バナーやSNS投稿用の画像を自分で作ってみたものの、「コピーが目立たない」「文字のデザインがなんだかしっくりこない」といった課題に直面したことはありませんか?
一部を目立たせたつもりでも、他の情報と差があまりついておらず、どこに注目すればよいのかわからないデザインになってしまうことも少なくありません。
そこで今回は、デザイン初心者でもバナーやSNS投稿画像が簡単に作れるツール「Canva(キャンバ)」を使って、情報をわかりやすく伝える文字の加工方法を紹介します。実用的なフォントや色の選び方も解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
※本記事は「伝わるデザインにするために文字を強調する6つの方法」の続編になります。実践に入る前に、文字を目立たせるためにどんなポイントがあるのか知りたい方は、こちらの記事からお読みください。
Canva(キャンバ)とは
Canvaは、PCとスマホアプリで利用できるグラフィックデザインツールです。
豊富なテンプレートや装飾素材を内蔵しており、作成したデザインは商用利用が可能&クレジット表記も不要なので、ビジネスシーンでも使いやすくなっています。有料版にアップグレードすると使えるフォントや機能が増えるので、気になる方は有料版も検討してみてください。
文字加工の流れ
バナーの作成を例に、文字の加工についてステップ形式でご紹介します。
今回は百貨店のお中元特集のバナーを想定しました。必要な情報を入力しただけの状態がこちらです。
ここから以下のようなバナー例ができあがるまでの、重要なポイントを作成の流れに沿って紹介します。
STEP1:サイズ
まずはどの情報を目立たせるか、優先順位を決めます。
とくに注目してもらいたい情報は大きくし、優先度が低いものは小さく調整しましょう。
今回は、「お中元特集」「50%OFF」を優先度の高い情報として進めます。
目立たせたいテキストのフォントサイズは、他のテキストより1.5~2倍以上に大きくすると差がわかりやすくなります。
今回のテキストサイズでいうと、目立たせたい「お中元特集」は90px、「50」は128pxとなっており、その他のテキストの35pxと比べると2倍以上になっています。大きさの目安にしてください。
STEP2:フォント
続いてフォントの変更をします。
現在はCanva内に内蔵されている無料フォント「Noto Sans JP」というフォントで、ウェイト(文字の太さ)は「Regular」を使用しています。
無料プランでも十分フォント数はありますが、有料プランの方が扱えるフォントが増え、より幅広い表現ができます。まずは無料版を使ってみて、どうしてもフォントが足りない……と感じたときは有料版も検討してみてください。
フォントを選ぶときは、見た人にどんな印象を与えたいかを考えた上で使い分ける必要があります。
イメージ別にフォントを比較してみましょう。
フォントによっては太さが1種類しかなく、変更できないものがあります。
どうしてもこのフォントで文字を太くしたい!という時は、テキストをクリックし、太字の「B」をクリックすることで文字を太くすることができます。
③の例の太字加工のビフォーアフター
フォントによってはウェイトの選択がなく、太字にできないものがあります。
その場合はエフェクトから「袋文字」で同じ色にすることで太くすることも可能です。
④の例の袋文字加工のビフォーアフター
どちらも無理やりフォントを太くしているので、文字がつぶれて読みにくくなっていないかの確認が必要です。
フォントの基本についてより詳しく学びたい方はこちらのブログが参考になります。
STEP3:色
次に色の調整を行います。
こちらの例をもとに色の選択による違いを比較してみましょう。
色選びも悩むポイントの1つだと思います。どんな色にしたらいいか分からなかったり、変えてみたもののちぐはぐした印象になったりと、時間がかかる方もいるのではないでしょうか。
そこで、色選びのポイントを3つ紹介します。
①全体の色数は3~4つに抑える(無彩色2つ+目立たせる色1~2色)
②画像やWebサイトで使われている色を選ぶ
③商材の印象と色のイメージを合わせる
①全体の色数は3~4つに抑える(ベースカラー1つ+ポイントカラー1~3色)
ちぐはぐになってしまう原因の一つに、色数が多いという要素があります。まずは色数を絞るところからはじめましょう。
1番面積の広いベースとなるカラーに対して、目立たせたいカラーを1~2色(多くても3色)にすることで全体の統一感を持たせながら重要な部分を目立たせることができます。
②画像の中にある色を選ぶ
