Facebook広告でROASベースの運用を行う際に活用したい2つの機能

Facebook広告でROASベースの運用を行う際に活用したい2つの機能

多品目のECサイトのように客単価にバラつきがあるビジネスでは、購入をコンバージョンとして目標コンバージョン単価(CPA)内でコンバージョン件数を増やすような広告運用を行った場合に、コンバージョン件数は増えたけど収益が増えず、広告費用対効果(ROAS)が合わない……ということが起こり得ます。

ROASを指標とした広告運用については、以下の記事をご覧ください。

参考:もっと知りたい、ネットショップを中心としたビジネスにおけるリスティング広告のROAS運用のこと

10万円のコートを買っても1,000円のTシャツだけを買っても1件のコンバージョンとしてしまうのは、よく考える必要があります。両者のコンバージョンの価値(バリュー)は異なっているケースがほとんどです。

今回は広告の費用対効果をコンバージョンの価値にもとづいて改善するために、Facebook広告で活用できる2つの機能を紹介します。

ひとつはコンバージョンの「件数」ではなく、コンバージョンの「価値」を最大化するための「バリューへの最適化」というオプション。もうひとつは顧客生涯価値(以下LTV)がより高くなると見込まれるユーザーへ配信するための「バリューベースの類似オーディエンス」です。

今回はそれぞれの詳しい説明と設定方法を解説していきます。


バリューへの最適化


同じ広告費で1件の購入を獲得した際に売上が高いものと安いものがあれば、当然より売上の高いコンバージョンを獲得できるように広告を配信したいと考えますよね。しかしながらコンバージョンの件数を重視するための配信設定では、コンバージョンによる売上金額の差を考慮して配信調整を行うことはできません。

「バリューへの最適化」を利用することで、予算内でもっとも大きなバリュー(価値)が得られるよう広告配信を最適化することが可能となります。コンバージョン獲得費用に対してより大きな収益をもたらす、つまり、広告費用対効果(ROAS)の大きいコンバージョンは、「バリューが高い」といえます。先ほどの例でいえば、同じ広告費でより高い売上をもたらすコンバージョンのバリューが高いといえますね。

参考:配信システム関連情報:バリューへの最適化

バリューへの最適化の利用条件

下記の条件を満たすことで、バリューへの最適化が利用可能です。

  • キャンペーンの目的が「コンバージョン」である
  • Facebookピクセルを実装している
  • ピクセルに「購入」の標準イベントを含めていて、売上と通貨の情報を取得できている
  • 設定する広告セットあたり1週間でおよそ50件の購入コンバージョンを獲得できている
  • 購入ごとの売上にばらつきがある

参考:Facebookピクセルイベントの値と通貨を設定する

バリューへの最適化は自動入札のみ利用が可能なため、バリューが高いユーザーを把握できる十分なデータ量が必要となります。広告セットごとに一定以上の購入コンバージョンが継続的に発生している必要があるため商材や予算規模によっては利用条件を満たすのが難しい場合は、現状では利用できません。

バリューへの最適化の設定方法

広告セットの編集画面で「最適化と配信」にある「広告配信の最適化対象」で「価値」を選択することで有効となります。

導入にあたっての注意事項

1週間以上の期間は考慮されない

バリューとは広告のクリックから1日または1週間(コンバージョンウィンドウの設定により異なります)のうちに発生した購入コンバージョンに対する、1人あたりの収益を指しています。コンバージョン件数が十分でも検討期間が長い商材ではバリューへの最適化が不十分となる可能性が考えられます。

CPA上昇の可能性あり

バリューに最適化した結果、コンバージョンへ最適化していたときよりもコンバージョン単価が上昇するケースが考えられます。

たとえば、バリューの高いコンバージョンのCPAが高い場合、バリューへの最適化によってCPAの高いコンバージョンの割合が増え、全体のCPAもこれに伴い上がることでしょう。あくまでROASを重視して広告運用を行いバリューへの最適化を行う際は、CPAを過度に意識しないことが重要です。

広告レポートで収益を確認する方法

バリューへの最適化を設定する場合は当然ながら、広告の評価もCPAではなくROASで行うことが大切です。購入コンバージョンから発生した購入金額やそれに基づくROASはFacebook広告のレポートのデフォルト設定では確認できない指標のため、レポートのカスタマイズ方法も押さえておくと良いでしょう。

