※2020年8月4日:最新の情報をもとに更新
Google 広告の「自動化ルール」は、指定した設定と条件に応じて、広告ステータスや予算、入札単価などアカウントに対する変更を自動化できる機能です。適切に活用することで、日々の作業時間を短縮したり、手動では処理しきれない細かな調整が可能となります。一方で設定の自由度が高いため、どのようなルールを設定すれば分からず、うまく活用ができていないという方も多いのではないかと思います。
そこで今回は自動化ルールの仕組みや設定方法、具体的な活用例をご紹介します。
目次
自動化ルールでできること
Google 広告の自動化ルールで設定できるアクションは以下の通りです。
キャンペーン
- 1日の予算を変更する
- キャンペーンを一時停止する
- キャンペーンを有効にする
- メールを送信する
広告グループ
- 広告グループのデフォルトの入札単価を変更する
- 広告グループを一時停止にする
- 広告グループを有効にする
- メールを送信する
広告文
- 広告を一時停止にする
- 広告を有効にする
- メールを送信する
キーワード
- 上限クリック単価を変更する
- 入札単価をページ上部表示の推定入札単価に引き上げる
- 入札単価をFirst Page CPCまで引き上げる
- キーワードを一時停止にする
- キーワードを有効にする
- メールを送信する
ディスプレイ ネットワークのキーワード
- 上限クリック単価を変更する
- ディスプレイ ネットワークのキーワードを一時停止にする
- ディスプレイ ネットワークのキーワードを有効にする
プレースメント
- 上限クリック単価を変更する
- 上限インプレッション単価を変更する
- 入札単価調整比を変更する
- プレースメントを一時停止にする
- プレースメントを有効にする
- メールを送信する
トピック
- 上限クリック単価を変更する
- 上限インプレッション単価を変更する
- 入札単価調整比を変更する
- トピックを一時停止にする
- トピックを有効にする
- メールを送信する
オーディエンス(インタレストやリマーケティングリスト)やユーザー属性(年齢、性別、子供の有無、収入)
- 上限クリック単価を変更する
- 上限インプレッション単価を変更する
- 入札単価調整比を変更する
- ユーザーリストやユーザー属性を一時停止にする
- ユーザーリストやユーザー属性を有効にする
- メールを送信する
これらのアクションを「どれくらいの頻度で実行するか」「どのような条件で実行するか」を設定し、特定の変更作業を自動化することができます。また、操作対象に対して複数の自動化ルールを設定することも可能です。
自動化ルールの設定方法
設定のはじめ方は次の2つの方法があります。
ひとつ目は、「ツールと設定」から「ルール」を選択する方法です。
もうひとつが自動化ルールの設定対象とする項目をチェックボックスで選択し、「編集」項目から「自動化ルールを作成」をクリックする方法です。
どちらもできることや設定方法は変わりませんので、操作上で都合のよい方から設定しましょう。
ルール作成画面を表示したら、以下手順で実際にルールを作成していきます。
追加ボタン(+)をクリックし、自動化ルールを設定したい対象を選択します。
次に設定対象を選択し、適用するルールを設定します。
以下の表では、自動化ルールのそれぞれの設定項目について説明します。
項目 | 説明 |
名前 | 任意でルールの名前を指定します。 |
アクション | プルダウンからアクションを選択します。(例:キーワードを有効にする/キーワードの入札単価を変更する) |
適用 | プルダウンから「アカウント」「キャンペーン」「広告グループ」など、反映したい対象を選択します。 |
条件 | 自動化ルールを適用する具体的な条件です。管理画面上で観測できる様々な指標を活用できます。また複数の項目をor条件で設定することも可能です。 |
頻度 | プルダウンから「1回」「日別」「週別」「月別」のいずれかを選択し、対象とした日付や曜日、時間を設定します。 |
データの使用期間 | 条件を参照する期間を選択します。(同日/前日/今週/前週/過去7日/過去14日/当月/前月/過去30日/過去60日/過去90日/全期間) |
結果をメールで通知 | 登録したメールアドレスにルールの適用結果を送信するかを選択します。 |
プレビュー | 設定内容がどの項目に適用されるかを事前に確認できます。 |
ルールを保存 | 作成したルールを保存します。保存後も編集や削除は可能です。 |
自動化ルールの活用例
前述のとおり、自動化ルールでは設定できる項目が無数にあります。ここでは代表的な活用事例をご紹介します。
指定の期間に限定して広告を開始・停止する
たとえば、セール期間中のみ専用の広告を配信したい場合、以下手順で設定が可能です。
2020年8月1日 8:00 に該当の広告を有効にするよう設定します。