0から配色を考えるのは難易度が高いですよね。
そんな時に便利なのが、バナー内にある写真の色からカラーを自動で抽出してカラーパレットにしてくれる機能です。
変更したいテキストを選択し、上のバーの「A」をクリックすると写真の色というメニューが表示されます。「すべてを表示」をクリックするとすべての写真に使用されている画像から抽出されたカラーパレットを見ることができます。ただし、写真を使用していない場合、こちらの機能は使えません。
そこでもう一つオススメなのが、Webサイトやロゴの色を参考にする手法です。サービスのイメージを想起させたり、バナーの場合は遷移先のイメージと統一感を出すことができます。
WebサイトのキャプチャやロゴをCanvaの任意の場所に貼り付けると、カラーパレットに色が表示されます。
または、スポイトで色を抽出する方法もあります。①の色を変更したい要素を選択した状態で②のカラーをクリックし、③の+マークをクリックすると④のスポイトが表示されます。このスポイトを選択して任意の箇所から色を抽出することが可能です。
③商材の印象と色のイメージを合わせる
色数や、色の配色がうまくいっていたとしても、その商材のイメージに合わないものは良いバナーとは言えません。
例えばこちらの例を見てください。
配色自体は補色を使っており黄色文字が目立って良いのですが、こちらのバナーでは夏らしさや爽やかさ、ギフト感を伝えたいので、今回の場合には適していません。
商材がどのような印象を持っているのかを考えた上で、自分の選んだ色がイメージに反していないか気を付けて配色を考えましょう。
ポイントをおさえて色を変えたバナー例がこちらになります。
背景のベースカラーが薄い色と、濃い色のパターンを作成しました。
それぞれの色選びの考え方は以下のようになっています。
1枚目:白系ベースに、写真の色から抽出した赤を選択。真っ赤ではなく、少し黒よりの赤にすることで百貨店の落ち着きのある印象に。
2枚目:夏らしさを出すため水色から白のグラデーションをベースに。「50%OFF」部分に白が来るようにすることで、50%がより目立つようにした。「50%OFF」は青と反対色のオレンジを選択。
3枚目:ベースを濃い青にすることで、夏らしさをだした。文字の視認性を高めるため、文字は白と薄い黄色に。
4枚目:爽やかな印象にするため、緑系のグラデーションをベースに。視認性を上げるため、文字の黄色部分も濃いめにした。
配色の基本についてより詳しく学びたい方は、こちらの記事をご参照ください。
STEP4:文字間隔・行間隔
Canvaには文字間隔と行間隔を調整する機能があります。
調整したいテキストを選択し、上のバーの↕の部分をクリックすると、調整が可能です。
文字間隔の調整ポイント
先ほどの③のバナーを例に調整します。
ゴシックや明朝などのフォントはもともと文字間の調整が必要ないものも多いのですが、楷書体やポップな書体など癖のあるフォントについては、インパクトがある一方で文字の間隔が大きく読みにくい文字も多いです。
特に、ひらがなと漢字の間は、漢字と漢字の間に比べて隙間が大きくある場合もあるので、その場合は調可読性を上げるために調整しましょう。
文字間隔を‐34にして狭めました。ですがこのままでも「お」と「中」と「元」のあいだに隙間があるのが気になります。
さらに細かく調整したい場合はテキストボックスを分割するのがおすすめです。
「お」と「中」と「元特集」の3つのテキストボックスに分割しています。
beforeと比較すると、文字間隔のアンバランスな差がなくなり、均一な間隔に調整できました。
行間隔の調整ポイント
行間隔は、詰まりすぎていても、広がりすぎていても読みにくさに繋がるので、必ず調整しましょう。
文字サイズ40ptで、それぞれ違う行間にした画像を並べてみました。
一般的に読みやすい行間は文字サイズの50%〜100%ほどと言われていますが、選んだフォントによって変わるので参考までに。
今回の場合だと、文字サイズに対して大体50%ほどの行間となっています。
応用編:文字装飾(エフェクト)
さて、ここまででもかなり最初の状態に比べると良くなったかと思いますが、Canvaにはテキストに影やフチなどの装飾ができる「エフェクト」という機能もあります。
こちらを使いこなせるようになると、テキストの表現の幅がかなり広がるのでぜひ記事を参考にしながら一緒に手を動かしてみてください。
右上の「エフェクト」をクリックすると、以下の項目が表示されます。
- 影付き
- 浮き出し
- 中抜き
- スプライス
- 袋文字
- エコー
- グリッチ加工
- ネオン
- 背景
- 湾曲させる
