング属性は、広告カスタマイザを適用するターゲットキーワードや地域の情報を入力します。それぞれのターゲット属性を組み合わせて、この「〇〇の地域で〇〇というキーワードで検索する人」など、より細かくターゲット属性を設定することも可能です。

種類列ヘッダーの形式指定可能な値
ターゲットキーワードTarget keywordキーワードと希望のマッチングの種類の構文:
・部分一致: キーワード
・フレーズ一致: "キーワード"
・完全一致: [キーワード]
この属性または [ Target keyword text] (ターゲット キーワード テキスト) と [ Target keyword match type] (ターゲット キーワード マッチングの種類) 属性の組み合わせを使用して、キーワードをターゲットとすることができます。
ターゲット キーワード テキストTarget keyword textターゲットとするキーワード (マッチングの種類の構文 なし)。この属性は [ Target keyword match type] (ターゲット キーワード マッチングの種類) 属性との組み合わせでのみ使用できます。
ターゲット キーワード マッチングの種類Target keyword match type「 Broad」、「 Phrase」、または「 Exact」この属性は [ Target keyword text] (ターゲット キーワード テキスト) 属性との組み合わせでのみ使用できます。
ターゲット広告グループTarget ad group既存の広告グループ名広告グループでターゲティングするには、[ Target ad group] (ターゲット広告グループ) と [ Target campaign] (ターゲット キャンペーン) の両方の属性を使用する必要があります。
ターゲット キャンペーンTarget campaign既存のキャンペーン名
ターゲット地域Target location地名 (英語のみ)地名は以下の形式で入力できます:
・Miami, FL
・Miami,Florida,United States
・Miami | Florida | United States
ある地域に 物理的に所在するユーザーのみをターゲットとするには、[ ターゲット地域制限] 属性も使用する必要があります。
ターゲット地域 IDTarget location ID数字の Microsoft Advertising地域コード地域コード ファイルのダウンロード方法
・この属性を使用する場合は、[ Target location] (ターゲット地域) 属性は使用しないでください。
・ある地域に 物理的に所在するユーザーのみをターゲットとするには、[ ターゲット地域制限] 属性も使用する必要があります。
ターゲット地域制限Target location restriction「 Physical location」または空この属性は [ ターゲット地域] 属性または [ ターゲット地域 ID] 属性との組み合わせでのみ使用できます。
ターゲットオーディエンス IDTarget audience ID既存の Microsoft Advertisingオーディエンス ID ( Microsoft Advertisingでサポートされている任意のオーディエンス タイプに対応)・オーディエンス ID は、[ Shared Library] (共有ライブラリ)  > [ オーディエンス] で確認できます。
使用可能な購買意向の強いセグメントのリストについては、こちらをご覧ください

参考:広告カスタマイザ フィードについて - Microsoft広告ヘルプ

標準属性

標準属性では、広告カスタマイザを適用するデバイスや日時など詳細なターゲティングを指定できます。

種類列ヘッダーの形式指定可能な値注意
デバイス設定Device preference「 mobile」または「 all」
スケジュールScheduling「[曜日] - [曜日]」または「[曜日], [開始時刻] - [終了時刻]」
曜日 =「 Monday」、「 Tuesday」、「 Wednesday」、「 Thursday」、「 Friday」、「 Saturday」、「 Sunday」
開始/終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss (24 時間)
たとえば、月曜日の午前 9 時:00 から午後 5 時:00 までのスケジュールを設定する場合は、「 Monday, 09:00:00 - 17:00:00」と入力します。
複数の日をスケジュールする場合は、セミコロンで日を区切ります。たとえば、「 Monday, 09:00:00 - 17:00:00; Tuesday, 09:00:00 - 17:00:00」 を使用して月曜日と火曜日の両方のスケジュールを設定できます。
開始時刻/終了時刻の場合は、hh:mm:ss 部分を省略して、時刻を 1 日の始まりの午前 0 時として設定できます。
Start date (開始日)Start dateyyyy/mm/dd hh:mm:ss (24 時間制)hh:mm:ss 部分を省略して、開始時刻を午前 00:00:00 に設定できます。
終了日End dateyyyy/mm/dd hh:mm:ss (24 時間制)hh:mm:ss 部分を省略して、終了時刻を午前 00:00:00 に設定できます。
カスタム IDCustom ID文字と数字の任意の組み合わせフィード項目の独自の識別 ID を作成するには、この属性を使用します。使用する場合、フィード項目には、カスタム ID と項目 ID ( Microsoft Advertising によって自動的に割り当てられます) の 2 つの ID があります。