次に、2020年8月15日 18:00 に該当の広告が停止されるよう設定します。
なお、上記の例では条件を「広告文に"セール開催中"の文字列を含む場合」としていますが、他にもラベルを広告文に付与し適用の条件とする方法でも設定可能です。
特定の時間帯や期間に限定して広告文を出し分ける
たとえば、「18時までの注文は当日発送可能!」という広告文を0時~18時までの時間帯だけ表示したい場合、下記のようなルールを広告文に設定することで実現できます。
- 0時に「18時までの注文は当日発送可能!」という見出しの広告文を有効にする
- 18時に「18時までの注文は当日発送可能!」という見出しの広告文を一時停止にする
- 18時に通常の広告文を有効にする
- 24時(翌日の0時)に通常の広告文を一時停止にする
個別の設定方法は前述した「指定の時間に広告を開始・停止する」と概ね同様なのでそちらを参照してください。注意点として、自動化ルールの頻度を「日別」「週別」など、サービスの対象期間に合わせて設定しましょう。
予算によるインプレッションシェア損失が発生しているキャンペーンの予算を引き上げる
日々の運用で意外と見落としがちなのが、キャンペーン予算によるインプレッションシェアの損失です。予算やCPAは適正な範囲でコンバージョンを獲得できているにも関わらず、配信が抑制され機会損失が発生してしまう恐れがあります。
それを防ぐための自動化ルールの設定例が以下の通りです。
過去30日のCPAが5,000円未満かつキャンペーン予算によるページ上部インプレッションシェア損失が0%よりも高い場合に、キャンペーン予算を20%上げる
CPAやROAS、インプレッションシェアに応じて入札単価を変更する
現在ではコンバージョン最適化の自動入札(目標獲得単価やコンバージョン数の最大化など)を活用し、キーワードごとの入札調整は行っていないアカウントも多いと思います。しかし、広告予算が少なく自動入札の学習に必要なデータを蓄積できない場合など、個別クリック単価や拡張クリック単価の入札方式を採用しているケースもあるでしょう。
以下は、一定の条件でキーワードの入札単価を変更する自動化ルールを設定し、入札調整の手間を削減するための設定例です。
インプレッションシェアに応じて入札単価を変更する
指名キーワードをはじめ、特定のキーワードでインプレッションシェアを維持したいという場合に、インプレッションシェアをある程度自動化ルールで維持するための設定例です。
前日の最上部インプレッションシェアが70%を下回った場合に入札単価を10%上げる
キーワードの入札単価をページ上部表示の推定入札単価に引き上げる
注意点として、目指すインプレッションシェアに届かない限りは入札単価が上がり続けるため、クリック単価が高騰してしまう可能性があります。そうした場合に備え、必要に応じて上限の入札単価を設定しましょう。
自動化ルールを使用する際の注意点
自動化ルールは便利ではありますが、使い方次第では意図しない結果も引き起こします。使用する際には次の点にも注意しておきましょう。
複雑すぎる設定は避ける
自動化ルールでは多様な条件を設定したり、1つの項目に複数のルールを適用することができます。しかしあまりに複雑なルールを設定すると、運用者自身が内容を把握しきれず、想定していない変更がなされてしまう恐れもあります。
- 分かりやすいシンプルな条件設定にする
- 1つの項目に同時に複数のルールを適用しない
このように、管理できる範囲での設定を心がけましょう。
ルールに任せきりにしない
特に、毎日適用するルールを設定した場合は、目指す条件を満たさない限り変更がされ続けます。そのため「気づいたら入札単価が許容できない水準まで上がってしまった…」といったケースも考えられます。ルールを設定して終わりではなく、必ず自分の目でも設定内容や設定後の成果を確認しましょう。
他の方法も検討する
あたりまえですが、自動化ルールは設定した内容以上のことはできません。入札の細かな設定を自動化ルールで賄っている場合には、よりきめ細やかな入札調整の可能な自動入札の導入も検討するべきです。他にも広告テキストの変更などは広告カスタマイザを使ったほうが効率的なケースもあります。
参考:Google 広告の「広告カスタマイザ」の使い方|できることや設定方法を解説
さまざまな方法を比較した上での導入をおすすめします。
最後に
自動化ルールを活用し、ルーティン化できる作業の時間を削減することで、空いた時間を広告文の作成や分析など、より頭を使う作業に時間に割り当てることで、さらにアカウントを改善できるはずです。
しかし、自動化ルールは良くも悪くも指示通りの設定以上の働きはできないため、盲目的に頼り過ぎることは危険です。まずはスケジュールに応じた広告文のオン・オフなど、機械的な作業かつ人の手だと抜け漏れが発生するようなタスクで活用してみましょう。