
Google 広告のディスプレイキャンペーンで、コンバージョントラッキングを使用していなくても拡張クリック単価(eCPC)の使用が可能になりました。
参考:拡張クリック単価(eCPC)について – Google 広告 ヘルプ
これまで拡張クリック単価を使用するためには、コンバージョントラッキングが必要不可欠でした。


拡張クリック単価(eCPC)の仕組み
拡張クリック単価とはスマート自動入札のひとつで、機械学習を使用してオークションごとのコンバージョン数やコンバージョン値の最適化を行う仕組みです。
コンバージョンが見込めると判断された場合に上限クリック単価を上限なく引き上げます。また、コンバージョンの可能性が低いと判断された場合は上限クリック単価が最大-100%まで引き下げられます。目標コンバージョン単価などにくらべ、コンバージョン獲得を重視しつつもクリック単価をある程度コントロールしたい場合に活用できる自動入札の手法です。
拡張クリック単価を含めスマート自動入札を活用するためにはコンバージョンに関する十分なデータが必要不可欠です。たとえば目標コンバージョン単価を使用する場合には、過去30日間に30回以上のコンバージョンを獲得していることが推奨されています。いずれにせよ、まずはコンバージョン計測が必要です。
コンバージョントラッキングなしの場合の調整基準
では今回実装された、ディスプレイキャンペーンでのコンバージョントラッキングを使用しない拡張クリック単価は入札単価をどのように調整するのでしょうか?
Google 広告の公式ヘルプによれば、以下の仕様となっているとのことです。
オークションごとに、推定されるトラフィックの質に応じて入札単価が自動調整されるため、トラフィックの質やコンバージョン数が向上する可能性があります。
Googleは、Google ディスプレイ ネットワークや YouTube でウェブサイト、アプリ、動画などの閲覧履歴を通してユーザーの興味や関心、購買意向までを推測しています。筆者の予想にはなりますが、広告主のサイトに固有のコンバージョンデータの代わりにこれらのオーディエンスデータを用いて、広告主の商品やサービスに興味を持ちそうなユーザーや購入に至る可能性が高いユーザーなどへの入札単価の調整を可能にしているのではないでしょうか。
なんらかの事情でコンバージョン計測ができない、あるいはウェブサイト上にコンバージョンポイントがない場合でも、興味・関心度合いや購買意欲が高いと予測されるユーザー層に対して入札の調整を行うことができるのではないかと思われます。
機械学習の活用範囲はさらに拡大へ
運用型広告における機械学習の利用は大きなトレンドですが、自動入札の分野においては広告主それぞれがトラッキングして得られるコンバージョンデータに付随して提供されるものがメインでした。そのため、すべての広告主が機械学習による自動入札を活用できる状況ではありませんでしたが、今回のアップデートにより、コンバージョンを広告の目的としないアカウントでも、機械学習による広告配信の恩恵に預かれるようになりました。
先日行われたの Google Marketing Live 2018 でも掲げられていた「すべての広告主の手に機械学習を」というテーマのもと導入された機能のひとつだと考えられますね。
参考:すべての広告主の手に機械学習を:Google Marketing Live 2018 - Google 広告主コミュニティ
ますます活用範囲の広がる機械学習が、これまでの広告運用をどのように変えていくのか引き続き注目していきたいと思います!