参考:広告カスタマイザ フィードについて - Microsoft広告ヘルプ

広告カスタマイザの2つの設定方法

広告カスタマイザの設定は、2つの方法があります。

  1. 広告カスタマイザフィードを使用して設定
  2. 広告管理画面で直接広告カスタマイザを設定
設定方法メリットデメリット
広告カスタマイザフィードを使用・カスタマイザが多い場合やカスタム属性の種類が多い場合に、フィードを一括アップロード可能
・更新時にフィードを変更してアップロードするだけで完了
・Google広告で活用している場合、Microsoft広告でも同様に活用可能で時間短縮
・フィードを作成する手間がかかる
・フィードの管理が必要
・少数のカスタマイザ設定では手間が増える可能性がある
広告管理画面で直接設定・フィード作成の手間が省ける・カスタマイザの設定数が少ない場合、管理画面での設定の方が時間短縮になる・設定するカスタマイザが多い場合、管理画面での手動設定は非効率
・更新作業が手動で行う必要があるため、管理負担が増す

基本的には対象とする広告の数が多かったり、属性が複雑だったりする場合にはフィードの利用をおすすめします。ひとつの広告だけに簡単な属性を適用させるだけであれば、かならずしもフィードを利用する必要はありません。

ではいよいよそれぞれの設定方法を見ていきましょう。

1. 広告カスタマイザフィードを使用して設定

はじめに、広告カスタマイザフィードを使用した設定方法を見ていきましょう。ここからは、例として全国の主要都市でイベントを開催しているサイトの広告カスタマイザ設定を想定して、設定方法を解説します。

広告カスタマイザフィードのテンプレートをダウンロード

まずは、広告管理画面から広告カスタマイザフィードを作成するためのテンプレートをダウンロードしましょう。

広告管理画面、左側ツールバーにある「ビジネスデータ」から、「広告カスタマイザーの属性」をクリック。

「アップロード」をクリックすると、「サンプルファイル」が表示されるのでダウンロードします。

広告カスタマイザフィードの作成

ダウンロードしたテンプレートに広告カスタマイザフィードを作成します。

①は「広告カスタマイザーの属性」を記載する欄です。

  • Attribute:記載は任意。カスタム属性の名前をつけます。例:イベント
  • Data type:カスタム属性を記載する欄です。テキスト、数字、Price、日付の4種類から選択します。例:Text
  • Account value:記載は任意。キーワード・広告グループ・キャンペーンにも値が設定されていない場合にこのアカウント値が反映されます。例:イベント開催(無料)

②は「ターゲット属性」を入力します。どのキャンペーン・広告グループで、広告カスタマイザー属性を広告に表示するかを設定しましょう。

  • Campaign:広告カスタマイザを設定したいキャンペーン名を記載 例:イベント_北海道…など 
  • Ad group:広告カスタマイザを設定したい広告グループ名を記載 例:北海道
  • Keyword:広告カスタマイザを設定したいキーワードを記載
  • Customizer:〇〇(Name、Count、Discount、Cost)変更後の値を必要に応じてそれぞれ 例:イベント 4/25札幌ドーム開催

たとえば、イベントの開催情報を広告に入れたい場合、上記のように広告カスタマイザフィードを設定します。

フィードをアップロードし確認

広告カスタマイザ フィードの記入が完了したら、広告管理画面にアップロードをしていきます。

広告管理画面の「広告カスタマイザーの属性」から「参照」をクリック。

アップロードするファイルを選択します。

フィードをアップロード後にエラーが出る場合がありますので、「結果ファイルのダウンロード」からエラー理由を確認します。確認して問題ない場合は、「変更を適用」をクリック。