レポートのカスタマイズ手順

広告マネージャにアクセスし、下記の手順でレポートをカスタマイズしてください。
① 「列:」部分をクリック
② 「列をカスタマイズ」をクリック


レポートに表示する指標を変更する画面に移りますので、以下の手順で設定を進めてください。
③ 「ウェブサイト購入ROAS(広告費用対効果)」にチェック
④ 「ウェブサイト購入のコンバージョン値」にチェック
⑤ 「プリセットとして保存」にチェック。名称は任意のものを設定してください。※必須ではありませんが、これらのレポート項目を継続的に確認するのであれば設定を保存しておくことをお勧めします。
⑥ 「実行」をクリック

バリューベースの類似オーディエンス

Facebook広告では、カスタマーファイルと呼ばれるメールアドレスや電話番号などの顧客データを暗号化してアップロードすることでカスタムオーディエンスを作成できます。さらにそのオーディエンスから類似オーディエンスを作成することが可能ですが、類似オーディエンスの元になる顧客リストに顧客ごとの顧客生涯価値(LTV)の情報を盛り込むことでバリューベースの類似オーディエンスを作成できるようになりました。

参考:カスタマーファイルからカスタムオーディエンスを作成するにはどうすればよいですか。 | Facebookヘルプセンター

バリューへの最適化では長期的な収益を考慮することはできませんが、バリューベースの類似オーディエンスであればよりLTVが高くなる見込みの高いユーザーを特定して配信するための手助けになるでしょう。

バリューベースの類似オーディエンスの導入方法

バリューを含む顧客リストを作成

類似オーディエンスの元になるカスタマーファイルに、顧客ごとの価値情報をFacebookに渡すための項目を追加してください。見出しは「value」にします。

引用:Facebook広告マネージャより取得可能なファイルテンプレート
※以下よりダウンロード可能ですが、最新のものと異なる可能性がありますのでご注意ください。
https://www.facebook.com/images/ads/signals/example_files/example_value_based_audience_file.csv

「value」列を含むカスタマーリストから類似オーディエンスを作成することで、バリューベースの類似オーディエンスリストが完成します。

なお、バリューを含む顧客リスト作成時は下記の点に注意してください。

バリューが高い顧客のみでなく、幅広い価値のデータを揃える

幅広い顧客のデータがないと、平均的な顧客と価値の高い顧客の差別要因を特定できない場合があります。

数値が通貨形式になっている場合は通貨を統一する、もしくは同じ評価に変換する

1USDと100JPYが混在するデータは避け、いずれかの通貨単位に統一してください。

マイナスの値は入力しない

否定的な評価や好ましくない顧客を示すためにマイナスの値を使用することはできません。

3桁区切りのカンマは使用しない

1,000であれば1000のようにしてください。ただしセントを示す小数点を使用することはできます。

独自の評価に基づいた値は使用しない

たとえば5段階評価で1~5までの値を入力した場合、その評価と実際の価値が比例していない場合が考えられます。

顧客のランキングは使用しない

たとえば1位~100位までの順位で顧客を評価した場合、順位と実際の価値が比例していない場合が考えられます。1位と2位の差はわずかでも、2位と3位の間には大きな差があるかもしれません。

参考:カスタマーデータの準備に関するベストプラクティス

バリューベースの類似オーディエンス作成手順

通常のカスタムオーディエンスと同じように、カスタムオーディエンス作成画面から「value」を含む顧客リストをアップロードできます。その顧客リストを元に類似オーディエンスを作成することで、バリューベースの類似オーディエンスが生成されます。

まとめ

バリューベースの類似オーディエンスにより、顧客のLTVまでをも考慮したターゲットの類似拡張が可能になりました。リピート系の商材を取り扱うECサイトなどでは取り入れてみる価値があるでしょう。ただしLTVを重視するための施策であるため、短期的なコンバージョン単価で判断せずに実際のLTVまで見ながら広告の評価をする必要があります。広告管理画面の数字だけでは正しい判断をすることができないでしょう。

また、コンバージョンへの最適化とバリューへの最適化のどちらを選択するべきか迷うこともあるかもしれません。そのような場合は広告配信により達成するべき目標は何なのか振り返ってみると良いでしょう。例えば新規顧客の開拓が目的であれば既存顧客をターゲットから除外しつつコンバージョン件数の最大化が指標となりますし、リピートの促進や収益性の向上を目的とするのであればバリューへの最適化も選択肢になり得ます。

目的を達成するためにはどのような機能を選択するのがもっとも効果的なのかを判断し、適切に広告の設定を行うことが重要ですね。

Yuta Semba

Yuta Semba

アナグラム株式会社 クルー。前職ではECサイトコンサルサービスで、デザイン制作からHTML・CSSでの実装、Googleアナリティクスでの解析やスケジュール管理などのディレクションも兼務。広告がきっかけでクリエイターを志した経験から、自分が作ったもので世の中に良い変化を生んでいきたいという気持ちでアナグラムに参画。

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