それぞれどのような効果があるか、見ていきましょう。
影付き
文字の背景に影をつけることができます。どんな影をつけるかスライダーで調整できるので、以下を参考に調整してみてください。
オフセット
文字からの移動距離の数値です。テキストの位置を0とし、100に向かうほどテキストから離れます。
向き
180度のどの方向に向きを変えるかの数値です。参考画像のようにテキストを浮き出たようにしたい場合は‐30~‐70くらいを目安に右下に向きを動かすと良いです。
ぼかし
影にどの程度ぼかしを入れるかの数値です。
0がぼかしなしで100に近づくほどぼかしが大きくなります。
透明度
影の透明度の数値です。0が透明で100が不透明です。
テキストと同系色の影の色で透明度を100にした場合視認性が悪くなるので気を付けましょう。
浮き出し
こちらはテキストに対して、影が背景に入ることで文字が浮き出ているように見せる加工です。
比べてみると浮き出しを適用している画像の方が、文字がくっきりして目を引きます。
中抜き
テキストの中の色を抜いて線のみにしてくれます。太さを0に近づけるほど線が細くなります。
細い文字や小さな文字の場合は読みにくくなってしまうので、大きめのコピーに適用するのがオススメです。
背景の丸に使われている線の太さと合わせると全体的に統一感が出ます。
スプライス
スプライスは、中抜きと影付きの合わせ技のような加工ができます。
今回のバナーのように太さを1にし、線と影が重なるようにして立体感を出すことも可能です。
袋文字
袋文字はテキストの外側に線を追加することができます。
袋文字の注意点は、数値を大きくしすぎると、フォントによってはギザギザしたとげのような部分ができてしまうことです(下図参照)。漢字などに適用する場合は注意しましょう。
エコー
エコーはテキストの背景に2つ影がつきます。上から順に、テキスト→影1(少し濃い)→影2(影1より薄い)となります。そのため、濃い目のカラーを選んだ方が、より順々になっていることが分かりやすいです。
グリッチ加工
グリッチとは映像が乱れて画面がズレたような表現のことを指します。
Canvaでのグリッチ加工には色の指定ができず、2パターンのみとなっています。
実際にグリッチ加工が合うバナーを作成してみました。黒背景や、インパクトを出したいときにはうってつけの加工ですので、商材に合う場合はぜひ使ってみてください。
ネオン
ネオンはライトのように光らせる加工です。
文字色を青(#0884AB)にし、強度を100にすると白文字に青い光がついたような加工ができます。
強度を1にした場合、元の文字色に影のように青い光がつきます。
濃い背景色に白文字で強度50くらいに設定すると、文字が光っているような加工にすることもできます。シンプルに仕上げたいが目立たせたいテキストがある場合、オススメの手法です。
背景
文字の下に背景をつけることができます。
角に丸みをつけることや、スプレッドでどのくらい背景を広げるか、背景の透明度とカラーも選べます。
テキストに自動で追従してくれるので、テキストを差し替えることが多い場合にも便利です。
ただし、背景だけサイズを変えたりグラデーションにしたり、テキストの上下左右の余白の微調整などはできません。
こちらの画像のように背景を細かく装飾したい場合は、テキストとは別に図形を挿入した方が良いでしょう。
湾曲させる
最後に紹介するエフェクトは、文字にカーブを付けることができる「湾曲させる」という機能です。「あなぐらむ屋」のところに適用しました。
数値が大きくなるほど上にカーブし、小さくなるほど下にカーブします。カーブをきつくすると文字が読みにくくなってしまうため、重要な要素にはあまり適用しない方が良いでしょう。補足的な内容で入れるとデザインに遊びができるのでオススメです。
応用編として、例えばこのように、テキストを円が埋まるくらい入力し、文字間隔を調整すると、円の装飾のような表現もできます。ぜひ試してみてください!
まとめ
Canvaでの文字の加工方法を知らなかった方や、機能をうまく使いこなせていなかった方も、実際に作業をする中でスムーズに使いこなせるようになると思います。ぜひブログを参考にしながら試してみてくださいね。
ちなみに今回はCanva内のテンプレートを使用してバナーを作成しました。使用したテンプレートはこちらです。
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Canvaのテンプレートを使用することで、レイアウトを考える時間がかなり減るのでオススメです。
テンプレートの活用方法に関するブログはこちらで詳しく説明していますのでぜひご覧ください。