変更を適用後、広告管理画面に広告カスタマイザフィードで作成した広告カスタマイザーの属性の情報が確認できます。

なお、ターゲット属性の情報も広告管理画面に反映されていますが、この画面では確認できません。

ターゲット属性の確認方法は下記の手順です。

ターゲット属性を確認したい階層(キャンペーン・広告グループ・キーワード)を選択。今回は地域ごとのイベント会場に合わせて広告文を変えたいので広告グループで確認します。

「列」から「列の変更」をクリックします。

広告グループにイベント(テキスト)の列が追加されます。そして、フィードで設定した情報が確認できます。

広告グループにイベント(テキスト)が反映できていることが確認できました。

2. 広告管理画面から直接広告カスタマイザを設定

広告カスタマイザーフィードを利用せず、広告管理画面から直接広告カスタマイザを設定する方法をご紹介します。

まずは、広告カスタマイザ属性の設定から行っていきます。

広告管理画面のビジネスデータから広告カスタマイザー属性を選択。「属性の追加」から属性/データの種類/アカウント値を記載し「保存」をクリックすると設定ができます。

次にターゲット属性の設定です。

広告カスタマイザを設定したい階層(キャンペーン・広告グループ・キーワード)を選択。今回は地域ごとのイベント会場に合わせて広告文を変えたいので広告グループ単位で設定します。

「列」から「列の変更」をクリックします。

列の変更で、「広告カスタマイザの属性」から「イベント(テキスト)」を追加し「適用する」をクリックします。

広告カスタマイザの列「イベント(テキスト)」が表示されます。

カスタム値に広告グループごとに設定したい情報を記載していきます。

今回の設定では「カスタム値を使用する」に「6/8日産スタジアム開催」を記載します。

広告カスタマイマイザを挿入する広告文を設定

ここからは、設定したフィードの情報を挿入するための広告を登録します。広告にはフィードの情報を呼び出すための「構文」と呼ばれる形式を記述し広告を作成していきます。

「広告と表示オプション」をクリック

広告カスタマイザを挿入したい広告見出し・説明文に半角で { を入力すると、選択肢が表示されるので「広告カスタマイザ」を選択します。

属性で、反映させたい広告カスタマイザを選択。

既定のテキストには、設定した内容で表示ができなかった場合に表示される広告文を記載します。

既定のテキストが表示されるケース

  • 設定した広告見出しや説明文の文字数がオーバーしている
  • 広告カスタマイザフィードに値の設定がなく情報を反映できない

上記で設定した場合の構文です。

{CUSTOMIZER.イベント:全国でイベント開催中}

カスタマイザの設定後は、ほかの広告見出し・説明文などを作成して「保存」をクリックすると設定が完了します。

Google広告からインポートも可能

Google広告で広告カスタマイザを活用している場合、Google広告で設定した広告カスタマイザフィードをMicrosoft広告にインポートすることができます。

Google広告からインポートできるのは「設定している広告カスタマイザ属性」のみです。

広告カスタマイザを挿入する広告文はインポートできないため、インポート後に追加する必要があります。

Google広告からのインポート方法は下記ブログでご確認ください。

なお、Google広告の広告カスタマイザや、Yahoo!広告のアドカスタマイザーの使い方については以下の記事を参考にしてください。

まとめ

Microsoft広告の広告カスタマイザは、広告文を動的に変更することで、ターゲットに合わせた最適な広告配信を実現できる機能です。フィードの活用や広告管理画面からの直接設定により、手作業による広告更新の負担を軽減し、運用の効率化が可能になります。

この機能を活用することで、頻繁な情報更新が必要なセールや在庫変動のある商材、地域ごとに異なる情報を提供するサービスにおいて、手動での広告調整を最小限に抑えることができます。また、Google広告で使用している広告カスタマイザフィードをそのままインポートできるため、複数のプラットフォームでの一貫した運用が可能です。

設定はシンプルでありながら高い柔軟性を持ち、広告の効果を最大化できる機能です。Microsoft広告を活用する際は、ぜひ広告カスタマイザを取り入れ、より効果的な広告運用を実現していきましょう。

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